2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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田中安人氏(以下、田中):「マーケティング・販促サミット2021 Spring」にご来場のみなさまこんにちは。本日は「予算が無ければ知恵を絞れ!! ~アイデアを生むチームづくり~」を(テーマに)、私と河合社長でお話を進めて行きたいと思います。
私は本日モデレーターを担当します、田中です。吉野家のCMO、及び自分のマーケティング・コンサルティングの会社のCEOをやっております。
あと、日本スポーツ協会ブランド戦略委員をやっておりまして。元々はJOCの親団体である日本スポーツ協会で、スポーツの未来の設計をしております。あとはHR領域や経営戦略やスポーツ領域、双方の組織改革をやっている人間です。
河合社長、簡単に自己紹介をお願いします。
河合辰信氏(以下、河合):みなさんこんにちは。有楽製菓の代表取締役社長をしております、河合と申します。私は今、有楽製菓に入ってから11年ぐらい経ちますが、もともとCisco SystemsというITの会社でSEをやっていて、異業種を経験してから家業の有楽製菓に入りました。
工場をやったり開発をやったり、その後マーケティング部を立ち上げてといろいろやりながら、2018年に代表取締役社長になりまして、4年目を迎えたところでございます。社長は私で3代目です。
田中:SEだったということは、けっこう左脳が発達されているんですかね。
河合:そうですね。よく言えば論理的、悪く言えば細かいというか(笑)。「ちょっと説明が堅い」ということはよく言われたりもしますが、それも自分の良さかなと思っています。
田中:それでも、あれだけいろんな企画を出されるということはちょっと興味深いので、いろいろ突っ込ませてください。
田中:本日は「予算がなければ知恵を絞れ!!」というタイトルなんですが、私が今まで知恵を絞った事例を、簡単に自己紹介も含めてさせてください。
最近でいくと、吉野家が今年(創業)122年なんですが、2年前の120周年の時に「唯一無二の企画ができないか」ということで、ポケモンさんと「ポケ盛」という、吉野家の丼を120年目で初めて違うカラーにして、ピカチュウたちと一緒にキャンペーンをやらせていただきました。
私、過去にエージェンシーを経営していたこともありまして、自分ですべてのプロデュースをします。なのでこれは、予算をかけていないというより、まずアイデアを絞る。「ポケモンさんと吉野家が組めないだろうか」ということではなくて、「アイデアを突破する」ということがきっかけでやった企画です。
これは、ソフトバンクさんの「SUPER FRIDAY」。日本に「SUPER FRIDAY」が上陸する、一番最初の時ですね。ソフトバンクさんから「吉野家とやりたい」と依頼がありまして、日本に導入するにあたってなかなか理解がされない時期がありました。これもある意味常識を突破して、なかなか数字は言いにくいんですが、4日間ですごくお客さまが来るような企画になりました。
これは3年前にSNSの口コミ大賞をいただいたんですけど、「外食戦隊ニクレンジャー」というバーチャルでの外食の競合。戦っていた仲間たちが集まって、リアルではあり得ない戦隊を作って、テレビでもけっこう取り上げられました。
最終的に絵本になって子どもたちにお届けして、要するに「Co-creation(共創)」ですね。あとでお話しますが、こういうコンセプトで普通集まらないメンバーが集まることによって、世の中を驚かせたということですね。
これのきっかけは、社内で最初に上がってきたアイデアを「これはちょっとさすがにアカんのちゃうか」と私が却下したんですね。でも中の人が「これ、絶対にやりたい」ということで、Twitterに上げたんです。
そしたらどんどんみなさんが乗ってきてくれて、リアルになったんですね。なので、中の人の力です。これはあとで河合さんにも質問をしたいんですけど、けっこう重要で、チーム力ですよね。
うちの吉野家の社長が、もともと社会的弱者に対して思いがありまして。これは昨年コロナに入った時、どんどん学校が休校になったので、お母さまたちがけっこう大変だろうということで、緊急事態宣言が出て約3日後に「お子様食事支援」を出しました。
なので、デザインなんかもぜんぜんシンプルですよね。これはタイミングがすごくよくて「ソーシャルグッドだね」というので、Twitterですごく賑わいました。その結果「子どもだけじゃなくて家族もやってくれ」ということで、家族支援もやりました。これも本当に「ソーシャルグッド」と言われました。
これの特徴は、平時に“性格が悪い企業”が有事になった時に「性格いいよ」と言って、だいたい叩かれて炎上するケースがあるじゃないですか。なので、平時の時からちゃんとした会社のコンセプトに基づいて、活動していくことが大事だという事例です。
田中:基本的に河合さんと共通項があるということで、私はモデレーターをご指名いただいたと思っていますので、私自身が一番、いっぱい河合さんに聞きたいんです。今日の聴衆のみなさまに少しでもお土産を持って帰っていただけるように、僕は翻訳者になりたいと思っていますので、よろしくお願いします。
河合:よろしくお願いします。
田中:河合さんの事例をぜひ、よろしくお願いします。
河合:まず簡単にササッと事例を紹介しながら、そのあとで深くお話をさせていただければなと思います。
その前に、ブラックサンダーについて一度簡単にご紹介しておくと、発売から27年目に入る商品です。1994年に発売した商品で、意外と歴史は長くて。シリーズ累計なんですけど、基本のブラックサンダーと同じ形状のものが、年間販売数が約2億本。
田中:素晴らしい。
河合:直近では逃してしまったんですが、その前までは年間累計販売個数がチョコレート市場だと4年連続ナンバー1という、けっこうみなさんに食べていただいている商品です。発売から10年くらいは鳴かず飛ばずで来た商品なんですが、そこから少しずつ販路を広げていって。当時流行り始めだったブログやSNSを利用して、みなさんに口コミで広げていただいて。
ご本人にご迷惑がかかるといけないので、あまりおおっぴらに言いにくいですけど、とある有名スポーツ選手に「好物だ」と言っていただいたことで、世の中に一気に知られるようになって。今のように広くみなさんに知って楽しんでいただけるようになったという、そんな商品です。
田中:数字が上っている2007年ぐらいがきっかけなんですかね。
河合:そうですね。一番世の中に知られたのが2008年ですね。
田中:今、お話がありましたように、口コミはけっこう重要なきっかけだったんですかね?
河合:そうですね。当時でいうと2ちゃんねるやmixiとか、あとはリアルの話題の中でけっこう話題になることが多くて、それでみなさんにいろいろ知っていただきました。当社はずっとテレビCMはもちろん、プロモーションを特にやっていなかったので、本当に口コミで広げていただいた商品ですね。
田中:それは戦略的に口コミをやったというより、自然発生的にそうなった、みたいな?
河合:そうですね。2000年代最初の頃は、ずっと自然発生的に口コミで広がって売上が伸びていった時期ですね。2010年以降、「自然発生的に出てきた口コミを、なんとか自社でつくり出せないか」ということでマーケティング部を立ち上げて、自分たちの活路にしていきました。
田中:素晴らしい。
河合:そんな中でやってきた事例を、このあとご紹介したいなと思います。まず1つ目が、我々がやった最初の大きな企画だったんですが、2013年のバレンタインのキャンペーンで「一目で義理とわかるチョコ」というキャッチコピー。知っている方もいらっしゃるかなと思うんですけど。
当社の商品って、ブラックサンダーに限らず、2月のバレンタイン時期に大幅に売れているということがあまりなかったんです。私が入社したのが2010年で、その頃から「なんとかバレンタインに売上伸ばせないかな」「伸ばさないといけないだろう」と思っていたんです。
ブラックサンダーを使ってなにかをやろうと考えた時に、どう考えても本命のチョコではないので、「だったら義理ということを大々的に謳って、ブラックサンダーらしくみなさんに楽しんでもらおう」ということで考えた企画がこれだったんです。
さっきお話したとおり、プロモーションをぜんぜんやっていない会社だったので、こんな海のものとも山のものともわからない企画を、今は会長で当時社長だった私の父が、そう簡単には許可してくれなくて。これはかなり通すのに苦労した企画です。
田中:世代的にわからないでしょうね。
河合:そうですね。未だにわかってないかもしれないですけど(笑)。
田中:逆にいうと、そこはすごく聴衆のみなさんのアイデアになるんですけど、年配の方をどうやって口説いたんですか?
河合:もうこれは徹底的に、何度も何度も手を変え品を変え提案したというのが実情なんですが。その中ですごく重視したのは、私は消費者・お客さんが「ブラックサンダーに何を求めているか」「バレンタインに何を求めているか」ということを、徹底的に追求しました。
「お客さんがこういうことを求めているんです。だからやりましょう」ということをずっと提案し続けていたところが、最終的には勝因だったのかなと。これが「私がやりたいんです」「会社のためにいいんじゃないですか」というメーカー視点だったら、恐らく許可してもらえなかったんじゃないかなと思っています。
田中:私もそうなんですけど、左脳のロジックとパッションとのバランスなんだと思うんですよね。
河合:そうですね。
田中:ありがとうございます。
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