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クックパッドマート #1 クックパッドマートのマーケ責任者が語る、事業成長とマーケティング戦略(全3記事)

送料無料で生鮮食品が受け取れる、クックパッドマート 着目したのは「物を売る」よりも「買い物の課題解決」

スーパーマーケットにおける生鮮食品の市場規模は10兆円ほどと言われる、非常に大きなものです。そこでクックパッドは新たな挑戦として、2018年から「クックパッドマート」を新規事業として立ち上げました。今回のイベント「クックパッドマートのマーケ責任者が語る、事業成長とマーケティング戦略」では、クックパッド株式会社 買物コミュニケーションデザイン部 部長の松本尚哉氏が、事業成長に応じてどのようにマーケティング戦略を考え、そして実行してきたのかをお話します。

「毎日の料理を楽しみにする」クックパッドのミッション

富田竜介氏(以下、富田):今回は「クックパッドマートの事業成長とマーケティング戦略」についてお話していければと思っています。よろしくお願いいたします。

では最初に松本さんから、簡単にプロフィールをいただければと思います。

松本尚哉氏(以下、松本):クックパッドマートでグロースサービスのマーケティングを担当しています、松本と申します。クックパッドには去年の7月に入社しまして、それ以来こちらを担当しております。

クックパッドの前は、はてなという会社で「はてなブログ」の事業責任者をしばらくやらせていただき、その前はミクシィでSNSの開発をやっておりました。その前は、ケイブというゲーム会社ですね。当時、ガラケー向けのコンテンツをたくさんやっていまして、いろんな情報サイトやゲームも作っていました。そういったところからキャリアをスタートして、今に至ります。次は、富田くんの自己紹介ですね。

富田:はい。私自身は今年の6月に入社したばかりです。サイバーエージェントの子会社・マイクロアドというネット専業の広告代理店からキャリアをスタートして、広告代理店のアカウントプランナーとして約2年くらい働きました。

そのあとに、MEJという化粧品会社とLEAN BODYというフィットネスの会社、リクシィというブライダル会社で働いて、クックパッドに入ってからはオンライン広告などを全体的にやっております。

本日は私がモデレーターで、松本にいろいろお話をいただこうと思っています。

松本:私からクックパッドマートのサービス紹介や会社の中での位置付けなどをお話させていただきます。(スライドを指して)こちらの「毎日の料理を楽しみにする」は、クックパッドのコーポレートミッションとして掲げているものです。

レシピの会社として20年以上サービスを提供し続けている企業ですけれども、料理を楽しみにするところを目指して、会社一丸となっていろんな事業を展開しております。

「レシピの会社」から「料理の会社」に

松本:その中で、クックパッドマートがどういう位置付けかをお話します。

先月にあった決算発表の資料から一部抜粋させてもらった内容です。1つ目が「これまで」と「これから」のところ。レシピサービスを20年以上提供している中で、生活の課題解決のところで便利なサービスとして認知されていると思います。

実際にクックパッドの中でも時短や節約などの便利系レシピが人気ですが、我々が今目指しているのは、もう一歩進んで「楽しみになる」ようなサービスです。料理をより楽しめる世界を作っていきたい、レシピの会社から料理の会社にというところです。

これまでレシピ中心にいろんな事業を展開してきましたが、料理は別にレシピだけで作るものではなくて。食材そのものが楽しいとか、作っている生産者の方たちへのリスペクトだったりとか。あるいは食品に関わる流通も含めて、さまざまな課題を解決していきたいと思ってサービスを展開しております。

特に2番目のところは、クックパッドマートの認識としてわかりやすい部分かと思っております。

「物を売る」よりも「買い物の課題解決」に注目

松本:(スライド指して)こちらがクックパッドマートのミッションとして掲げているものです。先ほどのコーポレートミッションと非常に合致する部分かと思います。

もともと我々クックパッドマートのサービスは、生鮮食品のコマースサービスとして認識されていると思いますが、発想自体は「物を売る」よりも「買い物の課題解決」に注目するところから、今のサービスに至っています。

「『おいしい』の笑顔が集まる場所をつくる」と書いてありますけれども「毎日の料理を楽しみにする」といった中で生鮮食品を扱う。販売から流通までを押さえたプラットフォームを作り、展開しております。

クックパッドマートを支える、各地に設置された冷蔵庫

松本:クックパッドマートの大きな特徴の1つが、こちらの冷蔵庫です。今使っている冷蔵庫でたぶん5代目になるんですけれども、定期的に冷蔵庫自体もアップデートしていて、今のものは今年2月ぐらいから導入しているタイプです。

こういった冷蔵庫を地域のドラッグストアやコンビニエンスストア、あるいはマンションや駅のコーナーに設置する。アプリで注文した商品をその冷蔵庫にお届けして、近くのマートステーション冷蔵庫から、商品をピックアップしていただくというモデルでサービスを提供しております。 

例えば、この瞬間にスマホで食材を注文すると、明日の夕方5時には商品が指定したマートステーションに届いて、ピックアップできるかたちになります。すべての商品が対応しているわけではないですが、商品によっては最長で当日の朝8時まで注文でき、その日の夕方に届きます。

現在ステーションをどんどん増やしており、来週オープンするステーションも入れると180ヶ所(2020年9月18日時点。2020年11月20日現在は、約270ヶ所に増加)。コンビニやドラッグストア、駅、コインランドリー、飲食店、カラオケ、オフィス、マンションなどさまざまな場所に展開しており、さらに加速して数を増やしていきたいと思っております。

「サービスは便利だから使いたいけど、マートステーションが近くになくて使えない」という方もまだ多いかと思いますが、どんどん増やしていきますので、ぜひご利用いただきたいです。

富田:実は最近、マンションなどではアプリ内から設置のリクエストが送れるようになっています。100戸以上限定ではありますが、そういった方はぜひリクエストを送っていただければと思います。

松本:「ステーションが遠いから使いづらい」という声もあるんですけど、マンションだと自宅の冷蔵庫に商品が届くようなかたちになるので、実際にご利用いただいている方々からはご好評をいただいています。

クックパッドマートのマーケティングの特徴

富田:ではクックパッドマートの、マーケティングの特徴についてお話いただければと思います。

松本:やはり冷蔵庫が一番の特徴で、このマートステーションを軸にしたサービスになります。マーケティングに関してはステーションの立地に制約を受ける部分があり、そこが展開する上でもポイントになるため、マートステーションの周辺の方たちに、どうリーチしていくかが非常に重要になります。

先ほど挙げたように、コンビニやドラッグストアの店内、駅の構内など、いろんな業種の場所でステーションを設置させていただいています。ステーションの数がこれからどんどん増えていく中で、ロケーションや業態に応じた手法をモデル化して、さまざまなケースに対応していきたいと思っています。

例えば、コンビニのように比較的商圏の狭いステーションでは、店頭での販促であったり、店舗を基軸としたオフラインの施策のウエイトを高めて展開しています。駅のように利用者の移動範囲が比較的広いステーションの場合は、施策の範囲エリアを広げています。

あるいは、先ほどの冷蔵庫でのピックアップと並行して、自宅に配送できるオプションも提供していて、自宅配送が使えるステーションエリアもあります。その場合は、さらにレンジを広げてオンライン広告の比重を高めたり、業種やロケーション、ユーザー行動に応じた適切な手法を見極めてアレンジを加えて展開しています。

ステーションがこれから数百、数千と増えていく段階で、場所に応じたアレンジができるように、ある程度、手法をパターン化して成果が上げられるように、現在ある180のステーションに対して、いろいろな検証をしていく。あるいは、効率化やオペレーティブなスキームを作っていくことに注力しているところです。

重要となる「エリアのセグメントをどう取るか?」

松本:またマーケティングだけではなく、クックパッドマートの事業全体でもエリアのセグメントをどう取っていくかが非常に重要なポイントだと思っています。

(スライドを指して)今スライドに出ているのが、Uberさんが使っている「H3」と呼ばれる仕組みです。非常によくできていて、左側の図がすごくわかりやすいです。

球体である地球の地表を等分に区画して管理するために、六角形のセグメントで管理していく手法です。

解像度の違う六角形のエリアを組み合わせることによって、エリアを管理できるモデルで、我々もこれを活用して事業展開の管理などに使わせてもらっています。

例えば、ステーションをどういった場所に置くのか、どのエリアにどのような密度で置くのか。あるいは、生産者・販売者の開拓や流通の戦略でそれぞれのレイヤーに応じた解像度のセグメントを設定して、それを連動させながら全体の事業戦略を立てています。

マーケティングに関しては、このH3のグリッドをあまり本格的に活用していませんが、エリアマーケティングに関してもこの六角形の範囲の中でどういった戦略を生み出していくのか、その周辺でどういった施策を展開していくのかを考えています。

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