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“FUTUER FASHION”~新しいファッションのトレンド、そして、その先にある未来(全2記事)

「服と乾癬」を白濱イズミ氏、ゆりやんレトリィバァ氏らが語る 新しいファッションのあり方を提示していく「FACT FASHION」

ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門として“病のない未来”を目指す製薬会社ヤンセンファーマと、女性ファッション誌『VOGUE JAPAN』が社会課題の啓発などを目的として立ち上げたプロジェクト「VOGUE CHANGE」がタッグを組んだイベント「FACT FASHION in collaboration with VOGUE CHANGE」が開催されました。「FACT FASHION」とは、乾癬(かんせん)患者の悩みを起点として、ヤンセンファーマが提唱しスタートした新しいファッションブランドのこと。イベントではこちらについて、登壇者たちが熱い思いを語りました。本記事では、第一部「“FUTUER FASHION”~新しいファッションのトレンド、そして、その先にある未来」の模様を公開。スペキュラティヴ・ファッションデザイナーの川崎和也氏、モデル/アーティストの白濱イズミ氏、お笑い芸人のゆりやんレトリィバァ氏がゲストとして登壇し、司会/リポーター/モデル/俳優のハリー杉山氏がモデレーターを務めました。

着心地がよく、シンプルに格好いい「FACT FASHION」

ハリー杉山氏(以下、ハリー):イズミちゃんにいろいろとお話を伺っていきたいです。モデルとしても長年活動されていますけれども「FACT FASHION」を今日着てみて、いかがですか?

白濱イズミ氏(以下、白濱):まず心地がいいです。

着ていて心地がよくてサラサラしていて、柔らかい素材を使っているなと。私もお話を聞いて、工夫がされているなと思いました。ボタンとかが本当は1つのところを2つにして落ちないようにするだとか、(肩付近を指して)ここら辺とかにもし皮膚が付いた時とかが取れやすいようにとか、いろいろと考えられて作られているけど、ちゃんとベーシックだなと思いましたね。

ハリー:でも、シンプルに格好いいところもありますよね。今、イズミちゃんも言っていたんですけど、例えばメンズのジャケットでもボタンの裏を見ていただくと、加工がありますよね。これも、乾癬(かんせん)に向き合う方々は関節痛といったものが時にあると思うんですけれども、指を曲げるのがちょっと痛いという時に、よりシンプルに簡単にボタンを外せる。そういった試みが、掘り下げれば掘り下げるほど感じられるなと思って。

白濱:そうですね。違和感がないなと思いました。

「ラブリ」と「白濱イズミ」を使い分ける理由

ハリー:ですよね。イズミちゃんは長年、ラブリとしてお仕事されているんですけれども。今回、白濱イズミという名前を通してどういったご活動をされているのか、伺ってみてもいいですか?

白濱:まず、言葉を軸に仕事をしてたりとか、自分が発信ツールとして言葉を使っているんですけど、ラブリとして知られているのが一番強くて。言葉を発信すると、ラブリ名前が先に出ちゃうんですよ。

せっかく自分で考えた言葉だったりとか、力強く発信した言葉でも、どうしても「芸能人のラブリが伝えている」という“芸能人のラブリ”というのが先に出て、言葉の本質が後ろに来ちゃってるのを感じ始めるようになって。

その自分の言葉を守るためにも、芸能人のラブリというのを自分から削ぎ落として、白濱イズミという本名のほうで発信することで、ちゃんと内側の言葉が直接的に届くんじゃないかなと思って、分けることにしました。だから外側のモデルの仕事だったりとかには「ラブリ」という名前を使って、内側から出てくるものだったりとかにはイズミというほうを使っています。

ハリー:そうですよね。

白濱:すると、メディアの方も私も分けられるようになって、よりシンプルになった感じが。

ハリー:白濱イズミとしても、10月にご自身の「ikaw(イカウ)」という美容ブランドを立ち上げられましたけれども。そこにもこれまで取り組んできた、例えば表現とか言葉を体現されてたりとかしているんですかね。

白濱:そうですね。「言葉に触れるスキンケア」をテーマにしていて、やはりどうしても自分が言葉を発信しても伝わらなかったりとか、言葉というものを固く感じちゃったりする方もたぶんいると思うんですよ。

でもスキンケアとかお肌って、自分自身のことじゃないですか。私は自分自身の中に言葉が生まれると思っていて、触れることのできるスキンケアなら、もしかしたら使ってくれているその人の中から言葉が生まれてきて、その人自身の日常が変わっていくんじゃないかなと思って。それで、スキンケアブランドを作ろうと思ったんですよね。

ハリー:その実際にブランドを立ち上げて、いろんな方からのリアクションがあったんですよね。

白濱:そうですね。実際にお肌の悩みを打ち明けていただいたりとか。InstagramのDMで「乾癬の症状が出ました」とか、そこで初めて知ったんですよ。やはりそういうフィルターを1つ自分の中で作ったことによって、自分の事実を出しやすくなったのかなという。それぞれの人たちの中でそれが生まれたのかなと思って、きっかけになってくれたらいいなと思っているんですけど。

ハリー:そもそも乾癬がどこまで知られているのか。僕の小学校時代の友だちもそうだったんですけれども、みんな乾癬の患者さん「乾癬は感染するんだろ」みたいな、わかっていない偏見みたいなものを持たれたりして。そういったことが事実ではないということを、ファッションを通してわかるというのはとても貴重だし、逆にちょっと遅い。昔からこういったことができればよかったな、と思ったりとかするんですけれどもね。

白濱:そうですね。きっかけになると思うんです。直接「乾癬ってなんだろう?」と考えたりとか、何かを知るということができなかったとしても、ファッションというツールが1つのきっかけになることによって、乾癬への理解の入り口が絶対生まれてくるかなと思います。

ハリー:身近なファッションを通して乾癬を伝えていくという考え方は、言葉を大切にしているイズミちゃんだからこそ、けっこう共感できるところがあったりするんですかね。

白濱:そうですね。やはり入り口を作るじゃないですけど。私も今、イズミという名前を使っての、何かこうアクションだと思うんですよ。そのアクションが何かというだけで、それによってその人の日常に変わっていくし、その人の明日の選択みたいなものが変わっていくのかなと思います。

いかにファッションを通じて、社会問題を提起できるか

ハリー:ありがとうございます。一方、川崎さんにお話を伺いたいです。服を制作する立場として、スペキュラティヴデザインという手法を用いたファッションデザイナーということなんですけれども。経緯をいろいろと伺ってよろしいですか?

川崎和也氏(以下、川崎):はい。キーワードとして「問題提起」というのがありまして、インクルーシブとかサスティナブルとか。とりわけ僕は、人工知能とかバイオテクノロジーを使った洋服を作っているんですけど。

これまであまりスポットが当たっていなかった問題。今回、先ほどおっしゃっていたようにファッションを通じて乾癬の問題を知ってもらうとか、提起するという意味合いがあると思うんですけど。僕もそういう社会問題を、ファッションを通じてどうやって問題提起できるかということを、活動の1つの軸としてやってきました。

プロフィールにもあったようにH&Mのアワードをもらったのは、今、自分の会社で服を作っているんですけれども。洋服の業界って残念ながら大量の廃棄、ゴミを出してしまっているんですね。洋服を作る時、人間の体にフィットさせる工程があるんですけど、そうすると端切れがどうしても出ちゃうと。

それが年間の布の生産量の、15パーセントとか30パーセントぐらいになってしまうんですね。それをコンピューターを使ってデザインすることで、0パーセントに限りなく近づけていくという試み。それでいろいろなアパレルブランドとかと一緒に、洋服を作るというのをやったりしています。

ハリー:「FACT FASHION」みたいなプロジェクト、ブランドとして未来のファッションのかたちを創っていくことが、今は始まり、いろんなプロジェクトでも行われていますけれども。デジタルテクノロジーとFACT FASHIONがもしコラボレーションする場合、どういったものが例えばイメージできますかね。

川崎:ハリーさんは先ほど、ボタンの裏の話をされました。これって乾癬のみなさんのニーズと、具体的なファッションの機能性をつなげるというところだと思うんですけども。

こういうたくさんの機能性を、WebとかEコマースを通じて服を買う人が選べるようになれば、もしかしたら乾癬の人以外でも、こういうことに困っている人が使ったりすると思うんですね。より乾癬を通じて、困っている人の助かるファッションがどんどん広まっていくと思うんです。

だから、デジタルテクノロジーがこういったたくさんの人のためのファッションを広げるためのツールとして活用できると思うので、カスタマイゼーションをやってほしいなと思いますね。

ファッションは“みんな”のものになる必要がある

ハリー:おもしろいですね。みなさんに聞いていきたいんですけど、ファッションってそもそも今後、どういった変化を作っていくべきなのかなと思って。そのあたりをどう思われるか聞いてみていいですか?

川崎:そうですね。今回、いろいろな方がこの開発に携わっていらっしゃると聞いています。普通、みなさんが想像されるのはファッションデザイナーとかですよね。ただ今回は、乾癬の専門家のみなさんだったり素材の方だったり、あるいは製薬会社の方だったり。いろんな人が洋服を作るところに携わっていると思っていまして、それ、すごく新しい取り組みだなと思っていました。

なので、やはりファッションはファッションの人だけのものではなくて、オープンとかインクルーシブとかいうキーワードありましたけど、みんなのものになっていくというのが、たぶんこれから必要になってくる。だからそういった動きがまさに「CHANGE」ですよね。広がっていくと、どんどんおもしろくなっていくなと思います。

ハリー:すごいですよね。冷静に考えて製薬会社がファッションと携わることって、初めて聞いてビビったというか、マジか! と思って。ゆりやんさんとかどうですか? 初めて聞いてみて。

ゆりやんレトリィバァ氏(以下、ゆりやん):本当に私も「そういうのがあるんだ」と思っていましたし。今、薬でめっちゃ落ち着いているんですけど、私も去年からめちゃくちゃ首が痒くて。どんどん顔にも広がってきて、背中とか腕とかにも出ていて、信じられないくらい痒くて。本当に掻くから、肩とか部屋とかに皮膚がめちゃくちゃ落ちて。

皮もめっちゃめくれるし。今は落ち着いているからあれなんですけど、肩に皮膚が落ちたりするのがめちゃくちゃ嫌で。黒い服が好きなんですけど「黒い服着たら目立つから、白い服にしよう」とか、そういうのを思っているんですね。

なので私はそうかわかりませんけど、実際に患われている方は、我慢しないといけないんだろうなという。そういうのが薬だけじゃなくて、ふだんの生活で楽しめるようにしてもらえてると非常に助かるなと、感謝します。

ハリー:そういうことを踏まえて「FACT FASHION」に対しては「まずはこんなことがあるんだ」というのと、自分にも個人的にもいろんな発見があったということですね。

一般に浸透することで、タブーでなくなる時代が来る

ハリー:ちょっと気になったんですけれども、ゆりやんさんは「痒みがどんどん広がってきて」とお話されていましたけれども。これって、誰かに相談できたりとかするのか、本当はあまり知られていないじゃないですか。

ゆりやん:そうですよね。

ハリー:僕は昔、アトピーとかいろいろあったんですけれども、人に話していいのかわかんないという。それで変な距離みたいなのが友だちの間でできたらどうなるのかなとか。ゆりやんさんは話せたりとかできたんですか?

ゆりやん:診断を完全に受けたわけじゃないのでわからないんですけど、やはり健康で今まで生きてこさせてもらったというところで、自分がこういう病気を持ってしまうということを、認めたくない部分もあるじゃないですか。

だから、最初は「首どうしたん?」と言われたら「え、わかりません」とか誤魔化してたんですけど。でも、知り合いの方に「めっちゃ首痒くて」と言ったら「私もです。私、乾癬なんですよ」と言っている方がおられて「ああ、そうなんや、みんな一緒なんや」と思ったら、ぜんぜんいいやと思いました。

違うかもわからないんですけど、知らないから「大丈夫? それなに?」となると思うんですけど、知っていったら当たり前の、本当に「風邪ひいてる」くらいの感じになるんかなと思います。

ハリー:じゃあ例えば「FACT FASHION」が一般的に浸透すれば浸透するほど、話していいんだよって。普通にSNS上で「こういうことなんだけれども、みんなどう思う?」って、それがタブーみたいに変に思われないような日々が来るというか時代が来るといいですよね。 

ゆりやん:それが言いたかったんです。

ハリー:(笑)。イズミちゃん、どう?

白濱:でも、本当にきっかけになると思いますよ。この環境というかこの場が。やはり知られていない。もちろん私も知識があるわけではなかったんですけど、こういう機会があることによって「あ、私もなんです」って絶対言えるような、いい意味でも軽さがあるというか。

「私もこうだったんだ」って皮膚に対する悩みだったりとか。それは乾癬だけじゃなくて、たぶんそれぞれ悩みって違うと思っていて。でもそれを共有していいし、それを自分で受け入れていいんだという、それが自分自身なんだという、きっかけがあるかないかだけでぜんぜん違うと思います。

「みんなが好きな服を好きなように着られる」ことへの喜び

ハリー:社会がどういうふうに今後変化していくのか、いろいろ見守りながらSNSとかいろんなメディアを通して注目していきたいと思いますが、みなさま、ありがとうございます。そろそろ第1部の終わりが近づいてきました。

ゆりやん:ええ!

ハリー:(笑)。ゆりやん、何か言いたいことある?

ゆりやん:ありません(笑)。

ハリー:(笑)。では最後に新しいファッションのあり方を提示していく「FACT FASHION」に、みなさんから1人ずつ何かメッセージを伝えていただければうれしいです。まずは川崎さんからお願いできますでしょうか。

川崎:やはりこういう問題提起と、あといろんな人が関わるファッションというのが、もっともっと広がっていくといいなと思っています。僕もふだん、科学者とかコンピューターのプラグラミングをする人たちと一緒に洋服を作っているんですけど、それと似たようなことをもしかしたらみなさん体験されて、こういったものができあがったのかなと想像しています。だからファッションというところから、今、話があったように、いろんな問題がわかるきっかけになるということが、どんどん広がっていくといいなと思っています。

ハリー:ありがとうございます。では、白濱さん、お願いします。

白濱:私も肌って心とすごい直接的につながっていると思っていて。肌の変化だったり、肌への自分自身が受け入れる理解だったりとか。肌が変化すると心が変化していくし、それが自分自身になっていくというのがやはりつながっていると私は思っているので。これをきっかけに「自分自身が選ぶ」ということをできる場所になったらいいなと思います。

ハリー:ありがとうございます。ゆりやんさん、お願いできますか?

ゆりやん:はい。なんかファッションって、服って絶対全員着るものなので、着てない時もあるんですけど、私(笑)。

ハリー:(笑)。それも好きですよ。

ゆりやん:すいません(笑)。なので、制限がなくなるというのが本当にありがたいですし、みんなが自分の好きなものを好きな時に好きなように着させてもらえるようになるというのが、本当にうれしいことだなと今日思いました。「モデルとして」そう思うよね、私たち。

白濱:思うよね。

ゆりやん:だよね。

(会場笑)

ゆりやん:モデルとして私たちが筆頭で伝えていきたいと思います。

ハリー:そういったメッセージを伝えていってくださいね。ありがとうございます。

ゆりやん:すいません(笑)。

ハリー:以上で「“FUTUER FASHION”~新しいファッションのトレンド、そして、その先にある未来」、終了とさせていただきます。それではみなさん、どうぞ大きな温かい拍手でお送りください。

(会場拍手)

スペキュラティヴ・デザイナー川崎和也さん。モデル、アーティストの白濱イズミさん、そして、お笑い芸人のゆりやんレトリィバァさん、ありがとうございました。

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