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COVID-19×LINE(全1記事)

2020.11.24

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コロナ禍で役立てなければ意味がない 「LINE」を動かした3.11の無念

提供:LINE株式会社

LINE株式会社は、「Tomorrow’s New Normal」をテーマに、「Life on LINE」のビジョンのもと、コロナ禍がもたらした“新しい日常=New Normal”において、人々の日常を支えるプラットフォーマーとしての取り組みについて発表を行いました。LINEが提供するさまざまなサービス・事業における“「New Normal」への新たな挑戦”、そしてLINEが提供する新たな未来・ライフスタイルについての講演が行われ、本パートでは「COVID-19×LINE」と題して、社会のインフラとしてのLINEが担った役割について語りました。

東日本大震災以来の未曽有の緊急事態

稲垣あゆみ氏:こんにちは、LINEの稲垣です。私からは「新型コロナウイルス感染症とLINE」をテーマにお話しします。

2020年、新型コロナウイルス感染症が世界を襲いました。年始に中国の武漢で原因不明の肺炎の症状が見られ、そのあとWHOがコロナウイルスを確認し、1月後半に日本国内でも初めて武漢に渡航をした男性が罹患したと発表されました。

けれどもこの頃、まだ対岸の火事だと思っていた方がほとんどだったのではないでしょうか。ですが私は、もうすぐそこまで迫っていると感じていました。というのもLINEには中国・台湾・韓国などいろいろな国の出身の社員の方が多くいて、各国の状況や対策について、本当に毎日、最新の情報を耳にしていました。

特に中国のメンバーには、中国国内で緊急にリリースされた医療・教育・デリバリー・コミュニケーションなど、いろいろなサービスについて調べてもらっていました。日本で次に何が起きるのか、いつから何を準備していったら役に立つのか。危機感と焦りがありました。

そんな危機感と焦りを感じていたのは、思い返せば9年前、メッセンジャーサービスとしてLINEを始めたことに関係しています。2011年、新しいアプリを作ろうと検討していたそのタイミングで、3月11日に東日本大震災が発生しました。

大切な人と連絡を取れず、不安な思いをする人が大勢いるのを目の当たりにして、「こういう時にこそ大切な人と連絡を取ることができるサービスが必要だ」と思うと同時に、「どうして私たちはメッセンジャーアプリを先に作っておかなかったのか」と悔しい思いを胸に、急ピッチで土日も休まず、みんなでメッセンジャーアプリを開発してLINEをリリースしました。

早いものでそれから9年が経ち、2020年はLINEのスタートからもう10年目になります。今LINEは日本国内で8,400万人の方に利用されていて、「社会のインフラ」と表現されるまでに大きく成長しました。

2011年の悔しい思いがあったからこそ生まれたLINE。裏を返せば、震災の時には何もできなかった私たちです。だからこそ、この未曾有の緊急事態の今、LINEが社会のために役立たなくてはいけない。でなければLINEを作った意味がない。そう強く思いました。

ダイヤモンド・プリンセス号や学校の卒業式でのコロナ対応施策

インフラとして成長したLINEが社会に提供できることは何か。今やらなければいけないことは何か。考え続けて走ってきたこの数ヶ月間を振り返ります。

2020年2月にダイヤモンド・プリンセス号が横浜に入ります。そうすると日本でもコロナの脅威が身近に迫ってきました。横浜港に停泊したのち、船内での待機を余儀なくされた方が大勢いました。そんな乗客・乗員の方たちとのコミュニケーションの手段としてLINEをうまく使えないのか。そんな議論が社内で起きました。

厚生労働省やソフトバンクさんの協力のもと、iPhone2,000台にLINEを設定して、相談窓口の公式アカウントを友だちに追加して、船内の全室に提供しようということになります。iPhone端末1台ずつ、手作業でLINEを設定することが最速だと判断し、ダイヤモンドプリンセス号が着岸している大黒ふ頭での作業が始まります。

しかし1日では終わらず、翌日LINEの社内に1,200台が運び込まれ、その日中に設定を完了しなければなりませんでした。設定のため「少しでも時間がある人は協力してください」と全社に呼びかけると、各部署からボランティアのみなさんがすぐ集まりました。その場で一人ひとり何をしたらいいか考え、迅速に作業が進んで、LINEがセットされたiPhone2,000台が船内に搬入されました。結果的にこれがコロナに対応する施策として、全社で一丸となって動き出した最初の事例になったと思います。

その後、船内で専用のLINEを受け取ったみなさまと、お医者さまをつなぐ仕組みを提供するため、すぐヘルスケアのチームが動きます。iPhoneを船内に届けた数日後の週末、急に呼びかけたにも関わらず本当にたくさんのお医者さまが協力してくださり、無料の相談が始まります。ここでの経験が、その後LINEヘルスケアサービスが全国的に広く展開していくきっかけにもなりました。

そうしている間にも、新型コロナウイルスが急速に猛威を振るい続けます。2月27日、政府から全国の学校に臨時休校の要請が入ります。休校に伴って全国で開催される卒業式がどんどんなくなっていきます。LINEではそんな動きを受けて、全国各地の学校が無償で公式アカウントを作れるようにし、学校と生徒や保護者のみなさんがLINEでコミュニケーションが取れるようになりました。

またLINE LIVEでは東京大学などの卒業式のライブ配信をし、家にいながらも卒業式に参加できるようなサポートも行いました。また卒業式がなくなってしまった学生の思いを形にしたいと、NHKさんが呼びかけた「#みんなの卒業式」というムーブメントにも乗って、卒業式をLINEで盛り上げる企画がどんどん立ち上がります。アーティストのライブ配信、タイムLINEの投稿イベント、卒業式の無料提供など、どんどん社内で連携が進んでいきました。

「新型コロナ対策のための全国調査」を1週間で実現

そんな中、8,400万の日本のユーザーを対象にした、前代未聞の全国調査がついに動き始めます。振り返ってみるとコロナ対策を検討する中で、3月の頭ぐらいから「LINEが全国的な調査を実施したほうがいいんじゃないか」という意見や議論が何度も起きていました。しかし、その頃はまだ「時期が早すぎる」「LINEが実施して、社会的に受け入れられないんじゃないか」、そんなリスクを懸念する声が多く上がっていて、見送っていました。

ですが当時、日本のどの地域でどのくらいの人が今発熱しているのか、よくわかっていませんでした。検査を受けたくても受けられない人が多くいるという報道も増えてきた頃です。ロックダウンがいつから始まるのか、そんな予想がたくさん飛び交っていましたし、食料品やトイレットペーパーを買い込む人が増えていました。

数日後になったら東京が都市封鎖されているのかもしれない。近隣の国のいろいろな状況を知れば知るほど不安が募っていきます。これはただ私が焦っているだけなのか、いろいろな判断に確信が持てませんでした。

そして3月24日、オリンピックの延期がついに確定します。その夜LINEの社内でも、ついに全国の実態把握をする調査へ動き出そうという話で盛り上がります。これまでLINEは、大規模な災害発生の時には、その対象地域のユーザーのみなさまにメッセージを配信して安否確認する機能を提供しているんですが、全国一斉の調査は今回が初めてでした。

そして翌日、3月25日の早朝、緊急会議が開かれました。プロジェクトがスタートして、全国規模の調査に耐え得るアンケートシステムの新規開発が始まっていきます。それに並行して、クラスター班のみなさんの調査票の設計をしたり、オペレーションやPRの準備。やることが本当に山積みの中、1日でも早く実施するために、また休みなくみんなで毎日、オンラインでの議論が続きました。

そして、プロジェクト開始の最初の会議から1週間の速さで、第1回の「新型コロナ対策のための全国調査」を実現するに至ります。調査については多くのメディアでも取り上げていただき、回答のすべり出しは本当に順調でした。結果2日間で2,453万人が回答してくださり、初回の大きな手応えを感じます。この全国調査はこれまでに5回にわたって行われていて、すべての回答結果は厚生労働省に伝達され、コロナの対策を考えるために役立てられています。

全国各地の幅広い世代のみなさんに毎日利用されているLINEだからこそ実施できた取り組みだったかなと思います。国と人の距離を縮め、LINEのミッションである「CLOSING THE DISTANCE」を実現できた一例にもなりました。

パンデミックが変えたコミュニケーションのかたち

さて、今回のパンデミックによって、私たちの生活は大きく変わり、LINEを通じたコミュニケーションのあり方にもまた大きな変化がありました。中でも大きく変化したのが、ビデオコミュニケーションです。オフラインでは会えない今だから、リアルタイムで顔を見ながら話がしたい。そんなニーズが圧倒的に増加しました。

こちらのグラフは、2020年の1月から8月までのビデオ通話の数を表しています。ご覧のとおり4月に緊急事態宣言が出てから急増していて、5月になると2月時点に比べて235パーセントも増加しました。緊急事態宣言が明けてから多少減少はしますが、コロナ拡大前に比べても170パーセント程度のレベルで、今後も増えていく見通しです。

さらにこの変化を世代別に見てみましょう。2月と5月のビデオ通話数を比較すると、すべての世代で220パーセント以上の伸びがあります。離れているご家族と一緒にビデオ通話を利用するシーンが増えたからなのか、世代が上がれば上がるほど、これまで使っていなかった方が使い始めている。そんな傾向が見えました。

このようにビデオ通話のニーズが大きく高まったことを受け、グループでのビデオ通話の体験をより良くするために、どんどん新機能のリリースを続けました。まず5月に「みんなで見る」という機能を出します。これはグループ通話をしながら画面をシェアして、一緒にオンラインショッピングをしたり、ゲームをしたり、話の最中に話題にのぼった映像を一緒にYouTubeで見て盛り上がれる機能です。

また7月には、友だちになっている飲食店や美容院などの公式アカウントへも、無料でビデオ通話もできるようになりました。そして先月には、指定のリンクにアクセスさえすればトークルームやグループを作らなくても、最大500人でビデオ通話ができる「LINEミーティング」という機能も出しました。

これはLINEさえあれば、リンク作成も2ステップで簡単にでき、スマートフォンとパソコンのどちらでも無料でお使いいただけます。100種類以上のエフェクトやフィルターはもちろん、背景が見えないようにぼかす機能であったり、バーチャル背景も利用することができます。

またパソコン版での利用も今回右肩上がりに急増していまして、中でも日本のユーザーの伸びが一番高く、LINEをリモートワークなどのビジネスシーンでも利用してくださっているケースが増えているなと感じています。

オンラインがよりノーマルになっていく世界

そして、これからのNew Normalなコミュニケーションはどうなっていくんでしょうか。それは、オンラインがよりノーマルになっていく世界です。みなさんは最近、オフラインではまだ会ったことない人とのコミュニケーションが増えているんじゃないでしょうか。私もまだリアルで会ったことのない同僚と一緒に仕事をすることが、だいぶ増えてきました。

また数年前まで、目的もなくLINEのビデオ通話をただただつないで、何時間も過ごしている高校生たちの使い方が取りざたされていて。どうしてなんだろうと、よく意味がわかっていなかったんですが、今では雑談をするためだけにつないだり、ただ誰かが何か作業している様子をビデオ通話で流していたり。コロナが起きて、今は以前の高校生たちに近いビデオ通話の使い方を自然とするようになったことに驚きます。

目的や用件を済ませるために誰かと時間を約束して話をするというかたちではなく、そんなにはっきりした目的がなくとも「一緒に時間をシェアすること」自体がコミュニケーションである。そして、今の考えや体験をシェアする。そんなリアルタイム性。New Normalのコミュニケーションの感覚が少しずつ変化してきていると思います。

リアルタイムでより心地良いコミュニケーションへの進化

そして、その流れに合わせて、LINEで今後予定している機能を少しだけご紹介させていただきます。例えば今、トークルームを中心にみなさまでコミュニケーションをされていて、テキストやスタンプを使っていますが、このようにビデオ通話をメインにしながら、気持ちをより伝えるために、補助的にテキストやスタンプが使われていくようなコミュニケーション。

自分の顔を見せたくない時には、自分と似せて作ったアバターを介してコミュニケーションをしたり。また友達の誕生日にはみんなでエフェクトを使って盛り上げ、バースデーソングをBGMに流すといった、一緒に楽しめる仕掛けを作ったり。

「ビデオ通話の最中に無言になって気まずい」という思いをしたことのある人は多いんじゃないかなと思います。オンラインで話をしながら一緒に音楽を聴いたり、BGMをかけることも普通になっていくと思います。

LINEは今後もこのように、New Normalなニーズに合わせて、リアルタイムにみんながゆるくつながり合いながら、楽しく、より心地が良いと感じられるコミュニケーションをさらに進化させていきます。

今回のコロナが起きて、LINEは本当にたくさんの取り組みを行ってきました。自治体や省庁と連携して情報提供するパーソナルサポート、予防啓蒙のための無料スタンプの提供、休校中に子どもたちの学びを継続するためのサポートであったり、休業が余儀なくされた店舗のみなさまのご支援。

ですが、もっと早くから準備していれば良かったことや、LINEのプラットフォームを活用したらもっとうまくできた施策はまだたくさんあって、依然として悔しい気持ちがたくさん残っています。そして、改めてこのLINEという社会インフラが、LINEという企業がなすべきことは何なのか、深く考える機会になりました。

私が学生時代からよく読んでいるドラッカーの本に出てくる言葉に、「企業とは営利組織ではなくて、社会的組織である。利益は必要だが、それは目的ではなく条件だ」というものがあります。その言葉が今、とても腹落ちしています。

私たちLINEの使命は、コミュニケーションのあり方が劇的に変わっていく中で、「CLOSING THE DISTANCE」を体現し、ユーザーのみなさまがその時に求めているいろいろなコミュニケーションの要となることだと思いました。

続きはそのヒントをいただくために、LINEのファウンダーである慎 ジュンホが、台湾のデジタル大臣のオードリー・タン氏にお話をうかがいます。

この急激な変化を続けている今、私たちがこれから進んで行く先はどんどん見えづらくなっていっています。たくさんの知恵と力を借りながら、みなさまの日常をより豊かにしていく価値を提供していきたいと思っています。ご清聴どうもありがとうございました。

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