NiziUで例える、須藤氏の“推し徳川”

司会者:須藤さんの“推し徳川”は?

須藤憲司氏(以下、須藤):僕、吉宗。吉宗大好き。

房野史典氏(以下、房野):でもマジで吉宗さん、本当笑っちゃうんだよな。将軍になるまで、人死にすぎてるから。

須藤:そう。いや、ラッキーです。

房野:ラッキーすぎる(笑)。

須藤:NiziUで「この子、受かんねぇだろうな」って思ってた子が「えぇー!?」みたいな。

房野:例えがおもろいね(笑)。

須藤:すげぇ、泣いちゃう! くらいの。

房野:それも入ってるんですね。感情的には。

須藤:入っちゃう。そっかぁみたいな。「体が丈夫って大事やなぁ」みたいな。すごく感じさせてくれる。

(会場笑)

房野:NiziUで言っちゃったよ!(笑)。オーディション見る限り、ちょっとあんまりだなと思ってた子が。

須藤:そうそう。あれ、だんだん光ってくるなみたいな。あるでしょ? そういうの。誰とは言わないですけど。

房野:メンバーの中でしょ? いる。いた。ほんで、感動もした(笑)。すごいよ。紀州の四男か、あの人。兄ちゃんが死んで、お父さんが死んで、もう1人の兄ちゃんが死んで。紀州藩の藩主である時点で奇跡ですもんね。「え!?」ってなって。

須藤:奇跡。すごくないですか。そこからのシンデレラストーリー。

房野:シンデレラじゃないから(笑)。

須藤:すご! みたいな。

房野:あれはまあラッキーとしか。まあでも、そこがかっこいいですね。ラッキーなんだけど、将軍になった途端、ちゃんとリーダーシップを発揮するって。

須藤:そう! そうなんですよ。しかも改革やってるんですよ。田舎から来て。すごくないですか?

房野:言えてる。

須藤:俺できないもん!

房野:どういうこと?(笑)。

須藤:突然、花のお江戸に行って、そんな改革できないです。できる自信ないです。

房野:いや、あなたシリコンバレー経由で東京ですよ。誰が言ってんですか!(笑)。

(会場笑)

須藤:いや、できないなぁって。

生きるのにただ必死だった、歴史上の人物たち

房野:できますよ。でも確かに、すごいですよね。吉宗さんと、井伊直弼とかも。井伊直弼さんも、なる予定じゃなかったのに……。話戻りますけど、準備は大切ですよね。

須藤:準備は大切。

房野:2人とも勉強やってたんですから!

須藤:そうなんですよ。なんの役に立つかわからない勉強をやっていたわけでしょ。すごくないですか?

房野:吉宗さんはまだ……え~っと、名前忘れた。何藩だっけな? 3万石くらいのところを与えられてるんですよ。でも井伊直弼さんは、ただの部屋住まいですからね。それで勉強するって、どういう心境だったんだろう。目的もない。このまま一生終わるわけですよ。なんにもやることないのに。

須藤:だからこそ、なんですよね。今、我々の社会って「やりたいことがないといけない」とか、みんないろいろ言うでしょ?

房野:言う、言う。

須藤:でも昔なんて「夢とか持てたんですか?」っていう話なんですよ。むしろそんな、夢も希望も特にないんだけど努力してる人たちがいた……って、すごくないですか?

房野:これ、そうだわ! いいこと言いましたね。今ね。本当だわ。

須藤:僕、いいことしか言わないですから。

(会場笑)

房野:いや、そんなことなかったよ。たぶん途中、途中、変なおもしれぇこと言ってたぞ。でもいいこと言った。そうだわ~。生きる意味とか無理矢理さぁ、みたいな。

須藤:だから今、逆に生きづらいじゃないですか。「そういうのなきゃいけない」みたいな。

房野:そうそう、そうそう。

須藤:いや、そんなことないよ、と。なくてもあってもどっちでもいいんだよ、もはや。

房野:いいこと言うわぁ。

須藤:本当そう思うから。だって、(歴史上の)この人たちみんな、そういうの持っていたんでしょうか? と。“綺羅、星の如く”生きるのにただ必死よ。

房野:本当だわ。本当だわ(笑)。

信長が“うつけ”をやっていたのは、ハック思考によるもの?

須藤:「なんとかしないとヤバい!」みたいな状態を、ひたすらなんとかするっていう物語でしょ? たいてい。

房野:庶民にいたっては、農民の人たちも商人の人も、生まれたら死ぬまで農民だし商人なわけですよ。なんにも変わらない。それでもたぶん、楽しく日々を生きていたはずなんですよ。

須藤:そうなんですよ。例えばさっき、信長さんもお父さんが死んだ時に、うつけだなんとか言われて。お父さんは優秀だから、(子供は)誰がなにやったってちょっと大変ですよね? 若干、期待値下げといたほうがいいんじゃないかっていう(狙いで)。

房野:そうだとしたらすごいよ(笑)。それでうつけやってたとしたら。

須藤:逆にそれくらいやっとかないと。

房野:なるほど。

須藤:だから「意外とまともじゃん!」みたいな(笑)。

房野:ギャップね。「なんだ、ぜんぜんまともじゃん!」みたいな。

須藤:そうそう。でもそれたぶん、普通にやってたら「お父さんのほうが優秀」ってなっちゃうから。

房野:比べられちゃうから。あ~。だとしたら、超絶頭いいけどなぁ。

須藤:きっと、ハック思考です。

ハック思考〜最短最速で世界が変わる方法論〜 (NewsPicks Book)

(会場笑)

楽屋の時点で大盛り上がりだった、今回のイベント

司会者:きれいに時間的にまとまりの時間に。

須藤:マジで!(笑)。すごくないですか!

房野:ズルいぞ! 最後ズルいぞ!

司会者:全部計算されて?

須藤:いや、ぜんぜん。

司会者:もう5分くらいで終わりなので、まとめていただいて。

房野:おもしろかった~。っていうか楽屋からずっとしゃべってたけど、ずっとおもしろかったなぁ、よかった。

須藤:本当ですね。危なかったですね。楽屋で話が盛り上がって、こっち(本番)で盛り上がらない可能性があるから「ちょっと話止めてもらっていいですか」って(笑)。

房野:2回くらい言いましたからね。「須藤さんやめましょう」って(笑)。

(会場笑)

「これはここ(楽屋)で盛り上がっちゃって、本番でなんにも出てこないパターンよ」って言って。

須藤:(房野氏が)「俺、今日話すこと、スマホにメモしてるんで」って言ってて「あ、プロなのに?」とか思ったのは、僕、すごく失礼だったなって……謝って終わりたいなと(笑)。

房野:(笑)。いや本当にメモしてるんですけどね。(スマホのメモを見ながら)なんかあったかなぁ。

須藤:なんかありました?

房野:本当はね、これ出しながらしゃべろうと思ってたけど。勝手にいっちゃいましたね。

須藤:いろいろしゃべりましたね。

『♯DX白書2021』を読んだ、房野氏のメモ書き

房野:あ、あった、あった。『♯DX白書2021』見て。

須藤:はい。

房野:「出前館すごい」って書いてあります。

須藤:感想じゃないですか。

房野:(笑)。

須藤:それ、ただの房野さんの感想じゃないですか。

房野:ごめんなさい、(いまのは)ボケに走ったけど。

須藤:(笑)。

房野:本当に違うの! 須藤さん、聞いて。データ出してくれてるんですよ。めちゃくちゃすごかった。コロナ禍の収益の。当たり前だけど不動産、交通、旅行、ホテル……アパレルはZOZOだけやっぱり上なんですよね。飲食も大打撃だけど、出前館がすごい! 2倍? 2倍以上か。そしてGAFAとかのアメリカ企業もちゃんと見てる。

須藤:すごい。

房野:あれ、めっちゃおもしろかった。本当見といてよかった。

YouTubeでもテレビでも本でも、相手にするのは“人間”

房野:あ、これ。俺も須藤さんにガッツリ頼んだわけじゃないけど、「DXで芸人はなんか変わりますか?」っていう質問も。

須藤:変わると思いますよ。変わると思うというか、今、こういうYouTubeとかやってるのもそうだと思うんですけど。結局、どこまでいっても人とのコミュニケーションの部分は普遍だと思ってるんです。

房野:あ、それもなんとなく書いてらっしゃいました。読み取れた。「人間なんだよ」ってことですよね。

須藤:相手はずっと人間で、YouTubeで食ってようが、テレビに出ようが、本を書こうが、そのお相手は人であると。要はすべてコミュニケーションですね。ビジネスだってコミュニケーションです。

房野:なるほど!

須藤:そこは変わらなくて。今、ありとあらゆる職業の中で一番コミュニケーションがうまい人って誰ですか? って言ったら、僕はお笑い芸人さんだと思っていて。

房野:なるほど。確かに! 

須藤:そうなんですよ。

房野:俺らの仕事って「人見知りなんですよ」が、通じない仕事なんですよね。

須藤:通じないでしょうね(笑)。

房野:楽屋はまだアレですけど。表舞台に出なきゃダメなやつだから。たとえば、須藤さんとはもう知り合ってるから大丈夫ですけど。「はい、どうぞ!」でバンって出されて、ぜんぜん知らない人としゃべらなきゃダメなような仕事じゃないですか。鍛えられるっちゃ、鍛えられますよね。

芸人こそ未来が明るい

須藤:だし、それこそ房野さんが歴史の授業みたいなのをYouTubeでやっていたりとか。要は今って「〇〇×お笑い」っていうか。例えば「教育×お笑い」とか。いろんな「なんとか×なんとか」っていうのが、すごく活きると思っていて。こうやってコミュニケーションがデジタルでなんでもできるようになったら、無敵じゃないですか!

房野:芸人こそ未来が明るい、ってことですか?

須藤:明るい! だってこうやって“作家しながらお笑い”ができるわけじゃないですか。

房野:そうそうそう……いやだから、逆だって言ってんの!! 

(会場笑)

危ねぇ、危ねぇ、危ねぇ! 最後にトラップ仕掛けられた。

須藤:(笑)。

房野:お笑いやって、作家やってっていう。

須藤:あ、すみません。たまに忘れちゃうんですよ。

房野:なんでだよ!(笑)。

須藤:たまに忘れちゃうんですよ。本の出来がよすぎて。

13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう。

房野:あ、ありがとうございます(笑)。

須藤:筆力が高すぎて。

房野:あ~、それはそれは。煽てられると弱いなぁ。

(会場笑)

なるほどね。「○○×お笑い」ね。

須藤:そういうところにいろんなエッセンスが出ていくから、今までのお笑いっていうこと以外にもすごく可能性が広がっていっていると思うので。僕はすごく明るいと思ってます。

房野:昨日ね、また配信系の仕事をやってて。設備としてカメラがあって、その後ろに音響さんとかカメラのスイッチャーさんとかがいるじゃないですか。そのスイッチャーを、芸人がやってたんですよ。これは明るいなと思って(笑)。

須藤:(笑)。

房野:その子は技術はまだ完璧じゃないけど、めっちゃ習熟していったら、芸人の感覚でポンポン「抜き」とかいけるじゃないですか。(本番では)ボケみたいに「こんな奴にやらせるな!」みたいに言ったけど、本人には「お前、絶対これやったほうがいいな」って言った。

須藤:ぜったいそう。

房野:なんでも「×(かける)」いいですね。

須藤:そう思う。だってカットだってテンポとかで、ぜんぜん変わるわけじゃないですか。

房野:そのカットもそうだし、編集作業……。

須藤:しやすくなるでしょ。

房野:そうだ、絶対いい。いいですね。じゃあこれ、終わってから話しましょう。

須藤:はい。ありがとうございました。

房野:ありがとうございました。