2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
リンクをコピー
記事をブックマーク
小禄卓也氏(以下、小禄):ちょっと話を(漫画家と経営者の)両立のところに戻しますね。
赤松健氏(以下、赤松):今、出版社以外の漫画家は……昔は発表の場が出版社しかなかったじゃないですか。今はネットもあるし、みんな自らが経営者になっているんじゃないですか?
小林琢磨氏(以下、小林):そうですね。個人事業主から……法人化している方もけっこう多いですし。ナンバーナインでいうとインデペンデント作家さん、要は「独立系の作家さん」と呼んでいるんですけど。今日の3セッション目に出る、かっぴーさんとかも株式会社なつやすみって法人化してやられていたりとか。
出版社さんで連載されていない方とかだと、自分で会社を作って社長業もやってるという方もいらっしゃいますが、その多くは語弊を恐れずにいうと「個人事業主にちょっと毛が生えたようなかたち」なので。赤松さんほどガッツリやられている方は……。
小禄:そうですよね。サービスとかプロダクトみたいな。
赤松:法人化のほとんどは、税制上の優遇が欲しいからなってるんですよ。経営としてガンガン出版社につながらなくてもどんどんやってくみたいなのって、これからどんどん増えていってそれがメインになって……もう今けっこうなってますよね。そういうのがあるので、みんな漫画家は経営者であるべきという時代が来ちゃったという感じですよね。
小禄:ぶっちゃけしんどくないですか?
小林:そうそう。ぶっちゃけしんどくないですか?
小禄:バリバリ現役で漫画描かれてるじゃないですか。
赤松:我々漫画家は、本当は漫画を描くのに集中したいみたいなのがあって。ナンバーナインさんもやっておられますけど、数年前にエージェントみたいな人たちが登場して「漫画家は漫画を描くことに集中して、経営も含めて任せちゃうみたいな時代が来るのかなぁ?」とか思っていたんですけど。漫画家がやっぱり発言してほしいみたいなのは、今は思ってますけどね。
小林:ナンバーナインがまさに目指そうと思っているのが、そこで。漫画家さんたちが漫画を描くことだけに集中してもらいたいなと思っていて。それ以外のものをできるだけ巻き取っていく。特に赤松さんも言ってくれたとおり、これから間違いなく二極化していくというか。
「漫画家になりました」ってなった時に、出版社さんに持ち込んで、当然、商業誌で連載していくという道と、noteだったりTwitterとかで発表して自分で活躍していく独立系の道って分かれていく中で。出版社さんのほうにいくと、当然、出版社の編集さんがいろいろやってくれますけど。個人でやると、全部自分でやらなくちゃいけないと。意外とこれがすごく大変というか、苦手な方がすごく多いんですね。
赤松:多いですね。
小林:なので、そういった苦手な人たちの部分を巻き取るというか。言ってしまうと誰でもできることって、漫画家さんがやらなくてもいいよね? と。
赤松:なるほどね。
小林:そういうのをもっともっと積極的にカバーしていけるような会社になっていきたいなと、うちはけっこう思っていますね。
赤松:漫画家じゃなくちゃいけないみたいな部分……みたいなのはわかるんだけど。私は最近は経営者とは別に、漫画家自身が発言してほしいなと思うことはあるんですよ。
小林:Twitterではみんなけっこう発言してますけどね(笑)。
小禄:公の場でとかですか?
赤松:フェアユースだとか静止画ダウンロードの違法化とか、漫画家たちがなにか言うみたいなことって、意外となくて。経営もそうですけど、発言もエージェントとかだとできないところなので「漫画家本人の声を聞きたいな」っていうことも、国や政党が思っているので。そこは徐々にやっていってもらいたいなとは思ってますよ。
小禄:たぶんこのあとのテーマとかにも紐付いてきますけれども、そういう発言がなかったらどんどん可能性が狭まるんじゃないか? とか。
赤松:どんどん搾取されていくとは思ってますけどね。
小禄:赤松さん的には漫画描くだけでいいのもあるかもしれないけど、描くだけじゃなくてちゃんと外に向けても発信というか。
赤松:どんどん求められていくと思いますよ。
小禄:なるほど。でもそれって大変じゃないですか?
(一同笑)
小林:そうですよね。それって大変じゃないですか?(笑)。
赤松:Twitterで言うのと同じことですよ(笑)。
小林:いやいや。Twitterで言うのとは、またちょっと違うんじゃないですかねぇ(笑)。
赤松:国に対してとか、いろんなところに対しても発言していく必要があると。
小禄:(国から)要請が来るようになったのって、やっぱりマンガ図書館Zの活動だったりとか、そういう関係があったりするんじゃないですか? 漫画描いてただけだと、たぶん来ないような気がするんですけど。
赤松:漫画家協会でいろいろ活動していたら……あ、著作隣接権の時は私個人でやってたんだ! 個人でやってたら文化庁から「どこかの団体に所属してくださいよ。電話とかかけにくいから」って言われて、入ったんですよ。
小林:あはは(笑)。
赤松:肩書きがないと官公庁は呼べないんですよ。「赤松健〇〇」ってやらないと呼びにくいので所属したんですけど。それでいろいろ活躍したので理事になって、今は常務理事。
小禄:きっかけはあったんですね。なるほど。そういう方がもう少し増えていくとね。
赤松:そうですね。経営と、さらに「国に対して物申す」みたいな人たちもどんどん増えると、すごく助かりますね。
小禄:ありがとうございます。
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗