2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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鈴木義幸氏:こんにちは。コーチ・エィの鈴木と申します。本日はご視聴いただきましてありがとうございます。本当に使える「コーチ力」をリーダーに身につけてほしい。そう思っているみなさんに今日はお話をさせていただきます。(スライドを指して)こちらのアジェンダで進めていきます。よろしくお願いします。
まず簡単に、コーチ・エィという会社の紹介をさせてください。1997年に立ち上げた会社で、23年間コーチングを学んでいただくということを、事業としてやらせていただいております。現在、社員が170名おります。東京の他にも海外にニューヨーク、香港、上海、バンコクと拠点がありまして「世界中で日本企業さまをご支援しよう」と思って、この事業を進めております。
(スライドを指して)こちらに世界地図が出ていますが、色の付いている国には弊社のお客さまがいらっしゃいます。
今は、オンラインであったり電話でコーチングを学べますので、例えばブラジルにいらっしゃって、サンパウロでブラジル人の部下をたくさん持たれていて、どうやってマネジメントしようか? そこにコーチングを活かしたい。そんなふうに思っていらっしゃる方がいます。オンラインでブラジルから東京にアクセスをして、コーチングを学んでいただく。そんなふうにサービスを提供させていただいております。
さて、コーチングとは何か? ということについて改めてお伝えさせていただきたいと思います。よく対比されるのが「ティーチング」になります。ティーチングというのは、ご存知のように「すでに経験がある人、知っている人」から「経験のない人、知らない人」に対して、知識を伝達していくプロセスになります。
一方でコーチングというのは、基本的には「教えない」というアプローチですので、問いを2人の間に置いて、そして一緒に探索し、物事を見出していく、発見していく。そして未来を共創「コ・クリエーション」していく。そういうアプローチがコーチングになります。
イメージとしましては、(スライドを指して)ここに出ていますように、2人で並んで、そして目の前にキャンバスがあって。「今」止まってみて、そして「未来」を一緒にデザインして描いていく。これが、我々が考えるコーチングのイメージになります。
では、なぜ今コーチングなのか? についてお伝えしたいのですが、大きく3点ほどあると考えております。
1つは「前例のないことに対応しなければいけないから」。これまでのように、上司が答えを持っていて、その答えを部下に「こうしたらいいと思う」と伝達して済む、そういう領域のものがどんどん少なく、狭くなってきています。
ですから、上司が部下に問いかけて、一緒に答えを探し出していく。そういうアプローチが、マネジメントにおけるいろんな部分で求められているのではないか? というのが1つ。
2つ目が「多様な人材をマネジメントする必要があるから」。ご存知のように、世代によって価値観が大きく異なります。今後ますます、例えば、日本人以外の人を部下に持つことも、国内・国外で増えると思いますし、女性を一層活用しようという声も、更に更に高くなっていく。いずれにしてもダイバーシティマネジメントは、マネージャーにとって必須のテーマであると考えます。
その際に、コーチング、問いかけるということによって、いかに相手とコラボレーションを起こし、協働、共に作り出していくか? ということが、促進されるのではないかと考えています。
それから3つ目としまして「日々のイノベーションを起こす必要があるから」と。日本企業が「イノベーションを起こす必要がある」と言われて久しいんですけれども「イノベーションを起こせ。チャレンジしろ。挑戦しろ」では、なかなか部下が挑戦・チャレンジするのは難しい。
上司が問いかける技術を持つことによって、部下の視野を広げ、視点を変え、そして部下が自ら挑戦しチャレンジすることを促すような、そういうコミュニケーションを上司が取れるということが、非常に重要ではないか? と考えています。
以上、3つの理由から、今、コーチングがマネジメントの中で、非常に強く求められているのではないか。こんなふうに考えています。我々としましては、コーチングは共創/構築のコミュニケーションだと考えています。
コーチングは、少し誤解されている向きもあると考えていまして。上司が部下に質問して部下に考えさせるんだ、と。そういうイメージでいきますと、上司が部下に対して「おい、お前どう思う?」と、ちょっと上から質問して、部下に答えを探らせるような。日本人は学校教育の中で「目上の人に質問されたら、正解を答えなければならない」と、条件付けられているようなところがあります。
本来コーチングでは、相手の方・部下に自分が思っていることを、大胆に自由に思い切りしゃべってほしいわけですね。それがイノベーションであったり、新しい発想に結びつくと思うからなんですけれども。
そうすると、上から「お前どう思う?」ではなくて「これに関してはどういうふうにやっていったらいいだろうね」というふうに、問いを間に置いて「一緒に考えようよ」というような、そういうスタンスで進めていく。一緒に探索し、一緒に発見していくスタンス。これがコーチングであろうと、我々は思っています。
トニー・クシュナーという脚本家がこんなふうに言っています。「それ以上分割できない人間の最小単位は2人だ。1人じゃない」と言っているんですね。2つ1組の魂が絡み合うところから、社会が生まれ、人生が生まれ、ドラマが生まれるんだと。考えてみますと、多くのクリエーションというものは、1人で生み出したというよりも、2人1組で何か生み出したものというのが多いように思うんですね。
例えば、ジョン・レノンとポール・マッカートニーもそうですし、スティーブ・ジョブズと(スティーブ・)ウォズニアックもそうですし、Googleのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンもそうですし、ソニーの盛田(昭夫)さんと井深(大)さんもそうだったのではないかと思うんですね。
2人1組でその対話の中に、その語り合う間に何かが生まれたということは、歴史を振り返っても非常に多いのではないかと思っています。考えると、組織というのは無数の2人の関わり、無数の2人組の集積でできているともいえるのではないかと考えています。
ケネス・J・ガーゲンという心理学者がいるんですけれども、彼はアメリカのイェール大学というところで心理学を専攻し、博士号を取り、もう80ぐらいを超えている方なんですが。彼がここで「誰と対話しても『ここでどういう対話を作ることが、どう未来の世界を作るのか?』と考えることが大事だ」と言っています。
だから、組織、会社の中で、誰と話しても「一体ここでの対話は、この会社組織の未来をどう変えるんだろう?」と考えて対話をすることが大事だと。更にこのガーゲンは「そうなんだけれども、ほとんどの人にとって、一緒にどうすればアイデアを作れるか? ということについての練習が少なすぎるんだ」と。
MBAでは例えば説得の練習もする。プレゼンの練習もする。交渉の練習もする。だけれども、隣の人と目の前の人と「どうすれば一緒にアイデアを作れるのか?」ということについては練習しない。でも、それこそが今の時代、最も対話の中に求められているものなんではないかと言っていて、本当にそうだなと思っています。
もはや、1人の脳で何かをクリエイトすることのできる時代ではないと思っています。いかに他の人、他人の脳とコネクトすることによって、一緒に物を考え、Think togetherできるのか。その能力の開発こそが、非常に組織の中で求められていることではないかなと思っています。
ですから、英語で言えばThink aloneではなくて、Think togetherということを、組織の至るところで起こせるか。創造的なダイアログ、対話というものを、組織の至るところで、社長と副社長の間で、社長と新任の執行役員の間で、部長と課長の間で、課長同士の間で、部長と新入社員の間で、いかにすべての2人組の中でThink togetherを起こし、クリエーションを起こせるかということが、今、多くの組織に求められることなんではないかなと思っています。
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