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Meet the Jellybots Ocean-Exploring Biohybrid Robots
(全1記事)

生きたクラゲを改造した”探索ロボ”の目を通して 世界の海を旅する未来

「海の95パーセントは、いまだ謎に包まれている」と言われており、広大で真っ暗な海に何が潜んでいるのか、誰にもわかっていません。ところが、その謎を知っている生き物がいます。それはクラゲです。彼らは海面から最深部に至るまで、海のどこであってもその姿を見ることができるのです。そこで、とある研究員が「クラゲを海洋探索ロボットへ改造する手段」を思いつきました。もしこれが実用化されれば、クラゲの目を通して世界中の海の様子を観察することができるようになるかもしれません。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、そんな実験・研究の可能性について解説します。

クラゲを改造して生み出す“海洋探索ロボット”

ハンク・グリーン氏:「海の95パーセントは、いまだ謎に包まれている」とは、よく言われていることですよね。広大で真っ暗な海に何が潜んでいるのか、誰にもわかっていません。ところが、その謎を知っている生き物がいます。クラゲです。クラゲは、海の最深部から、どこまでも広がる海面に至るまで、海のどこであってもその姿を見ることができます。

もし、クラゲと一緒に海を旅して、海の中の世界をクラゲの目を通して見ることができたら、どんなに素敵でしょうか。実は、それは実現可能かもしれません。

現実離れした未来における話のようですが、研究者たちは、クラゲを海洋探索ロボットへ改造する手段を研究しています。最終目標は、クラゲに電動型の人工装具を装着させ、バイオハイブリッドなロボットを作ることです。名付けて「ゼリーボット」です。 

クラゲの粘性の高いボディと燃費の良さは、サイボーグテクノロジーにおける非の打ちどころの無い候補です。研究者たちはすでに長い時間をかけて設計を行っており、ミズクラゲの傘に極小型の電動型人工装具を装着させています。この装具は、周期的な電気パルスを発して、クラゲの筋肉を刺激します。

ぱっと見には、この装具はクラゲにはとても邪魔そうです。ところが「知らぬが仏」と言うとおり、クラゲは仏のように穏やかな生き物です。クラゲには中枢神経系、つまり脳が無いため、他の生き物であれば苦痛であるこのような実験でも、痛覚を知覚しないのです。

また、ミズクラゲはストレスを受けると粘液を分泌しますが、装具装着の試行中には分泌がまったく見られませんでした。つまり、クラゲにはなんら不快はないようなのです。

むしろ、クラゲは逆に元気になってしまいました。装置の電源が入ると、クラゲの遊泳スピードが3倍に増したのです。このスピード増は、わずか10ミリワットの外部電力供給によるものでした。さらに、このような運動はすべてクラゲの筋力を利用したものであり、エネルギー源はクラゲが捕食したエサです。

結論としては、この最初のモデルは、現在開発済みの他の水中ロボットに比較し、質量当たり最小の電力消費を示しました。これは1000倍近い省エネになります。

従来型ロボットに対するゼリーボットの利点は、他にもあります。それは、自己修復能力です。少なくとも、クラゲの部分はそれが可能です。何らかの理由でダメージを受けた場合でも、自己修復できる可能性があるのです。

とはいえ、ゼリーボットが活躍するにはまだ時期が早いようです。現時点では操作が不能であり、開発が進められています。将来的な計画としては、クラゲによる情報収集を可能にする改良が考えられています。安価な自動運転の水中マシン隊を作るのです。

現在では、より大型の水棲生物にデータログ収集装置を装着することにより、海についての多様な情報の収集ができています。未来においては、何万ものゼリーボットの群れが展開され、海水温や塩分濃度、pHなど、海の健康状態を詳細に把握できるデータを探知することがも可能かもしれません。

こうしたバイオハイブリッドロボットは、モニタリングの幅を広げるだけでなく、現行の水中機器に比較してきわめて低コストです。

しかし、何らかの防衛システムも必要になりそうです。海の様子ではなく、オサガメのお腹の中をモニタリングするはめになったら、困りますからね。

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