会社やチームのエンゲージメントを高める「wevox」

北野唯我氏(以下、北野):みなさん、こんにちは。ワンキャリアの北野です。SUPER LIVEのスペシャルセッションでは、「社員がイキイキ働き、成長する会社の共通点とは?」というテーマで話していきたいなと思っています。

やはり「イキイキ働く」、そして「成長できる」のどっちかだけというのはあると思うんですが、その両方を両立している会社の共通点は何なのかを聞くために、スペシャルなゲストをお招きしております。

(登壇者に向かって)ちょっと、プレッシャーがかかっているんじゃないですか?

(一同笑)

最初に簡単にですが、お三方の自己紹介をしていただいてよろしいでしょうか? では、加賀さんからいきましょうか。

加賀れい氏(以下、加賀):はい。みなさん、こんにちは。株式会社アトラエの新卒採用担当の加賀れいと申します。私は直近3年間、人と組織のコンディションを見える化する、wevox(ウィボックス)というサービスを担当し、2020年の4月に、新卒採用担当になりました。組織作りにこだわっているアトラエの話や、wevoxを通してわかったことなどについて話したいと思いますので、よろしくお願いします。

仲間の貢献を見える化し、組織を強くするピアボーナス

北野:お願いします。では斉藤さん、お願いします。

斉藤知明氏(以下、斉藤):みなさん、はじめまして。Unipos株式会社代表の斉藤と申します。親会社がFringe81株式会社といいまして、東証マザーズに上場している企業です。そちらの役員も私は兼務しております。Uniposでは人が互いに知り、認め、信頼し合うために、感謝とともに少額のポイントを送り合うピアボーナス「Unipos(ユニポス)」というものを提供させていただいております。

上場企業の役員としての視点、新卒5年目という視点、ピアボーナスを提供しているベンダーとしての視点。いろんな視点から、「イキイキと働きながら成長できる組織とはどうなのか」ということを、ぜひお話しできればと思っています。よろしくお願いします。

北野:お願いします。Uniposさんは今、CMでもお馴染みですよね?

斉藤:テレビ(CM)もさせていただいています。

人気企業を支える名物人事・サイバーエージェント曽山氏

北野:では、曽山さんもお願いします。

曽山哲人氏(以下、曽山):みなさん、こんにちは。サイバーエージェントで人事を統括している曽山哲人と申します。今日はめちゃくちゃ楽しみにしてきましたので、ぜひたくさん質問していただけたらうれしいです。

私は社会人になったのが20年くらい前ですけれども、最初は百貨店に入って、eコマースの立ち上げを経験し、その後、創業2年目のサイバーエージェントに入りました。当時は20人くらいだったんですけれども、今はABEMAを中心にいろんなチャレンジをしている会社です。

グループ会社は100社以上あって、たくさんの社長がいろんなチャレンジをしています。ですので、ぜひそのあたりのポイントなどもお話できればと思います。「Twitter 曽山」と検索すると出てきますので、よろしくお願いします。

北野:すごい……。セールスされている方みたいですね。

(一同笑)

「イキイキと働いている」の定義とは?

北野:私も会社でHRの責任者をやっているんですが、今日は胸熱のセッションです。やはりwevoxを運営しているアトラエさんは、働きがいのある会社としてすごく有名な会社さんですし、Uniposさんも今、急成長中で、会社は事業も組織も両方とも伸びています。そしてサイバーエージェントさんは、最近のニュースにも出ましたが、時価総額がものすごく伸びているという、成長し続けている会社ということです。

曽山:もっと伸ばしていきますよ!

北野:これからも伸びるとのことです。このお三方にお話を聞けるのは、僕としても、とても楽しみに思っています。

最初にですが、そもそも、「イキイキと働いている」ってどういうことなのかということをうかがいたいです。

定性的にはフワッとなんとなく理解できるんですが、やはり定量的にはちょっとわかりにくいものだと思っています。ですので、そもそもお三方が考える「イキイキと働いている」ということの定義とか解釈みたいなところから、ちょっと聞いてもいいでしょうか? これは、どこからいきましょうか?

斉藤:いきますか?

北野:じゃあ、斉藤さんから!

(一同笑)

「利益がすべてを癒す」

斉藤:冒頭、(北野)唯我さんがおっしゃっていた「『イキイキと働く』と『成長する』って、両立しないといけないよね」って、まさにその通りだと思っています。うちの会社における「イキイキと働く」の定義は、他のチームも自分のチームも含めて、みんなと切磋琢磨しながら、結果に向かって改善を進められていること、かつ、結果を喜び合える組織だと思うんです。

結果を「喜び合う」というのももちろん大事なんですけれども、その過程すらも、「結果に向かっている」「目標に向かっている」「目的に向かっている」「成長に向かっている」という前提の中で、互いに連携しながら進められている。「その結果に向かった貢献を認め合えている組織」は、「イキイキと働く組織」の1つの条件なのかなと考えています。

北野:なるほど。速攻で聞くんですけど、ちなみにそれって、定量的に測れるものなんですか?

斉藤:定量的に測る……。その「イキイキと働く」ということの定量化は、うちではしていないです。

北野:そうなんですか。

斉藤:結局、「利益がすべてを癒す」って、わりと大事なワードだなと思っていて。結果に向けて働いて、その結果が改善されているとイキイキするんですよ。それに向かって行けていないと、ちょっと苦しくなっちゃう。みんな大変になっちゃう。利益が出ていないとか、苦しい状態って「イキイキと働けている」と思わないんですよね。それが改善されて良くなったら、みんな顔がイキイキしますね。

北野:なるほど。

斉藤:結果にこだわるというのが、すごく大事ですね。

北野:確かにね。プロセスだけみんな認め合っていても、結局、結果が微妙だったら全員が不幸せになるみたいなことって、ぜんぜんありえますもんね。曽山さん、このテーマはどうですか?

イキイキと働くための3つの要素

曽山:そうですね。今、私もどういうものがあるかなと考えながら聞いていました。まず1つは「主役感」というキーワード。僕はこれを大事にしているんですね。自分の人生なので、自分で決めたいじゃないですか。もちろん、先輩からのアドバイスや指示がある中でも、「自分で決めている感」は大事なので、この「主役感」があることかなと思います。

「主役感」の要素分解として、いくつか考えられるものがあります。1つ目は「意思表明」です。自分の思いを先輩とか仲間に言っても、馬鹿にされないかどうか。

2つ目が「決断経験」。自分で決めるということです。決められたことを上から押さえつけられるだけじゃなくて、自分でも決断に関与できるかどうか。

そして3つ目としては、「夢を語れる」ってすごく大事だと思うんですよね。夢を語るって、「将来こんなことをやりたい」とか、みんなあるじゃないですか。そういった夢を語っても、馬鹿にされない。そうすると、今みたいな3つの要素が出てくると、一人ひとりのイキイキ感が上がってくるんじゃないかな。そんな感じがありますね。

北野:なるほどね。やはり、サイバーエージェントって、夢を語ってもぜんぜん馬鹿にされないカルチャーなんですか?

曽山:そうですね。僕らは、会社のビジョンが「21世紀を代表する会社を創る」と、とても抽象度が高いもので……。

北野:めちゃくちゃ抽象的ですね。

曽山:21世紀が終わったときに、この世がどうなっているのかなんてわからないじゃないですか。

北野:確かに。

曽山:だから、それは具体的に言えない。だけど、「21世紀が終わったとき、(21世紀を)代表するような会社を、自分たちで創ろうよ」というビジョンなんですよね。「会社が大きなことを言っている以上、みんなも夢を言おうよ!」「言っていいよ。(会社のビジョンに)つながっていれば、何でもいいよ」という感じになっているので、個人もみんないい意味で勝手な夢が言えるんです。

北野:なるほどね。おもしろいです。加賀さんはどうですか?

主体的な意思決定とエンゲージメントの相関関係

加賀:そうですね。まさに私が直近で携わっていたwevoxというサービスが、いわゆる「イキイキと働いている状態」を指標化するものです。100点満点で組織の状態をスコア化して、個別のスコアの上下を組織づくりに活かすというものです。

やはり、先ほどの「自分で意思決定している」という部分に関しては、エンゲージメントとの相関関係が非常に強く出ています。

曽山:やっぱり。

加賀:はい(笑)。細かくは10個ほど要素があるんですが、要は「主体的に自分が意思決定できているか」「自分ごと化できているか」という内容なので、多くの企業さんが、そこについて取り組んでいらっしゃいますね。

北野:なるほど。2つ質問があります。1つ目が、僕がもし就活生、あるいは転職しようかなと考えている人であれば、会社側はやはりみんな「イキイキ働いている」みたいに言うし、「うちでは夢を語れますよ」と言うと思うんです。「うちで語ったら馬鹿にされます。すいません」という人事って、誰もいないと思うんです。それをどうやって見極めればいいのか、というのが1つです。

2つ目は、みなさんが経営者や採用担当、人事の統括という観点で、ふだんからそういう会社を作る際に、一番大事にしているファーストステップを聞いてもいいですか? どちらか、答えやすいところからでお願いします。

相手の目を見て、夢を訊くことでわかること

曽山:1つ目の方でいいですか。

北野:はい。ぜひ。

曽山:まさに「イキイキしている人」を見極めるって、すごく大事じゃないですか。一番お勧めなのは、例えばA社に興味があったら、とりあえず大勢のA社の人に会う。これをやることが一番打率が高いと思っています。

サイバーエージェントを受けてくれると、僕も最終面接でみなさんとお会いします。そこで、「うちの社員と会ってどうでした?」と訊くと、「楽しそうでした」って言ってくださるんですよ。すごくうれしくて、「ちなみにどういうところを見ると、楽しそうだとわかるんですか?」と逆に聞くんですけど、よくある回答の1つは「夢を語っている」なんです。

ポイントは、「その夢を本当に自分のものとして語っていることを、すごく感じました。他社では、ちょっと言わされている感じがする人もいたりします」というところです。そのように「夢を訊けばわかる」というのが1つ。

もう1つは、「目」なんですって。目を見ると本当なのか嘘なのかが自分の感覚で受け止められるので、それが言葉のニュアンスや雰囲気から見えると言っていました。

なので、目を見ることと夢を訊くこと。これを多くの人に会ってやってみる。そうすると、けっこう見えてくるんじゃないかなと思います。

北野:なるほどね。確かに。やはり生放送でも、質問されたときの人事とか出演者の反応とかで、すごくわかると言うんですよ。だから、社会人の人に「あなたに夢はありますか?」と言うと「夢!? ……まあ、一応あるけど」みたいな。「ないでしょ!」みたいな。

(一同笑)

そういうことですよね。(斉藤氏に)何かありますか?

「目的に共感できない組織」に入る不幸

斉藤:今のお話では、「夢を語れる」ってすごく大事な要素じゃないですか。そうなったとき、私はさっき「結果」とか「目的」という言葉を多用させてもらったんですけど、ここがすごくポイントなんですが、「目的に共感できない組織」に入るとめちゃくちゃ不幸です。

北野:ああ、それはね。避けた方がいい。

斉藤:結果を出し続けないといけない。結果を出す、ないしは目的に対して進み続けないと、やはりイキイキ働けないんですよ。自分がやりたいことにつながっている。会社がやりたいことと、自分がやりたいことがつながっていて、それを前に進めているから楽しいんですよね。

「会社がどういうことを成そうとしているのか」というビジョンを、どう発信しているかが1つの軸です。そのビジョンに基づいて、かつ、自分の言葉で会社の人が話せているか。さっきの「夢に向かっている」というのも、自分の夢なのか、会社と合わせた自分の夢なのか。後者で語れる組織に入った方が、自分がそうなる可能性が高いんですよね。

選ぶポイントに戻りますと、「いかにビジョンを語っているか」「それに共感できるか」が大事にしないといけないポイントで、そういう語り方ができている社員さんがいっぱいいるかは、見極めるポイントの1つになるんじゃないかなと思っています。

北野:なるほどね。Twitterでもコメントをいただいています。「一社会人としてこのセッションを聞いて、今いる社員たちも未来の社員たちもイキイキ働き、成長する会社になれる制度が作れるように努めます」みたいな。

(一同笑)

曽山:ぜひ、がんばってほしいですね。

北野:(Twitterで)「『主役感』というのはなんかしっくり来るワード」というコメントが。

曽山:ぜひ使ってください!

北野:ポイントをゲットしました。

曽山:やった!

(一同笑)