テクノロジーを駆使して追求する、理想の働き方

寺口浩大氏(以下、寺口):竹本さんは、理想の働き方ってどんなですかと聞かれたら……。

竹本萌瑛子氏(以下、竹本):理想の働き方……これ困るなぁと思って。というのも、今けっこう満足というか、自分に合っている働き方だなとは感じていて。もちろん改善できるところはたくさんあると思うんですけど。働き方としてはけっこうやりたいことをやれている感覚がありますね。

寺口:じゃあそんなに我慢することが少ないという。

竹本:うん。どっちかを……生活を犠牲にしてとか、もしくはもう本業を犠牲にして複業をやってとかはとくにないなと思っています。

寺口:なるほどなぁ。ありがとうございます。田中先生も一応聞いていいですか?(笑)。

田中研之輔氏(以下、田中):僕はけっこう(働き方の理想像が)あって。要は自分のeffortという、作業量みたいなものがあるじゃないですか。これが埋まっていないというのが自分の理想の働き方で。例えば大学で働いている時に、自分の作業が100だとして、100使っちゃったら余力がないわけですよ。

だから、いかにこの100のキャパシティに対して余白をつくるかということばっかり考えている。作業効率化とも言うし、無駄なことはやらないとか。だから寺口さんと会うのは、余白のところではすごく重要事項だから「行きます!」という感じなわけ。

寺口:確かに。

田中:だけど、それが埋まっている人は、もういっぱいいっぱいじゃん。疲れちゃってるじゃないですか。

寺口:そうか。だから毎回、このご出演依頼の時も3秒ぐらいで「行きます!」って。

(一同笑)

本当に速いです。

田中:仕事してないのかみたいなね(笑)。だけど、テクノロジ-の進化ってそういうことだと思うんですよ。これを見ているみんなもすごいと思うけど、要は今聞きながらLINEをやって、友達ともこういうこと(オンラインでのコミュニケーションを)やっているわけじゃないですか。

だから、それぐらいすごくて。(昔は)そんなことできなかったのにも関わらず、このデバイスでそういうことはできるわけだから、我々もやっぱりこれに合わせて進化していけばよくて。

従来の働き方をしている人は100に対して100やっていたんだけど、こういうテクノロジーを使えば無駄が省ける。effortが下がれば6割は空いているというふうになるじゃないですか。

人間の作業量を増やすという「根性で働け」みたいな話じゃぜんぜんなくって。しっかり寝るし、しっかりeffortを下げれば、それが理想の働き方かなと思っています。その空いた余白でいろんな機会をいただくことはおもしろいよね。

寺口:余白をつくれば、選択肢が生まれるということなんですね。

田中:そうそう、そうです。

寺口:なるほどな。じゃあやっぱり、首が回らないみたいな状態というのは……。

田中:ぜんぜんない。

ローギアで、長く楽しくやっていくやつが勝ち

寺口:今はあえて(首が回らないような状態を)つくらない方が、ちゃんと新しいチャンスを逃さずに済むという感じですかね。竹本さんもそんなにめちゃくちゃ詰めたりしないんですよね。

竹本:そうですね。メリハリはつけるようにしていますね。この時間は何があっても予定は入れないという日は絶対につくるようにしていますね。

寺口:そうなんですね。

田中:似ていますよね、発想法として。だって、いつも疲れていないですもん。いつも元気というか。

寺口:いつも元気(笑)。

(一同笑)

竹本:いや、負けます!(笑)。元気さで言うと負けます(笑)。

田中:あ、いつもの元気さで言うと負ける? あはは(笑)。今の言い方、荒れちゃうんじゃないの。今のコメントが「あいつが元気すぎる」みたいなの。

寺口:あいつ(田中氏)が元気すぎる(笑)。

竹本:本当に元気ですもんね、すごい(笑)。

寺口:大丈夫です。今って必要なのは元気なので。

田中:ポイントがあって。くつざわさんにお渡しする前に30秒で言うと、人生100年時代なんですよ。ということは、長くローギアで楽しくやっていくやつが勝ちなんですよ。ハイギアになって、身体とかメンタルを壊しちゃだめなの。

だから、みんなが就活で初めて「これから働こう」と思って、本当に一生懸命やっているんだけど、その時にいかに余白をつくるかはけっこうポイントだと思う。だから、就活をやりながら竹本さんのようにオフの時間をつくったり、我々のように楽しんでいる時間をマネジメントすることがものすごくコツだよ、と思う。

寺口:なるほどな、そうですよね。

田中:戻します。

「キャリア選択」から「キャリア蓄積」へ

寺口:あ、戻されました(笑)。くつざわさん、なんの話でしたっけ?

くつざわ氏(以下、くつざわ):私ですか? でも最近リモートワークになって、さらに余白が出てきたなとは感じていて。ただやっぱり、それでもリモートワークができない企業であったりとか、すぐに対応できないところも、もちろんあるので。

無理やり余白をつくりにいくプレッシャーをかけるのも、自分にとっては首を絞めることにもなるので。無理に「余裕をつくった方がいいよ」ということを言う必要は、ぜんぜんないなと思っていて。だから、やっぱり自分に合った働き方や過ごし方を見つけてほしいなという感じなので、次に行きましょう(笑)。

田中:あはは、教授(笑)。

くつざわ:次に行きましょう(笑)。

寺口:なんか、だんだん教授スタイルになっていきますね(笑)。なるほどなぁ。話を聞いていて、スタイルは違うものの、みなさんが選択肢を持った中で、自分がこっちだと思うスタイルを決めているイメージはありました。「こうだからこうしないといけない」とか、「周りにこう言われたから」とか、こうしないといけない(ではなくて)。

だから「べき」というよりも、できるだけ「したい」で、選択しているのかなと思ったんですけど。そこは合っていますかね? 選択肢がある状態で選んでいるという感じだと思うんですけど。僕は今日、これがわりと聞きたかったんです。

田中:ポイントがあって。キャリア論だと、キャリア選択というものが重要視されていたわけです。例えば「A社に行くか、B社に行くか」というときに、二択のうちから1つを選ぶとなったら、もう1社には行けないわけじゃないですか。

でも、それはキャリア選択が古いと思っています。今、学生のみんなには「キャリアチョイスじゃなくて、アキュムレーションといって、蓄積と捉えてください」と伝えているんだけど。どういう選択をしても、みんなの中にはキャリア資本が溜まるから、どっちでもいいんだよと。

「できるのであれば両方やっちゃえ」という発想になってきて。だから、今の世代はキャリア選択からキャリア蓄積で考えて欲しいなと思う。

寺口:キャリア蓄積ですか。

田中:そう。だから竹本さんを例にすると、IT企業で働いているので資本が貯まる。そこに必要なマーケティング資本が貯まる。モデルをやりながらでも資本は貯まるわけだから、竹本さんの中にそのキャピタルが2つ貯まっていくわけですよ。だけど昔はそうじゃなくて、どっちかでしょうってやっていたわけ。

そうすると、毎回ライフステージにおいて選択しなきゃいけなくて、これがきついんですよ。家族を持ったりすると、子どもがいるのにこっち(仕事)を選ばなきゃいけないとか、単身赴任をしなきゃいけないという選択の繰り返しになると、かなりきついんですよね。

そうじゃなくて、妥協点を見つけながら、アキュムレーション(蓄積)と思えばけっこううまくいきやすいですよ。

寺口:みなさんそれぞれ、絶対ライフイベントがあるはずなんですけど、それまでには選択肢を持っておいた方がちゃんと選べるということですよね。ありがとうございます。すごく参考になりました。

嫌な仕事を1億円で受けるか否か

寺口:ちょっと粒度が変わるんですけど、唐突な質問をしていいですか? 「1億円あげる」と言われましたよね。1億円もらえるけど断る仕事って、みなさんの中にあります?

田中:おもしろいね。

くつざわ:正直、1億円もらえるなら……という感じはありますけどね(笑)。

(一同笑)

寺口:やる?

くつざわ:1億円ですよというのもあるんですけど。それでも嫌な仕事ということですよね。

寺口:そうそうそう。

くつざわ:でも、やっぱり自分の中では、Twitterのアカウントで運用するものも多いので、とりあえず自分がやって利益を出せないこと、初っ端から「これたぶん自分が苦手だな」とわかっていたり、クライアントの方にプラスを与えてあげられなものは最初から身を引いた方が。

もちろん挑戦という意味でもやっていいとは思うんですけど、クライアントさんという関係を挑戦の場に使っちゃいけないなと思っていて。それはもう個人で、そういう場所をつくっていってやるべきだと思うので。

だから、自分が自信のないことであったり、これは確実に利益を出せないだろうとか、単純に相互作用(が見込めないこと)であったり、お互いにやってもたぶん楽しくないだろうなというものは、1億円あっても……という感じですね。

寺口:なるほどなぁ。ありがとうございます。だからもう、相手の期待に応えられないとなったら、断ったほうが後々のためになるということですよね。

くつざわ:そうなんですよ。だから、もう初っ端の依頼が来た時点で、「その依頼内容だと、部分的にしかお手伝いできない可能性がありますし、こういう分野は私は苦手です。それでも、もしこの分野でよければ報酬金額下げたうえで……」というかたちの提示をしたほうが……。

竹本:めちゃくちゃもらう感じで考えていますね(笑)。実際の、リアル………。

(一同笑)

田中:8,000万円くらいもらうよね(笑)。

寺口:8,000万円くらいもらう?

くつざわ:いや、8,000万円なんて! そんなそんな、滅相もないですわ。滅相もない、そんな……。

竹本:すごくリアル、シミュレーションが……。さすがですね。

寺口:なるほどなぁ。SNSってプラスにもマイナスにも働きますよね。「これだけで発注したのにぜんぜん役に立たなかったよ」というのが回ってしまったら、次の仕事のね……。

くつざわ:そうなんですよね、悩む。インフルエンサーマーケティングとか、とくにそういうのが目立ってきているんですけど、見るたびに、これは本当にCV率が上がっているんだろうかみたいなのは考えちゃいますよね。 寺口:なるほど、つねに結果評価ということですよね。こわいな。ありがとうございます、けっこう身が引き締まるお話(笑)。

(一同笑)