2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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尾原和啓氏(以下、 尾原):次にコンドウさんから「苦手なこと、嫌いなことや、やりたくないことに対してどのように対処していきますか」っていうご質問がきています。
澤円氏(以下、澤):僕はもう、苦手なことは人にやってもらう。要するにこれは、人に「ありがとう」って言う機会が得られたという。この割り切りですよね。嫌いなことや、やりたくないことは逃げる。そんな暇はない。だってどんなに粘ったって、人生120年ぐらいでしょう。で、120年バリバリに突っ走れるわけではないので。ってなると、残り時間はどうしてもカウントダウンされちゃってるって考えたら、やっぱり嫌いなこととかやりたくないことに対する時間を、いかに圧縮するかっていうのが必要になってくるかなと思うんですよね。
尾原:そうですね。そのへんはやっぱり前の任天堂の社長の、お亡くなりになった岩田社長が「仕事は楽なほうがいいよね」って言い方をしてて。でもこの「楽」って、ダブルミーニングだと個人的には思ってて。「楽しい」と「楽」の組み合わせだと思うんですね。
つまり何かっていうと。人間、なんらかのかたちで、自分が得意でほかの人より楽してできるものが見つかると、ほかの人が5時間かかるのが自分は1時間でできちゃうと。自分が1時間やったことがほかの人には5時間かかるものだから、自然と「ありがとう」って言ってもらいやすくなるんですよね。
そうすると自分は5分の1しか働いてないのに、他人から5倍感謝される、と。こういうのを見つけていくのがいいよって言ってて。でも一方で、じゃあ最初から楽する場所なんか見つからないわけですよね。でもそれって、やっぱり最初は「楽しい」なんですよ。要は自分が楽しければ10時間かけたって、あっという間に時間を忘れてやるっていうものがあって。だから最初は得意じゃなくても、気づいたら時間をかけてしまうっていうものを見つけるのが……見つけるって言うとアレですね。「出会う」ですね。
澤:「出会う」かな、うん。本当に幸いなことに僕は、コンピュータ、テクノロジーっていうのが得意でもなんでもなかったんだけれども、これをやってみようと思ったのが今の僕を作ったんで。本当にラッキーだったなと思うんですよね。
おっしゃってたとおり、インターネットの前から僕はコンピュータに触る機会が得られて、結果そうすると世の中がどんどんつながるっていうふうになっていって。自分のアイデンティティである「ほかの人をハッピーにする」っていう発想と、どんどんシンクしていったっていう。そういうラッキーが重なったところがありますね。
尾原:あぁ。でももしかしたらそのバックグラウンドが僕ら、近いからかもしれないですね。僕もまさに小学校のときにコンピュータに出会って、中学生のときにパソコン通信に出会って。「苦手なもの~」の話とのつながりに近い話かもしれないですけど、始まりの場所にいるってめっちゃ得で。それはなぜかっていうと、アウトプットから始めないとどうしようもないっていうことがあって。
澤:うん、うん。
尾原:僕らパソコンを始めたとき、プログラムって、インターネットみたいにダウンロードする便利なものがなかったから。自分でやっぱりプログラムのコードを打たないとダメだったし。そうするとバグが出て「うわっ、動かない」ってなると、必然的に人に聞かなきゃいけなくて。人に聞こうと思ったら、なんかギブをしないと申し訳ないってなった。じゃあ「今度は自分が教えられるものは何なんだろう?」みたいなことを工夫するっていう。やっぱり始まりの場所ってないものだらけだから「ありがとう」の物々交換が発生しやすいんですよね。
澤:そう。で、結局それはなんとなく今、世界の潮流になりつつありますしね。宗教とか価値観とかっていう違いを超えて、シェアリングしていったりとか。例えば開発者にとって、GitHubなんていうのはまさにそういった世界であって。ちょっと前だったら、発想としてありえないですよね。ソースを公開して、なおかつそこに対してコメントしていったり、プルリクとかを出せたりとかっていうのは。前のすごくクローズドでプロプライエタリなものをやり続けていたことを考えると、すごく隔世の感がありますよね。
尾原:そうですよね。本当そうやって、インターネットのいいところはさっき言ったように、自分の苦手なものは誰かに「ありがとう」って言ってもらえるチャンス、っていうところで。やっぱり今までは会社の中で、その上下の中で、全部自分がやらなきゃいけないみたいな固定概念があったんだけど。リモートワークだとね。こっそり裏側で、守秘義務だけちゃんと守ってれば、人に頼れるわけですよ。ネットでつながれるから。
ましてやこのつながりっていうものが、たくさんあるサロンとかコミュニティとかもいっぱい増えてて。実際ね、インドである会社の社員が、実は全部の開発を外に丸投げにしてて。
澤:うん、うん。
尾原:それでむちゃくちゃ生産性が高くてクビになったっていう話が、5年ぐらい前にあったんですけど。
澤:(笑)。
尾原:いや、それ逆じゃね? って。そんなにいいプロデュース能力あるんだったら。自分の給料のパフォーマンスの中で外注してマネジメントしてるんだから、むちゃくちゃいい才能じゃないですか。
澤:ね。もったいないなぁ、って感じですよね。
尾原:そうなんですよ。あともう1個、でもやっぱり「逃げていい」ってすごく大事な言葉だと思うんですよね。
澤:やっぱり日本人、とくにこれ「我慢は美徳である」とか。なにかつらいことに立ち向かってこそ、とか。あとは『エヴァンゲリオン』で「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」が、なんか宗教的にもてはやされるとか。
もちろんね、自分が鍛えられているって思ってるんだったらいいんですけれども。そうでなければケガするだけなんで。これ、前に「筋トレ」っていう例えを使って話をしたんですけど。
なにかプレッシャーを受けるっていうのは「筋トレだ」と、僕は言っていて。筋トレは負荷をかけないと当然効果が得られないので、負荷をかけるのは当たり前です、と。だけど間違った負荷をかけると、ただ単にそれはケガするだけなので。結局のところ、鍛えるとはまったく違う結果になるわけですよね。
で、もっと言うと、それが他者から与えられている負荷だったりとかすると、もうコントロールできないから絶対ケガするわけですよね。自分が持てるかどうかわからない重さのバーベルをポンと渡されて、それでケガしたら本当にくだらないので。だったらそういったものは、筋トレではなくてただの暴力だから逃げるって、これは非常にシンプルに考えちゃって僕はいいと思ってるんですよね。
尾原:そうですよね。とくに、やっぱり「逃げれない」って思っちゃうと、そこに支配されて囚われちゃうから、どんどん視野が狭くなるんですよね。でも一方で逃げると、ちょっと客観的に見られるから。そうすると、外から見ると意外と「あそこ、もしかしたら彼に頼れば、こういうチームでうまくいきますよ」みたいな。逃げるからこそ冷静に見えて、冷静に見えるから遠くのものを連れてこられるっていうことも、あったりするので。
ただやっぱり、この話をすると一番日本でつらいのが、上司1人に自分の仕事を全部依存してしまいます、依存先が1個しかないから逃げれないですっていう人が多いのが、個人的には違いだと思ってて。
澤:そうね。で、どんどんそこに追い込んでいっちゃうような感じになりますし、横に逃げ場っていうのが構造上なかったりしますからね。
尾原:そうなんですよね。まぁでもだんだん会社ってのが「俺の上司を飛ばして、あいつとしゃべりやがったな」みたいな人たちがだんだん……そういう世代は50代より上には今だにいるのが事実なんですけど。だんだんネットが当たり前の人たちが、課長・係長になってきてるから、そういう人たちは、ネットでつながる前提の社会にいる人たちなので。斜め上の課長だったりとか、となりの課の優秀な社員だったりとか、いろんなつながりは増やせますし。
もっというと、ネットの中で仲間をつくっていけるので。僕の本の『モチベーション革命』
の中ですごく刺さった言葉が「自立することとは依存する先をなくすことではなくて、増やすことである」っていう。
澤:間違いないですね。
尾原:依存先があるから逃げられる。
澤:「上下」っていう表現を僕、組織の中で絶対に使わないようにしてるんですけど。
尾原:僕もそうですね。
澤:なんでかというと、本当に幸いなことに、事実としてそういう上下って意識しないようなチームを、たまたま僕はつくることができて。僕のメンターは、自分のチームメンバーですからね。で、僕よりも年上で、なおかつキャリアもずっと上で、僕が平社員だったときに本部長だった人が、本人が望んで僕のチームメンバーに入ってくれたんですよ。10年ぐらい前に。
尾原:おぉ、素敵だ。
澤:「もうそろそろマネジメントやり尽くした感じがあるから、自分を部下にするといいと思うよ」とかって、向こうが提案をしてくれたんですね。
尾原:へぇー。
澤:じゃあぜひチームメンバーで来てくださいと。ただし僕のメンターもしてね、っていう感じにして(笑)。メンターもやってもらってるっていう。評価者として僕は上司的なことはやるんだけれども、僕はその人に対し依存もしてるんですね。これ、非常に快適な関係ではありますよね。
尾原:そうですね。給料っていう評価はどっかで誰かがしなきゃいけないけど、でもそれも評価っていう係ですからね、本来。
澤:そうそう、作業でしかない。
尾原:マネージャーの「マネージする」っていうのは「どうにかやりくりする」っていうのが、もともとの意味で。
澤:そうそう(笑)。
尾原:要は誰かが締め切りに対してクオリティとコストのバランス取らなきゃいけなくて、その役割のことをマネージャーって言ってたのが、いつの間にか上下の関係になっちゃっただけだから。
澤:うん、うん。本当に僕がよく言ってるのが、会社の組織における上司だなんだっていうのは、あれは学級委員長だと。だから生徒の1人が役割としてやって、たまたま学級会のときに司会をやってるだけに過ぎないんだよ、って話はよくしてるんですよね。
尾原:そうですよね。だからそういうふうにやっぱり、コロナもオンラインがどんどん加速していくと、肩書きからだんだん係に変わっていってる感じはするから。できるだけ係を増やすっていうか。
実際僕もやっぱり、自分のメンターって20代の方だったりとか。僕の一番のメンターって西野(亮廣)さんだったり、前田裕二さんだったりで、年齢的には二回り以上下なんですけど。もっというと、けんすう(古川健介氏)なんてむっちゃよくて、僕を怒ってくれるんですよね。
澤:(笑)。そうなんだ(笑)。
尾原:ときどき僕、ネットで暴走するじゃないですか。ちょっと怒りに囚われて、言いすぎるときってあるんですけど。ああいうときにLINEがすぐに飛んできて「尾原さん」って言ってくれるんですよ。
澤:(笑)。
尾原:そうすると「ごめん、ごめん……」って感じになって(笑)。
澤:いいなぁ(笑)。
尾原:そういうふうな関係をどうやってみなさん、ちっちゃい中で増やしていくかってありますよね。
澤:大事ですね。
尾原:前半の『未来を創るプレゼン』パートを締めくくりたいんですけど、
そういう意味で、本の中でもいろいろ書いてますけど、1歩目って何なんですかね。一番大事なことは伝えてるものの、やっぱりみんな1歩目は迷うじゃないですか。1歩目って、何から始めるのが。
澤:まずは、例えばプレゼンってキーワードで「うまく話さなきゃいけない」とかって呪縛は1回、とりあえず忘れましょう、と。で、まずはぶっちゃけ雑に言うと「自分の話したいことを話していいんですよ」なんですね。自分の話したいことって何なんだっけ? っていうこと自分に問いかける時間を、できれば毎日とってほしいんですね。
尾原:あぁ、そうですね。
澤:僕はもう毎日どころじゃなくって、スキマ時間はそればっかり考えてるんですけど。そういうふうにすると、やっぱりこれね、幸せ成分も出てくるんですよ。だって自分の話したいことを考えるのって、ぜんぜん嫌なことでもなんでもないんで。そうすると話をするネタはいくらでも出てくるし、表現方法だっていつの間にやら磨かれてきたりとかするので。
とにかく自分の好きなことを考えればいい、と。妄想大賛成、というふうに考えて暮らしていくというのが、すごく大事かなと思います。なんか机に向かって「こういうことやりなさい」とか「こんなメソッドで勉強しなさい」とか、そんなの全然なくって。話したいこと、好きなことを、脳の中にとにかく多めに滞留させてあげるっていうことをやればいいんじゃないかなと思いますね。
尾原:ありがとうございます。安宅(和人)さんも『シン・ニホン』の中で「これからは妄想力の時代だ」っていう話をしていますしね。
澤:そうそう。
尾原:未来を作るっていうのはやっぱり、今ないものを作っていくことなので。今ないものを創るというのは妄想からでしか生まれないので。
澤:そう、そう。
尾原:やっぱり、どれだけ妄想を重ねられるかということですよね。
澤:絶対そうですね。はい。
尾原:ありがとうございます。というわけでいったんちょっとこの前半を終わって、後半は、今度は僕の次の本の発表と『あえて数字からおりる』のほうの対談をしていきたいと思います。
あと、せっかくこれだけ1時間みなさんの時間を頂戴しているので、ぜひ前半の1番の気づきは自分にとって何で、明日から自分は何を始めるのかというこの2つですね。気づきと明日からの第一歩というのを、ぜひチャットに書いてください。
これをチャットに書くことによって、自分が1番学べるし。あともう1個大事なのが、尾原と澤さんが楽しそうにしゃべっただけだなってなっちゃうよりは、隣の人がどう気づいたのか、隣の人がどう明日から何をやるのかというのを見ると、自分の1番参考になるんですよね。
なので、1番のギブはその自分の気づきと、次に何をしようということを書くことが自分のためのものになるし、1番簡単なギブなんで。ぜひぜひ。
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