2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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斉藤知明氏:みなさん、おはようございます。Uniposカンパニー社長の斉藤です。
ふだんはこのUniposウェビナー、ゲストの方をお招きして開催を重ねてきておりまして。5月の頭ぐらいから、このコロナ禍によって働き方がシフトした今「どのように乗り越えていこうかな?」というテーマで、ゲストをお招きしながら深掘りさせていただいていますが、本日は私1人で、ウェビナーを運営させていただきたいと思っています。
もう4ヶ月ほど開催をさせていただいていますが、その間にどういうことを議論してきたのかを、私のほうでも総括いたしましたし、振り返りました。また、実はこのUniposというものは、Fringe81という企業のサービスであるんですけれども。
このFringe81の組織をもっとよくしていきたいなという思いから、私のほうでこのセミナーを開催させていただいた、ないしこのUniposを作ってきたという流れがございますので。ぜひそこのUniposについて、お話をしていきたいなと思っています。
では今回「変化に強い自律型組織のつくり方3Step」というテーマで私から、お話をさせていただければなと思っています。
自己紹介から入らせていただきます。私、Uniposカンパニー代表の斉藤と申します。もともと東京大学でAIの研究をしておりました。その傍ら、友人と一緒に株式会社mikanというスタートアップを創業いたしまして。当時はCTO、エンジニア側のトップとして組織運営、アプリ開発に従事をしていました。
その後、Fringe81株式会社に入社いたしまして。社内でイントレプレナー、社内創業というかたちでUniposの事業創業を行い、今ではUniposカンパニーの代表と、Fringe81のほうの執行役員に就任させていただいています。
このUniposは日本で主に展開していますが、ドイツでも展開しております。グローバルなチーム観点を持ちながら、上場企業の経営もしています。
また当時、スタートアップで3人の組織作りから始めたという観点をもろもろ含めて、どういう組織作りをしていこうかなというのを考えていましたので。ぜひみなさんと、それらも踏まえて対話をさせていただければなと思っています。
Uniposは“「はたらく」と「人」を大切にできる世界に”というビジョンを掲げて、ずっとこのサービスを提供させていただいています。
変化に強い自律型組織。お話をしていると、この「自律」という言葉はなかなか厳しく冷たい言葉に感じられることもあるかな、と思っているんですけれども。
我々の根本の思いとしては、互いが互いを信頼しあっている、大切にしあっている。そういう世界を作っていきたいなと思って、このUniposというプロダクトを運営させていただいていますし、このウェビナーも開催させていただいています。
この「大切にできる」というのは、なにも「甘やかしあう」とか「甘えあう」とか「頼りあう」だけではなくって。「お互い結果に対してコミットしている仲間だよね」という信頼をべースに、互いを大切にできる、ないがしろにしない。そんな世界を作っていきたいなと考えております。
このUniposですが、実際には従業員同士がお互いの挑戦や行動に対して感謝を送りあう。そんなWebサービスを提供しております。
リリースから先々月で3年がたち、累計の導入企業は410社を超え、大手の企業のみなさまから、中小企業ないしベンチャー企業のみなさままで幅広く、Uniposをご活用いただいております。
また、昨年・一昨年とたくさんの賞を受賞させていただきまして。先進的な取り組みとして国内を代表する、さまざまなみなさまからも評価をいただけていて、本当にうれしいなと思っている中なんですけれども。
今日はUniposの話をずっとしても、あまりおもしろくないなと思っていまして。そもそも、なんでこういう働き方をしていきたいと思っているのか? 自律的な組織ってどういうふうに作られるのか?
これは我々のような数百人前半の企業から、今、導入企業の規模で言うと、もう数十万人、十数万人という企業のみなさままで支援させていただいている中で。
組織、会社もそうですし、チームもそうですし。部・課、いろいろあると思うんですけれども。その組織の中で、どうやって自律的な組織……個々人が意思決定をして変化に対応し成長して、成長し続けられる組織を作っていくのかについて。どういった思いを持っているのか、どう考えているのかについて、ぜひお話ししたいなと思っています。
自律的な組織というのは一人ひとりが同じ目的(パーパス)に向かっているし、個々人が意思決定をしている。じゃあそのような組織になるには、どうすればいいのか。今日は私1人でお話しさせていただきますが、途中ワークを挟みながら、ぜひみなさまからもチャットやQ&Aでご意見を頂戴できますとうれしいです。
では本日の目次です。まず「自律的な組織って、なぜ今必要とされているのか?」。実際に自律的でないとどんな課題が起きているのかについて、みなさんと認識をそろえていきたいなと思います。「自律的な組織は、この3つのプロセスで構築していくことができるのではないだろうか?」と考え、具体的なプロセスや実際に取っている行動の例をご紹介します。
定性的・抽象的な話だけにとどまっても、なかなか想像しづらいところがあると思いますので。具体的にUnipos内や、他社さまの例を基に、どうやったらその自律的な組織というものを作っていけるのかについてお話ししていきたいというのが、2つめのパートです。
3つめのパートは「それを支援するUnipos」ということをお話ししたうえで、最後Q&Aのコーナーはみなさんからのクエスチョンをどんどん深掘っていきたいなと思っています。
ではさっそく本題です。この「自律的でない組織で起こる課題」というのは、どういうものがあるでしょう?
まずこちら「テレワーク組織で、これから深刻化すると思う課題って何でしょうか?」というアンケートを、2020年4月に管理職のみなさん・一般社員のみなさんに取らせていただいたものです。
このアンケートを取らせていただいたところ、1番「コミュニケーションの取りづらさ」、2番「社内連携のしづらさ」、3番「モチベーションの管理・維持」という項目を、管理者・一般社員のみなさんからいただきました。
どちらも共通して、こちらのコミュニケーションに関する課題。なかなか言葉を交わしづらいオンラインになって、ウェビナーといった「目的を設定した会議」はできるけれど「ちょっと声をかけていい?」とか「ちょっとここを相談したいんだけど」ということが、なかなかしづらくなったというのは、みなさん言われていることなのかなと。
実際、テレワークでどういう人たちの生産性が低下しましたか? という「あなたたちは自宅での勤務で効率って上がってますか?」という左側の問いに関して「上がった」と答えた人は3分の1。「下がった」と答えた人は24.8と41.4を足して、だいたい3分の2です。
一方で、右側のグラフになるんですけれども「自宅での勤務に満足していますか?」という問いに関しては、3分の2のみなさんは「満足している」と答えているんですよね。これはけっこうマネジメント側からすると難しいな、と思っていまして。
「効率が下がった。でも満足はしている」。かつ世論的にも「おそらくこれ(テレワーク)は長く続くだろう、共存していかないといけないだろう、新しい働き方が必要になるだろう、ニューノーマルだろう」と言われている中で、効率は下がっているんだけれども、この働き方が続いていく。
じゃあどうすればその効率というものをさらに上げていく、ないし、他の角度から生産性を上げていくことができるのかという点は、非常に悩ましいポイントだなと思っています。
ただこんな時に「じゃあ効率が下がっているから、管理をしよう」「みなさんの行動を把握しよう」「どういうことをしてくれているか把握しよう」。ここに力を注ぎ続けると、今度はまた管理のコストが上がってそれにも工数がかかって。効率がどんどん下がっていくというサイクル・悪循環に入りかねない状態だなと考えており、我々はこんなタイミングだからこそ、今までもそうだったんですけれども、今まで以上に「管理型の組織から信頼型」。信頼を基にした自律的な組織作りを目指す必要があるのではないか? と考えています。
この後、じゃあ自律的じゃない組織って具体的にどんな課題が起きるんでしょうか? という話も、ぜひみなさんと共有していきたいなと思っています。
「他律型組織づくりワーク」と題しているんですが、これは他律がいいと言っているわけではありません。他律という言葉は「自分が自分を律するのではなく、なにをしたらいいかを相手に求める組織」を、あえて「他律」と表現をしているんですけれども。
自律性がなくなる組織って、むしろどういう行動をすると作ることができるでしょう? という、逆転のワークをすることによって「ふだん、こういうことしちゃってないかな? こういうことが社内で起こっていないかな?」というのを、ぜひ想像しながら、どうやって解消していこうかというのをみなさんと考えていきたいと思っております。
チャット欄にて、ぜひみなさんから意見をいただきたいなと思っております。「あえて組織・メンバーの自律性を奪うとしたら、何をしますか?」
例としては「背景の説明なく指示出しする」だったりですとか「結果だけ伝える」「話しかけられても目を合わせない」。けっこうピーキーですね。「提案に『言われたことだけやってればいいから』と言う」など。
(チャットを読み上げながら)「一切の決定権を与えない」「指示以外の行動を制限する」。うーん。これ、難しいですね。「マイクロマネジメント」。これは、一つひとつの行動の意思決定をマネージャーがしてしまうと、本人が意思決定をする習慣を奪ってしまうということにつながるかもしれないです。
「徹底したトップダウン構造」。あー、そうですね。やっぱり「言われたことだけやればいいから」と伝えるというのは、本当に伝えられた側としても、考えることを放棄したくなっちゃいますよね。うん。
「企画を実行する寸前で『俺は聞いていない!』と経営層がつぶやく」(笑)。いやぁ、これ言われるともう全部ひっくり返ったなとか思っちゃいますもんね。
一方で、この「報告・連絡・相談の徹底」。これは難しいですね。自律的だからこそ必要なのか。これを徹底させるからこそ、それ以外のことを制限されると感じるのか。
「手法まで口を出す」「提案を受け付けない」。あぁー「『任せるよ』と言っておきながら、出したものにダメ出しする」。これは本日お話したいなと思っているテーマに、非常に近いなと思っていまして。
ここはぜひ、みなさんからもご意見をいただきたいですし、私の意見に対して、みなさんの回答もいただきたいなと思っているところですね。「一切の称賛をしない」「手取り足取り教えてしまう」。うん、うん。
「ダメ出しはするが称賛はしない」「プラスアルファの行動を感謝せず『なんでこれやったの』と聞く」「サポートしすぎる」いろいろ出てきましたね。ありがとうございます。
まさに一般的にいいと思われていることの中でも、もしかすると自律性を奪ってしまう行動がないだろうか? 無自覚的にやっている行動の中でも、自律性を奪っている行動ってないだろうか? みなさんのコメントを見ながら「じゃあ自分の組織だとどうだろうな?」というのを私自身も振り返りつつ、今後のお話を進めていきたいなと思っております。ありがとうございます。
いやぁ、いっぱいありますね。「提案しても上司の成果になる」とか。すごく悲しい気持ちになりますね。
では「自律的でない組織で起きる課題とは何か?」というところに、移っていくんですけれども。先ほどもありました。「すべて手取り足取り教えてしまう」「WhyではなくHow。かたちだけ教えてしまう」。
「これをやっていればいいから」となった結果、よく起こるのは営業の現場で「なんであなたたちの商品って、こういう思想・仕組みになっているんですか?」と(クライアントに聞かれた)いう時に「仕様ですから」(としか答えられない)であったりですとか。
「これを決めたのは○○さんだから」と、もしかしたら外部にも話してしまうことがあるかもしれない。
またチームのメンバーから「なんでこれって、うちのチームでやることになったんですか?」って聞かれても、リーダーは「いや、これ経営が決めたことだから」という発言をしてしまうかもしれない。
これってリーダーの一人ひとりが自分の言葉に変えられていないということだけではなくって。経営としても、もしかすると「これをやっていればいいから」「これは決められたことだから」と、背景を伝えずに伝えてしまうことによって、どんどん自分の持っていない情報の範囲内で意思決定が行われていて。「私ではこれを覆すことができないんだ」というバイアスがかかっていき、他人事になってしまう。
これは、自律的でない組織で起こってしまう課題、その1かなと。自律的でない組織で起きる課題その2は、またこれは先ほどの「他人事になってしまう」という観点とは少し違うんですけれども。「多様な意思決定が求められるのに、意思決定がリーダーにしかできなくなってしまう」。
チームを率いている人しかできなくなってしまい、結果として速度が落ちてしまう。メンバーから「次に何か新しい課題があったら、こういう大変なことがあるんだけど。どうすればいいですか?」という問いばかりが挙がってきて、意思決定はリーダーしかできなくなってしまう。
一方で、現場の中でこういう意思決定の範囲まで求められている。ないしは(意思決定)した結果、ちゃんと結果につながるという体験が蓄積されていれば、多様な意思決定について個々人で実行していくことができるし、変化をしていくことができるのではないでしょうか。
また3番「分散して意思決定するが方向がそろわない」。これはですね「1についても2についても、各々が自分の言葉で語ることができるし、意思決定できるようになりましたよ」と。
ここまでいったんだけれども、今度は意思決定した結果「あれ、思ったことと違ったな」。さっきコメントでもいただいたように「任されたことなのに、伝えると口を出されてしまう」。これはまさに、3が起こってしまっているからこそ、会社として成長していくために必要だからこそ任せたのに口を出しちゃうという構造が起こってしまうのではないでしょうか。
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