多くのボツ案を経て進む星野リゾートのIT化

伊佐政隆氏(以下、伊佐):ここまでは、うまくいった話をみなさんに聞いていただいたんですけど、けっこう泣ける話もあってですね。

星野リゾートさんはここにたどり着くまでにかなりのボツ案を経験されているそうなんですね。今日はせっかくなのでその話も聞こうということで、ご準備いただきました。ボツ案が出るわ、出るわで(笑)。まず一番上の「ビーコンで清掃業務」から教えていただけますか?

久本英司氏(以下、久本):ボツ案は思い出せた範囲で7つくらいあったんですね(笑)。

伊佐:けっこうやってますね。

久本:ボツもいろんなボツがありまして。実際にPoC(※Proof of Conceptの略。概念実証の意)をやってボツにしたものもあれば、提案した段階でいきなりボツをくらったもの、提案すらできなかったものもあります。

その中で今日は2つのボツ案の説明をさせていただきます。実際に担当はしてなかったんですけど、ボツの話を聞いてどう思ったか? までを含めて、山本と白根に説明していただこうと思います。

伊佐:じゃあ山本さんからお願いします。

山本春香氏(以下、山本):私からはビーコンを使って客室清掃業務の可視化に取り組んだ事例をご説明したいと思います。星野リゾートでは、サービスチームと呼ばれるチームが、ゲスト対応の全業務をマルチタスクで取り組んでいます。サービスチームを機能させるためには、やはり一つひとつの業務が最適化している必要がありまして。

その中で課題になっていたのが「清掃業務がばらつきがある」という点でした。特に客室清掃業務においては、極端にスピードが早くてクオリティも高いスタッフが存在しておりまして。

「そのスタッフがどうやって客室内で行動しているか」を解析して型にして、「スタッフ全員が共有すればいい結果を出せるんじゃないか」ということでプロジェクトが始まったそうです。

その頃は、信号を半径数十メートルに送ることができて安価なデバイスであるビーコンを使って店舗内の顧客の行動解析をするような事例も出ていましたので、客室清掃業務でもスタッフの動きを可視化できれば型が解析できるんじゃないか? と考えました。

伊佐:なんか筋が良さそうな話なんですけど……ボツだったんですかね、これは。

山本:そうですね。清掃スタッフがスマートフォンを持ちまして、客室内に多数のビーコンを設置して計測しようとしたんですけれども。型を解析するためには数百個のビーコンを置く必要があったということが……。

伊佐:一部屋にですか?(笑)。

山本:一部屋にですね。

伊佐:例えば、一般的にはLINE等を使って、お店の近くに来るとスマートフォンにクーポンが届くとかって、1台のビーコンでやってるケースが多いですけど。それを数百個置きましょうという話だったんですか?

久本:見積もりしたら1つの客室に300個必要って言われまして(笑)。

伊佐:なるほど。それはコケそうな感じがしますね(笑)。

山本:それくらいしないと、型を解析するところまでいけないっていうことがわかったというところですね。

もう1つは、「スピードとクオリティに優れたスタッフ」というのは、客室の中だけではなくて、客室の外の倉庫にどういうタイミングでどれくらいの回数往復するか? というところも、重要なポイントだとわかりました。でも客室外にビーコンを設置するのか? って話になってしまって……あっという間にボツになったと(笑)。

伊佐:赤裸々にありがとうございます(笑)。

ボツ案の中には、価値と利益が釣り合わなかった事例も

伊佐:では白根さんからもう1個のボツ案をお願いします。

白根チエ氏(以下、白根):はい。私が担当したプロジェクトは、大浴場が対象だったんですけど、混雑度ではなくて清掃タイミングを把握したいというニーズでした。

『界 仙石原』という客室数が16室の旅館があるのですが、客室数が少ないため、スタッフの配置も多くできない背景がありました。しかも大浴場がエスカレーターを使って降り、遠いフロアに位置していました。なので、大浴場の清掃タイミングをできる限り最適化したいという相談がありました。

私も『界 仙石原』で働いていたので経験があるのですが、定期的に時間を決めて大浴場の清掃にいくと、すでにタオルがないケースがよくありました。逆に、まったく汚れていないのに清掃に行くケースがあったので、ニーズはあるだろうなと思っておりました。

そのニーズを聞いた久本さんはIoTで解決することを思いつき、「情報システムで検討します」と提案してしまったんですよね。

久本:そうですね。

白根:ゲストに提供する価値から考えまして。「スタッフの無駄な清掃タイミングを減らす」ではなくて、「常にゲストにきれいな大浴場を提供する」というアプローチで、清掃タイミングを提案する仕組みを考えました。

ここまでは良さそうなお話なんですが、こちらも人の出入りやタオルの残量チェック、ドライヤーの使用量を把握する複数のセンサーを組み合わせて考えておりました。貯めたデータをAIで解析して、最適な清掃タイミングを提案させるというものだったんですね。

清掃タイミングを強化して、スタッフが毎回登録することでAIの精度を高めていくという、今風なアイデアでしたが、予算が膨大になっていきました。それを経営会議で提案したところ、非常に壮大な提案内容にも関わらず、削減できる労働力はちょっと残業したらなくなってしまうという程度だったので。「先にやることあるよね」と言われてしまって、ボツになってしまった。

伊佐:お客さんの喜びや価値とつながりにくかったのかもしれないですね。

久本:お客さまの価値としては、いつでもきれいな大浴場でお風呂に入れるというので、価値はあると思うんですけど。得られる利益がちょっとしかなかったところで、壮大過ぎちゃったという事例ですね。

なぜ失敗しても仕事がやりにくくならないのか?

伊佐:これ不思議だなと思うのが、けっこうつらい話だと思うんですけど、みなさんニコニコお話されるじゃないですか。ふつうは1個でも失敗すると、今後の仕事がやりにくくなるみたいなことが、会社によってはあると思うんですけど。

星野リゾートのみなさんは、こういう失敗を明るく話してくださりますよね。「これって組織の作り方とか会社の風土に秘訣があるんじゃないですかね?」って思ったら、久本さんがこんな資料を用意してくださいました。ここもお話いただけますか?

久本:わかりました。まず、情報システムの組織で何を目指したか? という話の前に、星野リゾートの組織文化の特徴的なところを2つお話したいと思っています。いくつか価値観と言われているものはあるんですけど、まずは「フラットな文化」という価値観です。

「ボトムアップで提案を上げていくとか「意思決定をみんなで話し合う」とか。そういったことを目的としているわけではなくて。

フラットなテーブルで、経営者も私たちITチームも、実際に現場でサービスをするステークホルダーも。関係者全員が同じテーブルで侃侃諤諤ディスカッションを広げて話し合った結果、決めるべき人が決めるという文化なんですね。議論が対等であると思ってもらえるといいです。

もう1つが、「価値観はガイドライン的に守るべきではなくて、ガードレール的にやっちゃいけないことがあるよ」ということです。「ガードレールの範囲にある中では、どういうふうに道をたどって目標に行っていいよ」という考え方があります。

そういった2つの考え方をもとに、私は情報システムの組織を作ってきました。まず情報システムチームって、実は2015年には4人でやってました。4人でやっていたんですけど、今現状31人います。もともと4人で数千人の従業員のITは見切れませんので、全部アウトソース中心だったんですね。

でも、DXを推進していくためには自前でやっていく必要があると思いまして。それはシステムを作るところから運用するところまでですね。それをやり切るために、私は人数を増やしたかったんですね。その人数を増やすやり方をどう進めていくかは、このガイドラインの中で決めてきました。

情報システムチームの増員をどうやって進めていくか。情報システムだけが提案するのではなくて、経営者と一緒にどうやってITを強くしていくのか? というのに時間をかけてきたところが大きかったかなと思っております。

リゾート業がIT化できた3つのポイント

伊佐:星野代表も今はITにすごく関心が高いんですよね?

久本:そうですね。2015年に「情報システムを増やす」と言った時には、やっぱり餅は餅屋だって言われて。「僕らはリゾート業なんだからITを作る仕事は自分たちの仕事じゃないよ」って言われていたんですね。

ただ、ITはチャネルにも現場の業務にも大きく関わってきているので、ITを使いこなせないと事業そのものを回していけないと、経営サイドも私の多くの失敗の中でわかってきたんでしょうね。

ITをうまく活かすためにはどうしたらいいのかを考えた結果、と担当である僕にすべてを任せるのではなくて、代表も経営者である自分自身も、ITを理解した上で判断しなきゃいけないと、失敗の中で感じたのだと思っています。

今では同じラウンドテーブルに着いて、IT投資をどうするか? を毎月会議をして決めています。そういった背景があったので、今回の大浴場のプロジェクトもかなり早い意思決定ができたかなと思っています。

伊佐:価値観とチームと経営者とのリレーションシップ。この3点セットがかなり重要だってことですね。

久本:そうですね。

伊佐:なるほど。なかなか簡単ではないですけど、久本さんのケースで言うと5年くらいかけてやってきたということですね。

久本:2015年にやろうと思って少しずつ準備していたんですけど、本格的に進んだのは2017年からですね。2017年に大きな失敗をやらかしまして、そこがある意味会社全体の経営課題みたいになったんですね。そこから逆に加速しましたね。

伊佐:なるほど。ありがとうございます。今も生き生きと働いてらっしゃいますけど、星野リゾートの情報システムチームがどんなチャレンジをしてきたか、お話しいただきました。

いきなり100パーセントの導入を求めない

伊佐:次は、これからどんなチャレンジをするんだ? ってことについても2つほど教えていただけるということです。まずは、「温泉IoTのほうもまだまだ打つ手があるぞ」と伺っていますので、白根さんからお話をお願いします。

白根:はい。次にチャレンジしたいこととして、「混雑状況見える化のリリース後に行った対応」のお話をしたいと思います。星野リゾートでは、お客さまの声を聞き、改善する仕組みを自社で行っています。新型コロナウイルス対策も、すぐに顧客満足度の質問として追加しまして、お客さまのフィードバックを把握できるようにしておりました。

混雑状況可視化の取り組みについても、さまざまなご意見をいただき、すぐに改善に移していきました。まず、当初想定していたよりもセンサー精度が安定してなくて、「アテにならなかった」というコメントがいくつかの施設から上がっておりました。ただ、全くそう言った声がない施設もあり、機器や仕組の問題ではないと判断できました。結果としては、設置場所の環境の問題や機器の初期不良が原因だったので、満足度の仕組みがなければミスリードしていたかもしれないなと思っております。

まずは問題を可視化するために、急いでモニタリング機能を追加していきました。一定時間センサーから通信が来ない場合は、通信エラーとして開発メンバーが参加しているSlackチャンネルにあげるようにしました。

あとはBIツールを導入しまして、計測の傾向を見られるようにしました。設置場所により斜めに入れられてしまったり、大浴場の暖簾の影響を受けることがわかりましたので、設置場所の工夫を行いました。

それでもまだ差異が出てしまう施設もあったので、こちらはゲストに迷惑がかからないようにkintoneアプリ上で人数カウントの調整機能を追加いたしました。スタッフが現場で確認したときに、すぐ人数調整を行えるようにしました。

伊佐:なるほど。これはいいですね。テクノロジーは100パーセントで動作することはなかなかないですし、100パーセントにしようとしたらものすごくお金がかかっちゃうことがありますので。最後は現場の人が目視で確認したものを、kintoneに直接反映しちゃえ! ということなんですね。

白根:そうなんです。実際に出た数値に関しても、従来のカウントとkintoneで手動に切り替えた場合で、どのくらいの差があったのか? 1日1回全施設で取るようにしていまして。その差が大きければ大きいほど、その施設の優先順位を上げて、設置場所の工夫だったり、センサーのファームウェアを遠隔で行ったりして対策しておりました。

伊佐:今回は6週間という短期間でリリースまで作られていたので、けっこう話題を呼んだんだんですよね。その後どうかなって思っていたんですが、しっかりモニタリングして改善を継続されていると聞いて、さすがだなと思いました。

一体感があるから現場で新システムが支持されていく

久本:実際2週間から1ヶ月くらいで精度が上がりましたよね?

白根:そうですね。だいたいファーム更新でなんとか半分くらいは安定して混雑度が取れるようになって。その後もモニタリングをしながらIoTデバイスの開発担当ベンダーさまと一緒に改善していくにはどういたらいいんだろう? ということを粘り強く対応して。やっと全施設安定できるように持っていくことができました。

伊佐:現場の施設の方も、ここまでやってくれていると信頼できるというか。「ちゃんと見て改善してくれるのであれば協力しよう!」という気持ちにもなりますし。お客さんに文句を言われてもちゃんと説明しようという気持ちにもなるので。

また、見える状態にしておくのは一体感を出す意味でもいいですね。kintoneで作ったことで、現場の人が人数変えられるという巻き込みができていいですね。

白根:そうですね。現地のスタッフもすぐに返答してくれたり、「ご連絡ありがとうございます。変更します」とか「対応できることがあったらすぐ言ってください」と言ってくれたので、すごく安心しました。

伊佐:なるほど。ありがとうございます。ちなみに次の一手というのも見えるんですけど、これは何でしょう?

杉山陽輝氏(以下、杉山):大浴場のところですね。次に進めていることは3つあるんですけど。1つ目は、お客さまの声からいただいた中で、「コロナ禍の状態が終わってからもこういったサービスを利用したい」ということで、今後開業予定の施設でもセンサーの導入を進めていこうという方針になりました。

それに合わせてセンサーを貼り付けて設置しているんですけれども、この写真は開業予定の『界 霧島』という施設の準備中の写真なんですけれども。コンセントボックスを利用して、その中にセンサーを入れられるようにデザインを改良して、埋め込み型で設置できるようにバージョンアップしました。

コロナ後もIT化を求める声も

杉山:2つ目は、今データを貯めていっているんですけれども、「データから混雑の予測機能」です。「何時にどれくらい混みますよ」と出せたらいいなということで、開発を進めています。

現状は、過去1週間のデータから平均値を取った単純なものなんですけれども。今後は曜日によって稼働にばらつきが出たりするので、もうちょっと複雑な条件を入れて正確に出せるように進めていこうと計画をしております。

3つ目は、さっきのボツ案の中にもありました「清掃タイミングのお知らせ」です。

伊佐:お!

杉山:今回センサーを入れてみて、どれくらいの人数が入って、どれくらいの人数が出ますと計測でき始めていました。なので、これを利用して「今何人入ったから清掃に行ったほうがいいですよ」とか「まだぜんぜん入ってないので、今行っても清掃する必要がないですよ」ってわかるように通知ができるように検討を始めています。

伊佐:これはうれしい! あと、お客さまがコロナ禍が落ち着いたとしても、情報提供は続けてほしいと言われるのは新しい発見ですね。

杉山:そうですね。僕も開発してみて、お客さまのその声が聞けてすごくうれしく思います。

IoTとkintoneの組み合わせで現場の問題を解決する

伊佐:ありがとうございます。時間が5分を切っているんですけれども。もう1つkintone関連で新しいチャレンジがあるということで、教えていただきたいんですけれども。山本さんから概要を教えていただけますか?

山本:では手短かにお話しますね。私のほうで担当しましたのが、「冷蔵庫・冷凍庫の温度をモニタリングする」というシステムです。今年7月に開業した『星のや沖縄』からのオーダーで着手しています。

山本:星野リゾートではHACCP(※危害要因分析・重要管理点の意)に基づいて全社で独自に取り決めた食品衛生基準を実施しているんですけれども。そうすると最低でも朝夕2回、スタッフは全部の冷蔵庫を回って検温する必要があり、それを紙に記載する必要がありました。

星のや沖縄は、3ヶ所のキッチンに56台冷蔵庫・冷凍庫があるんですけれども。さらに施設が横に広くて、だいたい全長で1キロくらいあります。

伊佐:すごい。

山本:開業前から検温にすごく手間がかかることはわかっていました。

伊佐:しかもこれ義務化されますからね。必ずやらなきゃいけないというところもありますよね。

山本:そうですね。なので飲食の統括チームのほうで、IoTで自動化したいという話が出ました。当初はセンサーの設置業者さんのトータルサービスで相談を進めていたそうなんですけれども、途中から私たちに声がかかって一緒にプロジェクトを進めるかたちになったんですね。

話をもらった時には、やっぱり紙と人力で行っていた業務を自動化するだけだと、IoTとkintoneの組み合わせにするにはもったいないところがありまして。紙と人力だから諦めていたことが、この組み合わせで実現できるんじゃないかなとすごく考えて。コンセプトから再設計しようと考えておりました。

話をもらった時は記録の自動化がメインだったんですけれども、例えば「温度が異常だったらどうするんですか?」と聞くと「最悪の場合は食材を廃棄します」と言っていて。

例えば高級食材であっても温度が一定に保てなかったから廃棄してしまうことは避けたいなというところで。コンセプトとしても、「温度を一定に保って安心安全を提供できる環境を作りたい」というところを重要視しています。

素早い導入を行うには外部との役割分担も

伊佐:確かに測るだけでいいのか? 測って異常があったら何か行動を促さなきゃいけないのか? では作り方がまったく変わりますね。

山本:そうですね。こちらにシステム構成を出しているんですけれども、最初にセンサーによって10分に1度温度計測を行い続けます。その結果をリアルタイムでクラウドに送ります。クラウド側で送られてきたセンサーの数値と、kintoneのマスターで管理している冷蔵庫ごとの閾値を見て異常判定を行っています。

異常と判定された場合には、異常温度対応アプリにレコードを追加します。スタッフ側ではiPadをインターフェースにしたかったので、異常値の通知の仕組みはkintoneをカスタマイズして独自機能として作っています。

指定したiPadの場所ごとに、担当の冷蔵庫に関するアラートを自動表示して、音が出るようにして作業中でもわかるようにしています。

伊佐:なるほど。さっきの温泉IoTでは、対象がお客さまだったのでkintoneの画面を直接見ない。スタッフの方はkintoneの画面を見て、お客さまはご自身のスマートフォンで見ると。

このパターンだと、スタッフの方はiPadでkintoneからの通知データを処理して、システム運用管理の方はkintoneを見て全体把握するみたいな、kintoneでデータを活用する上手さがありますね。

山本:システム開発は、ベンダーさんがクラウド上にセンサーデータを取得可能な状態にするところまでを担当してくれまして。あとはジョイゾーさんがAWS上に「センサーデータの収集」と「異常判定処理」、そして「iPadのカスタマイズ画面」を担当してくださっていまして。

伊佐:さすがですね。

山本:kintoneアプリを私が作ったというかたちですね。

伊佐:すごくいい組み合わせですね。今日は限られた時間だったので、取り組みの中でも本当に一端しかお話いただけなかったんですけれども。とにかく勇気と根気が必要だと私もよくわかりました。

重要なのは自分たちで手を動かしてやっていくこと

伊佐:では最後に、「kintoneを使ってさらに次のチャレンジをする」ということで、久本さんから一言メッセージをいただけたらうれしいなと思います。今後の星野リゾートのチームのことも含めてお話いただけるとありがたいんですけれども。

久本:やはりキーワードはDXだと思います。最近流行ってますけど。じゃあDXを進めるとはどういうことかと言うと、業務をIT化するだけじゃないと思っているんですよね。やはり顧客体験やスタッフの体験をデジタライゼーションしていくことだと思っています。

それを推進していくには、できる限り自前で行うこと。特に、事業をしている自分たちでITを使いこなしていくところがすごく大事だと思っていまして。そのためには経営者やIT担当だけではなくて、自分たちでどれだけやっていくかがすごく大事になると考えています。

特にIoT系はまだまだテクノロジーが未発達というところもあって、やってすぐ効果が出るわけでもありません。やるべきことを見出したら、どんどん手をかけてやり切ることが必要だと思ってまして。それはやっぱり外部に頼んでいてはダメで、自分たちでできる限り手を動かしてやっていく必要があると考えています。

伊佐:みなさんも久本さんのように男気を持って、「やり切るしかないんだぞ」という覚悟ができると、新しいチャレンジができるんじゃないかなと思います。

今日はちょっと距離を空けた新しいスタイルでのセッションになりましたけれども、星野リゾートのみなさん、そして参加いただいたみなさん、最後までありがとうございました。

改めまして拍手でお送りください。ありがとうございます。

(会場拍手)