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寺田有希氏×石倉秀明氏 トークイベント「『苦手』な仕事で成果を出す方法」(全7記事)

面接を「アピールの場」と思っている人は“話の通じない人” 9割が「聞かれた質問に答えない」から、残り1割になればいい

『ホリエモンチャンネル』などでMCを務め、堀江貴文氏をはじめとする数々の著名人のトークを回す、フリーランス女優・タレントの寺田有希氏。そして、700名以上の従業員全員がリモートワークで働く会社、株式会社キャスターの取締役COOである石倉秀明氏。両者の共通点は、じつは「人見知り・コミュ障」であること。ともに「コミュニケーション」という苦手なことを仕事にして、成果を出してきました。そんなお二人が登壇されたイベント「『苦手』な仕事で成果を出す方法」の模様を公開します。

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採用面接を「アピールの場」と思っている人は間違っている

寺田有希氏(以下、寺田):最後の質問(採用面接の終わりに聞かれる「逆質問」)はそうだとして、面接だとそれまでに聞かれたことに対する自己アピールをしなきゃいけないじゃないですか。でも、何を聞かれるかわからない中で、石倉さんはどう準備していくんですか? 

石倉秀明氏(以下、石倉):聞かれることって自分の仕事に関することか、今まで生きてきたことに関する何かしかないじゃないですか。僕が面接官をしているから気づいたことでもあるんですけど、面接の場を(自己)アピールだと思っている人って間違ってるんですよ。

面接ってお互いを知る場なので、すごくシンプルに言うと、質問したことに答えてほしいんですね。面接官をやると気づくんですけど、アピールしようとする人って、聞いたことに答えてくれていないことのほうが多いんですよ。

寺田:それ、めっちゃわかる。

石倉:実は、8~9割の人が聞いたことに答えてくれていないんですよ。なので、聞いたことに答えたら、1割ぐらいになれるので、わりと受かる。

寺田:9割もいるんですか?

石倉:みんな言いたいことを言っちゃうんですよ。アピールしようと思っているので、アピールしたいことをしゃべるんです。

みんな「自己紹介=自己表現の場」と思いすぎ?

寺田:それすごく共感できるなと思うのが、オーディションもまさにそうで。

石倉:オーディションってめちゃくちゃアピールじゃないんですか? 

寺田:アピールの場なんですけど、必要なアピールをしないと意味がないんで。「『私を見て』は、別にいいです、その表現は別に見たくない」とか。だから結局、意図をくむって、めちゃくちゃ大事なんですけど。

アピールの場だと思っちゃうと、本当に何か自分の中から出さなきゃいけないと思っちゃうので、違うなと思っています。

自己紹介もまさにそうだと思っていて。自己紹介って別に必要な情報を知ってもらうだけでよくて、みんな「自己紹介イコール自己表現の場」だと思いすぎていないかなって、よく思うんです。

石倉:確かにね。新卒なんか「自己紹介して」って言ったら、自己PRしなければならないみたいな刷り込みがありますもんね。

寺田:だから、特技とか趣味とか言って、特技の披露までが自己紹介みたいな。

石倉:(笑)。勝手なイメージですけど、オーディションとか多そう。

寺田:そうなんですよ。私が大手事務所に入った時の初めのオーディションは「30秒間で自己紹介をしてください」と言われるんですよ。それはイコール「自己アピールをしてください」という投げかけなんです。「自分ができること、自分を表現することを30秒間でやってください」と言われるんですね。それはアピールでいいんですよ。

石倉:なるほど。「30秒で」って言われている時は「30秒でアピールしろ」だから、いいってことですよね。

寺田:そう。だけど「自己紹介お願いします」と言われた時に、自己紹介が自己表現、自己アピールの場だと思っている人がすごく多いなという印象があって。だから面接もそうなんだろうなとすごく思いました。

面接官は、そんなに考えて質問していないことが多い

石倉:でも、入社した後に何か表現をする場ってほとんどないワケですよ。面接の場合、要は「一緒に働けるかどうか」というジャッジで、舞台の何かを選ぶワケじゃないので。だから、コミュニケーションがとれないなと思う人とは働きたくないじゃないですか。

寺田:確かに、話が通じない人を自分の会社に入れたくないですよね(笑)。

石倉:「話、通じねーな」みたいなことって嫌じゃないですか。だから、聞かれたことにちゃんと答えるのがすごく大事です。自分も面接官をやっていてわかるんですけど、面接官の人もそんなに考えて質問していないことが多いんですよ。

寺田:そうなんですか? 

石倉:だって面接って難しくないですか? 何を聞いたらいいのかって意外とわからないんですよね。だから、自分が受けてきた面接で聞かれたようなことを聞いていることが多いんです。

寺田:私は入社試験を受けにいったことがないからわからないんですけど、面接のプロみたいな人がいて、その人が緻密なデータの蓄積で作った質問を強いるようなイメージがあるんですけど。

石倉:そういう人も1パーセントぐらいいるかもしれないですけど、基本的には面接官のトレーニングをすることはほとんどないです。なのでけっこう「自分が聞かれたよね」「面接ってこういうことを聞くもんだよね」というものを聞くことが多い。

そうすると面接官も意外に「何を求めてこれを聞いているのか」と言われると「?」みたいになっちゃうことがけっこうあるんですよね。

だから面接を受ける時に、面接官の質問の仕方で、何を聞きたいのかよくわからないことがけっこうあるんですよ。なので「ちょっとわからなかったんで教えてください」って普通に言って、質問し直してくれたことに、ちゃんと答える。実はこのコミュニケーションでいいということを、あまり理解されていない方が多くて。

寺田:逆転の発想……でもないな。至極、単純なことですよね。

石倉:至極、単純なことなんですけど、(面接は)自己表現の場でもないし、自己アピールの場でもないんですよ。

面接も自己紹介も「自己アピールの場」ではない

寺田:わかるー。面接を受けたことがないので、ちょっとわかるって言ったら申し訳ないですけど……。

石倉:でもアルバイトの面接とかはありますよね? アルバイトの面接も、そんなに特別なことは聞かれなくないですか? 「週どれぐらい入れるの?」とか「なんで応募したの?」とか。

寺田:単純な動機とかですよね。

石倉:でも合否が決まっていくじゃないですか。あれってたぶんちゃんと(質問に)答えられているか、答えられていないかだと思うんですよ。シフトが合わないとかあるかもしれないですけれども。

寺田:単純だけど、忘れがちかもですねぇ。

石倉:アピールだと思うと、しゃべりたいことをしゃべっちゃうので。

寺田:私は初対面の自己紹介で、まさにその変換をしてほしいなって思います。自己紹介イコール自己アピールじゃないというだけで、意識が楽になるんですよ。

石倉:だから面接も、自己アピールじゃないんですよ。会話の場です。「やってきたのはこういうことです」という場なので。

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