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Owned Media Recruiting AWARD受賞企業の採用舞台裏/株式会社ユーザベース(全1記事)

2021.04.14

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KPIは応募者のナーチャリングに振り切った ユーザベースの採用オウンドメディア運用から学べること

提供:Indeed Japan 株式会社

積極的な情報発信が潜在・顕在を問わず人材の採用に結びつくこの時代、企業の採用活動にも変革が求められています。採用先進企業が取り組んでいる、オウンドメディアを活用したリクルーティングもその1つ。2021年2月25日に開催された「Owned Media Recruiting SUMMIT 2021」では、昨年開催された「Owned Media Recruiting AWARD 2020」の受賞企業を対象に、その舞台裏について講演が行われました。本記事では、「Uzabaseの採用オウンドメディア」と題した、株式会社ユーザベース 筒井智子氏、山田聖裕氏による講演の模様をお送りします。成功のポイントは、公開本数を追いがちなKPI設計の段階にありました。

ユーザベースのオウンドメディア運用方法

司会者:ユーザベースさまは、Owned Media Recruiting AWARD 2020において、洗練されたシンプルなデザインと、細部にこだわる言葉遣いにより、強固な企業ブランドを形成していることから見事グランプリを受賞されました。そんなユーザベースの山田さま、筒井さまからは今回「Uzabaseの採用オウンドメディア」と題しまして、お話をいただきます。では、よろしくお願いいたします。

筒井智子氏(以下、筒井):では当社の取り組みについて、ご説明させていただければと思います。まず山田からチームの紹介をいたします。

山田聖裕氏(以下、山田):私たちのチームは、ユーザベースのいわゆるホールディングス機能にあたるコーポレート部門に属しています。全社を対象に見て、そのコーポレートブランディングを考えているチームです。

そこで私が、オウンドメディア『UB Journal』を編集長として立ち上げまして、今は筒井が編集長として担っていっているところです。今日は筒井から、ユーザベースのオウンドメディアをどのように運用しているかについて発表いたします。

筒井:本日のアジェンダですが、まず最初に当社の簡単なご紹介をさせていただきまして、実際のオウンドメディアの取り組みについてお話しします。続いてオウンドメディアの運用において大切にしていること、そしてこれまでの具体的な成果についてお話しできればと思います。

時間が15分と限られておりますので、最後にお時間があれば、参考として書いております「なぜHRマーケティングに取り組むのか」についてもご紹介できればと思います。

まずは最初に当社のご紹介です。ユーザベースは2008年に創業し、今年で13周年を迎える会社になります。

事業ドメインとしましては、経済情報プラットフォーム「SPEEDA」や経済ニュースメディア「NewsPicks」をはじめ、主にこちらに書かれている7つのサービス・プロダクトを展開しています。

大切にしている「採用の3つの誓い」

具体的な取り組みについてお話しいたします。ここから3枚のスライドは、当社の会社紹介資料にも載せているものです。

まず最初のページに、採用で大切にしていることと題しまして、このように手紙のようなかたちでメッセージを載せております。これは採用チームと一緒に、私たちブランディングチームが作ったものです。

こちらは「採用の3つの誓い」というものです。

これは面接を担当するメンバーにも周知しておりまして、1つめの「バリュー、ミッションへの共感、スキルの順で採用します」というところは、特に大事にしています。

続いて、「ミッションとバリューへの共感とはどういうことなのか」について、4つのポイントにブレイクダウンしているのがこちらの資料になります。

この資料は、いずれも当社のホームページから、どなたでもダウンロードいただけます。もしご興味のある方はぜひご覧いただければと思います。

実際にどんなメディアを運用しているのかと申しますと、『UB Journal』という、山田が創刊編集長を務め、現在は私が編集長をしているコーポレートメディアと、昨年8月からはnoteさんで『UB note』というメディアも開設しました。

「UBが持つ多様性、組織カルチャーを伝え、強いブランドを確立する」というオブジェクティブを掲げており、ユーザーのみなさまや株主の方々だけでなく、採用候補者、当社メンバーやその家族をターゲットに運用しております。

ユーザベースで働くイメージを持てるコンテンツづくり

「目指す姿」について『UB Journal』はもともと、こちらに書いてあるとおり組織やチームのビジョンや考えを伝えるような内容になっていました。

もちろんそれもすごく大事なんですが、それだけでは実際に自分が入社後、Day1で何をすればいいのか、一緒に働く同僚にはどんなメンバーがいるのか、なかなか伝わりにくいなと思っていました。

そこでnoteに社員インタビューとして個人にフォーカスした記事を載せることによって、ユーザベースのリアルをより詳しく伝え、当社で働く立体的なイメージを持っていただけるような設計を考えました。

カルチャー面に関しましては、先ほどの講演でナイルの渡邉(慎平)さんも「コーポレートサイトもオウンドメディアの一環」だとおっしゃっていましたように、私たちもコーポレートサイトをすごく大事にしています。

コーポレートサイトには当社が大事にしている「The 7 Values」や、カルチャーを伝えるようなコンテンツを掲載しております。『UB Journal』でもチームのミッションや、組織カルチャーが生まれた背景などを伝えるコンテンツなどを載せて、より理解を深めていただくような設計にしています。

またnoteでは、イベントレポートなど具体的にどんな施策をやっているのかを伝えることで、カルチャーと採用面、どちらにも効くようなコンテンツを意識して作っています。

飾らず、現場に寄り添い、自然に広がっていくメディア運用法

続いて、これらのオウンドメディアの運用について大切にしていることを、シンプルに3つ挙げてみました。

1つめが、リアルを伝える。「飾らない」と書いているんですけれども、あまりにも耳心地のいい言葉、かっこいいことを書きすぎてしまうと、実際に入社いただいた後の期待値ギャップを生んでしまいかねないと思っております。とにかくリアルを伝えることにこだわっているというのが、1つめのポイントです。

2つめの「現場に寄り添う」は、現場からの要望に応えるだけでなく、インタビューの前にヒアリングや取材を重ねておりまして、それが現場を巻き込むことにつながっていると感じています。記事公開後に「あの記事どうなった?」とか「公開したんだったら拡散するよ」と協力を得やすくなるのかなという仮説のもと、丁寧な準備と聴く姿勢はすごく意識しているポイントです。

3つめの「結果を集めて、広める」は、今申し上げたとおり拡散のところですね。具体的に記事公開によってどんな効果につながったのか、後ほど具体例もお見せできればと思います。

例えば、記事を見て採用につながった事例などを、リクルーターから情報を連携してもらっています。コンテンツ経由での採用が決まったという情報をキャッチしたら、全社のSlackにコツコツ周知しています。

それによって最近は現場からも、「来月入社する○○さんがこの記事を見て入社を決めてくれたんだよ」というエピソードを聞くことが増えています。インナーコミュニケーションにも一定の効果があるのではと、手応えを感じています。

コンテンツがスカウトメール返信率の大幅向上に寄与

ここからは具体的な成果について、定量と定性に分けてお話ししていきます。1つめの定量の部分について、KPIの置き方は日々試行錯誤しているんですが、ある時期にはスカウトメールの返信率にフォーカスをしていました。

スカウトメールを配信いただく協力会社さんからは、メールの返信率はだいたい平均5~7パーセントと聞いていました。もともとうちは10~13パーセントぐらいと高めでしたが、ポジションに関する記事コンテンツのURLをスカウトメールにつけることによって、返信率を大幅に向上させることができたという事例です。

もちろんジョブディスクリプションやメールの内容の改善なども含まれているので、必ずしもすべてがコンテンツのおかげではありませんが、現場のリクルーターからは「半分ぐらいはコンテンツのおかげ」と言ってもらえました。

その結果が評価されて、採用ブランディングの予算ではなくて事業部の予算として、私と山田、あともう1名のメンバーが上海に出張して、アジアメンバーの採用コンテンツとしてLinkedInや動画コンテンツを作ったこともあります。

もう一つ、一番下のスクリーンショットのコンテンツは、応募者を増やす目的ではなくて、面接官の説明コストを下げるために作ったものです。

これは現場から「カジュアル面談で毎回同じ説明を20分ぐらいしてしまって、面談の時間がもったいない」という相談を受けて作ったものです。候補者に、このコンテンツを事前に見てきてもらうことで、カジュアル面談の場ですぐに具体的な深い話ができるようになって、「面接がかなり効率的になった」と評価してもらっています。

直近でまた同じようなコンテンツを作ってほしいとリクエストがあったので、現在企画中しているところです。

施策の定性・定量効果測定

このグラフはコンテンツを公開する前後の応募ルートの変化について表したものです。施策を実施する前の四半期の平均と比較しまして、エージェント経由での応募率が低下して、逆にLinkedInなどの媒体経由の応募が増加したことがわかるかと思います。

青の右肩上がりになっているのが、LinkedInやWantedly等の媒体経由の応募です。緑がエージェント経由の応募で、こんなかたちで結果が出ていると。結果としてエージェント費用のコストダウンが図れたというグラフになります。

先ほど事業部に注力したスカウトメールの返信率アップの施策と、アジアのコンテンツを作る施策についてご紹介しましたが、こちらはその結果のグラフです。上がスカウトメールの返信率を追っていた時の、SPEEDA事業の応募数のグラフですね。下がSPEEDA Asiaのものです。

アジアだと多少直接応募が多いという特徴はありますが、施策実施後に直接応募と媒体経由の応募、あとスカウト経由の応募率が増加したことがわかっていただけるかと思います。

ここからは定性のお話です。これは海外メンバーのインタビュー記事で、インターナルに効いた事例の1つです。

そしてこちらは「SPEEDAアジアを考えている知り合いの候補者に送ります」みたいなコメントをもらっていまして、リファラルの声かけをする際にも活用してもらっている例です。

目標は全採用ポジションに対応したコンテンツを作ること

ここまでの話をまとめます。当社ではKPIについてPV数や公開本数を目標にするのではなく、あくまでスカウト返信率など応募者のナーチャリング部分に振り切っています。あとは現場の協力として、人事部門や事業の経営陣、マネジメント層とのコミュニケーション回数を意識的に増やしてきました。

そしてコンテンツの種類。応募者を増やすコンテンツだけではなくて、リアルを伝えるインタビューや、面接官の説明コストを下げるようなコンテンツの作成にも携わっています。

社内の認知度アップとしても、現場からあがった定性の声をSlackなどで全社に公開してもらうような依頼をしたり、実際に私たちが聞いた声を発信したりしています。

課題として考えているのがNew Joinerの既読率ですね。入社するメンバーの認知度を100パーセントにすることを目指しています。これまではスカウトメールへのURL添付など、ピンポイントの施策をしてきましたが、コンテンツのデリバリーについては、まだまだできることがあるんじゃないかなと考えています。

あとリファラル率の低さは改善したいですね。リファラルに使ってもらえれば一定の効果はあるんですが、まだまだ改善の余地はあるかなと。今年は全採用ポジションに対して、1つ以上のコンテンツがある状態を目指すことを目標においています。

当社からのご説明は以上です。ご清聴、ありがとうございました。

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