習慣化で深まる、価値観の共有

斉藤知明氏:(チャットを読み上げながら)「行動指針や価値観の共有のためのワークショップは、どれくらいの頻度で行われていますか?」という問いについて。「リーダーのチームとしての目的や方向性に、メンバー自身が向かうベクトルをそろえることが風土として醸造するのは、なかなか難しいなと日々感じています」。

これはけっこう明確で、例えばチームに新卒が入ってきたら、そのチームの既存メンバーと新しく入ってきたメンバーを混ぜてワークショップをするといった習慣にしています。

これって一度言語化をして、Uniposで日々触れる習慣というものができれば「薄れてきたからもう1回やる。1年に1回全員でやる」という性質のものではない、と私は考えていまして。一度、自分の中で再解釈をする習慣を作ってあげる。

新しいメンバーと既存のメンバーって、互いの価値観について知らない状態だと思うんですよね。その自分の価値観を、企業の価値観でアップデートする必要があるとは、正直思っていないです。ただ、すり合わせる必要があると思っています。

だからこそ、この「企業の価値観」である行動指針をベースに、5人ぐらいでディスカッションする。そうすることによって「なるほど、この人は企業の価値観を自分の価値観と合わせて、こういうふうに捉えているんだ」という、相互理解の場にすることができる。

だからこそ「軽く飲みに行こう」とか「軽くゲームをしよう」みたいなアイスブレイクもあったりしますけれども。その後にこの行動指針、価値観の共有のためのワークショップというものを、直近は行うようにしていますね。

若手ができる最強の「自分で取りにいく権限委譲」

(チャットを読み上げながら)「企業の価値観のすり合わせのために、メンバーの相互理解(が役に立つ)」。なにか軸とする価値観。企業の価値観であれば、目的の共有にもつながるので。ちょうどいいなと思ってやらせていただいてますね。

「感謝の言葉も受け取り方次第」。本当にその通りで、僕も受け取り方はとても気をつけるようにしていますね。ありがとうございます。

新しい質問のチャットをいただいています。「若手に願うことの部分を、少し補足してもらえますか?」。(スライドを指して)任せたい人の具体例のところの話ですかね。私は新卒研修の時にこのページだけで、メンバーと20分ぐらいディスカッションしているんですよね。

任せたい人の具体例で、実はこの2行目のところ。さっきは触れなかったんですけれども「議事録を取って、場をマネジメントする」。これは若手ができる最強の「自分で取りにいく権限委譲」だなと思っていまして。

私は今、Uniposカンパニーの代表をやっているんですけど、Fringe81という会社だと執行役員で、経営会議だと1番下っ端なんですよね。なので、Fringe81の経営会議では、今でもディスカッションに参加しながら議事録を取り続けているんですけれども。

会議との向き合い方で、自分が例えば若手である場所・最も情報量が少ない状態で「積極的に発言をする」にフォーカスしてしまうと、自分の観点からチームに対して意見を言うということに、どうしても閉じてしまうんですよね。

でも議事録って、自分を包括したチーム全体での意思決定について、前提から議論されて。「前提」「論点」「各位の意見」「決定事項」「残議論」という、5つの項目に議事録は分かれると考えているんですけれども。このチームごとの意思決定のすべてのストリームを追うことができるのが、会議だと思っていまして。

その会議の場所を、ファシリテーターの次に理解できる人って、議事録を取っている人だと思うんですよ。なんならファシリテーターが見逃してしまっている論点も、議事録を取ることによって残せると思うんです。

一言一句取るのではなくて、さっきの5つの項目に類しないものは取らないし、類するものでアップデートがあったら、(元々)ある文字を書き換えるというやり方をしていました。1時間の会議でWord1枚ぐらいに収まるとベストだと思います。それ以上の議事録は冗長になってしまうので、そのぐらいの分量で場をマネジメントして。

私どもでやっているのは、せっかくオンラインミーティングなので、Wordを画面共有で映しながらディスカッションする。ないしは、事前のアジェンダに書き加えながらディスカッションすると、若手・新米にも全部の会議の場を揃えらることができて、理解できる。自分のことだけではなくて、チーム全体の意思決定の背景を知ることができるんですね。

この話をして、新卒のみんなを同じチームに3人ぐらい配属すると「じゃあ私、明日から議事録取ります」ってみんな言ってくれる。すごい素直でいい新卒だなと思うんですけど。3人で取り合いをしていたりするのを見ると、うれしいなと思いますね。

なので若手に願うこととしては、説明する責任もそうですが「任せたい人ってどういう人なんだろうな? それってどういう行動で今から動かすことができるだろう?」ということをぜひ考えてみてほしいなと、メンバーに伝えています。

「現場社員が互いに感謝し合うこと」の意義

(チャットを読み上げながら)「褒めるプロセスを評価するなどの重要性は理解できているのですが、これは誰がやっても効果があるのでしょうか? やはりチームリーダーや経営陣に褒められるのと、入ったばかりの新入社員に感謝されるのでは、違うような気がしてしまいます」。

まったく同じ効果があるかと言われると、違うと思います。自分にミッションを与えたリーダーから、そのミッションについて直接感謝をされることや、チームのことについて感謝をされることと、現場の人同士で感謝をし合うというのは性質が異なるものだと思います。

一方ですが、この現場同士のコミュニケーションをしていることをリーダーが知って、それに上乗せすることができるんですよね。なのでUniposで狙いたい効果としては、メンバーから周りのメンバーに対して「感謝をする・感謝をされること」が、まずうれしい。それはたぶん、普通だと思います。

でも互いの感謝を、ちゃんとリーダーが見ることによって、そのリーダーが状況・行動を把握して「これはよかった、なぜならこうだったから」「ここは悪かった、なぜならこうだったから」というのを、ちゃんと……よかったのほうでフィードバックをする、というサイクルを生み出していけるのかな? と思いまして。

現場のみなさんにも、ぜひお互い感謝をしあうというサイクルを作っていってほしいなと思っていますし。

私自身もマネジメントをしているメンバーのミーティングや、月1回の面談があるんですけれども。その面談に臨む時には「この人って、今月Uniposでどんなことをもらっているのかな」というのをチラッと見てから臨むようにしていると、話しやすかったりしますね。

自律的組織の重要性を“入り口”でどう伝えるか?

「持っている情報量が少ない若手が議事録を取ることで、(ベテランが)全員わかっている前提で話してしまっていることや専門用語などが明らかになるのが、いいですね」。

これもいいですね。「みんながわかっている前提で話してしまってついていけない時に、若手はやっぱり発言しづらいです」と。「これがわからないです」と手を挙げて、いちいち会議を止めるとダメかなと思って発言しづらいというのが続くと、どんどん置いてけぼりになってしまう。だからこそ、自分から議事録を取ることで、わかっている前提で話してしまっていることを勝手に補足してくれる場所を作ることができる、というのはありますね。

「目的共有や行動指針の話をしたいのですが、とても難しいです」。これはメンバーにとって、ということですかね。うーん、これはそうですね。すべての意思決定に「なぜならば」を伝えるように気をつけるということと。そのマインドセットをぜひ持ってほしいということを伝える、というのを一番やっていますかね。

「自律的な組織を作ることの重要性を、入り口でどう説明できるか難しいです。全員でなくとも、社員のうち多数が自律的組織を目指す・遵守するにはどうしたらいいんでしょうか」。

うーん、2つアプローチがあるなと思っていまして。ああ、そうですね。「ワークショップに価値を感じない人をどのようにマインドセットするかは課題です」ということですよね。この「自律的な組織を作ることの重要性を、入り口でどう説明できるか」は難しいです。

これは本当に難しいんですけど。2つ、私がしつこくやっているアプローチとして。まず1つめは、新しく入っているメンバーに「うちの会社では、こういうことがイケてるしかっこいいよ!」を伝える。特に最近はメンバーが増えてきたので、気をつけています。

この「任せたい人の具体例」とかで「こういう行動がイケているしかっこいいよ」と伝える。これは、全体に対して1回メールでポンと配信しても、たぶん伝わらないんですよ。

7~8人向けに細切れに伝えて、その場所で本人たちから「この意見・議論を通して、どう感じたか?」をアウトプット・要約返しをしてもらって、どう伝わっているのか(を確認する)。それに対して補足をするというインタラクティブを、1時間半くらい×7人みたいなかたちでセッションをして伝えると。

というように、新しく入ってくるメンバーに対しては「どういう価値観が重要視されるかを伝える」という場を設定しています。これがその1。

その2としては、今回みなさんにお話しさせていただいた「なんでこの世の中で必要になるんですか?」というのを、(スライドを指して)この辺かな? 「テレワーク組織でこれから深刻化する組織面」だったりですとか「テレワークで効率は下がったんだけどみんな満足しちゃっている」とか「管理から信頼へ、どうやったら移っていくのか」。

この辺りを実践しながら、他律型組織ワークをして。「自律的でない組織で起きる課題って、こういうものがあるよね」と。実は今回スライドを飛ばしちゃったんですけど、それぞれ一つひとつにこういう例があるんじゃないでしょうか、というのを書かせていただいたりするんですけど。この話は、特に経営陣とかリーダーに対しては「権限委譲というのはこういうもんだ」と。

だからこそ「そういう権限委譲をしていく組織にしたいし、あなたに対してはここを任せるよ」というコミュニケーションを、月1回の面談で繰り返していたりしますね。

すべての会議は自分のためと思え

若手に対するマインドのところでTIPSになるんですけど。(スライドを指して)ここですね。任せたい人の具体例のところだと、これは結局、共通して自分が参加している会議とか、自分が参加しているウェビナーとかであってもいいと思うんですけど。

みんなが集まっている場所で、会社ごととして運営がされている、ないし自分が参加しているワークショップについて。僕自身が若手の時にいただいた言葉で、すごく印象に残っているんですけれども。「すべての会議は、自分のためにあると思え」と言われたんですよ。

「どんな会議であっても、どんなウェビナーであっても、どんなグループであっても、どんなチャットであっても。自分が理解していない=この会議はクソだと思え」と言われまして。

それで「そのぶん徹底的に問うてやろう。理解しているかどうかを伝えてやろう」という意識を持ち始めたなと、振り返ってみると思っておりまして。

これが研修の後のスライドに、実は入っていたりします。こういう言葉って、けっこう残るんですよね。僕ももらったのは5年前とかかな? この言葉を聞いてずっと残っているんですけど。「すべての会議は自分のためと思え」と。これを頭で意識することで、行動が変わったりする。

この一つひとつの大事な言葉だったりマインドセットを(社員が)入った時に即座に伝えるというのは、我々も習慣的にできているかと言われると、チャレンジしている最中ではあるんですけれども。これはすごく重要だなと思っています。

「働かないおじさん問題」について

(チャットを読み上げながら)「働かないおじさん問題はどう考えていらっしゃいますか?」。うーん、これはジョブ型雇用とかの話題でも、けっこう問題に挙がってくる項目かなとは思うんですけれども。

この人たちの本質的な課題がどこかと言われると、結局、役割の定義だと思うんですよね。そのミッションをその人に対して落とす時に「あなたに対して落としているミッションはこれだから、それを果たさないと価値がない。だからこそ減給もあれば昇給もある」というのを、ちゃんとミッションベース、ないし成果・行動を基にジャッジできる、という評価制度と組み合わせていかない限りにおいては、根本的には解決しないだろうなと思っています。

どうしても頭の中で「サボっていても昇給できるから」という意識が残ってしまう限りにおいては、この問題はなかなか根本的に解消することが難しいのかなというのが、私の意見ですね。

ただ仮に「こういう組織作りをしていきたい」みたいなところをまだ伝えられていなかったりだとか、ディスカッションできていない相手なんだとしたら、こういうディスカッションを一緒にしてみるのは、1つあるかもしれないですね。

みなさんからのQ&A・チャットをいただけることで、1人でも意外とお話できるものだなと思いました。お付き合いいただいてありがとうございました。そろそろ時間になりましたので、終了したいと思っております。

本日は、少し定性的な内容から具体に落としていく、というような進め方をさせていただきました。根本的な思想のところとかも、ディスカッションできて楽しかったなと思っております。ぜひみなさんも継続的なご参加、よろしくお願いします。

ではみなさん、ありがとうございました。本日のUniposウェビナー、こちらで以上、終了とさせていただければと思います。失礼します。