ロジカルに行き過ぎた時は、数字や計画から離れてみる

谷中修吾氏(以下、谷中):「完成形を最初から絵的に表現する」ということが、実は縄文型でもすごく大事ですね。ビジュアライゼーション技法というんですけども、ちゃんと見える化することによって、実践する前に仮説を検証してしまうという手法です。

最後に、これ(縄文型ビジネス)でちゃんとお金を稼ぐ手法なんですけども。ビジネスモデル論って本当たくさんあるんですが、実はこれ、「代表的なパターンを最初から知っていますか?」ということですね。

ここに代表的なモデルを並べてあります。サブスクとか今の流行りですが、これは継続課金というモデル。そして、他にもいろいろなビジネスモデルがある。どうやって稼ぐかなというモデルを最初から知っていると、ものすごく強くなります。

というわけで、ざっと最後にまとめさせていただいたんですが。改めて、こちらの写真をご覧ください。左側、今日この会場にもあります縄文土器。右側、弥生土器なんですが。縄文は、機能よりも表現を重視した……表現を重視しようと思って作ったというよりも、作りたくてできてしまった形なわけなんですが。弥生型の時代になってくると、どんどんこれがファンクショナルになっていって、この形になった。

このように比較すると、今の私たちが信じている価値観が、実はすべてではないよね、と。縄文も理解するとまったく新しい世界が見えてくる。今回お話したこの2つの軸は、まさに「問題解決」と「価値創造」。

どっちも大事なんですけども、今の世界でやっぱり問題解決のほうに寄り過ぎてしまった部分もあったかもしれない。でも、そもそも問題解決のスキルがないと困っちゃうので、両方大事なんです。

両方のバランスのエンジンを整えていくと、ものすごくおもしろいことができる。なので、これまでロジカルなほうだけにちょっと頭が行き過ぎちゃった方におかれましては、事業計画を手放すとか、競争から脱却するとか、コンプラちょっとやめてみる?(笑)。リターンへの期待をやめるぐらいの心構えでいってちょうどいいと。

そこで『縄文型ビジネス』でお話しした、2つのエンジン。すなわち、2つのドライブ。縄文と弥生のツインドライブです。これ実は『ガンダム00』から「ツインドライブ」という名前を(笑)。

最強の縄文型ビジネス イノベーションを生み出す4つの原則

高松康平氏(以下、高松):(笑)。

谷中:すいません、単なるガンダム好きなんですけど。

高松:はい(笑)。

「価値創造」と「問題解決」のバランスを意識する

谷中:これが両方そろうと、縄文とSDGsで、本当の持続可能な世界。2つがリンクするとサステナビリティもできるし、新しいプラットフォームの形が見えてくる。今年は縄文イノベータープラットフォーム「縄文ピーポー」をやってみようかな、ということで。ただいま準備中でございます(笑)。

というわけで、駆け足ではありましたけども、圧縮型の価値創造型。なぜ私が縄文と言ってるのかということを、みなさんにお届けさせていただきました。どうもありがとうございました。

高松:ありがとうございました。最後みなさんが「ガンダム大好きです」って(笑)。

谷中:あぁ、うれしい(笑)。

高松:そこの共感がスゴイ。「愛しているぞ、ガンダム!」っていう、今日は何の会だったのかみたいな(笑)。

谷中:(笑)。今日うれしいな、本当うれしいですよ。

高松:「個人的にガンダム好きが集まって話がしたい」って(笑)。

谷中:もう一気にガンダムの会になっちゃって(笑)。

高松:でも、みなさん「とてもおもしろかった」「88888」とコメントいただいています。先ほど私、問題解決の話をさせていただく中で、問題解決も価値創造も1人の個人の中で両方できるといいというところはあるのかなと。そういうところのバランスですかね。

谷中:そのとおりだと思います。

高松:どちらかに行き過ぎてもいけませんし、価値創造型でいくとしても、やっぱり最終的な見通しというところは問題解決的にチェックが必要ですし。問題解決に寄り過ぎちゃうとやっぱり限界に来ちゃうってところは、もうみなさんお気付きのところなのかなと思います。そう感じる場合には縄文型にちょっといってみることも、大切なのかなと。そんなふうに理解しました。

問題解決のスキルを高める方法

谷中:ありがとうございます。高松さんは、今日、問題解決のお話をされました。一方、私は、縄文型ビジネスを取り上げて、価値創造のスタンスからお話をしました。なんですけど、実は私も戦略コンサルタントとして問題解決をしていましたし、今もコンサルティングもやっていますので、当然、問題解決の重要性ってものすごくわかります。

ただ、コンサルの世界のみなさんにも、価値創造の考え方って必要ですよね。このあたりの両方のバランスって、高松さんは、どのように見てますか?

高松:そうですね、両方のバランスが必要だなというところは特に感じます。でも私は今コンサルタントではなくて、一事業会社の一マネージャーとか、事業責任者という役割なので。問題解決的にやることはもちろん大切ですが、やっぱり価値創造的に、みんなと力を合わせながら楽しいことをやることも、とっても大切で。

例えば、新しいサービスを立ち上げるとか……私も今回BBTルーティンという、毎日1題10分考えるサービスを立ち上げました。これが、すごい学びになるんだと。ロジカルに考えたら、たぶん大変すぎて誰もやらないけど(笑)、でも1日1題やったらおもしろいよね、と単純に思ったから始めた。

そして、今は受講生約900名の方に参加いただいていて、オンラインで懇親会をしたり、そこでつながりができるのっていいなと感じる。それだけの原動力でやっているようなところもある。でもそれが最終的にどうビジネスにつながっていくかとか、そこは問題解決の思考で考えなきゃいけない。

あとはやっぱり研修講師をさせていただいている立場からすると、問題解決の基本編は本屋さんに行くといっぱい並んでいて、基本的なツールとかなんちゃらツリーみたいなものはあるんですが。それよりももうちょっと上のレベルの事業全体の問題解決というところは、まだまだ学んだことがないという方も多いのかなと。さらに上の視点で、なんだかすごくふわふわした経営者の話などは聞くことが多いんですが。

事業全体をどう技術的に解決するかとか、仮説を出す技術を自分のものにしていただくと、問題解決自体の武器もかなりパワフルになっていくので。このへんはもっと多くの人に身につけていただけるといいですし、それを本当に仕事の成果にもつなげていただいているので。問題解決の必要性をもっと訴えかけていきたいなと感じています。

矛盾した問題を解決するのは「or」ではなく「and」の思考

谷中:ありがとうございます。実は私の周り、縄文人が多いんです。縄文人が多いって言うと、ヤバそうですね(笑)。縄文型の人が多いんですけど(笑)。

高松:(笑)。

谷中:そういう縄文型の人がおっしゃるのは、「縄文型でやっていると、弥生型のロジックがおろそかになっていて、これでいいんだろうかという不安があった」と。でも「縄文型で良かったんだということを確かめられて、すごくうれしかったです」という声も、実はけっこういただきます。

ただ同時にですね、「ロジカルな、いわゆる問題解決の言語で話ができるってこともやっぱり必要だと思ったから、両方やろうと思います」という声もいただくんです。

例えば、お仕事で今いろいろな企業さんと接する中で、当然ですけども、企業さんによって言語が違うこともあるじゃないですか。そのときに、ロジカルにきちんとお話ししたほうが会話が成立するパターンと、逆に「なにロジックばっかり言ってんだ、そうじゃなくてもっと突き抜けようぜ」みたいなパターンもあるわけですよ。

なので、うまくコミュニケーションできるように、両方の言語を持っておくというのも大事だと思います。高松さん、どうですか。

高松:まさしくそうですね。やっぱりこういう議論をすると、どっちかを選んで、どっちかを捨てる「or」の議論にしたくなるということがあるんですね。「どっちなの?」みたいな。でも今の時代、やっぱりもう複雑な問題や難しい問題しか残っていないので。「A or B」じゃなくて「A and B」。「問題解決 and 価値創造」とか「左脳 and 右脳」とか、両方を統合的にできると。

そうしないと、矛盾のある問題って解決できないので。難しい話なんですが、そこのバランスを意識しながら人も組織も生きていかなきゃいけないのかなと。このへんが今の時代なのかなと思ってるので、両方必要だということかなと(笑)。

苦労して実践しながら得た「実学」こそが武器になる

谷中:ありがとうございます。それで、実はこの価値創造と問題解決という2つのエンジンは、本当に現場で回すことができるんですよというのが、みなさんに一番お伝えしたかったことです。今日は私も高松さんも実践者として、お話をさせていただきました。つまり、単なる理論ではなく、これは実学なんです。

高松:そうですね、実学。私もコンサルタントをやったり事業会社にいたり、今は研修講師や教育事業をやっていますが、私も一事業責任者なので。どうやって多くの方に受講していただくかとか、我々のビジネスをどう伸ばしていくかというところを考えながらやっています。

今はいろいろな大手企業の選抜研修も多数お手伝いさせていただいていまして、その一方、本当にいろいろな企業様、中小企業もあれば地方の企業にお邪魔したり、年間100日やるということで、今まで毎週出張をしてきました。

今のものが完璧だと言うつもりはないんですが、その中でお役に立てるようにちょっとずつブラッシュアップしてきました。研修のための研修になっては意味がないですし、企業研修もやっていただけませんので。また、自分で作った思考の武器を私自身も使ってきました。

あとはこういう問題解決の領域で言うと、めちゃくちゃ得意な人はいっぱいいて。その人が書いた本は、問題解決が得意な人の視点が書かれているんですよね。私は苦労した人間なので、「なんであんなふうにみんなうまく考えられるのかな」というあこがれの目をずっと持ち続けて、それを研究してきました。

今できないとか、今どうすればいいかわからないとか。私がつらかったときのように、徹夜して「あー……」っていう人、つまり、昔の私に対して作ったような考え方なので、それが、多くの方に実際に役立つようになっていればうれしいなと思います。

谷中:はい、それではみなさん、どうもありがとうございました。縄文と弥生のツインドライブを回していきましょう。

高松:ありがとうございました。