17番目のメソッドは「沈黙は金なり」

松尾茂起氏(以下、松尾):最後のまとめに入ります。

最後のメソッドはこのあと言います。とりあえず、ここでは17の演出メソッドのうち、16個を振り返っていきます。

今日は企画で意識するべきこと8つと、文章を作る際に意識するべきこと8つを、駆け足でお話ししました。

ぜひ16個のメソッドを意識しながら、いろいろコンテンツを磨いていただくと素敵なことになると思います。

そして最後の17番目のメソッドを語って、私のセッションを終わりにします。17番目のメソッドは『沈黙のWebマーケティング』でボーン・片桐が言っていたことと同じです。「沈黙は金なり」というか、沈黙を守るほうがいいですよと。

今日はベラベラしゃべっていますが、物事の裏側を表で語りすぎると、デメリットとは言わないですけれども、何かよくないことがあるかもしれないので。こういう話はあんまりしないほうがいいと思います(笑)。

私はマーケティングをしているのでこういう話をしますけれども、コンテンツを読んでくださる方々は、ネタばらしされると感動が冷めてしまうかもしれない。今回は『沈黙のWebライティング』『沈黙のWebマーケティング』の読者さんが、マーケティングやライティングに興味があるので話をしました。

沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—〈SEOのためのライティング教本〉

これが関係ないクリエイティブだった場合、その裏側を表で語りすぎると、それはそれで誰かが残念に思うかもしれないと考えておくのも重要だと思います。

とはいえ、私やウェブライダーは「すべての人をヒーローに」という理念があるので、語ることで誰かの役に立ちたいと思っています。今後もいろんな場所でセミナーを開催していくと思いますが、今日はかなり深い話をしたと思っていて、物語の話は初めてしました。

ちゃんと意識して行動していると、人生の処世術みたいなかたちでいろんな方に興味を持ってもらえるし、人脈も変わってくるくらいすごいノウハウだったりするんです。だから本当にいろいろ語りたいんですけれども、あんまり語りすぎると打算的な人に見えるので。

ウェブライダーが立ち上げる、2つの事業

松尾:「松尾はそんなこと考えて俺に近づいてきたのか。ムキー!」みたいに思われたら嫌じゃないですか。だからあんまりこういうことは語るべきではないと言いつつ、でもやっぱり語らなきゃいけない人もいるということで。今後はシークレットな場を設けようと思っていて、そこで文脈や背景を共有できる、信頼できる人たちを集めて語ろうと思ってます。

「いよいよ松尾はオンラインサロンを始めるのか」「今日のセミナーはオンラインサロンの集客のためか!」と思われるかもしれないですけど、安心してください。オンラインサロンではないです。(スライドを指して)ですけど、こんなことします。コミュニティです。

電車ですね。これはウェブライダートレインです。実は弊社では今度、ウェブライダートレインという企画を始めます。これはウェブライダースタッフが乗っている電車で、途中乗車も途中下車もOKなのでみなさんも乗りませんか。

「私たちの打ち合わせを覗いてみませんか?」「社内でディスカッションしてる風景を見てみませんか?」「松尾が時々記事が書けなくてウンウン唸っている姿を見てみませんか?」みたいなものを、価値に変えたいと思っています。

お恥ずかしながらウェブライダーという会社はめちゃめちゃ思考する一方で、アウトプット量がすごく少ないんです。考えてるだけなんです。たまに1日考えているだけで終わったなみたいな(笑)。そういうことがすごく多くて、それはそれですごくいい文化だと思っているんですけれども。

そうなると、自分たちだけの中でその考えが置き去りになってしまうので、せっかくだったらみんなに見てもらったほうが社会貢献になるかもしれないと。あわよくばビジネスになるかもしれないと考えたのが、このウェブライダートレインです。

オンラインサロンと違うのは、私たちは電車を意識していて、どんどん日々進化していく、変化していく中でいろんな風景を見ている。だから私たちが教えるというよりも「私たちと一緒にいろんな風景を見ませんか?」というのを強く打ち出したかったので、こういう企画にしました。

こういった事業を始めるのと同時に、Webブランディング事業も今始めています。Webブランディングと聞くとフワッとしていると思うかもしれません。

ウェブライダーの考えるWebブランディングはものすごく先鋭的なものというか、マーケティングにおいて重要なものです。(スライドを指して)今日は詳しく話せませんが、よかったらスライドを見ておいてください。

今、数社さんのWebブランディングのお手伝いをさせていただいていて、すごくおもしろいお仕事をご一緒させていただいております。

こういった「持続的成約率の向上につながる一貫性づくり」みたいなことをやっているんですけれども(笑)。これ難しい言葉なので、よかったらスライドを見て「こういうことをやってるのか」みたいに思っておいてください。

そういったかたちでウェブライダーもボーン・片桐に負けないように、今後インデックスを加速させていきますので、ぜひぜひお付き合いください。私のセッションは以上とさせていただきます。ありがとうございました。

『沈黙』シリーズ“影の立役者”登場

赤木遥奈氏(以下、赤木):かなり濃密な1時間20分だったかと思います。TwitterやYouTubeでもコメントたくさんいただいておりまして、ありがとうございます。

松尾:ありがとうございます。次のセッションがあれですね。あの方が……。

赤木:いよいよ、あの方が登場しますね。制作の秘話をたくさん話していただけると聞いています。ぜひ楽しみにしていてください。

松尾:さてここからは緊急対談ということで。『沈黙』シリーズの承認のために社内で駆け回ってくださった、伝説の承認者。KDDIウェブコミュニケーションズの吉田崇さんにお越しいただきました。

(会場拍手)

吉田崇氏(以下、吉田):こんにちは。

松尾:改めまして、吉田さん本日はよろしくお願いします。

吉田:よろしくお願いします。

松尾:今日は『沈黙』シリーズの裏側ということで、さっきはノウハウをお話したんですけれども。そもそもCPIさんのサイトでよく公開できたな、という見方をされている方も多いと思うんですよね。

キャラクターも尖ってますし、上半身も裸に近いですし(笑)。ああいったコンテンツが公開に至った中で、どういったご苦労があったのかいろいろお話を聞きたいです。まず私と吉田さんとの出会いについてご説明をお願いします。

吉田:松尾さんとの出会いですか? 松尾さんはセミナーなどに出られていたので、僕はもともと知っていました。今回のプロジェクトに関しては、高畑(哲平氏)という副社長がおりまして、松尾さんと一緒に登壇したセミナーの中で、集客のお手伝いを相談したのがきっかけです。

松尾:高畑副社長と一緒にセミナーした時に印象深かったのが、レンタルサーバーの会社で、それ以外にもジンドゥー(Jimdo)とかいろいろやられているんですけれども、すごくマーケティングの本質の話をずっとされていらっしゃって。そこでいくつかお話する機会を持たせてもらって、そこからどうなってCPIさんのお仕事につながったのか覚えてないんですけれども。

お話いただいた時には、個人的にすごくやりやすそうだなと。言い方悪いですけど、打算的なマーケティングをかけてらっしゃる会社さんにとっては、うちは回りくどいことをやったりもするので、稟議とか通りにくいと思うことが多いんです。ですが、CPIさんは逆に「どういったことを期待されているのか」みたいなところがわりと緊張感としてありまして。

吉田:CPIだけじゃなく、Jimdoやほかの事業部もそうですけれど、お客さんがサービスを使ったその先の成功の手助けをしたいというポリシーがあります。CPIに関してもただのサーバーの箱を貸すのではなくて、そのサーバーを使ってビジネスを成功させてほしいと。

じゃあ「使う人たちには何が必要なのか?」と言ったら、やっぱりマーケティングのノウハウだったり、知識はあったほうがいい。コンテンツとしても、そういうものを提供していきたい思いはありました。

「サーバーの魅力を伝える」コンテンツなのに……

松尾:ぶっちゃけたところ『沈黙』シリーズを読んでいただいた方はわかると思いますが、サーバーの訴求がぜんぜん出てこないんですよ(笑)。『沈黙のWebマーケティング』でいくと、第8話にいかないとサーバーの話は出てこない。

僕が言うのもなんなんですけど、わりととんでもない構成で。CPIさんのサーバーの魅力を伝えるというお仕事があって、そこで私が作りたいかたちでやらせてもらいましたけど、8話までサーバーの話はほとんど出てこないわけじゃないですか。あれってどう思われました?

吉田:ちょっと話が先走っちゃうかもしれないですけど、潜在層向けと顕在層向けのコンテンツを同時に展開したらというご提案をいただいていて。『沈黙』シリーズはどちらかというと潜在層向けのコンテンツだったので、そこまで「サーバーどうですか?」って言っても読む人もつまらなくなるので。そんなに露出しなくてもいいとは思っていました。

ただ、あまりにも少ないから僕自身も若干不安に思っていたところはあります(笑)。あとは、僕の力不足もあるんですけど、社内で施策の裏側を理解してない社員からの「なんでぜんぜん宣伝入ってないの?」という声は、正直いくつかありましたね。

松尾:実は『沈黙のWeb』シリーズとは別に『知らないと損をするサーバーの話』というコンテンツを作らせていただいていて、そっちは503エラーやSSLといったワードで今も上位表示していて、そこからCPIさんのことを知った方も多いと思うんですけども。

『沈黙』シリーズはそういったすぐの接点ではなく、長く長く関係性を持ったうえで「こういうサーバーもありますよ」ってかたちを知っていただきたいというのがあったんです。

僕があの構成にした理由が1つあって。いきなり「サーバーありますよ」「こういうサーバーどうですか!」とコンテンツの中で言うと、それはそれで品がよくないというか。僕がお客さんの立場でも「なんや、このコンテンツ」となるので、後ろに持っていこうと思っていたんです。

あと、やっぱりCPIサーバーさんは、僕も借りているからわかるんですけど、レンタルサーバーっぽいようでマーケティングツールっぽく見えるというか。あのサーバーの雰囲気というか印象をうまく伝えるにはけっこう時間がかかるなと(笑)。

ちゃんとサーバーの必要性を理解してもらった方じゃないと、お値段もしっかりするので。でもお値段にもきちんと理由があって。使っていていろいろサポートを受けさせてもらうと、すごく丁寧にやってくださるので「これがたぶん重要なんだな」と思った時に、そこをどのタイミングで伝えようかと考えたら、結局第8回になってました(笑)。

良さがわかりにくいからこそ、おもしろさを感じた

吉田:コンテンツを作ってアクセスが集中して503が出ちゃうと、そこにかけた体力だったりマーケティング機会も失われてしまうので、そういう意味ではCPIのサーバー構成がちょっと特殊で、メールサーバーとWebサーバーとコンパネが全部分離している。

例えばスパムメールがいっぱい来てWebの表示が遅くなったとか、そういう影響が起きにくい設計になっているところは、もしかするとマーケティングを意識している部分にもつながってくるのかなと。

要はそういう構成なので、自動バックアップツールもSmartReleaseというオリジナルで、自動的に毎日バックアップを取ってくれる。もし何かサイトが攻撃されたり、改ざんされた時もボタン1つでその時の状態に戻せる。そういうお客さんのマーケティングを支援したい部分は、サーバーの中でも現れている気がします。

松尾:確かに。構成などを詳しく教えてもらうと、かなりしっかりというか、中の仕組みがすごくおもしろいですよね。

吉田:無理やり詰め込もうと思えば詰め込めるんですけど、それが果たしてお客さんのためなのか。そこと価格はどうしても連動する部分ではありますが、安心して安定したサーバーを使ってもらいたい気持ちはすごく強いです。

松尾:一般的に共用サーバーは、1台の中にいろんなお客さんをたくさん格納することによって単価も落とせるし、それだけたくさんのお客さんに使っていただける。一方で、そうするとスペックをみんなに分配することになってしまう。

1つのサーバーに入っているお客さんは少ないけれども、その分スペックを高くして安定感を出すっていう。どちらかというと、そっちがCPIさんですよね。

吉田:そうですね。手前味噌であれですけど、会社のそういうスタンスが僕も好きだったりはしますね。

松尾:なるほど。

吉田:専用サーバーの問い合わせも「そのケースであれば、AWSを使ったほうがいいですよ」ってお客さんに普通におすすめするとか。そういうところも好きですね。

松尾:ちなみに『沈黙』の裏側でいうと、CPIさんの話を僕はどうしてもしたくて。なぜかというと『沈黙のWebマーケティング』をなぜCPIサーバーの中で展開したのかを説明したかったんです。そこを説明する機会がなかなかなくて。なんかもう完全にエバンジェリストみたいになってますけど(笑)。

正直良さがわかりにくいと思うんですよ。だからコンテンツでその良さを伝えるのに、逆におもしろさを感じたというか。ちょっと言い方が悪いですけど。

安いサーバーが悪いわけじゃないですけども、安くてわかりやすいサーバーだったら別に『沈黙のWebマーケティング』を作らなくても、マーケティングが重要とか書かなくてもわかる。「あ、安いんだな」と。

ですけど、CPIさんはすごく不思議なサーバーさんで、すごく魅力的というか機能もすごく良くてスペックもいい。でも、そこが伝わっていないという相談を受けていたので、それをコンテンツとかけ合わせた時にどういう訴求があるのかを考えて『沈黙』が生まれたというのがあります。

さっきの私のセッションでいうところの「適度な負荷をかける」じゃないですけど、CPIさんのサーバー訴求のお話をいただいた時に、うちもどうアプローチをすればいいのかをわりと考えたんですよね。

安易に「サーバーはこれがいいですよ!」っていうのもぜんぜん違うだろうし。結局、サーバーを訴求するのではなく、ビジネスを成功するための1つのツールとして「サーバーもちゃんと選びましょうよ」と言ったほうがいいと思って、そうさせていただきました。

吉田:ありがとうございます。