2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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古野俊幸氏(以下、古野):最初は『宇宙兄弟』のファンクラブ向けの勉強会からスタートしているんですけれども、そのとき僕は、まだ全巻読んでいなかったんですよね。「これ、いけるね。おもしろいな」ということで、1回全部読もうと思いまして、全部読んだんです。
当時35巻くらいまで出ていましたかね。登場人物の個性を、「ムッタはB(受容性)・E(保全性)・C(弁別性)だよな」、「日々人はD(拡散性)・E(保全性)だな」とか、観察法で作っていくわけです。
岩橋ひかり氏(以下、岩橋):ムッタは診断テストを受けてはくれないですよね。
古野:僕だけの観察法だと偏りがあるかもしれないので、確認する作業をしました。まずは僕の観察した結果を基にコルクの人たちとミーティングをし、さらにコルクラボの人とか『宇宙兄弟』ファンクラブの人にも何人か入ってもらいました。
「誰々はB、E」という話、例えば「ムッタはBでEでCだと思う」「エディは……」「ブライアンは……」「カルロは……」という話をして、読み込んでいる人たちから見て、「あ、そう! そのシーンはこれですよ」とか、「だからこういうセリフがあったんですよね」という突き合せは一応しました。もちろん、作者の小山さんにも了解を得ています。だから、かなり裏を取っているんです。
岩橋:今日は『宇宙兄弟』の漫画のファンの方や、漫画がきっかけで知ってくださった方もたぶんいらっしゃるだろうなと思うんですけども、「漫画と組み合わせてやろう」と思って、選んで『宇宙兄弟』になったわけじゃなくて、たまたまの流れでたどり着いたという……?
古野:たまたまというか……。たまたまじゃない。
岩橋:たまたまじゃない?
古野:『宇宙兄弟』をプロデュースされているのが、佐渡島庸平さん。
岩橋:ですよね、佐渡島さん。
古野:佐渡島さんが作った会社がコルク。そのコルクがFFSのユーザーであったということが最初ですね。
コルクの社内の方がユーザーであったし、プロデューサー集団ですから、作家さんがたくさんいるわけですよ。「作家さんとプロデューサーの相性って重要だよね」というところで、作家さんのデータも取ってあるんです。
「この作家さんには、こういう人をプロデューサーで組み合わせたほうが、もっとブレイクするんじゃないの?」ということをセッティングしているわけです。
あそこは今、作家さんを育成するというプロジェクトもやっています。そこでも使ってくれています。その中で、『宇宙兄弟』という素材。素材と言うと変だけど、よく人物が描けているというところから、「『宇宙兄弟』がいいよね」というところで勉強会をしたというのが背景ですね。
岩橋:書籍になるまで、何年越しだったんですか?
古野:いや、この1年くらいですよ。
岩橋:そうなんですね。
古野:『宇宙兄弟』のファンクラブの有志とか、コルクラボのメンバーを集めて勉強会をしていたのが、去年(2019年)の5月とか6月ですかね。「本を書こうか」ということでミーティングを開いたのが夏です。
岩橋:なんかトントントンと、はまったんですね。
古野:そうね。佐渡島さんもA(凝縮性)・B(受容性)・C(弁別性)・D(拡散性)の個性だし。
岩橋:なんだか複雑そう。
古野:複雑じゃない。ブライアンみたいに、はっきりとAがきているから、決めたらまっしぐら。拡散性だし。僕は拡散性・弁別性・凝縮性だから近しい。
岩橋:同質性ですね。
古野:同質性。(自分も佐渡島さんも)両方、『宇宙兄弟』でいうところのブライアン、ブライアンだった。
岩橋:ちょっと、なんか強そう。
古野:出現率2.数パーセントが2人揃ったから、それはもう、「やろう!」となったらすぐに決まるでしょう。
岩橋:やろうと決まればやるし、やらないと決めるのも早いし。へえ~。そういう、ちょっとした裏話なども(お願いします)。
古野:結果的に25人のキャラを紹介していますけども、一人ひとり、愛すべきキャラですよね。そうね、岩橋さんはフィリップだしね。フィリップはフィリップで……。
岩橋:チョイ役だった気がしますけどね。
古野:いやいや、ジョーカーズで最後、今……。
岩橋:あ、そっか。ネタバレになるという難しい問題があるんですね。
古野:最新巻まで読んだら、ムッタとフィリップはいいコンビですからね。
岩橋:そうですか。キャッチアップしなきゃ。
古野:そうです(笑)。
岩橋:このFFSみたいに何十年とか実績とかもあるんですが、それと合致するくらい、すごく細かな人物描写がされているからこそ、こんなにいろんな人を惹きつけて、おもしろいんですね。
古野:やはり、『宇宙兄弟』という本自体がベストセラーになった理由というか、背景には、やはり共感できる。ムッタを応援する気持ちというのが、やはり日本人にはあります。
岩橋:そうですよね。
古野:日本の最頻値に近いし、成長していく過程があるわけでしょ。
岩橋:普通、こういう漫画というかヒーロー系って「とりあえず行こうぜ! イエーイ!」みたいな拡散っぽい人が、だいたい主人公じゃないですか。
古野:日々人のほうが主人公っぽいもんね。
岩橋:そうですね。(主人公が)ツートップなのが、またいいですね。
古野:しかも、兄弟でしょ。
岩橋:そうですね。
古野:しかも、ムッタはお兄ちゃんでしょ。お兄ちゃんのほうがダメダメだったわけです。宇宙飛行士というのが職業としてはレアですよね。
岩橋:そうですね。
古野:そうそうあるわけじゃないけれども、でも「チームで作り上げていく」という意味では、日本の製造業などに近しいものがあると思いますよ。
岩橋:あの中は密室空間で、極限のストレス状態ですもんね。
古野:訓練とかね。グリーンカード(注:『宇宙兄弟』の訓練シーンで登場するカード。チームがトラブルへどう対処するかを見るために、意図的にストレス・負荷を掛ける極秘指令が書かれている)が出たりとかして、追い込まれるわけですよ。でも、どう脱出するのか、うまく切り替えていくのかという、やはりいいトレーニングが入っていると思いますよね。
だから、僕のようにFFSを広めていく側の人間としては、素晴らしいストーリーと出会えたなという感じがしますね。
岩橋:ありがとうございます。ぜひ、『宇宙兄弟』も読んでほしいですね。今、何巻?
古野:37巻。『宇宙兄弟』のファンクラブの方々が(『あなたの知らないあなたの強み』を)読んでくれています。ツイートしてくれている内容は、当然、漫画を先に読んでいますよね。
この本を読んでくれて、やはりその背景が改めてちょっと解説されているようなところがあるので、改めてもう1回本を読み直してみて、またこっちを読んでくれている。「二重、三重に楽しかった」とか言ってくれているのは、すごくうれしいですよね。
岩橋:そうですよね。行ったり来たりして、どっちのファンにもなっていくみたいな。すごくおもしろいです。
古野:だから、どっちから読んでも楽しめるような気がしますね。
岩橋:そうですね。
古野:この『あなたの知らないあなたの強み』を読んでから、改めて(『宇宙兄弟』の)本を1巻から読んでも、「ああ、そうか。なるほどね。そうやって繋がっているんだね」ということが理解できるし、もちろん本を先に読まれた方は、改めて読んでいただいても、行間を埋めるような内容になっているところもあると思います。
岩橋:強力な2つのコンテンツがあるという。
古野:まさにケミストリーですからね。関係性というのは、ケミストリーなんですよ。
岩橋:はい。確かに。
古野:化学反応を起こすことによって、生産性が上がる。単なる組み合わせじゃないんですよ。
岩橋:生産性の上がる組み合わせだったから、結果、Amazonの2位まで行った。1位でしたっけ?
古野:最高2位まで。
岩橋:すごい! 本当にすごいですよね。全体の2位ですもんね。
古野:全体の2位です。今で、40何番目くらいですかね。昨日も日経BPの人と打ち合わせしていたんですけれども、「もっと上げましょうよ」というのを社内でも議論しているらしいです。だけど、「40何位もすごいんだぜ」という話もあるらしいです。
岩橋:すごい。すごいことですよ。なので、私たちは今回、取材記者としてリポートをたくさん書いて、またその順位を上げるというのを応援したいなと思います。
岩橋:最後に、リモートワーク・在宅勤務が続いてらっしゃる方も多いと思うんですが、リモートワークのストレスはどうしたらいいですか?
古野:ちょうど今、うちのクライアントにもアドバイスしたり、相談に乗ったりしているんですけれども、先ほど言ったように、日本人の平均や最頻値は受容性と保全性の人が多いんです。
こういう人たちって、「誰かの役に立っている」とか、なんとなく「仲間である」ということが大事で、とくに保全性は密なほうがいいわけです。今、「三密を避けなさい」って言っているんだけど……。
岩橋:保全性は本来「三密ラブ」なわけですね。
古野:リアルに言うと「密」のほうがいいわけですよ。距離感が近くて、ある程度、なんとなく安心できる相手と、密な関係で話をするほうが安心できる人なんですよ。にもかかわらず、今「密はダメよ」なんです。
岩橋:ディスタンスが必要とされてますもんね。
古野:もしくは、リモートなわけですよね。相手の表情も読めない。なんとなく安心できる距離も保てない。不安になるんですよね。
岩橋:そうですよね。
古野:一方で、弁別性が高い人というのは「黒か白か」がはっきりしていて、リモートでもぜんぜんいいんですね。リモート会議はどちらかというと、オンとオフとであまり変わらないぐらいの会話量で済むんです。
岩橋:ああ、確かに。
古野:会社の経営構造から言うと、実は弁別性が高い人はわりと意思決定側にいて、どちらかと言うと、現場には保全性や拡散性などの情動が高い人がいるわけですよ。そうすると、上から見たら「こんなに効率がいいんだからリモートでいいじゃん」「オフィスを減らしましょう」ということで、そんな動きが一部に出てきている。
でも、実は現場の人たちは不安で仕方なくて、今はなんとか保っているんです。保っているのに、もしこれが「永遠にリモートになるよ」といったときには、「本当にこれで効率が上がるの?」と僕は疑問に思います。
岩橋:なるほど。
古野:めちゃくちゃ逆シナジーというか、ディモチベートするよ。だからマスコミやいろんな方々が解説して、リモートだ、働き方改革だと言うけれども、人間の生理的なベースから言うと、群れたい人たちに対して……。
岩橋:群れたい人(笑)。
古野:しかも保全性の人はそれが強いわけですから、止めたほうがいい。
岩橋:えー!?
古野:もし、やるとすれば、今まで週に5日会社に行っていたとしたら、3日から4日は会社で過ごす。
岩橋:けっこう多めですね。
古野:出社をしない1日、つまり報告などをしなくていいときは、どっぷりと家でやる。作業をするのは家でもいいんだけれども、作業しながらも進捗を確認されて、ああだこうだやるときというのは、やはりそばにいたほうがいいです。誰かがしゃべっている会話を聞くのも重要なんです。
岩橋:あー。自分の横で、ちょっと違うところで起きている会話ですね。
古野:そばにいるとそういう情報も入ってくる。その情報もけっこう重要だったりする。
岩橋:ああ、確かに。
古野:人間を知れば知るほど、そういうことが重要。なのに、たぶん効率に走ったときに、弁別性は効率重視になってしまうので、ギャップが出ちゃうんですよね。
岩橋:そっか。
古野:その辺をもうちょっと考えないと、「働き方改革」ならぬ「働き方改悪」です。
岩橋:改悪。なるほど。そっか。意思決定するときって、ワーカー側として保全でストレスを抱えながら家で働いている人にできることは、何かありますか? どう対処するといいですかね?
古野:リモート飲みとか、みなさんやっていたわけでしょ?
岩橋:はい、はい。
古野:僕が言ってきたのは、リモート飲みもいいんだけど、「飲む」ということ自体が目的化すると意味がないですよね。リモート飲みでなくてもいいんだけどね。つまり、すごく身近な「密」を感じられるような雑談会とかね。
岩橋:ああ。
古野:しかも、同質で集まるとかね。傷を舐め合いたい……そういう瞬間があるわけですよ。
岩橋:ああ。はい、はい。
古野:相互に理解をするために「困っているんだよね」というのは、まさに雑談だよね。でも、リモート飲みの話を聞いてみると、やはり保全性の人たちがズルズルやっていて、拡散性は出てすぐに帰る。今度は、そのうちに形式化するので、やりたくないのに、やらないと今度は仲間はずれになる(笑)。
岩橋:なるほど。「リモートルール」ができつつあるんですね。
古野:それを、そういうふうにしちゃダメなんですよね。それは拡散性と保全性の違いで、ルールができれば、最後はルールを守ります。
岩橋:ああ。
古野:そこから外れられないので、それが縛りになってしまう。いわゆる同調圧力でしょ。
岩橋:同調圧力に困っている人がいると思うんですけど、どうしましょうね?
古野:保全性の人は同調圧力に困っているから、リモート飲みをやると言ったら、出ないと申し訳ないと思うんでしょう(笑)。
岩橋:(笑)。
古野:最初は良かったのに、どんどん苦しくなってきているということですね。だから、主催する側がちゃんと知ってあげるべきです。
岩橋:個性をね。
古野:だいたい最初は拡散性が言い出しっぺで主催するんだけど、途中から受容性が関わってお世話します。みんなのために「開催し続けることがいいことだ」というふうに、ちょっと勘違いするんですよ。
そういうのが危険だなと思いますよね。だから、個性を知ればすべてが解決するわけじゃないけれども、かなり解決する糸口が見つかると思うんですよね。
岩橋:そうですよね。FFSがおもしろいのは「自分らしさを知る」ということで、それももちろん素晴らしいですし、それに「何をすればいいのか」というのがわかるのがすごい。
古野:対策、解決策ですね。
岩橋:おもしろいなと思っています。1時間経っちゃった。いったん時間なので、ここで集合写真を撮って、その後、ちょっとだけ延長戦みたいなかたちで、質問にお答えしたりしましょう。
古野:どうもありがとうございました。
岩橋:ありがとうございました。みなさん、東京は雨ですが、引き続き良い午後をお過ごしください。
(集合写真の撮影終了)
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