2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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小池克典氏(以下、小池):とはいえ、それら(教育や医療)がオンライン上で誰でもアクセスできるようになれば、もっと広がっていくんだろうなと感じています。Zホールディングスの川邊さんの中で、教育や医療に関してはどういったお考えがありますか?
川邊健太郎氏(以下、川邊):教育と医療に行政も加えると、私からしたら、公共3部門揃い踏みという感じなんですよね。こうした部門は、これまで対面に過度にこだわっていたと思うんですよね。僕はもちろん、対面の良さはあると思っています。
だけど、対面以外のオンラインという選択肢を増やさないと、まずこういうコロナのような事態ではまったく機能しなくなりますし。平常時でも選択可能になっていたほうが、ユーザー体験としては豊かに決まっているわけですから。
ですから、対面に過度にこだわっていたところは、これを契機にオンラインというもう1つの選択肢を増やすことは、ぜひともやっていただきたいですね。それによって住民のWell-beingも増えれば、経済的にも付加価値が増すんじゃないかなと思っています。
小池:ありがとうございます。その課題感は、たぶんずっと前からあったものだと思うんですけれど、今回のコロナによって変われる千載一遇のチャンスなんじゃないかな、と個人的には非常にワクワクしているんですけれども。井上さんはどう見ていますか?
井上高志氏(以下、井上):いやぁ、もうね。コロナの初診でオンラインが解禁されたので、これを一時的な解禁じゃなくて恒久的にしなきゃいけない。我々が後戻りさせないようにがんばらなきゃいけないなと強く思ってますね。
小池:ぜひリーダーシップを持っているみなさんで一緒に作っていくことが一番に重要なのかなと思っております。いくつか質問をいただいておりますので、私からお2人に投げかけさせていただきたいと思います。
まず大学生の方からご質問をいただいています。日本や世界をよりよく変えていきたいという熱い思いを持った学生さんですけれども、「変えるために最も行ったほうがいい行動習慣は何でしょうか?」という質問です。
みなさまが動かれている中で、どんな行動習慣をするのがいいですか? 1つ学生さんにアドバイスをいただけるとしたら、どんな言葉になるでしょうか? 川邊さんお願いしてよろしいでしょうか。
川邊:この質問の方も、スポーツリーグで(日本を)世界一にして、世界をより変えていきたいと思っているということですけど。それを本気で信じて、小さな一歩でもいいから行動し続けるような生活習慣が重要だと思いますね。
前澤さんからZOZOを買わせていただいたんですけれども、最初のきっかけになった会話がありました。前澤さんから「ヤフーのEコマースをどうしようとしているんですか?」と質問された時に、「Amazonを抜く気でいます」と。「そのためのさまざまなことをやっています」と言ったら、非常にめずらしく感心されて。
「え! 日本でまだAmazonを本気で抜こうと思っている会社があったんですね!」と言われて。我々からすると、孫さんも含めて当たり前にそれを目指していたつもりだったんですけど。外からすると「もうそんなことを目指している会社はない」と思われていたんだなって。
結果、それを粋に感じていただけて。「Amazon超えいいじゃないですか。いっちょZOZOも加担させてもらいます」という感じで買収ということになっていったので。信じて、本当に小さな一歩でもいいから始めておく。そういうことを当たり前にしていくことが大事だと思いますね。
小池:ありがとうございます。井上さんいかがでしょうか?
井上:まずスタート時点が、川邊さんも僕も、いろいろなスタートアップや新規事業の提案を聞く機会が多いんですけれど。ビジネスモデルとか、こうするとこのくらい儲かりまっせという話よりは、その根幹にある「なんでそもそもそれをやるの?」という経営の哲学とか理念、大義名分が大事ですよね。
日本や世界を変えたいというのであれば「なぜ変えたいのか、どういう状態にしたいのか」という理念、哲学、大義名分が相当しっかりあることが大事だと思うんですよね。その信念は、たぶん借り物ではできないので。
情熱や理念は借り物では無理だから、本を読んで「あ、これいいと思うから俺もパクろう」ということでは、10年20年30年も続かないわけですよね。スタートとしては、それを自分なりにオリジナリティを持って作ることが大事かなと思います。
あとはそれを周りに有言実行していくことですかね。日本人だと不言実行のほうが美徳のような文化もありますけれども、周りに「僕は〇〇までにこういう状態にするんだ!」ということを熱く語っていくことによって、応援してくれる人たちが増えてきたり、自分自身にもずっと意識させる効果があります。
そういう意味では哲学や理念をきちっと定めて、あとは周りに、大言壮語だって言われても、孫さんみたいにまったく気にしないで有言実行し続ける。これが大事なんじゃないかなと思います。
小池:ありがとうございます。ご質問の2つ目もぜひ答えていただきたいと思います。2つありますね。1つは「1年後の働き方について、お2人はどんな予測をされていますか?」2つ目は「コミュニケーションを解消するために何かやっていることはありますか?」。川邊さん、お願いしてよろしいでしょうか?
川邊:1年後はコロナも若干改善をしていることを期待しつつ、LivingAnywhere WORK的な働き方をしている会社と、元に戻す会社に二分しているでしょうね。先ほど言った通り、最後にどう決するかは社長などではなくて、おそらくは採用で変わっていくんじゃないかなと思っています。
自分の波長に合う会社に勤めたいという人たちが主体的に選択していくことになりますので、どちらがどういいかというのは、労働市場によってだんだん証明されていくかなと思っています。2点目は何でしたっけ?
小池:「コミュニケーション不足を解消するために行っている独自の施策があれば教えてください」という質問です。
川邊:仕事におけるコミュニケーションを考えた時に、私は少なくとも経営者なので、経営サイドが考えていることを社員にちゃんと理解してもらって、全体で支離滅裂なことにならないようにすることが1つだと思います。ほかにもいろいろな要素がコミュニケーションにはありますから、今はその中の1つだけを話しているつもりですけれども。
それに関して自分が気を付けたため、オンラインになってから、情報の発信量を意図的に増やしています。ビデオにはなってしまっていますけれども、メッセージを増やすとか。あるいは今日も、この対談の前に社員向けのメルマガを書いてたんですけれども、そういったところでもかなり意識的にメッセージの量を増やしてます。そこは1つ、相当気を付けていることですね。
小池:コロナによって特に意識しているということですよね?
川邊:そうです。
小池:ありがとうございます。井上さんは、1年後の働き方の変化という部分で、どんな予測をされていますか?
井上:だいたい川邊さんが言ってくれた通りかなと思います。たぶんWithコロナでもう変わらないよと、ニューノーマルが当たり前のノーマルになるんだと突き進んで行く企業集団と元に戻そうと圧力をかけるところに分かれるだろう。これはその通りだと思います。
いろいろなイノベーションや文化の変化は、戦争や大きな震災やコロナのような大きな社会的インパクトがあった時に起きるので、やっぱり「Withコロナで前に進もう、進化しよう」としている会社が今後伸びるでしょうね。
激動の時から出てきたベンチャーやスタートアップが次の主流になっていくんじゃないかなと思います。インターネット革命があったからヤフーが大きな会社になったのも、その1つだと思います。10年とか15年くらいすると、働き方そのものが根底から変わるので、そういった方向を見据えてみなさんの働き方やどこで誰と働くかを考えていくといいかなと思います。
2点目、コミュニケーション不足を解消することについて、日立のAI研究者の矢野和男さんがおっしゃっているのは、5分とか3分とか1分の短い発言をすること。参加している会議体であれば、同じように均等に発言をして、短い発言の頻度を高くする。
つまり、1時間2時間の会議をやるよりは、朝15分やって、昼に15分やって、夕方に15分やる。みんなが2分ずつパーッとしゃべるほうが、コミュニケーションとしては非常に親和性が担保できます。チーム力が維持できますという話があります。
うちの社内でも、新しく中途入社した人たちには、朝と晩は毎日必ず、直属の上司が1on1をしています。そういう「細かく・たくさん・短く」というコミュニケーションをやっています。
それでも人間は、リアルで対面している時には、オンラインだと伝わらない信号でミリセカンド単位、0.何秒とか0.0何秒で言葉にならないコミュニケーションを受け取っているわけですよね。
それをやるには、Zoomなどでやっている時にも大きくうなずいてリアクションすることがすごく大事です。そうすると「あ、伝わってるな」という相手への信号になるから、(ノンバーバルコミュニケーションを)より大きくやるいうことが大事だと思います。
あとは今、世界中からVR系とかAR系といった、いろいろなソリューションがあります。もっと目の前にいるように会議ができないかということで、いろいろなツールを探していますけれども。アメリカのある不動産会社で、エージェントが2万人くらいが登録している会社って、本社がなくて3DのVRの本社しかないんですよね。
川邊:すごい!
井上:みんな毎日そこに出社するんですよ。世界ではそういったものも出てきているから、研究しながら進化していきたいなと思います。
小池:ありがとうございます。本当にミラーワールドの世界が実現されていくんだなという感覚なんですけど、非常にワクワクするなと思います。盛り上がっている中、大変残念なんですけれども時間になってしまいました。
最後にお2人から、激動の変化の中で個人ベースに訴えるメッセージを一言いただければなと思っています。川邊さんからお願いしてよろしいでしょうか?
川邊:繰り返しますが、Zホールディングスは、「人類は、『自由自在』になれる。」という姿を想像しながら、そのために必要なサービスを情報技術を用いて開発、提供している会社です。
これからもそれに向けてさまざまなことをやっていきますし、実はコロナのような人類的な危機にも貢献できるということが、この数ヶ月でよくわかりました。
平常時の人の幸せのためにも貢献しつつ、災害大国と言われている国ですから、災害にも貢献できるようなサービスの開発をこれからもやっていきたいと思います。
それはLivingAnywhere WORKというコンセプトと合致する考え方なので、井上さんや小池さんたちが一生懸命取り組まれているこの活動に賛同を表明していきたいなと思っております。今日はみなさん、ありがとうございました。
小池:ありがとうございます。最後の締めを井上さんにお願いしてよろしいでしょうか?
井上:我々も社名の通り、あらゆるLIFEをFULLにするということで、77億人の毎日の生活というLIFEと、あとは一人ひとりの人生という意味のLIFE、これを両方とも満足で満たしていきたいと考えています。僕らが事業をやる時も、LivingAnywhere Commonsもそうですけれども、どうしたらみんながWell-beingになるのかということを突き詰めていこうとしています。
実は今夜、僕は登壇のダブルヘッダーで、このあと21時から今度はハフィントンポストのライブでまたちょっと似たような話をするんですけれども。そちらでは、これから出てくる100の社会課題を解決するにはというテーマでお話しますので、宣伝です(笑)。それで締めます。よろしくお願いします。
小池:ありがとうございます。今回はお忙しい中、貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。川邊さん、井上さん、改めてありがとうございました。本当はリアルだと拍手というかたちですが、私だけの拍手で失礼させていただきます。
井上:川邊さん、ありがとうございました。
川邊:いえ、とんでもないです。引き続きみなさん一緒に取り組んでいきましょう。
井上:はい、よろしくお願いします。
小池:ありがとうございます。ではこちらで失礼します。ありがとうございます。
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