自身の体で巣を形成するグンタイアリの生態

ローズ・ベアドントウォーク氏:グンタイアリは恐るべきどう猛さを持っていますが、同時に魅力的な生き物でもあります。何よりも有名なのは、好戦的な奇襲による狩りかもしれません。これは、グンタイアリという名前のそもそもの由来でもあります。

時には、100メートル以上の隊列を組み、エサを求めてジャングルの中を進軍し、手ごろな獲物を見つけ次第、むさぼり喰らいます。カニ、トカゲ、タランチュラ、ヘビなど、自身より何倍も大きな生き物を襲う姿がよく目撃されています。文字通り、数に物をいわせて相手を圧倒するのです。

しかし、この超肉食系の食生活にも弱点があります。一帯のめぼしい食料をすぐに食い尽くしてしまうのです。そのため、グンタイアリは移動を余儀なくされます。

これは、丁寧に堀った地下の巣や塚で生息する通常のアリには難しいことです。グンタイアリは、ちょっと変わったタイプの巣を作ります。なんと、生きたアリでできた携帯用の巣を作るのです。

このような構造体は「ビバーグ」と呼ばれ、グンタイアリは新しい場所に着くとすぐにビバーグを形成します。移動の最中であれば毎晩設営しますし、特定の場所に数週間留まることもあるのです。

ハタラキアリたちは連なり合って、足先のフックのような爪をひっかけ合ってチェーンやネットを形成すると、反射的に動かなくなります。このようなネットはだんだん大きくなり、やがて袋やカーテン、円筒状の巣を形成します。種によっては、何百、何千、何万というハタラキアリが、直径1メートル以上もある巣を作るのです。

個々の協調性は人間の集団形成の鍵になるのかもしれない

これは単なるアリのボールではなく、まさに建造物です。通路やギャラリー、女王とその子らの部屋などがあります。壁も手が込んでいます。より大きくて強く、頑健なハタラキアリが、夜間は外壁を作り、朝には崩れて進撃を開始します。

ビバーグは、女王アリが進軍の合間に卵を生む部屋など、通常の巣の利点もすべて備えています。ビバーグでは、幼生の成長を助けることもできます。アリは、体温で巣を温めたり、巣の形を変えて通気孔を開閉して、内部の温度を一定に保ち、外気よりも数度高い温度を維持することができます。

グンタイアリのライフスタイルは、どのような適応を経て進化してきたかについては、まだ研究の途上です。ただ、わかっているのは、グンタイアリは、ジャングルの生態系における重要な一員であるということです。彼らは、エコロジストが言うところの「キーストーン種」(注:生態系において比較的少ない生物量でありながらも、生態系へ大きな影響を与える生物種を指す生態学用語)であり、他の何百もの生物種がなんらかの形で彼らに依存して生きているのです。

そのため、科学者たちはグンタイアリに大きな興味を示しています。また、個々のハタラキアリがどのように協調して、巨大で複雑な構造物を構成しているのかを理解しようとしています。これがわかってくれば、集団の動きなどの理解が進むかもしれません。