2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
提供:サイボウズ株式会社
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蒲原大輔氏(以下、蒲原):まだまだ聞いていきたいんですけれども、お時間の関係もありますので、次のテーマに移らせていただきます。引き続き、こちらは藤本さんにお伺いしていきます。デジタル化を実現していこうという時に、自治体と民間事業者がうまく協業していくというのはマストかなと思っています。
一方で、失敗するプロジェクトというのも山のようにあると思っていまして。例えば自治体からするとがんばって仕様書を作って入札を実施したのに、いざ納品されてみたらぜんぜん期待と異なるシステムが納品されたとか。
一方で民間から見ると、自治体の要求がどんどん変わっていって、ある種下請けのように使い回されるみたいなことが発生したりします。こういったお互いがWin-Winでないプロジェクトが多数あると思うんですけれども、どうすればWin-Winな関係を構築してプロジェクトを成功させられるのかについてお伺いしていきたいと思います。このあたり、藤本さんはいかがですか?
藤本光太郎氏(以下、藤本):そうですね。Win-Winの関係って結局、お互いが尊重しあっている状態だと思うんですね。これはたぶん、過去の歴史とか構造上の問題なので、そこにいる職員のみなさんや、それに関わっている民間の人の問題ということではないと思うんですけれども。
例えば自治体と民間が契約しようとすると、競争入札というかたちになったりとか、とにかく自治体の方がお仕事を発注して民間はそれを受けさせていただくような構造になることがあります。
自治体からすると「使う」という意識になりがちな方も見受けられることがありますし、民間的にも「ははー!」みたいな感じで、「お仕事を頂戴しました」という感じになっているところがあるので。そういう積み重ねが今のかたちを生んでしまっているのかなと思います。
藤本:自己紹介でも申し上げたんですけれども、僕は直接いろんな市役所の現場に入らせていただいてプロジェクトを進めていく中で、自治体の職員の方に「そんな献身性をどこで身につけたんですか」と聞きたくなるぐらい、本当に「市民の方にいいものを届けたい」って本気で思っていらっしゃる方がたくさんいるので。
それぞれ専任になられた手続きについては、3年という短い周期の中でしっかりプロフェッショナルになっていかれるじゃないですか。そこは、民間目線で見てすごく尊敬をしているところではあるんですけれども。
逆に言うと、今世の中で急速にインターネットの技術が発展していっている中で、その技術に完全に追いつけている自治体職員さんって、なかなかいないと思うんですよね。
でもそういうところは、民間の前線でサービスを作っている僕たちがプロフェッショナルだと思うので、お互いのプロフェッショナル性をしっかり尊重して、大事にしあえるといい関係性になるのかな思っています。
蒲原:ありがとうございます。3つの観点に分けているんですけれども。1つ目の「望ましい関係性」という意味で言うと、藤本さんがおっしゃっていた上から使うという関係性ではなくて、フラットに議論ができるというところですかね。
藤本:そうですね。
蒲原:次の「失敗するパターン」として、何かこうなってしまうとうまくいかないよという、代表的な例があれば1つお伺いしたいんですけれども。いかがですか?
藤本:そうですね。例えば入札をかける前とかに、いろんな事業者さんに参考程度にお話しを伺われる職員さんっていらっしゃるんですけど。その時に「こういうことがしたいんだ」というお話をされて、「あぁ、だったらこういう感じがいいかもしれないですね」ってフランクに話す時があります。
そういうふうに話をする中で、より良いやり方を一緒に考えていくと、やはり良いプロジェクトになりやすいんですけど、それがそういった話をせずに、ただ満たすべき要件として固まってしまっている状態で入札がかかっちゃうと、こっちはもうそれを動かせないんですよね。
「こういう要件でやってください」という話の後ろ側を紐解いていくと、本来職員さんが実現したかった要求事項が出てきます。「私はこれがやりたいです」という欲求が、「こういうやり方をしてください」という要件になった状態で話をされてしまうと、民間側でできることが限られてしまって何もできないということがあって。
先ほどのWin-Winの関係にもつながるんですけれども、要求事項と要件事項という、実現したいことと手段を混同せずに、職員さんはちゃんと「市民に対してこういうことが提供したい」とはっきり出していただければ、それを具体的にどういう手法で実現したらいいのかといった手段は、民間の最新技術を持っている人間が具体的なアイデアを持っていたりすることがあります。
そこがうまく総合的に相乗効果を生み出せると成功するパターンなんですけれども、そこがうまくできないと失敗するパターンに陥るなという感じがします。
蒲原:要求と要件というキーワードがありましたけれども、例えば「セキュリティを担保すること」というのが要求であって、そこにぶら下がってくる要件まで決められてしまうとグラファーさんの強みが生かせないと、そういったことがあるというイメージですかね。
藤本:そうなんです。「サーバーが自社のビルにあること」とか。今時使わないですからね、クラウドサーバーですから。サーバーのセキュリティと言われても、それはAmazonさんに聞いていただかないとみたいな話になっちゃうので。
蒲原:そうですね。やっぱり仕様書というものをどう作っていったらいいかというノウハウを学ぶ機会が、自治体職員さんってなかったりするので。どうしても要求と要件をごっちゃにしてコミュニケーションをしてしまって、民間が持っているスキルを引き出しきれないということがあると思います。これは非常にもったいないと思いますので、ぜひ留意いただければなと思います。
蒲原:最後は「事業者のあるべき姿」です。我々民間側のスタンスとか態度によって、ある種自治体さんを依存体質にしてしまうみたいなこともあると思っているんですけれど。そのあたりで、グラファーさんとしてはフラットな関係を作っていくために意識していることってありますか?
藤本:そうですね。特に意識していることとしては、先ほどの「事業者は使うものなんだ」という認識になっていそうな方だったり、提供するサービスの本質というかその先のちゃんと解決したい課題が見えていなくて、とにかく「なんか上から言われたんでデジタルっぽいサービスを入れようと思ってます」みたいな、ふわっとしていて成果が見込めないようなところは、もうこちらからお断りするようにしています。
一緒にプロジェクトを進めていく中でも、「いや、こういうふうにしてくれって上から言われているので、こういう要件でお願いします」と言われても、「でもその手段じゃなくて、もっとこういう変え方をしたりとかこんなやり方をしたほうが、絶対職員さんも楽になるし市民の方にもいいサービスが提供できると思いますよ」と、言われたことを鵜呑みにせずに最大限の打開策を提供したりしています。
時にはもうこちらから案件をお断りするくらい、ポリシーを大事にしてサービス提供しています。
蒲原:なるほどですね。プロジェクトとして成功するために、お互いに熱量があるんですかとか、そういう点を大事にしているという感じですかね。
藤本:そうですね。
蒲原:はい。ありがとうございます。この会場には民間の事業者の方も多数来ていると思いますので、ぜひ今の話も参考にしていただければと思います。
蒲原:次は藤原さんにお伺いしていくテーマになります。先ほど現場で成功事例を作られたという話があったんですけれども、それをいかに全庁に広げてデジタル化を進めていくかというところは、まだチャレンジしたことがないという自治体さんも多いと思うので、藤原さんのご意見が参考になるかと思います。
昨日のアワードを聞かれた方はご存知かと思うんですけれども、そうではない方向けにシェアさせていただくと、藤原さんの活動の中で、建設事務所で公用車運転日報アプリというものをkintoneで作られてました。
これが業務改善の大賞を受賞したりとか、そういったトピックなんですけれども。それがなんと、神戸市にある他の約30の部署から「使いたいです」と問い合わせがあって、その拡張を今藤原さんが主導してやっていると伺っています。
藤本:すごいですよね。
蒲原:これはまさに、スモールスタートで成功事例を作って全庁展開という理想的な話かなと思うんですけれども、これができた要因ってどんなふうにお考えですか?
藤原慎之輔氏(以下、藤原):まず一つ大きかったのが、優れた業務改善をした事例を表彰するという制度がありまして。そこで去年は72事例ぐらいの応募があって、そこで1位の大賞というかたちで私の取り組みが表彰されました。
さらに優れた取り組みの中で横展開できる事例については、本庁の業務改革課というところが全庁的に呼びかけて、「同じ取り組みを他の部署もやらないですか」という声がけをしてもらうみたいなスキームになっているんです。それが非常に大きかったというところですね。
藤原:建設事務所で「成功しました」となった時に、私も最初は横展開をするつもりでした。私がいたのは西部建設事務所というところですけれども、同じような建設事務所が6つあるんです。まずは「その6事務所に展開しようか」という話になっていた時に、「じゃあ全庁的に展開しようよ」という話がありまして。
それで募集をかけたところ、30の部署から「やりたいです」とお声がけをいただいて、今は本庁と私とでプロジェクトチームを立ち上げて展開するようなかたちになっているんですけれども。
ちょうど今日、職場のパソコンを会場に持ってきていたので立ち上げたら、また手を挙げてきてくれた所属がいくつかありまして。そこもまた展開しないといけないなと思っています。
なので、上が音頭を取って全庁的に広報をしてくれていたのが非常に大きかったというところです。
蒲原:ありがとうございます。今の話は自治体でDXを推進している立場の方とか、あるいは情シスの方にとってすごく参考になると思うんですけれども。現場でいい事例が生まれた時に、やっぱりどうしても縦割りの文化がまだあると思いますので、放っておくとなかなか広まらないと。
そういう時に横に広げていくための仕組みを、情シスさんとか企画部門側で用意してあげるというのは非常に参考になりそうですね。はい。ありがとうございます。
蒲原:今情シスというワードを出したんですけれども、これは私が神戸市の情報化戦略部の砂川(洋輝)さんという方から以前伺った内容で。「kintoneを全庁的に使いましょうって言うとすごく簡単に聞こえるんですけれども、実際にはすごく難しいですよ」ということを、キャズム理論というものになぞらえて説明していただいたことがあります。
すごくわかりやすかったのでご紹介すると、この理論自体は別に自治体特有のものではなくて、マーケティングにおける一般的な理論なんですけれども。これは新しい製品が市場に出てきた時の消費者の反応を表しています。
6つに分けているんですけれども、まずこのマジョリティですね。アーリーマジョリティとかレイトマジョリティの方々、多数派の方々というのは、例えば新しいiPhoneが出ても徹夜でApple Storeには並ばないんですよね。あくまでも先に買った人の反応を見て自分の購買行動を決定するとそういった保守的な反応をする傾向があります。
一方でこのイノベーターとかアーリーアダプターという、全体の約15パーセントの方々というのは、率先して徹夜で並んで買いに行くような方々です。「この理論はkintoneを全庁展開する時にも当てはまるよね」というようなことをおっしゃっていました。
最初まったく意味がわからなかったんですが、「kintoneっていいツールですよ」ってどれだけ情シスの方が言っても、多くの自治体職員の方々もお忙しく仕事をされているので、得体の知れないツールに手を出したくないんです。失敗したくないからですね。
とはいっても、15パーセントぐらいの方はkintoneの良さに気付いてくれて、実際に自分の部署を導入を進めてくださいます。「まずはこういったイノベーター層・アーリーアダプター層の職員と成功事例を作りましょう」「それを庁内広報することによって全庁に広げていきましょう」とおっしゃっていました。
今日お越しいただいている藤原さんはまさに新しいツールを積極採用した人でもあり、それから全庁展開する人でもあるのかなと思っています。
蒲原:こちらは「自治体の壁を越えて学ぶ」ということで。藤原さんもご自身のkintoneを使うきっかけが勉強会だったと伺っているんですけれども、神戸市さんではこういう勉強会の機会が多いんですか?
藤原:そうですね。後ほど紹介させていただくと思うんですけれども、神戸市で今ICTのツールに興味を持った職員を集めたコミュニティを立ち上げてまして。
その中で、「私はkintoneに詳しいですよ」という職員を自主的に集めて勉強会を開いたりしていますので、勉強会自体でそういうICTツールに触れる機会は、一般職員向けにかなり多く用意させていただいているかなと思います。
蒲原:この勉強会、私は実はご一緒させていただいたんですけれども、他自治体の職員も参加しているということで。神戸市だけではなくて近隣の5自治体も参加していたと思うんですけれども。こういった交流というのも積極的にやられていらっしゃるんですか?
藤原:そうですね。特に今回のKobe Tech Leadersで、秋に総会、カンファレンスというのをやるんですけれども。それも大々的に、他の自治体の職員も参加申し込みしていいよと。今年からはWeb開催なので、「Webで来れる人は行政関係者でもぜんぜん、誰でも来ていいよ」みたいなかたちで案内させていただいています。
基本的に社会課題を解決するというのは、1つの自治体だけではなく他の自治体にも当てはまることだと思うんです。それを解決するには、やっぱり自治体間の隔たりをなくして展開していかなければいけないというところで、やらせていただけているかなと。
蒲原:はい。ありがとうございます。今、まさにKobe Tech Leadersというお話がありましたけれども、神戸市さんでは組織に横串をさすという意味で、コミュニティ活動を積極的にやられています。
kintoneに限らず、さまざまなITツールの勉強をされているんですけれども、その中でkintoneのルームに参加していらっしゃる方は100人以上いらっしゃると聞いています。
藤原:はい。今ですと110人ぐらいになっていて、そこで情報共有をチャットルーム内で行っているというようなかたちになっています。
蒲原:いや、すばらしいですね。僕も前職自治体職員として、隣の部署が何をやっているかすら知らないという感じだったんですけれども、そうやってチャットとかを使いながら横で情報連携できるという仕組みは、他の自治体さんでも参考にできそうですね。
蒲原:あっという間に残り5分になってまいりましたので、最後にお二人からそれぞれ1分ずつぐらいで、自治体職員の方々が明日からスタートできるアクションをお伺いしていきたいと思います。じゃあ、まず、藤原さん。お願いできますか。
藤原:自治体職員の方ってやっぱり減点方式だと思われている方が多いんですね。失敗してはいけないと思っている方が非常に多いんです。
みなさんこの場に来ている自治体職員の方が、おそらくこの場でkintoneという単語は聞いたと思います。じゃあkintoneで自治体の課題を解決してみようという気になったのであれば、週明けの月曜からでも、「じゃあkintoneを使って改革をしたいです」というのを行動してみてください。
すると、変わります。これは私の経験上になりますが、自分が行動することによって見える景色も変わってきます。やっぱり最初は、ちょっと怖くても行動してみることが大切だと私は思っています。
蒲原:はい。ありがとうございます。
蒲原:では次に藤本さん、お願いできますか?
藤本:はい。僕たちはどうしても民間なので、外からお手伝いをするしかありません。ぜひお願いしたいのは目標をしっかり定めていただきたいなというところです。目的がない方のふわっとしたご質問だと、どうしてもご提案が的を射ないものになってしまうので。
現状の課題が何で、それはどういうふうに解決していくべきもので、どうしたいのかという道筋というかビジョンを立てていただけると、僕たちはこういうお手伝いができますというご提案が具体的にできるようになります。
とにかく実際に動いてみて、動く中で見えてきた課題をちゃんと言語化して協力要請をしていただけると、こちらとしてもいろいろとご提案できることがあるなと思っています。
ちょっと宣伝も入ってしまうんですけれども、具体的にご提案できる内容として、さっきのデジタルアウトソーシングをkintoneを使ってサイボウズさんと一緒に推進させていただこうと思っています。こういったところもご興味があればぜひお問い合わせいただければと思います。
あと、今日私がお話しさせていただいたような、弊社が自治体の職員のみなさんといろいろプロジェクトを進めていく中で得た知見などを、今後行政のデジタル化を推進するみなさまに広く共有をしていきたいということで。
弊社の代表は元小説家なんですけれど(笑)。その元小説家の石井大地が、今日お話しさせていただいたような内容も含めて本にまとめさせていただきました。これが近々発売になります。これはご質問テーマである「明日からスタートできる」ではないですけれども、これを読んでいただければ何をすればいいかがある程度わかると思います。ぜひよろしくお願いします。
蒲原:発売予定は12月の下旬ということですね。
藤本:そうですね。
蒲原:ぜひみなさん読んでいただければと思います。
蒲原:最後にサイボウズからも、1点お知らせがございます。
こちらは自治体職員さま向けのお知らせになるんですけれども、自治体とkintoneをテーマにしたコミュニティが始動しております。GovTech kintone Communityということで、通称ガブキンなんていうふうに呼んでいます。
自治体職員さまだけが入れるkintone環境の中で、ノウハウの共有等を行っています。具体的にやっていることですが、自治体でkintoneを使われるところが非常に増えてきましたので、まずはお互いにゆるっと顔が見える関係性を作っていったりしています。あとはオンラインで質問や相談をしあったりしています。
自治体の業務って非常に類似性が高いというか、1つの自治体が作ったモデルを他の自治体に横展開しやすいという特徴があります。なので、そういったアプリのテンプレートの共有なんかも始めようと考えております。
実際こちらは今日12時過ぎぐらいに、ある自治体の方からコメントがあったんですけれども。赤線のところですね。「このコミュニティのおかげで本市のDXも確実に進みます」というようなかたちで、何も別にネゴっているわけではないんですけれども。たまたまこのタイミングで、こういったコメントをいただきましたので掲載させていただきました。ぜひご興味ある方はサイボウズの社員に声をかけていただければと思います。
40分間という時間があっという間でして、やたら早口だなと思われた方もいらっしゃると思うんですけれども。今日伝えたいことはすべてお伝えできたのかなと思っております。本日はありがとうございました。
サイボウズ株式会社
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