
2025.02.18
「売上をスケールする」AIの使い道とは アルペンが挑む、kintone×生成AIの接客データ活用法
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桑江令氏(以下、桑江):それでは第三部に移らせていただければと思っております。第三部のパネルディスカッションのテーマは『受賞企業の事例から見る2021年のデジタル・コミュニケーション』でございます。
では、パネリストのみなさまをお呼びしたいと思っております。まずは1人目はWebライターであり、SPOT編集長のヨッピーさんです。日本で最も読まれるWebライターの1人でございます。ヨッピーさん本日はよろしくお願いします。
ヨッピー氏(以下、ヨッピー):よろしくお願いします! ちょっと部屋が暗いから、どうにかしよう。進めてください。
桑江:わかりました(笑)。では続いて2人目ですね。Webライター・ネットニュース編集者の中川淳一郎さんです。本日はよろしくお願いします。
中川淳一郎氏(以下、中川):こちらこそよろしくお願いします。
桑江:そして3人目は漫画家・元NHK経営員会委員の倉田真由美さんです。代表作の『だめんず・うぉ~か~』などでご存知の方も多いかと思います。
倉田真由美氏(以下、倉田):よろしくお願いします。
桑江:というわけで、第三部はこの3名のみなさまと進められればと思っております。テーマは「受賞企業や対応事例から見る、ネット上での消費者とのコミュニケーション」というところで。8つの部分から、気になるところをお話伺えればなと思っております。
桑江:どこからいきましょうか? まずは「印象に残った事例や企業など」を伺いたいなと思います。お三方には事前に、ジャパン・デジタル・コミュニケーション・アワード(JDCアワード)受賞企業30社の候補リストをお渡しして、投票もいただいております。その中から気になる事例等があれば教えていただきたいです。
中川:そうですね。私は「コロナ禍の変化」と「2021年のトレンドや注目テーマ」の2つは避けられないかなと思っていて。受賞の中に丸富製紙がありましたね。そこからいければと思います。
桑江:では中川さんからお願いできますか。丸富さんの事例(2020年3月のトイレットペーパー買い占めデマの最中に「トイレットペーパーの在庫あります!」という写真付きツイートを行い、ユーザーに安心感を与えた)は「トイレットペーパーのデマをぶっ飛ばした」というところで、中川さんも「あっぱれ」とコメントをいただいています。視聴者の方から「同感です」とのコメントを多数いただいておりました。
中川:あの時ってね、善意でデマを流す人がいたんですよね。鳥取の介護施設みたいなところに勤めていた男性が、マスクの需要が逼迫していて「中国から紙が届かなくなっている」という親切心からのツイートで広がっちゃって。
それをもとに、テレビがトイレットペーパーに行列ができている映像を流して、一気に在庫がなくなった。“トイレットペーパー騒動”が始まったんですね。オイルショックの時と同様に。
東日本大地震の時もトイレットペーパーがなくなったんですけど、コロナでトイレットペーパーがなくなるという事態を、丸富さんは見事に打ち消した。あれはすごく立派だと思いましたね。
桑江:そのあたりはいかがでしょうか? お2人からもコメントがありましたら。
倉田:確かにあの時って、本当にびっくりするほどトイレットペーパーがなくなりましたよね。「うちにあと何ロールある?」「もうあと2ロールしか残ってない」みたいなことを、友だちと話したことを覚えているんですけど。あれほど品切れが続いた商品って、これだけ長いこと生きてきて、見たことないような勢いでなくなりましたよね。
しかも、品切れだった期間がまあまあ長かったですよね。1ヶ月じゃ済まなかったと思うんですけども。店頭で見られるようになるまでに2、3ヶ月かかった印象です。本当に、いろんな人に情報がすごい勢いで回ってしまうことの怖さを体感しましたよね。
でも、今回の丸富製紙さんの事例には、本当に勇気づけられたなと思います。「よく考えたら、そんなにお尻拭く回数は増えてないよね」ということで、背中を叩いてもらったような気がしましたね。
桑江:そうですね。ヨッピーさんはいかがですか?
ヨッピー:いろんなものがなくなっている時に、いろんな会社や個人が「イオンはトイレットペーパー山積みにしていて、在庫があるから大丈夫」みたいなことを言っていたりとか。報道に対するカウンターみたいなことが、SNSを中心にけっこう出てきていて。
それはすごくいいことだなと思う一方で、よくインターネットとかで言われているのが「買い占めに並んでいるのは高齢者の人が多い」ことですと。高齢者の人たちってSNSをやっていないから、インターネットでそういう反論が出て、どれだけ広がっていっても情報は届かないんですよね。そのへんの格差は、今後いろいろな場面で問題になっていくのかなと思いましたね。
桑江:そういった意味では、テレビの影響力がまだまだ一定あるよね、と。その中で、今のお話も発端は鳥取のSNSからのツイートだったと。それを取り上げた地方のテレビ番組から広がっていった流れだったと思います。
倉田さんは、よくワイドショーなどにも出演されて、コメンテーターとして活動されてらっしゃるかと思います。テレビは重要な情報をしっかりと伝えてくれる存在ではあるものの、それが誤っていたり、少し煽るような報道に対しては、やっぱり指摘があったりすると思います。そのあたり、倉田さんはどのように感じていらっしゃいますか?
倉田:今に始まったことではないですけど、テレビってNHK以外はスポンサーがいますので。しかも、炎上したり批判を受けることを怖がっていたり。あと制作者に「こういう流れでいきたい」ということがハッキリとあるんですよね。
それに忖度しながら、出演者たちが自分の意見をそれなりに述べていくんだけれど、まったく忖度を働かせないことは難しいんですよね。テレビに出演する時点で、ある程度そういう力学が働いてしまうので。
今で言うと「ワクチンを推奨します」みたいなことですね。「新型コロナのワクチンを怖がるなんて、とんでもない!」みたいなメッセージばかり溢れていると思うんですけど。そういう空気感はあるんですよね。これはコロナに始まったことじゃなくて、昔からそうですよね。「自分ではこう思っているんだけど、これは言えないな……」みたいことは常にあります。
わかりやすい例で言うと、オリンピックの時に日本以外の国をすごく応援してる場合に、その意見をテレビの画面で言えるか? と言われると、なかなか難しいですよね。「日本が勝ってうれしい」以外のメッセージは、ちょっと許されない雰囲気がありますから。
桑江:なるほど。そういった意味では、中川さんもAbemaTVなどに最近出られていますよね。ネットTVという観点からは、なにか感じたりされますか?
中川:あのね、Abemaがちょっとおかしいだけだと思うんですけど「好き放題言ってくれ」って言われるんですよ。
桑江:なるほど、なるほど。
中川:あそこは例外だと思うんですが、民放の番組を見ていると、大喧嘩することってほぼないんですよね。ときどき『モーニングショー』で、山口真由さんが玉川徹さんにちょっと文句言ったりとか。そういうのあるけど、基本的にはやっぱり同じ論調でいきますよね。
前におもしろいと思ったのは、AbemaTVに西村(康稔)経済再生大臣が出た時に、コロナ対策の話をしたんですね。その時に「西村さんに文句を言いまくっていただいて、構いません」って言われて、文句言いまくったことがあるんですよ。ただ、それでもぜんぜん許されるってことはありましたね。
桑江:それはメディアの考え方というか。姿勢やスタンスといったことですよね。
中川:「プロデューサーの肝が据わっているかどうか」という話だと思うんですよね。
桑江:なるほど。ありがとうございます。
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