子供を億万長者にはしない、全財産の95%は寄付--世界一の億万長者、ビル・ゲイツ氏のお金の使い方

富を贈ることが最高の喜び #1/2

マイクロソフト創業者のBill Gates(ビル・ゲイツ)氏とその妻Melinda Gates(メリンダ・ゲイツ)氏が世界最大の慈善団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」での取り組みを通して途上国への支援を呼びかけます。全財産の95%を寄付することを誓約しているビル氏の訴えが、世界の富豪たちを動かし寄付の流れを生んでいるという。なぜそこまで献身的に慈善活動に取り組むのか、想いのうちを語ります。(TED2014より)

夫婦が一緒に働くのは難しい?

クリス:昔ながらの知恵として、夫婦が一緒に働くのは難しいと言われています。お2人はどのようにしてそれを乗り越えてきたのですか?

メリンダ:ええ、たくさんの女性からこう言われました。

「自分の夫と一緒に働くなんて考えられない。絶対うまくいきっこないわ」

でも、私たちはとても楽しんでやっています。

この慈善財団は、私たち2人にとって終わりのない学びの旅の到来でした。ビルがマイクロソフトで働いていた時から、慈善事業のために2人で旅行したことはほとんどありません。それぞれが別々に旅行したことのほうがずっと多いです。

でも、私が家に帰ると、私がその旅を通して学んだことをきっとビルは知りたがるだろうということはわかっていました。女性や少女における問題、ワクチンの配布状況に関する新情報、現地の素晴らしいリーダーの話など、どんなことについてもです。

彼はいつも興味津々で耳を傾けてくれます。そして彼もまた、家に帰って来ると、彼のスピーチやデータや新たに学んだことについて、私が興味を持って知りたがることをわかっています。

私たちは本当に協力的な関係を築いていると思います。ただ、いついかなる時もそうとは言いきれませんが(笑)。

2人の間にある強力なパートナーシップ

クリス:メリンダ、以前はあなたが主に財団を動かしていましたよね。6年前にビルがマイクロソフトを辞めてフルタイムで財団に移ってきたわけですが、それに慣れるのは大変ではなかったですか?

メリンダ:そうですね、ビルが入って来ることに関して、実際のところ私よりも職員たちのほうが心配していたようです。私のほうはとても楽しみにしていました。

ビルは2006年にその人事発表をするより前に心を決めていましたし、彼の心からの希望だったからです。ただ先ほども申し上げましたように、彼が実際にこのアイデアを真剣に考え始めたのはバケーション中、ビーチで歩いていた時のことでした。

私にとっては、ビルがその頭脳と心を、格差などの国際的な問題に向けてくれることはとても嬉しいことでした。

(会場拍手)

クリス:それはいい話ですね。

メリンダ:彼が来て3ヶ月もすると、そんな心配はなくなりましたけどね。

ビル:何人かの職員もいなくなっちゃったけどね。

メリンダ:私が言ったのはそのことよ。あなたが来て3ヶ月もしたら、心配していた職員たちはどこかに行ってしまったわ。

ビル:えっ、冗談だよ。

メリンダ:あら、職員たちは辞めたんじゃないの?

ビル:2、3人は退職したけど、でも……(笑)。

クリス:お2人がケンカする時は何が原因になりますか? 日曜日、朝11時。特に仕事もない。どうするんです? 何について議論するんですか?

ビル:この財団をゼロから2人で作り上げて来たので、僕たちには強いパートナーシップがあります。僕がポール・アレンとマイクロソフトを作った時もそうでした。マイクロソフトが大きくなった時のスティーブ・バルマーとも同じようなパートナーシップがありました。

今はメリンダとの間にそれがあり、より強固な、より公平なものになっています。2人で、「どんな支援をもっと行うべきだろうか?」「どのグループがうまく支援できているだろうか?」とよく話し合っています。

彼女は多くの意見を持っています。職員たちとよく話し合っています。彼女が言ったように、それぞれよく視察旅行に出かけます。相手に対して絶対に曲げられない意見を持つようなことをあまり思いつかないのですが?(笑)

異なるアプローチからの支援

クリス:いかがですか、メリンダ? 思いつくことはありますか? 相手の思っていることはわかりませんからね(笑)。

メリンダ:つまり……こういうことです。私たちはそれぞれ、異なった角度から物事にアプローチし、私はそれをとても良いことだと考えています。

ビルはビッグデータを見て、「この国際的な統計に基づいて行動したい」と言います。私はより直観に基づいて行動します。

ビルは彼らがデータに当てはまるかどうか統計を見てごらんと言い、私はビルにデータは置いておいて実際に人と会って理解を深めてみたらと言います。

「ワクチンを届けられる?」「母親に、自分の子供の口にポリオのワクチンを垂らすよう説得できる?」と尋ねます。なぜなら、ワクチンをひとつずつ実際に受けさせる処置は、その仕組みと同じくらい重要だからです。

ですから、私たちはお互いに異なる視点を持っていますし、率直に言って、そのおかげでうまくいっていると思います。

クリス:ポリオなどのワクチンに関しては、素晴らしい成功をおさめておられますね。では、失敗についてはどうでしょう? うまく行かなかったこと、そこから学んだことについて話して頂けますか?

支援の失敗から得た学び

ビル:ええ。失敗ももちろんありましたし、ありがたいことに、私たちは新しく失敗できるだけの余裕があります。治療薬やワクチンの支援をたくさん行っていますが、様々な失敗があるのはお察しの通りです。

たとえば、新しいコンドームをつくる企画にパブリシティ費をたくさんつぎ込みました。何百というアイデアが集まりましたが、そのうち成功するのはひとつかふたつです。

私たちは、特に私は、インドにおける病気に対する薬に関してまったく無知でした。リーシュマニア症は薬を与えれば回復すると思っていたのですが、実際は10日間毎日注射を受けなければいけないのだとわかりました。

薬の開発は予想していたよりも3年も長くかかり、しかもその薬を現地に送る方法がないとわかったのです。幸運なことに、病気を媒介するサシチョウバエを殺せば良いとわかったのですが、それには5年もの月日を要しました。ささやかな成果を上げる為に、5年と6億ドルを無駄にしたのです。

教育支援で必要なのは有能な教師

クリス:約10億円を教育のために毎年遣われていますね。そこに至るまで長く、複雑な道のりだったと思いますが、その中で経験された失敗について話していただけますか?

メリンダ:そうですね、この活動を始めた頃、私たちにとって重大な教訓となったことがあります。私たちは、小規模な学校を作ることがきっと問題解決につながると信じていました。小さい学校では、中退率を減らし、暴力行為や犯罪を少なくすることができると思っていたのです。

しかし私たちがそこで学んだのは、重要なのはクラスを率いる優秀な教師だということでした。有能な教師がいなければ、学校が大きかろうが小さかろうが関係ありません。教師ぬきでは生徒の進学率を表す曲線を変えることはできないとわかったのです。

(会場拍手)

クリス:メリンダ、この写真はあなたとあなたの長女、ジェンですね。たしか3、4週間前に撮られたものです。これはどこですか?

メリンダ:私たちがタンザニアに行った時のものです。ジェンもタンザニアに行ったことがありました。実は私たちの子供はみな、アフリカに行ったことがあります。

私たちはとてもユニークなことをしました。アフリカ人の家庭で2泊3日を一緒に過ごしたのです。

アナとサナレがご両親でした。彼らのボマ(屋根つきのスペース)に招待され、そこに滞在しました。その小さな屋根と壁で仕切られた場所は、実は私たちがそこへ行く前、ヤギが飼育されていた場所でした。

そこで彼らの家族と共に過ごし、タンザニアの田舎暮らしがどんなものかをよくよく学びました。ただ単に訪問して半日やそこらを過ごすのに較べて、泊まり込みで滞在するのはとても意義深い体験でした。

教育には人生を変える力がある

メリンダ:例をひとつあげましょう。彼らには子供が6人います。アナと話している間に、約5時間ほどを台所で過ごしました。話しているうちに、彼女が旦那さんと共に妊娠を計画し、子供を産む間隔を空けたということを知ったのです。

それはとても思いやりにあふれた夫婦関係でした。マサイの戦士とその妻です。彼らは結婚を決意した時、お互いに尊敬と愛を抱いていました。

彼らの6人の子供たちの中で、真ん中の2人は双子でした。13歳の男の子と女の子で、女の子のほうは名前をグレースといいました。私たちが薪割りや他の仕事をする時、母親と同じようにグレースも一緒に働きましたが、彼女は子供でもなければ大人でもない、思春期の少女でした。

彼女はとてもシャイで、私とジェンに話しかけたい様子でした。私たちは彼女に話しかけようとしましたが、彼女は恥ずかしがったままでした。

その夜のことです。タンザニアの田舎ですべての明かりが消えてしまうと、ちょうど新月で月明かりもありませんでした。星も見えませんでした。ジェンがREIの小さなヘッドランプをつけて小屋から出ると、グレースはすぐに通訳の人を連れて来て言いました。

「あなたが帰る時に、あのヘッドランプをくれない? そしたら夜でも勉強できるから」

クリス:ほう、なるほど。

メリンダ:彼女の父が私に話してくれました。中学校の入試をパスした双子の兄に較べて、家事を手伝っているグレースの成績はあまりよくなく、政府の設立した学校に入れなかったそうです。

彼は、「彼女の教育にお金を出してやれるかわからない。私立の学費はとても払えないし。だから彼女は私の妻のように農婦として人生を終わるかもしれないんだ」と言っていました。つまり彼らは、教育がとても重要で、人生を変える力があるものだと知っていたのです。

恵まれた環境にいる人は社会に還元すべき

クリス:これはあなたの別のお子さんたち、ロリーとフィービーですね。ポール・ファーマーも一緒に写っています。世界で最も裕福な家庭において3人の子供を育てるということは、なかなか前例のない社会実験ですよね。どうやってそれをなしとげましたか? どんな方法をとったのですか?

ビル:簡単に言えば、子供たちには良い教育を受けさせたということですね。でも、子供たちにはそれぞれ違う能力があり、何をしたいと思っているかを確かめないといけません。私たちの教育方針はとても明解でした。資産はほぼすべて慈善財団の基金に充てられますから。

子供たちが楽しんでやれることを見つける手助けをすること。彼らにやりたいことをやれる自由を与える一方で、お金を無駄に与えすぎないこと、そのバランスを見つけたいと思いました。今のところ、彼らは勤勉で、自分たちで進路を決めることを喜んでいます。

クリス:当然ながら、お2人はお子さんたちのプライバシー保護にとても気を遣っておられると思います。どうしてここTEDで、彼らの写真を使う許可を出して頂けたのでしょうか。

メリンダ:おもしろい質問ですね。子供たちが成長するにつれ、彼らはこの家の信念は社会的責任だということを理解してきたのです。

アメリカに住み、素晴らしい教育を受けられるというだけで信じられないくらい恵まれた環境にいるということ。そして、それを世界に還元していくことが自分たちの責任なのだと理解してくれています。

大きくなるに従って、彼らに様々なことを教えるようにしています。彼らは世界中たくさんの国に行きました。彼らが言ってくれたことがあります。 「みんなに僕たちが信念をもって行動していることを知って欲しい。パパ、ママ、僕らの話をもっとしてくれていいよ」

なので、彼らの写真をお見せする許可をもらったわけです。そしてポール・ファーマーは彼の仕事に写真を使うのでしょう。彼らは財団のミッションをとても大事にしてくれています。

全財産の95%を寄付

クリス:財団への基金を別にしても、お子さんたちを億万長者にするくらいのお金はあるでしょう。そういう計画はないんですか?

ビル:いいえ、しません。そんなことはありえません。彼らは自分たちの仕事を通してやりがいと重要性を感じないといけないんです。

私たちは結婚する前に、とある長い記事を読みました。ウォーレン・バフェットが同じようなことについて話していて、子供を億万長者にするのは、社会にとっても子供にとっても良くないことだと納得したのです。

クリス:ウォーレン・バフェットの話が出たところで。2006年に信じられないような出来事が起こりました。アメリカで最も裕福な人間としてただひとりのライバルであった彼が、全財産の80%をあなたの財団に寄付すると申し出たのです。一体全体どうしてこんなことが起こったのですか?

おそらく、長い説明と短い説明の両方があると思いますが……。時間がないので、短いバージョンでお願いします。

ビル:わかりました。ええ、ウォーレンは仲のよい友人で、彼は奥さんのスージーに全財産を譲ろうとしていました。残念なことに、彼がそうする前に彼女が亡くなってしまったのです。彼は委譲することが大好きでしたし、それに……(笑)。

クリス:今のをツイートしてください(笑)。

ビル:彼にとっては、何かをうまくやれる人間がいて、それをタダでやってくれるなら、それだけでよかったのでしょう。でも私たちは呆然としてしまいました。

メリンダ:完全に、どうしていいかわからない状態でした。

ビル:思いもよらない出来事でしたし、とても信じられませんでした。おかげで財団でできることの目標を、劇的に飛躍させることができるようになりました。私たちの基金の半分は、ウォーレンの圧倒的な寄付金によるものです。

クリス:そしてあなたも、ご自身が亡くなられた際には全財産の95%かそれ以上を財団に寄付されると誓約されていますね。

ビル:はい。

クリス:この関係は、本当に素晴らしいです。

(会場拍手)

ビル・ゲイツ氏の呼びかけ「財産の大半を寄付しよう」

クリス:そして最近、あなたとウォーレンは他の億万長者たちに同じように財産の半分かそれ以上を寄付させようと依頼して回っていますね。反応はいかがですか?

ビル:そうですね、約120人が今誓約にサインしてくれています。素晴らしい点は、毎年集まって話し合いをすることです。新しい人を雇った? いくら払う? などについてです。メンバーを均一化するつもりはありません。慈善事業の素晴らしい点は、その驚くべき多様性です。

人々は何かを寄付してくれます。私たちはそれを見て、「すごい!」と感心します。たとえば教育などにおいても、他とは違うアプローチをすることが、慈善事業の役割です。私たちにはもっと実験が必要です。

人々と会い、慈善事業を共に行うのは素晴らしいことです。彼らの子供を引き入れて違うやり方を試してみたところ、予想以上の成功をおさめました。予定していたよりも1年ほど早いペースで団体は成長していっています。

メリンダ:そして、他の人たちがやっている慈善事業の与えるインパクトを目にすることも素晴らしいです。寄付をしてくれる人々は、自分たちの素晴らしいアイデアをもとに事業をやっている人たちです。

彼らがその知能とアイデアを慈善事業に向けてくれれば、世界を変えることができます。他の人がやっているのを見て、「すごい、私も自分のお金であれをやってみたい」と思ってくれることは、私にとってとてつもない喜びです。

世界がうらやむアメリカの強みとは

クリス:私が思うに、ある人にとってはそれだけたくさんのお金を何かに間接的に使うということは難しいのではないかと思うのですが。

会場には億万長者もいらっしゃるでしょうし、成功者もたくさんいます。興味があるのですが、セールストークをしていただけますか? どんなふうに売り込むのですか?

ビル:今までやったことの中で最も満足度の高い行為です。お金はあの世へは持って行けませんし、あなたのお子さんに財産を残すのはよくありません。協力して、そのお金で何ができるか一緒に考えましょう。

過去の慈善家たちが世界をよりよいものにしてきました。世界がうらやむアメリカの強みは、この慈善事業の伝統です。私は、慈善事業によって政府ができないことに取り組み、正しい方向に光を投げかけることができると信じています。

クリス:世界にはひどい不平等があり、格差の拡大は構造的な問題になっています。あなた方お2人のような行動をとる人がもっと増えれば、この問題そのものと、そして問題の認識の両方に良い影響を与えることができると思います。こんな感想で良いのでしょうか?

ビル:ええ、もちろん。最も裕福な者から最も貧しい者へ分け当たることができたら、素晴らしいことです。ちょうど良いバランスをとることができますからね。

教育改革が格差の是正につながる

メリンダ:システムを変えることも必要です。アメリカでは、すべての学生に向けて教育システムを変革していっています。私は、それが格差の是正につながると信じています。

ビル:それが最も大切なことです。

(会場拍手)

クリス:会場にいるみなさんと、世界中でこれを見ている数百万人の人々は、あなたがたの人生の道のりと、未来に向けた素晴らしい功績を知って驚いたことでしょう。TEDに来てくださって、ありがとうございました。

ビル:ありがとう。

メリンダ:ありがとう。

<続きは近日公開>

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