CLOSE

著者 藤野英人が解説『投資家みたいに生きろ』 将来の不安を打ち破る人生戦略(全1記事)

藤野英人氏が説く、日本人を仕事嫌いにした「お金と投資」の大きな誤解

「セミナーに参加したかったけど、時間が合わなくて行けなかった……」。株式会社イノベーションの調査によると、ビジネスパーソンの2.5人に1人はそんな経験をしているそうです。同社が運営する動画サービス「Seminar Shelf」は、オンライン配信を通して、いつでもどこでもセミナーに参加できる環境を提供しています。そんなSeminarShelfのオンライン動画に、レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役会長兼社長・最高投資責任者の藤野英人氏が登場。投資やお金に関する“偏った常識”に振り回されない生き方について語りました。

■動画コンテンツはこちら(※動画の閲覧には会員登録が必要です)

未来に向けた挑戦はすべて「投資」

藤野英人氏:私はレオス・キャピタルワークスの会長兼社長の藤野英人と申します。投資の仕事をしているのですけれども、よく知られているところでは「ひふみ」という投資信託を運用しています。

ひふみという投資信託は、株式の投資信託とすると日本で最大、アジアでも最大規模のファンドになっていまして、私が2003年に会社を立ち上げて、実際にファンドの運用もやっています。私自身が今も現役でファンドマネージャーとして運用しているので、日本で最大の資金を運用しているファンドマネージャーということになります。

今回はわけあって、自宅のほうで取材をさせていただいています。今は逗子のほうにいまして、このコロナがきっかけで、いろいろと自分の生き方を見直したり、ステイホームということもあるので、より環境にいい密でないところで過ごそうということで、緊急事態宣言が出てから、今は逗子のほうをメインに仕事をしております。

『投資家みたいに生きろ』という本を上梓しました。この本、実はそんなに売れるとは思わなかったんですけれども、ビジネス書としてはベストセラーになって、今も読まれています。なぜこの本を作ったかと言いますと、『投資家みたいに生きろ』という題になっているんですけれども、必ずしも株式投資を紹介しているわけではないですね。

投資家みたいに生きろ 将来の不安を打ち破る人生戦略

「投資家みたいに」という言葉が意味するところは何かというと、要は、投資をすることにはいろいろな意味があると思うんですね。必ずしも株式投資だけではなくて、自分に投資をする。「自己投資」を含めて「投資」なんです。

例えば、勉強するとか、新しい言語、英語を勉強することもそうかもしれないし、仕事の何かをやることもそうです。さらにもっと広げると、趣味を始めてみること。ピアノを始めるとか、もしくはサッカーを始めるとか、何でもいいと思うんですけれども、未来に向けて何かに挑戦することが、私にとっての投資という意味なんですね。

今、日本に欠けているのは、内向き志向になって、さらにコロナになっていますから、どうしてもステイホームであったり、外に出にくい環境にあるわけなんですけれども、それに伴って、気持ちが内向きになってしまう人が多いと思うんです。そうではなくて、もう少し気持ちも体も前に向かって生きていくにはどうしたらいいのか? ということを書こうと思っています。

なので、想定する読者は、今これからの未来について不安に思っている人。将来どうやって生きようかということに対して、少し行き詰まっている人に読んでもらいたいなと思います。

投資家的に生きる第一歩は自分の時間を大切にすること

私はもともと投資の本であったり、たくさんの本を書いています。これまでに25冊くらいの本を出しているんですね。その中で一番売れていてロングセラーとなっている本が、『投資家が「お金」より大切にしていること』という本です。今30刷も刷られていて、3ヶ月か4ヶ月くらい増刷されて、細々と売れている本があるんです。

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

そういう面で見ると、投資に関する本を通して、ずっと(自分に投資することの大切さを)言い続けていたわけです。なので、今回の本もある面で見ると、半分くらいは私がいつも言っていることです。要は、いつも届けたいメッセージがあるということなんです。

伝えたいメッセージをいつもどおり届けて、ずっと語ってきたことと、時代がやっとつながってきたのかなと思うんですね。投資に向き合うことを伝える必要がある。ただ、投資に向き合う時に、実はお金の問題について考える前に「投資とは何か?」ということに対して向き合わないと難しいだろうと。

実は、日本人は投資嫌いという人が多い。投資嫌いというのは単に株式投資が嫌いというわけではなくて、未来に向けて挑戦すること。もしくは未来を信じる力が弱いというところが、最大の問題じゃないかなと思ったんです。なので、その本質的なことをまず伝えなきゃいけないなというところが、今回の本を書いた強い動機となっているんです。

この本で強く主張していることは、自分の時間を大切にしようということです。それが投資的、投資家みたいに生きるための第一歩なんです。

投資家というのは、自分が主体となってどこに投資をしようかと思う人なんですね。投資というのは、別にお金だけじゃないです。自分の時間や自分の心、エネルギーをどこに注ぐのか。これが投資なんです。

そうすると、それを主体的に選ぶのが投資家なんですね。だから、会社はそもそも自分が主体的に選んだはずなんです。何らかの理由で好きだと思ったから入ったわけですね。それがいつのまにか会社に働かされているというような、受け身で働くようになっている。これは投資家的じゃない生き方なんです。

投資家的な生き方というのは、自分で人生を選択すること。自分が主人公になるということで、そういう人をもっと増やせば、もっと楽になるし、もっと楽しくなるし、もっと社会が前に進む。

そういう観点で、さらに株式投資についても「この会社は世の中で伸びる。世の中の役に立つ。だから、自分のお金の一部をそこに回していこう」というような、主体的な選択をする人たちが増えれば増えるほど、社会も良くなり人々の懐も温かくなってくる。そういう社会を作りたいというのがこの本の主張なんですね。

働く人を奴隷扱いする国では、誰も幸せに働けない

私はいつもセミナーでこういう話をするんです。それは何かというと、「今の10倍くらい、もっと『ありがとう』を言おう」といつも言うんです。そう言うと、投資家なのに「ありがとう」と、いきなり倫理の話をし始めたという顔をされるんです。

でも、「ありがとう」は立派な投資行動なんです。それは何かというと、「ありがとう」というと相手は絶対に喜ぶじゃないですか。僕は今まで53年間生きてきて、誰かに「ありがとう」と言って、相手側に怒られた経験はゼロですね。

「ありがとう」と言ったときに「お前のことを許せん」と言う人はいないです。「ありがとう」と言ったら、大なり小なり少しはうれしいと思うじゃないですか。そうすると、相手が喜べば得が増えるわけですね。だって、そんなふうに気持ちがハッピーになって、よりがんばろうという気持ちになるから。それをお互いにやり続ければ、モチベーションも上がるわけです。

今なぜ日本の人は働くことが嫌いかというと、働くことが奴隷のようになっているからなんです。でも、(働く人を)奴隷にしているのは消費者自身なんですね。消費者が相手を奴隷だと思っているから。だから、奴隷だと思わない人をどれだけ作るかが、すごく大切なんです。

素晴らしいことに、「ありがとう」と言うことはコスト0円なんです。「ありがとう」と言うときに息を使ったとか、エネルギーを使ったということはあるかもしれないけど、これは1円もしないです。「ありがとう」は、コストもリスクも0です。「ありがとう」と言って怒られることはないです。投資0円。リスク0。でも、リターンがプラスがちょっとと言ったら、これは投資対効果無限大なんです。

そうすると、投資家的な人や起業家、物事を成功させた人というのは、いかにそういう言葉をたくさん使うかということをやった人なんですね。部下やお客様などに「ありがとう」と言うと、大きく成功します。

その時に「ありがとう」というのは、余裕が出たから「ありがとう」と言っているんじゃなくて、「ありがとう」と言っているから成功した。自分が成功したから「ありがとう」と言うようになるのは、たぶん順番が逆なんです。

なので、まず投資家としてできる一番簡単なことは、お金があるとかないとか、体力あるとかないとかに関係なく、無リスクでできる「ありがとう」と言うことなんです。ぜひ「ありがとう」と言ってください、という話をします。

「投資」という言葉から何を思い浮かべるか?

投資というのは「お金でお金を得る汚いこと」と思っている人が、すごく多いんですね。だから投資は汚いと言ったり。でも、投資というのはそうじゃない。エネルギーを相手に与えて、未来からお返しをいただくことが投資なんです。「エネルギーって何?」と言うと、愛情や回数、情熱や知恵など、たくさんあるものを掛け算したものが投資なんです。

もちろん、その中にもお金というものもあります。リターンは何かというと、感謝されたり、製品や商品になったり、喜びの笑顔だったり、その中の一部がお金なんです。エネルギーを投じて未来からお返しをもらうことが投資だと話をすると、質問や意見をいただくのが「綺麗ごとだ。金で金を得るのが投資だ。だから汚いと思っているんだ」というものです。

そこで「ちょっと待ってください。投資は金で金を得ると思い込んでいるあなたの頭の中が、すべての評価がお金でいっぱいじゃないですか」ということを言うんです。

要するに、投資とは何かといったときに、「全部金勘定で考えているということは、あなたの価値感がお金でいっぱいなんじゃないですか」ということをよく言います。多くの人は実はすごく金、金しているんです。もうすべてが金というところです。

例えば「格差是正は何か」というような時に、愛情の格差や空気の格差を言っている人は誰もいないです。全部金なんです。全部金が欲しいという人ばかり。

もちろんお金は大事です。投資家はお金を増やす仕事だし、お金を大切にしている仕事なんだけれども、お金と同じくらい大切なものがあるんですね。投資というのは、お金でお金を増やすことだと思い込んでいる人に、そうじゃないことをいかに気付いてもらうかが、この本ですごく伝えたいことで、実際そういう視点になったら、驚くほどお金も儲けられるようになります。

成功者は、正しい解決でたくさんの人を幸せにした人

それは何かというと、人間の心や世の中や、人の気持ちがわかっている人のほうがビジネスで成功するし、欲しいものを提供できるんです。自分が幸せになりたいと思っている人、もちろん誰もが幸せになりたいと思っているんだけれども、自分が幸せになりたいという人は成功できないんです。

成功とは何かというと、例えば成功している人では、ソフトバンクの孫正義さんだって、ファーストリテイリングの柳井正さんもそうだけれども、たくさんの人を幸せにした人なんですよね。それは、世の中の人々が欲しいものを提供してあげて、それを売ったり買ったりする人たちがたくさんいたら、それで儲かるわけなので、自分が幸せになりたいと思ったって、別に誰も何もくれないわけです。

そうすると、人はいったい何を求めているんだろうか? 何が欲しいんだろうか? というところに対して、正しい解決をした人が成功するわけなんです。だから、人間に対する関心や愛情が強くないと、なかなか成功できないんですね。

『投資家みたいに生きろ』で伝えたいことは何かというと、人間への関心であるし、人に対してどう奉仕するかという気持ちだし、どう工夫をしていくのかというところがとても大切だし、おもしろいことだし、ワクワクすることなんだよということなんです。

『投資家みたいに生きろ』で書いたエッセンスですけれども、投資家というのは自分が主人公になるということなんですね。自分が主人公になって、人のために何ができるのかがすごく大事なことです。そういう人が、結果的に成功したりお金儲けができていると思います。

「情けは人の為ならず」という言葉をよく言いますけれども、それはどういうことかというと、人のために奉仕する人に、結果的に大きなリターンが返ってくるということではないかなと思います。

今日はお話もしましたけれども、ぜひ「ありがとう」という言葉をたくさん言うことから始めていただけたらいいかなと思います。今日からできることだし、お金がなくたって、イケメンや美女じゃなくたって、誰だってできることです。

それをたくさん実践していただいて、もしそれでうまくいかなかったら、私に苦情を言ってもらってもけっこうです。今まで1人もいなかったです。ぜひ、実践していただけるようにお願いしたいと思います。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 40歳以降の「つみたてNISA」と「iDeCo」運用の優先順位 老後のための資産形成のポイント

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!