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マネージャーの新常識「リスペクティング行動」(全12記事)

「言われた事を真面目にやっていればいい組織」が奪う、主体性 管理職ですら陥る“指示待ち状態”を抜け、DXを目指すには?

メンバーの「強み」「特性」「やりたいこと」「事情」などを認め合い、期待し合う言動や振る舞い、およびそれらを促進する環境づくりための新たなアプローチ。これを「リスペクティング行動」と呼びます。本記事では、新刊『バリューサイクル・マネジメント』が5/1に発売された沢渡あまね氏と、Uniposカンパニー社長・斉藤知明氏の対談イベント「マネージャーの新常識『リスペクティング行動』」の模様を公開。コラボレーションを加速する組織スキルについて、両氏が語りました。

「中に答えがある業種」では、統制型の方がワークする

斉藤知明氏(以下、斉藤):沢渡さん、ありがとうございました。沢渡さんと「今度のウェビナーのテーマ、何にしましょう?」という話をした時に、このリスペクティング行動というお題をいただいたんですね。

「10の具体行動」の話にいく前に、改めて「このリスペクティング行動がなぜ重要とされていて、考えていかないといけないのか?」を、もう少し深堀りたいなと思っています。

このピラミッド型とオープン型。さきほど沢渡さんがちらっとおっしゃったのが、答えのある組織・業種においては、会社内のこれまでの経験の中に答えがある業種に関しては、統制型・ピラミッド型のほうがしっかりワークするのではないか? とおっしゃっていたんですけれど。

斉藤:それってまさに、その情報。これまでの過去の情報がちゃんと連携されて、個々人に伝わればこそ成果につながるから、ピラミッドのほうが向いているということなんですか? 

沢渡あまね氏(以下、沢渡):そうですね。もう手順が決まっていて、手順に沿えば答えを出せる。例えば、このボールペンを作るプロセスが決まっていて、それさえ守れば・守らせれば答えを出せる領域においては、考えなくていいんで楽なんですよね。

管理する側も楽。仕事する側も楽。

統制型組織における、DXのジレンマ

沢渡:ただし、答えがない領域やテーマにおいては脆弱です。新しいものを作るとか、あるいは未知のリスクに対応していくとなった場合、過去に答えを求めにくい。あるいは少子高齢化で、同じ会社で関われる人材って限りがありますから、社内に答えを持っている人がいるとは限らないワケですね。

そうすると、逆に統制型オンリーのマネジメントを教えてしまうと、思考停止してしまうんですね。答えを求められないようなやり方になってしまいますね。これは大きなリスクなんですよ。

斉藤:まさに自律進化じゃないですけど、外部から受容して一つひとつが進化していく時にピラミッド型の組織になってしまうと、どうしてもトップやマネジメントレイヤーの人じゃないと、新しい知見を入れることができなくって。それを浸透させるのにまた時間がかかってしまって……という組織形態になってしまっていますよね。

沢渡:マネジメントレイヤーですら、厳しい組織はあると思っています。統制型のモデルの恐ろしいところは「言われたことを真面目にやっていれば答えを出せる」という強みがありつつ、主体的に思考する能力、あるいは思考能力や主体性を奪ってしまうんですね。なぜならそういう経験をしたことがないから。

そうすると、自らつながって自らが考えて自ら答えを出していく、あるいはそのようにマネジメントするスキルをどんどん奪っていってしまうんですよ。これはDXのジレンマなんですね。「DXだ、組織変革だ、ビジネスモデル変革だ!」とトップは騒いでいるけれども、中間管理職以下を含めて、そういう仕事をしたことがないので指示待ちになるんですよ。これは極めて悩ましい。

今後、極めてリスクが高くなる、統制型一辺倒の組織

斉藤:逆に言うと「パターン化された仕事を、パターンどおりにこなすことが正義の組織」なのであれば、それってまさにDXの文脈の……本来の文脈でDXが目指していることって「パターン化された仕事から人間を解放しよう」じゃないですか。

沢渡:そうです。おっしゃるとおりです。

斉藤:それが多少、物理的に難しかったりするところが今、乗り越え始められている。ロボティックス投入で乗り越えられ始めている中で、やはり「すべての組織においてこう言えるのか?」について、お伺いしたいと思います。

すべての組織においてピラミッド型の組織、一辺倒の組織というのは、今後やはり成長し得ないものなんですか? 

沢渡:極めてリスクが高いと思います。DX・イノベーションをいうからには、やはり部分的にでも、例えば部署単位でオープン型のマネジメントに切り替えるとか。あるいはまったく別会社にして人事制度すら刷新したりとか。もしくは外部人材をどんどん投入してしまって。

やはり統制型で育ったプロパーだけでオープン型イノベーションをするのは、ものすごく厳しいと思うんですよ。ですから既存の中間管理職とかメンバーには育成の機会は与えつつも、外の人材とコラボレーションしながら、あるいは外の人材を取り入れてやっていかないと、なかなか「破壊的なイノベーション」は起こりにくいのかなと思っています。

“一部から”でもオープン型に移行していくことはできる

斉藤:逆に言うと、その“一部から”でもオープン型に移行していくことはできる。

沢渡:できますね。例えば製造業においても、クリエイティブな職種は労働制度を変えたりとか、あるいは評価制度も含めて変えるとか。そういうことをやってる企業もありますから。

斉藤:そのクリエイティブな仕事を求めるにあたって、今の進化ないしクリエイティブにすべてのヒントが隠されてるなと思うんです。

本来、進化というものは環境への対応でしか起こりません、と。それは、世の中の環境の変化に自分を適応させることによって世の中の課題を解決できるから、社会から「進化と認められる」という構造である以上、社会との適応においてしか進化というものは存在しない、とした時に。

オープン型って、1つは違いを認め合うという社内だけのことじゃなくて、会社を越えてその関係性を受容し合う。人と人との変化だったり環境の変化だったりを受容し合って、それを自分に生かすことができる組織になっていく必要がある。だからこそのリスペクティング行動なんだ、ということなのかな? と理解したんですけど。

沢渡:ありがとうございます。まさに1つに、そのような読み解きが健全なのかなと思っています。

斉藤:その「進化をしないといけない、取り入れないといけない。なるほど」というところから、だからこそ改めて「オープン型にならないといけない」への接合をしたいと思って、今、お伺いしていまして。

改めてここで1つ、知る。相手を知る。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という孫子の兵法もありますけれども、まさにそれを知ることが前提必要だと。そうした時に、今回、リスペクティング行動3つの要素をあげていただいたんですが、これを見て「本当そのとおりだよな」って思っていたので。

沢渡:ありがとうございます。

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