2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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麻野耕司氏(以下、麻野):みなさん、よろしくお願いします。今から1時間のセッションを進めていきたいと思います。今回は『チームビルディングのベストプラクティスー300人の壁』というテーマになっております。
わりと組織に関するセッションをすることも多くて、50人の壁、100人の壁というテーマでやることは多かったんですが、今回さらにもっとスケールを大きくして、300人の壁というテーマでやってみようということで、非常に豪華な御三方に集まっていただきました。
さっき参加者の方々のお名前をザーッと見たところ、たぶん30人、50人くらいの企業様から、100人、200人、300人くらいの企業様まで多様な企業のCEOの方々にお集まりいただいているかなぁと思うんですけれども。どんなステージの企業様でも、将来300人を突破していくためにというテーマで役に立つお話をお伺いできたらなと思っております。
最初に一言だけ会社概要を含めて自己紹介いただければと思います。南さんから簡単に。
南壮一郎氏(以下、南):ビズリーチ改めVisionalの南と申します。今年2月にグループ経営体制に変わりまして、私自身は、株式会社ビズリーチの代表取締役社長を退任し、ホールディングカンパニーの代表として、現在は、主にHR Tech領域以外の新規事業の立ち上げをしております。
最近では、トラック物流領域のDX事業やZホールディングスさんと合弁で求人検索エンジン事業を推進していたり、事業承継M&Aプラットフォームを展開していたりしております。今後も、産業のデジタルトランスフォーメーションを実現できるような事業を展開していこうというのが、Visionalが歩む未来です。
現在は、創業11年でグループ全体で従業員が約1,400人いますが、本日のテーマでもある「300人の壁」は確かに感じました。よろしくお願いします。
麻野:よろしくお願いします。続いて青野さんお願いします。
青野慶久氏(以下、青野):サイボウズの青野と申します。僕たちは創業23年目で、創業の時からずっとグループウェアの事業をやっている会社です。
300人の壁、そうですね。難しいですけど、僕の場合は性格的にグループウェアしかやる気がないことがわかってしまったので、この事業で貫いていって300人を突破するという、非常にシンプルなかたちです。今は社員が1,000人くらいになってきましたけれどもね。わりとシンプルな事業構造を取っております。よろしくお願いします。
麻野:よろしくお願いします。では鉢嶺さんお願いします。
鉢嶺登氏(以下、鉢嶺):オプト改めデジタルホールディングスの鉢嶺です。当社もちょうど創業から25~26年目になりますね。もともとFAXマーケティングからスタートして、インターネット広告代理店をやって、今回DXの会社になっていくということで、今は第3の創業にチャレンジするということで、社名もこの7月1日にデジタルホールディングスに変更したばかりです。
社員数は1,500~1,600人だと思いますけれども。そういった意味で言うと、もともと上場する前に70人だった社員を、そこから3年で700人にしたというところがちょうど300人の壁を越えたタイミングでした。そこで組織がぐちゃぐちゃになるんですけれども(笑)。そのへんの話もできればと思いますし。今は第3の創業なので、まだ30人の会社なんですけれども、僕自身も新しい会社を作って陣頭指揮をとっています。
麻野:へ~!
鉢嶺:まさしくゼロイチの立ち上げをまたやっているという感じですね。今日はよろしくお願いします。
麻野:よろしくお願いします。さっそく中身をお伺いしていきたいと思います。前半40分くらい私がパネルディスカッションを進めさせてもらって、後半の20分くらいは会場から質問を受けたいと思います。もしかしたら僕、不意打ちで当てるかもしれないので、質問の心の準備をしておいてもらえたらと思います。Fringe81の田中弦さんとか絶対当てるので、そのつもりでいてください。
僕は1つ仮説があって、やっぱり300人くらいになってくると、ある程度事業が多角化してくるかなと思うんですね。50人、100人の壁ってよくマネージャーを育成することが大事とか、トップとメンバーの間のマネージャーを育てようとか。でもそもそも300人くらいになってくると、事業を自分で回せるような事業リーダーがポイントになるんちゃうかと。
それが作れなくて苦労している会社がものすごく多いなと思っています。「事業リーダーさえいれば拡大できるんだけれども」と言うCEOがすごく多いなと思ってます。そのへんの事業リーダーが大事なのかどうか? もし育てられていたら、どうすればやれるのか? ということを聞いていきたいなと思っています。
まず南さんですね。もともとのビズリーチでいくと僕は前職でも出資させてもらっていました。正直、出資する時の僕の印象って、南さんは当然すごいなと思ったんですよ。マネジメントインタビューをした時に、ビジョンもあるしパワフルやし。
でも、南さんの次のレイヤーの幹部の人たちがマジですごいなって、僕はマネジメントインタビューで思ったんです。一人ひとりがマザーズに上場する会社のCEOをやれるくらいの迫力を感じて、「うわ、この会社すごい!」「人材力、特に経営幹部がすごい!」と思って投資させてもらったんですけど。
そのへんで、南さんはどんなことを考えながらやってきたかをお伺いできますか?
南:ありがとうございます。これまでの11年を振り返り、なぜ今のVisionalがあるのかなと考えると、会社や事業を創っていく過程で、本当にタイムリーに、経営チームを支える仲間たちが加わってくれたことだと思います。麻野さんとお会いした4年前から、さらに経営チームの層は厚くなっていますよ。
麻野:なるほどな~。
南:自分がチーム創りを学ばせてもらった原体験は、前職の楽天イーグルスでした。球団オーナーに三木谷さん、球団社長にインテリジェンスの創業者の島田さん、そして、取締役事業本部長にヤフーCOOの小澤さんがいました。創業時は10名程度の組織でしたが、彼らが率いる新規事業の立ち上げを経験させてもらい、彼らの事業創りや経営チーム創りを最前線で味わうことができました。
また、会社を始める時に、三木谷さんとお話しする機会がありまして、「どのくらいの規模の会社を作りたいんだ?」と訊かれました。当時の楽天は従業員が数千人規模でしたので、「数千人くらいの会社ですかね」と答えました。
そしたら非常に真摯に答えてくださって。「本当に数千人規模の会社を作りたいのなら、数千人規模の組織を率いられるような仲間を最初から集めなさい」とアドバイスしてくださいました。組織を率いる人材を意識的に採用し続けることが創業者の役割であることを理解してスタートできたことは、その後の会社の成長に大きく役立ちました。
もう1点、会社の組織をスケールする上で大切だったのは、自己認知力だと思っています。僕は、何百人もの組織を率いる事業フェーズでトップを務める能力や特性を持っていないことに早々と気づき、自分よりもこのフェーズの成長を率いるのが得意なメンバーを頼りながら、役割分担とチーム力で乗り切ってきました。
麻野:そうなんですか?(笑)。
南:今年の2月から、株式会社ビズリーチの社長になった多田さんが、組織規模が30人くらいの時に入社してくれました。それまでも、また彼が入社してくれてからも、バトンタッチできる人を探し続けることが創業者としての自分の一番の仕事だと思ってきました。そういう意味では、多田さんという信頼できるパートナーに出会えたことに感謝しています。
麻野:最初の角度が違いますね。わりと創業したての頃って「プロダクト作らな!」とか「セールスしな!」ということで手足を動かしてくれるメンバーを採用したくなったりすると思うんですけど。最初の発射角が数千人の会社を作る時の幹部を集めることから始まるような。発射角が違うという感じなんですね~。
南:そういう意味では、前職の偉大な上司たちの背中を見ながら、事業創りに励むことができたことは、すごく恵まれていましたよね。また、創業事業がHR Tech領域で、多くの企業様の採用活動のご支援を通じて我々も学ばせていただいたことも、すごくラッキーでした。
ビズリーチ事業の立ち上げを通じて、ビジネスパーソンとして、大きく成長させてもらった実感があります。急成長されている企業の経営者のみなさまがどういうかたちで採用されているのか、またどのくらいパワーをかけて採用活動をされているのかを、事業を通じて知ることができるからです。
学んできたこととして、採用を一生懸命がんばったから急成長するとか、事業で成功するということは言えませんが、急成長している会社は、確実に経営者自らが採用にコミットしています。その実態を見てしまうと、やはり自分自身もどこまで採用にコミットできるか、という意識に自然となっていきました。新規事業を再び管掌している今では、週で10人程度の方々と面接しています。
麻野:なるほどな~。
南:創業当初は、なかなか面接のパイプラインが作れませんでした。ただ、法人営業の仕事であれば、あの手この手で工夫しながら、リードの獲得を目指しますよね。採用も同じだと思っています。例えば、週10人の方々と面接することを目標としていて、東京だけでの面接では数が足りなければ、週末に大阪に行き、1日中面接をしました。その翌週も足りなければ、名古屋でも面接をしました。それが経営者としての役割だと考えていたからです。
麻野:コミットですね。僕は4月に起業して、すごく仲の良い先輩にメルカリのCEOの山田進太郎さんがいるんですが、「創業の3ヶ月後くらいって、採用に割いていた時間はどれくらいですか?」と訊いたら、「ん~、まあ5割くらいかな」みたいな。5割って!?
青野:へ~!
麻野:5割も採用してんの!? という感じだったんですけど。(今のVisionalがあるのは)その時の投資ということなんですね。
ちなみに僕、ビズリーチの今の社長の多田さんはマジでめっちゃレベルが高いというか、すごいと思っています。普通は基幹事業だったら「南さん、離れたらダメですよ」とアドバイスするんですけど、多田さんだったらぜんぜん回せるなと思っちゃうくらい、僕はすごいと感じます。多田さんはどんな感じで採用して、どんな感じで事業責任者にまでなっていったんですか?
南:採用は、本当に確率論だと思っています。大きな組織を担える人材を常時探しているからこそ、多田さんのような素晴らしい経営者と巡り合えたと思っています。多田さんは、実はもともとビズリーチ事業のお客様でした。共同創業で副社長を務めていた人材紹介会社を退職するというメールが届いたので、即返信して会うことになりました。そこからは、僕以上に、他の経営チームのメンバーが総力戦で彼を口説きにいきました。
彼は、一度自分だけで起業したいということでしたので、1年間は、まず業務委託でビズリーチ事業のコンサルをお願いしました。いろいろと葛藤はあったと思います。僕たちからすると感謝の気持ちしかありませんが、1年後、彼は我々と一緒にダイレクトリクルーティングを日本に広げていく未来に賭けてくれました。
正直、どこに原石が転がっているかわかりません。弊社の経営幹部には、ビズリーチのデータベース上でスカウトして入社した者もいますし、例えば、結婚式やパネルディスカッションで隣りに座っていた方にお声がけして入社に至った場合もあります。とにかく誰よりも多く、誰よりもパッションをもって一期一会を大切にすることを意識しています。
南:最近、なぜビズリーチの社長の座をバトンタッチしたのかについて、よく質問を受けます。先程もお話ししたように、創業時から自分の中では、確実に将来のどこかのタイミングで誰かにビズリーチ事業をバトンタッチすることは決めていました。
イメージとしては10年後と考えていたので、そこをピン止めして逆算すると5~6年目には、承継する相手を決めておかないと間に合わないと思っていました。あとは、社長というポジションを譲るか譲らないかという自分の覚悟の問題だと思っていました。
結果的には、6年目くらいから多田さんにビズリーチ事業の日常的な経営を預け、私や創業時からの取締役は、求人検索エンジン事業「スタンバイ」や人財活用プラットフォーム「HRMOS」、またHR Tech以外の領域にも参入し、事業承継M&Aプラットフォームなど、得意な新規事業の立ち上げに集中することができました。
当初は、ビズリーチ事業の一本足打法だったところから多事業化に着手し、一定の成果を上げることができるようになりました。そこで、株式会社ビズリーチを子会社にもつVisionalというグループ経営体制に移行することができました。
多くの採用に携わってきて感じるのは、いつかは会社経営をしてみたいと思って、スタートアップにジョインする方が大勢いるということです。
もちろんスキルや知識のみならず、成果を通じた信頼を仲間たちから得ることが大前提ではありますが、そのような条件が揃っているならば、個人的にはリスクを取ってジョインしてくれたメンバーには、会社において自己実現をしてもらいたいと思っています。そのような背景もあり、満を持して、多田さんへのバトンタッチを決意しました。
麻野:なるほどな~。採用のところでいくと、多田さんは本当は起業したかったんですね。それをコンサルで入れよというところからぐるっと持ってくるような。
南:素直に感謝の気持ちでいっぱいです。このタイミングで彼に株式会社ビズリーチの社長をバトンタッチできたことをうれしく感じますし、今後、会社や事業がどう変わっていくのか、すごく楽しみにしています。
麻野:育成のところでいくと、ピン留めというか、このくらいできるようになったら任せるというものが先にターゲットとしてあって、それに向けてお互いに準備するような事業の任せ方ですね。
南:適切な伴走期間と設定された目標があり、それをクリアしたならば、そこからは完全に腹決めかなと思っています。
麻野:ありがとうございます。めちゃくちゃおもしろい。
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