2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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山岸園子氏(以下、山岸):ちなみに北野さんご自身は、ワンキャリアという会社で経営の担う立場で、変化し続けるために何か意識していることって、おありなんでしょうか?
北野唯我氏(以下、北野):僕は毎日というか、初心というものをものすごく大事にしていまして。これ、参考になるかわからないんですけれども、スタンスという意味で……これは本当に弱い自分との勝負だと思うんですよ。日々そうだと思うんですけど。昨年ぐらいに、とある“天才編集者”という方がいらっしゃると思うんですけど、今ちょっとね。サウナの雑誌を作っているとうわさの天才編集者。
山岸:だいたい想像が……(笑)。
北野:いらっしゃると思うんですけど、僕は普通に仲がいいというか。それがある“なんとか&モチベーション”という会社の元取締役の『THE TEAM 5つの法則』という本を出す時があったんですね。
山岸:私の前職です、そこは。
北野:前職ですよね。そうですよね。だと思うんですけど、そうなった時に、僕はその情報を聞いたんですよ。それで麻野(耕司)さんとも仲がいいので。名前を言っちゃうと、箕輪(厚介)さんとも面識があったんで。
ある時、月曜日の朝から箕輪さんと麻野さんが打ち合わせするって聞いたんですよ。僕はいろんな編集者だとかいろんな出版社の人と組むことによって「編集者の人はこういうことをやるんだな」というのを学ぶということを、すごく大事にしているんですね。だから(本を出す時)出版社をいつも変えるんですけど。
それで僕はその話を聞いた時、すぐに「その打ち合わせ、僕も行っていいですか?」って聞いたんですけど「いいけどなんで?」って逆に聞かれたんですよ。その時、一応、2作ぐらいベストセラーを出していたんですけど「いや、勉強したいからです」って言って。
それで、行ったら2人が打ち合わせしているんですよ。「目次はこうで……」みたいなのをやっている時に、僕はめっちゃスマホでメモを取って。「なるほど、なるほど」みたいな。来たからにはもちろんバリューを出すんで「僕ならこうします」みたいなことを言った時に、普通に箕輪さんが「北野さん、貪欲過ぎでしょ」みたいな。「もういいじゃん」みたいな。
でも僕は、なんかそれって、すごく重要なことだと思っていて。どこからでも学ぶチャンスってあるし、仮に自分が出した実績がすでにあったとしても、それをある意味ゼロにして、もう一回学び直すことはいつでもできると思っているんですよ。
北野:それで、今からめちゃくちゃ意識の高い話をしますよ。NewsPicksってあるじゃないですか。そのNewsPicksが「NewSchool」って、最近やってるじゃないですか。僕、土曜日に受講生として行ったんですよ。特別受講生みたいな。
それは、大友(啓史)監督という映画監督と、佐渡島(庸平)さんという編集者の方がいらっしゃって。ある日、佐渡島さんと連絡してたら「北野さん、これ特別受講生としてどう?」みたいな。ストーリーテリングみたいな話が来たんですよ。
一応、僕は何作かはベストセラーを出しているわけですよ。だから本当は参加するなら、どちらかといえば講師側だと思うんです。でも僕はその時に「(受講生として)学びに行きます」って言って1回目出て。それでこの前の2回目「企画書を出してください」っていうのがあったんですよ。他の受講生の方とまったく同じ条件でペライチで企画書を出して、フィードバックされる……ボコボコにされるということを経験したんですよ。
その時に、周りの受講生の方がすごくびっくりしていて。「え? あれ北野さんや」みたいな感じになってたんですけど。でも、いつも僕がすごく大事にしているのは、やっぱり初心を忘れないというか、もし今、自分が何もない状態だとした時に、学ぶことって本当にないのかって振り返って。それ絶対あるなと思って。
イエスなんであれば、ある意味、プライドを捨てて学びに行くという。修行ですね、人生は。これ、参考にならないかな。
山岸:いや、いや。
北野:でも言いたいことは、僕も一生懸命すごくがんばっていますし、みなさんもがんばろうということです。
山岸:そんなにさらっと「プライドを捨てていくんです」っておっしゃるんですけど、やっぱりそのプライドがなかなか捨てられないっていう方は、私も含めたくさんいるんじゃないかなと思います。
それに対して「どうやったら、プライドを捨てられるんですか?」という質問はもう、さすがにしないでおこうと思います(笑)。
山岸:今の「どこからでも学ぶチャンスはあるんだよね」というお話に対する質問で。「キャリアを積むためにインプットして努力をするのですが、自分の事業に落とし込むのに苦労をしています」という。
「インプットはすごく学ぶチャンスがたくさんあってやるんだけれども、なかなか自分のリアルな実務に紐付けられない」という悩みを抱えていらっしゃるということなんですけど。ここはポイントとか、まさに工夫があったりするんでしょうか。
北野:これ、おいくつぐらいの方かわからないんですけど……。
山岸:これはわからないですね。はい。
北野:わからないですよね。努力じゃなくて工夫のほうが重要なんですけど、もし工夫をしていたとしたら。僕がこの文章を見てすごく思うのは、自分のことを信じたほうがいいよということですね。
今はまだつながっていないだけなんじゃないかなという。これが工夫か努力かちょっとわからないんですけど、工夫をしているんであれば、なんかもうちょっと自分のことを信じてあげて、続けていくということをやったら、どこかでぶつかるんじゃないかなって僕は思うんですよ。
なんでかというと、例えば僕は最初の本とか2作目とか、物語形式の本を出させていただいているんですけど。それって僕は社会人2年目か3年目ぐらいの時に、シナリオスクールに行ってたんですね。週に2回あって、1日はプロの脚本家の人が来て企画書を出してフィードバックしてもらうというので、もう1日は映画監督が来て話を聞くという感じだったんですよ。
当時は最初の会社で働いていたんで、その時間、17時半ぐらいから始まるんですけど、そんな時間に終業できるわけはないので、こっそりサッと抜けてその授業を受けるというのをやっていたんですよ。
夜中の22時ぐらいに家に帰りますよね。そこから30分間、家の近くのマックに行って、原稿を書くみたいなことをやっていたんですよ。それはぶっちゃけ物語を書きたいという気持ちじゃなくって、ただ単に物語とは何か? というのを知りたかったんです。ただそれだけだったんですね。
北野:ビジネスの世界の中では、コンクルージョンファーストってよく言うじゃないですか。
山岸:はい。
北野:言いますよね。僕はずっと思っていたのは「でもコンクルージョンファーストでいって、ダメな時いっぱいあるな」と思ってたんですよ。ありません?
先に結論を言ってぶつかるみたいなのって、いっぱいあるじゃないですか。
山岸:あります。
北野:その逆にあるのが物語だなと思っていたので。だから、物語というのは何で、物語というものはどうやったら作れるのか? というものを知りた過ぎて。ただ、その知的好奇心で行ってたんですよ。
それで1年半ぐらい行って、毎週、企画書を出すみたいなかたちでやっていて。好きだからやっていたんですね。当時、僕は博報堂という会社なんですけど、そこに5日間のフリバカ(フリーバカンス)というのがあって、連休が取れるんですよ。
それでその5日間の休みを取って、みんな海外に行ったりとか遊んでたりしたんですけど、僕はその5日間を取って、ただひたすら脚本を書くみたいなのをやっていたんですよ。引きこもってバーッとやるという、そういうことをしていたんですね。
それはただ好きだからやっていたんですけど。でも1作目の本を出す時に、これ、他でも言ったことがあるんですけど、最初はビジネス書形式で出したんですよ。普通のビジネス書形式で。でも、それを出して僕が見直した時に、これあんまりおもしろくないなと思って。編集者の人に「すみません。10万文字くらい書いたんですけどおもしろくないんで、1回、物語形式で書き直させてくれませんか」と聞いて。
そうしたら編集者が「いいですけど、北野さん物語かけるんですか?」と。「たぶん書けると思います」と言ったんです。
それで全部消して書き直して、7万文字か8万文字を書き直して出したら、編集者が「めっちゃおもしろいじゃないですか」と。「まじっすか、じゃあこれでいきましょう」という話をして。それで『転職の思考法』という本が出て、一応20万部売れたという感じなんですよ。
それで、このご質問をいただいた方がおいくつぐらいなのかわからないんですけど、でもそれはやっぱり自分のことを信じてあげるべきだと僕は思っていて。
もしも“人生の何者か”になりたいのであれば、人生のどこかで自分自身が孤独になるのを許してあげる時間が必要だと思っていて。やっぱりキャリアって、鎖国と開国を繰り返して発展していくものだと思っているんですね。
今の日本のもうちょっと広い話をするのであれば、日本で文化的な資産と言われるものってあるじゃないですか。海外の人が日本に来た時に訪れるものって、だいたい鎖国の時代にできているんですよね。
山岸:はい。
北野:開国の時代にできているものって、同じようなビルばっかりなんですね。それはキャリアも一緒なので。もしもこの人がそれと同じように毎日淡々と繰り返していて、努力じゃなくて工夫をやられているのであれば、自分のことをもうちょっと信じてあげてほしいなとすごく思いますね。
だからそのまま突き進んでいったら、どこかでぶつかる可能性があるんじゃないかという気がしますね。
山岸:後半のほうにおっしゃった「孤独になる時間を許す」というの、どういう意味なのでしょうか。
北野:これはそのままなんですけど……コンビニエンスストアってあるじゃないですか。コンビニエンスストアって、人間の何をニーズとして満たしているかというと、寂しさだと思うんですよ、実は。
コロナによって、コンビニエンスストアの売り上げがけっこう上がったと言われていると思いますし、夜中帰る時にふらっと光があるところに寄ってしまいますよね。
山岸:はい。
北野:だから、寂しさに対して人間ってやっぱり弱いし、それに対して逃げてしまうじゃないですか。僕もそうだし。でも、特に自分はがんばっていて、努力を積んでいて成果がまだ出ていない時とかって、本当に自分はこのままでいいのかな? とか、なんか自分を疑ってしまうときってあると思うんですよ。
でもやっぱり、コンビニに行くのとかテレビ見るのとかって、誰も禁止していないじゃないですか。
やっぱりそれって、人生の主である自分というものが、ある意味で今は孤独になるということを許してあげる許可みたいなのが、僕はいるなと思っているんですよ。現代においては特にね。だからそういうイメージですね。なんか、すみません。コンセプチュアルな話になっちゃったかもしれないですけど。
山岸:いやいや、北野さんって自分の中の、まさに軸とか価値観がおありで。ある種、とても成功……という言い方も変かもしれませんが、されている一方で、まだまだご自身のすごく弱いところとかをちゃんと認識して、それを隠さないのが逆の強さなのかなと思いました。
北野:うれしいですね。
山岸:ありがとうございます。せっかくなのでQ&A、かなり「いいね!」がついているものが2つあるので、これは聞きたいなと思います。「やっていることではなく、やらないことは決めていますか?」
北野:やらないこと。そうですね。やらないことはむっちゃ決めてると思いますね。自分が信じられないものとかはやらないですし、後悔するなと思うことはできるだけやらないように決めていますけどね。あと企業案件とかもそうですよね。やらないこととかはけっこうたくさん決めていますね。
山岸:ちなみに「Twitterでエゴサをよくしますか」という質問も来ているんですけど、ありますか?
北野:めっちゃしますよ。
山岸:めっちゃするんですか!?
北野:ツイートしていただいたら、すぐ「いいね!」を押しますよ。
山岸:なるほど。本当しょうもない質問なんですけど、Amazonのレビューとかを見て落ち込むことはあるんですか?
北野:あります。昔は落ち込んでました。
山岸:本当ですか?
北野:でも今は慣れました。
山岸:慣れたんですね。なるほど。
北野:もう、慣れました。だいたい。
山岸:まさに傷つくことに耐えるということは、それに近しいのかなと。
北野:そうですね。いや、でもさっき山岸さんが言っていただいたのはすごくうれしいですね。僕は別に自分がすごい完璧な人間だとは、1ミクロンもやっぱり思っていなくて。なんかすごく愚かだなと思いますし。なんか弱いなとも思います。そういう意味で、むしろそういう人でありたいなと思いますね。
ビジネス系のメディアに出てる人とかインフルエンサーといわれる人とかって、どちらかというとやっぱり、強い人が多いじゃないですか。
山岸:はい、はい(笑)。そうです。
北野:でも僕はやっぱり、自分の出自が社会起業家というのもあるので、できれば資本市場の中でもちろん勝ち抜いていきたいと思っているし、絶対勝っていきたいと思っているんですけど。でも、世の中の資本市場の中で生きていけない人とか、生きづらいと感じている人がいるということは忘れずにいきたいなというのは、もう21才ぐらいの時に誓っているので。だからさっきのお話とか、すごくうれしいなと思いますね。
山岸:そういうのがおありだから、まさに弱さが垣間見られる物語が出てくるんですよね。私は上納アンナ(注:『天才を殺す凡人』『分断を生むエジソン』の登場人物)が好きでした。
北野:ありがとうございます。うれしい。
山岸:はい。ごめんなさい。司会の半谷さん、お戻しします。
司会者:ありがとうございます。では終わりのお時間も近づいてきましたので、最後に北野さまから参加者のみなさまへ向けて、メッセージを届けていただき終了したいと思います。
北野:はい。1つ、話してもいいですか? 私、いろいろ偉そうに言っていたんですが、今も本当に現在進行形で会社の役員をやっていて、自分もまだまだ未熟だなと思いますし、自分が何か世の中に対して成果を出せているとはまったく思っていないんですね。
なので、どちらかといえばみなさんと一緒に、これからの時代をよくしていけたらなと思っていますし、作っていく仲間だなと思っているので。僕もみなさんから学ぶ機会がたくさんあると思います。
今日はその中でも、何か1個でもいいので、持って帰っていただくものがあればうれしいなと思ってお話させていただきました、というのが1つです。貴重なお時間、ありがとうございます。
山岸:北野さん、本日は本当にお忙しい中、すばらしい1時間、お時間を頂戴しましてありがとうございました。ありがとうございました。
北野:ありがとうございます。失礼します。
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