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マネージャーの新常識「リスペクティング行動」(全12記事)

叱る時のみ登場し、工夫・過程は評価せず、主体性を奪う… 上司の「やりがち行動」と「リスペクティング行動」5本ノック

メンバーの「強み」「特性」「やりたいこと」「事情」などを認め合い、期待し合う言動や振る舞い、およびそれらを促進する環境づくりための新たなアプローチ。これを「リスペクティング行動」と呼びます。本記事では、新刊『バリューサイクル・マネジメント』が5/1に発売された沢渡あまね氏と、Uniposカンパニー社長・斉藤知明氏の対談イベント「マネージャーの新常識『リスペクティング行動』」の模様を公開。コラボレーションを加速する組織スキルについて、両氏が語りました。

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沢渡あまね氏による、リスペクティング行動5本ノック!

斉藤知明氏(以下、斉藤):ちょっと早いんですけど、今ちょうどいい流れだと思うので「10の具体行動」いっちゃいましょうか。

斉藤:今いただいたコメントの中でも「こういう場ではめちゃくちゃ理解できて学べるのに、実際の職場に戻ったらできなくなっちゃうことがある」。そうなってる中で、沢渡さんに今回ご用意していただいたのが「リスペクティング行動5本ノック」。

斉藤:まずは自分から変えていけることとして「こういうケースはこうするのが、1つリスペクティング行動のあり方なんじゃないか?」というのを、ご用意いただいたので。そちら、ご紹介いただけますか? 

沢渡あまね氏(以下、沢渡):そうですね。よくあるやりがち行動と、リスペクティング行動の振り返りをしたいと思います。これ、実際に10本ノックで管理職研修でやるんですけれども。今日は一部を紹介します。

①叱る時、批判する時にしか登場しない

沢渡:「やりがち行動」いきます。

沢渡:叱る時、批判する時にしか登場しない部門長っていません? 

斉藤:(笑)。

沢渡:これは部下・メンバーからすれば、やっぱり心の壁を持ちますよね。ポジティブなシーンにこそ登場する。そして褒めたり感謝の言葉を述べる。これは行動の心がけだと思うんですけれども。「自分、この人に批判しかしてないかな?」と思ったら要注意です。

斉藤:もう1個あるとしたら「ネガティブな時に登場して、手を差し伸べる」というのはありなんですよね? 

沢渡:それはありだと思います。

斉藤:一緒に手を差し伸べる。一緒に考える。

沢渡:一緒に悩むとこかですね。そういうのは大事ですね。

斉藤:「お前、できてないじゃないか!」だけ言って、できていても何も言わないという上司はダメだということですね。

沢渡:そうですね。

②「主体性を持て」という言葉こそが奪う、相手の主体性

沢渡:では次にいきます。やりがち行動。「主体性を持て!」って、統制型の組織はまさに先ほど申し上げたとおり、統制型の組織そのものが相手の主体性と思考力を奪いがちなモデルなんですよ。子ども扱いすれば、なおのことですね。「主体性を持て」という言葉が、もう相手の主体性を奪うワケですね。

沢渡:1つめ「情報を共有する」。例えば全社で決まったことを、SlackとかTeamsで一斉に共有するとか。こういうシステム、ITを使った共有の仕方というのも1つですよね。情報共有をする。

2つめ「任せる。環境を整える」。例えば「テレワークしたほうがはかどる。私は職務をまっとうできる」という人に、テレワークを認めないというのは、これは環境を整えていないことになるワケですよね。環境を整える、環境・選択権を与えるというのも、リスペクティング行動ですね。

3つめ「フィードバックする」。「作ってくれた報告資料が部長に評判よかったよ」とか「お客さんからこんな意見をもらえたよ」というフィードバックをしないと、なかなか仕事した甲斐って生まれないですよね。主体性って生まれ得ないですよね。

こんな3つから変えられるのかなと思います。

③成果しか褒めない

沢渡:次、いきます。「成果しか褒めない」。「1億売り上げた、すごい!」。それも大事なんですけれども。リスペクティング行動ですと「変化を言語化する」。すぐ成果が出なくっても、例えば会議のやり方を変えたとしましょうか。会議のやり方、新しい手法を導入した。

ただ、その瞬間は会議の時短効果がなかったとしても「あなたのやり方を取り入れたから、みんなが意見を言うようになったよね」と。変化を言語化するだけでも「こういうことってやっていいんだ。自分がやったことが組織の貢献につながるんだ」というのは、見える化しますよね。変化も言語化してあげてください。

④「仕事なんだから、理不尽に耐えて当然」

沢渡:次いきます。「仕事なんだから、理不尽に耐えて当然」「お客さんが言うんだから仕方ない」ではなく、メンバーはこういう言葉がほしいですよね。

「面倒だよね。すまんね。ありがとう」とか、あるいは一緒に怒る。「まったくあのお客には困ったもんだよな、あなたがいなかったらこれ、どうにもならないよね」という共感の言葉があるだけでも違います。

「この人は私たちのほうを向いてくれているんだ」という気持ちになるので、正論で押し切らないというのも大事だと思います。

⑤「そんなこと後回しでいいから」

沢渡:次、いきます。「そんなこと後回しでいいから」。例えばトラブルが発生した時に、事務手続きをしようとする人に「そんなこと後回しでいいから」。悪気なく言っちゃうと思うんですけれども、これ、いろいろ問題があります。まず「そんなこと」といった瞬間に「私の仕事ってそんなことなんですか?」。あるいは同じ仕事をしている人に対して、公開処刑するようなもんなんですよね。その仕事を低く見てしまうので。

沢渡:「ありがとう。気が利く。でも今これを先にやってくれるほうが助かる」。「ありがとう、気が利く」までは言わなくてもいいかもしれないですけど。「あぁ、それも大事なんだけれども、今はこれを先にやってほしい」という。こういう伝え方が大事だと思います。

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