2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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飯髙悠太氏(以下、飯髙):それでは本日3本目、いかせていただきます。初めてアイコンが写真じゃない人が登場しましたね。謎のツイッタラーのjigenさんです、よろしくお願いします。
謎のツイッタラーjigen_1氏(以下、jigen):すいません、こんなんで。
飯髙:(笑)。じゃあjigenさん、ちょっと簡単に自己紹介してもらっていいですか。
jigen:Twitter好きのおじさんです。
飯髙:以上?
jigen:以上です。
飯髙:(笑)。
jigen:ソーシャルメディアマーケティングの仕事してます。
飯髙:なるほど、ありがとうございます。jigenさんって、ふだんメディアとかイベントとか出ないじゃないですか。なんで今回は出てくれたんですか?
jigen:いや、断ったじゃん。
飯髙:いやいや、そういうのいらないです(笑)。
jigen:(笑)。
飯髙:今回はOKって言ってくれたじゃないですか。
jigen:2回ぐらい「イヤだ」っつったよね。
飯髙:そうですね。でもアレじゃないですか、今回ゲストで登壇するアナグラムの阿部さんのMarketeerには出るじゃないですか。
jigen:あれはね、阿部さんが「Marketeerというのをやるんだけど、出ないのはわかってるけど、ダメ元だけど出ない?」って言われたの。
飯髙:いや、僕もいつもダメ元で聞いて出ないじゃないですか!
jigen:(笑)。阿部さんはけっこう仲いいから。
飯髙:いやいや、僕も仲いいはずですよ!
jigen:まぁ長いからね、付き合いね(笑)。
飯髙:(笑)。じゃあjigenさんはソーシャルメディアに対していろいろ仕事をやられてるので、今回は日本だけではなくて、海外のところもいろいろリサーチされてると思うので、そのへんもぜひおうかがいできればと思います。
jigen:はーい。
飯髙:一発目は日本になるんですけども。今コロナによって会社だったりとか、それこそお手伝いしてる会社が、どうなられてますか?
jigen:やっぱり広告の自粛ってのは大きいですよね。たぶん広告業界の人は、みんな同じことになってるんじゃないかと思うんですけど。巣ごもり景気のクライアント、そういうもの以外に関しては。
お店が開いてなかったりするから、そうなるとそもそも「広告宣伝したってしょうがないよね」というのは、まぁ当然っちゃ当然だよね。東日本大震災のときに近いような状態にはなってると思いますよね。
飯髙:でも東日本大震災のときって半年ぐらいですよね、経済がだんだん戻ってきたのって。
jigen:うん、うん。
飯髙:でも日本においてまだまだぜんぜん、不透明な部分が多いじゃないですか。その中でソーシャルメディアに対して今やるべきこと。今までだったら「広告配信して獲得をしよう」みたいな考え方だったのが変わってきていて、じゃあブランドをどうしていくかってところで、SNSの有用性みたいなところってあったりするんですかね。
jigen:これはいつも言ってるポジショントークみたいになっちゃうけど、オーガニック運用はやっぱり配慮しながらもできるし。オーガニック運用まで自粛する必要もないと思うしね。今回のやつは誰かが悪いわけじゃないんで。そういう意味ではやっぱり、オーガニック運用ができる・できないに関しては、今までそういうことに対しての準備ができてたか否かで、大きく左右するかもしれませんね。
飯髙:SNSで今までだったら広告ガシガシ当ててたような場所だと、オーガニックのノウハウもないし、蓄積もないし、みたいなところはやっぱり苦労しちゃうけど。地道にやってきてる企業たちであれば、正しい行為をやっていけば、それはそれでちゃんと息は長いよ、みたいな考え方ですよね。
jigen:そうですね、ファンが支えてくれる部分があるんで。なので一部「こんな不謹慎な」とか言う人もいるのかもしれないけど、だいたいファンの声にかき消されますよね、そういうのは。
飯髙:jigenさんってずっと広告とかの畑にいる期間も長いとは思うんですけども、その中で考え方がわりと違うじゃないですか。「いかにオーガニック」みたいなところって、やっぱりベガルタ仙台ファンというのが影響してるんですか?
jigen:(笑)。ベガルタ仙台、J3まで含めて(Jリーグで)一番最後にアカウント作ったチームだからね。
飯髙:(笑)。
jigen:そういう意味じゃ、オーガニック運用もへったくれもなくて。「ベガルタ実況アカウント」という、サポーターのアカウントが一番フォロワー多かったってチームだからなぁ。
飯髙:でもファンの重要性みたいなところはやっぱり、スポーツのファンでいたからこそ、広告で当たる部分よりも、そこの根強い部分のほうがいいんじゃないかというのがあって。それが仕事で生きているみたいなところは、少なからずあるというようなことですよね。
jigen:それは間違いないよね。ベガルタ仙台がまさしくそうじゃん。J3まで含めて一番最後なんだけど「ベガルタ実況アカウント」というのが数万人フォロワーいてね。そのアカウントが試合の実況したり、試合結果だったり、チームのリリースだったりってものを見つけたら、それを配信してくれるわけよ。それ無償じゃん。
飯髙:無償ですね。
jigen:ファンっていかに助かるかってことだよね。そこまで自分の時間使ってやってくれるわけなんで。そういう力強いファンがいるからこそ、企業のブランディングというのは助かる部分もあるんで。
飯髙:なるほどですね。ちょっと話をグローバルの視点に広げたいんですけども。中国は1回自粛になって、今オープンになってるエリアもあったりという中で、中国の現状ってどうなられてるんですか?
jigen:中国のほうは上海とかもそうだけど、もう復活しつつあるっていうか。私の知り合いの中国でビジネスしてるような会社、あと中国系の企業に行ってもですね、やっぱり「もう回復の兆しが見えてきている」というようなことを言ってますよね。
とはいえ、また出て感染して広がってしまったら、同じことになってしまうので。そこの制御というのはこれからやっぱり、中国も課題なんじゃないかと思いますよね。
飯髙:現状としては回復しつつあるから「外に出ていいよ」みたいなのが出てるけど、これがまた第二波が来れば同じことになるってことですよね。
jigen:可能性はあるので、やっぱりそこは重々気をつけてやってるんじゃないかと思いますね。
飯髙:その点でいくと、経済政策とかだと、日本だったら今「一律10万給付する」みたいな話しされてますけど。それって中国含め海外ってどういう対策をされていて、その背景ってどんなことがあるかを、わかる範囲でいいんですけども、ぜひお聞きしたいんですけれども。
jigen:日本もね、ソーシャルメディアのユニークユーザー数は激増してるはずなんですよ。これは中国もアメリカも一緒で、ソーシャルメディアで情報の交換をしてるというのはめちゃめちゃ確か。
で、中国とアメリカ、今回は時間もないからこの2つの比較していくんだけど。中国は基本、アメリカと違ってあまりレイオフできないっていうか、解雇を勝手にできないっていう国でもあるんだけど。中国政府自体がなにか施策をするというよりもね、具体的に動くのは北京市とか上海市とか、地方自治体が経済政策について実際対策を打ってるということなの。
中国政府としては「雇用を守ってね」みたいなことを言う感じなんだけど、北京市とかはけっこう裁量が大きくて。びっくりしたんだけど、人員削減を行わなかった中小企業とかはね、社会保険の中でも失業保険に関しては、去年納めた保険料の50パーセント還付してくれるんだよ。50パーセントだよ。
僕の知り合いの中国でビジネスをやってる経営者に聞いたんだけど、ある日突然メールが送られてきて「支払った去年の雇用保険、50パーセント返しますよ」みたいなね、メールが来ちゃうわけよ。その人たちも、にわかに信じられないじゃん。だから「これ本当なの?」って感じでいろいろ確認したら、本当だったと。やっぱり「これは助かったね」というふうに、めっちゃ言ってたよね。その規模たるや数千万だよ、返ってくるの。雇用保険だから。
飯髙:ヤバいですよね。
jigen:中国の基本的な考え方というのは「失業者を出さなかったら、失業保険の支払いを防げる」。それに協力してくれるんだから、毎年かけてる失業保険の会社が負担してる部分の半分返しますよ、ってことなんだ。合理的だよね。「失業者を出さない会社には、雇用保険の去年の半分返しますよ」みたいな。
飯髙:でも「失業者を出さない」って意味合いだと、日本もそういう文化じゃないですか。という中で、そこの中国と日本の違いというのは、どう見られてますか。
jigen:日本の場合はね、あとアメリカとも比較しなきゃダメなんだけど、日本の場合はそうはいっても非正規雇用が40パーセントぐらいいるでしょ。
飯髙:はい。
jigen:そこの人たちはやっぱり、外国人労働者の人たちとかも含めて、解雇されちゃうっていうか、弱い立場なので。そういう部分があるんで、やっぱり政府が「30万円支給する」って最初言ってたやつ、まぁ変えましたけどね。そう言ってるのはやっぱりそこに弱者がいるっていう前提で、やってたと思うんだよね。
飯髙:なるほど。
jigen:一方アメリカっていうのは、レイオフできるじゃん。バーンと。レイオフってトランプ大統領が非常事態宣言を出して、そこからの4週間で失業保険の申請が2,200万件あった。めっちゃレイオフできる国なんだよね。4週間で2,200万ってどうかっていうと、リーマンショックの8倍ぐらいなのよ。なので、そのぐらいのインパクトがあるんだけど。
アメリカの場合はレイオフしてもいい文化というか、その制度の良い悪いは別として、レイオフできるわけよ。その代わり企業側は人件費負担が減るので、他の部分は自己責任で、自分たちでがんばってくれという文化。
中国の場合は14億人弱いるから、一人ひとりに対応していったんでは間に合わないじゃん、人口が多すぎて。ということで、やっぱり雇用を維持してくれる企業のほうに助成するとか、還付するって考え方になるんだよね。
となると日本は、非正規雇用の人たちをどうしようか、とかいうことしなきゃなんない反面、一方で社会的危機にあった……飲食店とか、店舗やってるとこ、こういう経営者が一生懸命、解雇しないようにがんばってるということなんだけど。
それは信用保証協会付きの無担保融資というのを出すから、それでしのいでくれって話になっちゃう。これ、じゃあ第二波・第三波ってきたときに、「また借金繰り返して進めるんですか?」って話になっちゃうよね。そこのところはやっぱり、日本は中国とアメリカの半々か、6:4ぐらいで中国寄りっていうか。レイオフできないって意味ではね。
やっぱり僕の周りの会社さんで飲食業とかアパレル業の人から聞くと、売上が8割減とかなんですよ。それで「人件費は自分で負担してください」というのはかなり厳しいかなと思うんだね。
こういう話してると「雇用調整助成金があるじゃん」って言われるんだけど、あれ、今のところ使い勝手が悪いということが判明してて。4月10日の時点で460件の申請のうちにね、助成が決まったの3件なのよ。460件だよ?
飯髙:それヤバいですね。
jigen:そう。これ『日経プラスワン』って番組見ててね、聞いた瞬間に耳を疑ってね。TVerだったんで何回も巻き戻ししたんだけど。
飯髙:耳が悪いんじゃないですか(笑)。
jigen:(笑)。やっぱり「460件中3件」って言ってたんだよ。これ、やっぱり期待したじゃん。9割の賃金の助成できて、5パーセント売上が下がったら対象になるって言ってたんだけど。現実はそういう比率だったわけでしょ。4月10日から2週間経ってるから、もっと改善してくれてることを願うしかないんだけど。最初の打ち出しとは違って「使えてないな」というのは現実あるわけよ。
飯髙:そうですね。
jigen:そういうことを考えると、じゃあ雇用調整助成金もそういう状況だっていうんだったらば、やっぱり閉めてる店舗に対する、なんらかの対策って必要なんじゃないのかなとは思う。
飯髙:そうですよね。国も【音声不良のため聴き取れず】っていうのを目先として考えていて、先のことはまだまだ難しいじゃないですか。なのでそこはどうなるかというのは、期待も含めてあるなっていうところですよね。
jigen:で、やっぱり今例に出したアメリカと中国って、GDPの1位と2位の国だから。そんなもの日本と比較になんないというか。一律に休業してるところをなんとかしろということはできないとは思うんだけど。それでも社会危機に際して、雇用の維持を中小企業に委ねてしまってる現状があるわけじゃん。
飯髙:はい。
jigen:委ねてる中国のほうは、そういう雇用保険の助成をしたりしてるわけなんで。なのですぐ解雇とかなかなかできない日本にとってはやっぱり、繰り返すけど「なにか新しい対策が欲しいな」とは思ってた。
飯髙:うん……なんかちょっと暗くなるんで、この話はやめましょう。
jigen:(笑)。
飯髙:(笑)。jigenさんって、リーマンとかITバブルとかいろいろ経験がある中で、withコロナとかアフターコロナっていう点に対して、どう考えてたりしますかね?
jigen:アフターコロナとかポストコロナってあるじゃん。事後ね、回復したときというのはあるんだけど。現実、アフターコロナとかポストコロナってわかんないわけよ、誰にも。なぜかっていうと、withコロナの延長線上にあるから。
5月6日にもし本当に収束していくって言うんだったら、わりと感染者数を減らしていけて、キープしていく未来が見えてくるかもしれないけども。この、お店を閉めたりって状況があと3ヶ月続くなんつったら、飲食店の多くは厳しくなるし、大企業だってやっぱり厳しくなるよね。そういうかたちになるから、やっぱりどこかで収束させなきゃいけないというふうには思うんだけど。
じゃあどういうふうに変わっていくかというと、withコロナというのは、どういう形態で進んでいくかってのはまだ未知数だけど。例えば今の状態で進んでいくって言ったら、そうだな……「新型コロナ号」みたいなタイムマシンに乗って、半年後もこのままいったって(未来に)行ったら、荒涼たる世界が待ってるわけじゃん。
多くの企業が厳しい状況に置かれてしまうということを考えると、それできないよね。僕はアビガンとかそういう、肺炎に効く薬とかの開発があったら、集団免疫のほうにいってでも経済の失速を止めないといけないんじゃないかなぁ、と思ってる派。
飯髙:なるほど。まぁそうしないと、経済ダメージが一生続くってことになりますからね。
jigen:例えばバブル崩壊のときを「失われた20年」とか「失われた30年」とかって引きずったわけじゃん。現実。で、この間に日本はデフレとか、あとはさらにリーマンショックとかITバブル崩壊とか、緩やかにそれを乗り越えてきたのよ。
で、その間に世界ではGAFAとか含めて、ここ10~20年で出てきた産業に、ことごとく日本企業って抜かれていっちゃったわけだよね。なので緩やかな状況の変化に、ゆでガエルみたいな感じで、平成丸ごと浸かっちゃったみたいな感じなの。
やっぱり令和にそれを持ち越すってのは考えられないよね。氷河期世代の苦労した人、私の下の世代なんかはそうだけど、もう1回その氷河期世代みたいな人たちを、2世代ぶん作っちゃうの? ってことはやれないじゃん。現実的に言うと。
そう考えると、やはりこれからはこれを機会に、新しい日本を作っていくとか。昭和の感覚を捨てて、新しい令和の時代を作っていくという。若者の出番だ、とは思いますよね。
飯髙:なるほど。僕もまだ社会人になって10年ちょいなんですけど、いろんな書物とか読んでも、日本ってなかなか新しい産業が生まれてないじゃないですか。その中で今おっしゃっていたように「新しい若者を取り入れる」みたいな言葉があったんですけど、じゃあその新しい若者を取り入れるためにはどうすればいいですかね。
jigen:失われた20年とか、ここ最近の20年の間にね、ブランドとか企業で何が起こってるかというと。20年前全盛だったブランドというのは、だいたい25歳ぐらいのお客さんが対象だったとするじゃん。20年経つとその顧客層って、45歳になってるわけよ。
もちろん入れ替わりは徐々にしていったものの、今ある実態というのは、お客さんと共にブランドも年取っちゃってるってことなんだよね。そのブランドのまま新しい世代向けに「若者を獲得しよう」と言うんだけど、この20年間とか30年間の平成のときにやってきたスタイルっていうのが、古いわけだよね。マーケティング手法としては。スマホネイティブとかソーシャルネイティブな世代を、年取ってしまったブランドで取り込もうって言っても、なかなか難しい。
私のお客様で、そういうふうに20年間、お客様と共に年を取ってしまったブランドさんが、新しい若者向けのブランドを立ち上げるというのは、本当に苦戦してる。
飯髙:気になるんですけど、なんでそこで新しい若者を取り入れるために、組織が変われなかったんですかね。
jigen:それは失われた20年とか30年の中で、長くこれに浸っちゃったってことなんじゃないかと思うんだよね。多くの企業の、私とか中年以降の人たちが、それに甘んじてきたというのはあると思う。そのせいで、今までの手法のまま来ちゃったんだよね。
今までの手法のまま来ちゃったっていっても、時代はデフレで、氷河期でっていうようなことになる。それが良かったわけはないんだけど、なんとなくそのまま来ちゃったということ。で、今さら長年続けてきたことを変えられるのかというと、実は変えられないってことが、今の日本のジレンマなんじゃないかな。
飯髙:今回のコロナを、もちろんすごく医療従事者とかスーパーとか、今、大変な思いで働いてる方々がいる中でなんですけど。いい意味で変わるチャンスなのかなって、僕自身は思っていて。ここで変わる・変わらないって、めちゃくちゃ大きいじゃないですか。
この中で、やっぱり変わる怖さがあるとは思うんですけど……なんだろう、ちょっと質問の内容忘れちゃいましたね(笑)。
jigen:やっぱりね、今この機会に変わらないと。そもそも日本ってこのままだと、GDP3位から4位、5位って転落すると言われてる。オリンピックなくなったけど、オリンピック後には不景気が来るんじゃないかって言われてたけど、それが前倒しになっただけだと思えばね。それをリセットして、新たな手法を試せばいいんじゃないかなと思うんですよね。
飯髙:リセットして新たな手法を試す、っていうのは正しいですよね。
jigen:……まぁ、こんな感じ?
飯髙:そうですね、1時間半やると僕の頭もなかなかヤバくなりますね、これ(笑)。
jigen:(笑)。
飯髙:明日も第3部なんですよね。「えーいこら」でやったわりには、なかなか回すの難しいなと思ってます。ちょっと時間早いんですけど、最後にjigenさんから今聞いている方々に対して。今「リセットして新たな手法を試す」みたいな、すごくポジティブな言葉も出ていて。その中でメッセージであったりとか「こういうふうに考えたらいいんじゃない」みたいなところをぜひ、お聞かせいただきたいです。
jigen:withコロナ如何ではあるにしてもね、アフターコロナというのは、実は薄々みんな「その先どうなるか」って予想してたはずなんですよ。例えばAIが実用化されたときに「こういう職業はなくなるよね」とか言われてたし。こういうソーシャルメディアマーケティングが勃興したときには「既存のマーケティングは、もしかしたらこう変わるんじゃないか」とか。
例えば飲食店が今回どんどん、なくなってほしくないけど、なくなっていった場合ね。コンビニとかスーパーでものを買って食べるってことが、これが続くのであればそういうふうになっていくじゃん。そうするとやっぱりコンビニの位置づけって、めちゃめちゃ重要になってくるよね。今でも重要だけど。
そこに、食料品を買いに行くっていうニーズのほうが多くなったときに、コンビニの雑誌コーナーをそのままにしておくのか、それとも増え続ける食料のニーズで、その棚を食品に分けるのかっていっただけで、考えたくもないだろうけど出版業界の人たちの命運が決まっちゃうわけじゃん。
だってコンビニがたくさんできて、本屋さんがどんどん日本からなくなっていってるっていう現状の中で、そういう食料品が優先されることになって、本のコーナーがコンビニからなくなったら、どうやって出版社やっていくんだろうね、とか。そういうことはこの話以前に「もしそうなったら」ってのは薄々感じてたはずだよね。
アフターコロナというのは何故わからないかというと、そのように一つひとつの事象によって、それぞれの職業の人に与えるインパクトがさまざまだからなんですよ。実はこれを聞いてらっしゃる、とくに若い人が多いんだろうけど、若い人たちは薄々「こうなっていくんじゃないか」って思ってた未来ってあるはずなんだよ。「これがもしこうなったら、こうなるんじゃないか」。おそらく、それはそうなります。これを聞いた方が何を想像してるかわかんないけど、おそらくそうなります。
なので、ものすごい劇的変化がアフターコロナで起こるかというと、そういうふうじゃなくて。今まで想像できたことが早回しで、想像した結果のほうに向かっていくっていうふうに考えたほうがいいよね。
失われた20年、30年でゆっくり歩んできた、例えば日本のEC化率だとか、ネットスーパーであるとか。食料品なんて本当、数パーセントなんですよ、ネットスーパーでやられてるのが。だけど今回はものすごく大きくなったじゃん。
飯髙:うん、そうですね。
jigen:日本のEC化率って、先進国に比べるとだいたい一桁台なんですよ。ほかの国は毎年だいたい、二桁台で増えていってる状況。だからEC化率がどうなるかというと、中国ほどいかないにしてもまぁ、先進国並みにEC化率が進むってだけの話。それって劇的に変わった話なのかというと、日本が遅れてただけで。
だからソーシャルメディアマーケティングの、デジタル広告に占める割合ってね、日本って10パーセントぐらいなんだよね。だけどアメリカになるともう30パーセントぐらいなのよ。そこに辿り着くまでに3年後、4年後を見てたわけじゃん。ところがこの重要な局面になって、一気にタイムマシンがスピードを上げて、こっちの方向に向かっていくと。「ソーシャルメディアが30パーセントなんて」って言うかもしれないけど、30パーセントとか、そういう国があるんだから。中国とか。現実論として。
なので、今まで遅々として進まなかったような状況が、加速して進むようになる。ということは、若い人たちの出番がどんどん増えていくだろうから、ぜひそういった早回しで進む未来を、柔らかい頭で切り開いて欲しいなと思うね。
飯髙:なんか……亡くなっちゃうみたいですね(笑)。
jigen:(笑)。もう僕はおじさんだから。やっぱり若い人に託さないといけないなと思うのは、例えばもうそろそろビジネスマンの人生、あと十何年で終わるわけじゃん。だけど失われた20年、30年ってそれを飲み込んでるんだよ。ということは、僕みたいな中年以降の人というのは、もうなにかの回復を待ってる歳じゃないわけだよ。20年かかったら終わるじゃん、僕なんて。
飯髙:(笑)。
jigen:あと20年かけてもらっても困るのよ、僕らとしても。なので、EC化率だったり他国に比べて遅れてたものを、早回しで進めていってもらったほうがいい。失われた時期が「回復しましたよ」ってときに、70超えてたりとか80だったら遅いわけだよ、僕らは。ということは、若い人に早回ししてもらったほうがいいかな、というふうに思う。
飯髙:確かに、いい言葉ですね。しかも最後のメッセージ、ちゃんと30分にしてくれましたよ(笑)。
jigen:帳尻は合わせるよ。
飯髙:(笑)。ありがとうございます。
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