2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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☆Taku Takahashi氏:今回のテーマは「コロナ時代における日本ポップカルチャーのグローバル化について」ですが、これはコロナ以前から日本のエンタメが抱えている課題なんですね。「リージョンを広げていくことが大事」とさっき言いましたけど、僕のアメリカでの体験について、ちょっとお話させてください。
このイベントに参加されている方は、もちろん「Anime convention」と聞いていると思うんですけど、でもあえて説明します。ロサンゼルスの「Anime Expo」、シカゴの「A Cen (Anime Central)」、他にもボルチモアの「Otakon」など、アメリカではあちこちでアニメコンベンションが行われています。
人数でいうと、5万人集まるものもあれば、10万人集まるものもあります。行ったことない、イメージできない、という人は、日本でいうところの「ニコニコ超会議」や「コミケ(コミックマーケット)」といったものを想像してください。
それの10万人集まるバーションとかが、アメリカでは1ヶ所じゃなく、あちこちで行われているんですよね。日本と同じような雰囲気で、コスプレーヤーたちがいたりします。内容的に日本との大きな差は何かというと、パネルディスカッションが多いんです。
例えば、ゲストが登壇して話をする場合、日本だと声優が出てきてトークをしたりとアイドル要素が強かったりするんですけど、アメリカの場合はアニメクリエイターやサントラを担当した人とか、裏方の人たちがけっこう注目を浴びたりします。
例えば、イラストレーターがいきなり絵を描きだしたりすると、目をキラッキラさせて見てくれたりするんですね。それ以外にも、音楽(イベントがあります)。僕はDJで呼ばれました。3日間くらいコンベンションが行われるんですけど、夜にパーティがあるんですよ。そこのDJのパーティは、2千人とか集まったりするんです。
けっこうデカいブースがあったり、小さいところでは500人とか、それでもけっこうな人数ですよね。しかもそれがアメリカのあちこちで行われている。そこで僕はDJをやらせてもらいました。
めちゃくちゃみなさん盛り上がってくれるし、実際、かける音楽も「アニソンじゃなきゃいけない」というわけでもないんですよ。自分の曲もありだったり。あとは自分が作るアニメのマッシュアップやリミックスも、もちろん喜んでくれたりするんですね。
それ以外にも、ふだん渋谷のクラブでかけているサウンドでもパーティしてくれるという中で、やはり自分の作品をかけると喜んでくれる。
あと、バンドのライブやアーティストのライブ、そういったものがコミケに足されているというのをイメージをしてもらえると、「こんな感じなんだな」というのがちょっと見えてくると思います。
僕自身、DJをやっている時以外はコンベンションをあちこち歩きまわって、来ているお客さんたちと話したりするのがけっこう好きで。いろいろと情報収集をして、「こういう感覚なんだ」というのを肌で感じることができました。
気づいたのは、彼らは日本の情報に対してすごく喉が乾いているということ。アニメの情報だとしたら、「もっとこうやって監督とかの話を聞きたい」「プロデューサーの話を聞きたい」「脚本家の話を聞きたい」とか、そういった人たちが多い。
ある意味、知識ベースで言うと、「オタク」というよりも「マニア」の人たちが多いんですよね。情報に対してすごく貪欲な人たちがいる。あと、みんな「パーティ!」という感じですごくノリがいいんですよ。ワールドカップで日本が勝った時のスクランブル交差点バリにハイタッチしまくるみたいな、ノリノリの人たちが集まっていて。
そうやってアニメが前よりも見られるようになったとしても、彼らのふだんの生活の中で、アニメについて語れる友だちはあまりいないんですね。そこにみんなが集まるから、すごくコミュニティ化されている。コンベンションで出会って結婚する人たちもいたりして、好きな人たちが集まって凝る熱量が強い。
あと、音楽、アニメ、日本映画やゲーム、ファッションや日本食だったり、「日本」というものに対して、めちゃくちゃ興味を持ってくださっている。いわば、ロイヤルカスタマーになりうる人たちが集まっている場所なんですよね。
僕、そこで思ったんですよ。「何でもっと日本の企業が参加しないのかな」って。一番大きい「Anime Expo」にはいろいろと日本の企業は参加されているんですけど、他にもアメリカってあちこち(イベントが)あるのに、何でなかなか行かないのかなと思ったんです。
実際は大変なんですよね、アメリカに行くのって。みなさん、本当にいろいろとやられている方もいらっしゃるかもしれない。けっこう大変ですよね。「ロサンゼルスまでが限界だ」というのも、わかる。シカゴに行った時もそういうふうに感じるし、僕がウィスコンシンやテキサスとかそこら辺に行ったときも、本当に日本の企業さんがいなくて。でも、彼らは求めているんですよね。需要があるんですよね。
もう1回言いますけど、そこはロイヤルカスタマーになりうる人たちが集まっている場所なんです。ちょっと1回、英語圏のユーザーの性質をまとめましょう。
日本のように情報が入ってこないから、彼らはすごく喉が乾いていて、そういった情報を常に求めている。日本人よりもマニア気質。もちろん、声優が来ても「キャー!」と黄色い歓声が沸きますよ。
でも、そういうアイドル的なところだけでなく、声優の仕事をする葛藤やジャーナリスティックなことに対して興味を持たれている方たちが多い。日本もそうやってファンが集まれたらいいんですけど、アメリカではふだんの生活と違う分、熱量がすごいファンたちが集まっていると。
そういったことを見て、「ああ、もっと日本から情報を発信できないかな」と思って。日本のアニメ制作会社や声優さん、アニメとはまた別のゲームもそうなんですけど、日本の音楽やファッション、さらには日本食といったものを、どんどん日本から仕掛けたいなと思って始めたのが「OTAQUEST」です。
OTAQUESTはWebメディアで、毎日記事を上げています。ニュースや作品紹介、レビュー、クリエイターのインタビューコラム。主にアニメと音楽とゲームと、時にはファッションやアート。そういったものを紹介しています。
「OTAQUEST」の紹介ビデオを見ていただきました。記事以外にも、最近OTAQUESTで力を入れているのはビデオ動画コンテンツです。週3くらいで配信しています。内容は、ゲームストリーミングやひたすらガンプラを作る生中継、商品開封、新しい日本のプロダクトを紹介したりとか。
あとは、アニメや映画やゲームの「この作品おもしろいよ」以外にも、「この曲かっこいいよね」といった話をするフリートーク・ポッドキャストをやっています。あとは音楽イベントもやっていて。DJがライブをするところや、アーティストのライブを配信しています。
さらに、Eコマースもスタートして、ここからどんどん広げていけたらなと思っています。OTAQUESTのポイントは、我々日本が海外に仕掛けていきたい情報を、英語圏に住む熱量のある人たちにお届けすることです。
ここでもやはり鍵はファンベースなんですよね。もしくは、ファンベースになりうる人たち。こういった人たちとつながることが、今の日本に一番欠けている部分。
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