34歳元お笑い芸人が転職できた「自己開示PR法」

中北朋宏氏:さて、「自己開示PR法」ということで、具体的にご紹介します。弊社の34歳元お笑い芸人。やっていた仕事は、おぎやはぎさんの付き人。そんな彼がマネーフォワードに合格して、今、営業でバリバリやっています。

なぜこんなことが実現できたのかを、ノウハウとしてお渡しできればと思っています。

まず前提となる自己開示する意図として、感情というのはそもそもメカニズムとして、相手の感情と共鳴して同じ感情を引き出すような効果があるということですね。つまり、「本音を言ってくれたら本音を言うよ」と。返報性の法則とも言います。じゃあ、具体的にどんな法則でやっているのかという話ですね。

それがこちらでございます。ヒーローズジャーニーをご存じの方、どれくらいいらっしゃいますでしょうか。知っている方は丸で、知らない方はバツでお願いします。リアクションしない方は知っていると捉えます。ありがとうございます。

意外と知らないので簡単にご説明します。ハリウッド映画などの業界で大きな影響を及ぼしたと言われている有名な理論です。例えば、『スター・ウォーズ』もそうで、ヒーローズジャーニーの理論に合わせて12個のステップを踏むと、基本的にはおもしろくなると言われています。

端的に言います。平凡な日常から、次に2つ目、非日常へ誘いがあって、非日常の拒絶があって「やはり行きたくないんだ」と。途中、ヨーダみたいな師を仰ぐんですね。「わー、ありがとうございます。師匠」みたいな。そして事件が勃発するわけです。それで、試練と仲間と宿命の敵と出会うわけですね。ライバル関係みたいなね。

そして、ストーリーの深い描写や最大のチャレンジがあって勝利して、帰って復活して日常に戻る。何となく「あの漫画もそうだな」みたいなものはないですか? 例えば『鬼滅の刃』とか『ワンピース』みたいな感じでやると、基本的には人気が出ると言われています。

人の心を動かすストーリーの構成

そして、これをベースに作ったのが、弊社のオリジナル「Vのストーリー」でございます。簡潔に言うと、Wのストーリーと言われているのが、「普通の人がダメになっちゃって、ちょっとがんばって、またダメになってもう1回勝ち上がって行く」というものなんですけど。

それでも長いので、基本的にはちゃんとしている人がダメになって、それでもがんばっていけるというストーリーに乗せて言うと、人の心が動きやすいです。つまり、山と谷の感情の変化を伝えることによって、人の感情を動かしやすくなるというお話ですね。このフォーマットに入れてご説明します。後ほど具体例にご説明します。イメージが湧くと思います。

そして、その中に入れる構造を、弊社として定義しております。当時、司会業をしていた非常に有名な方のものを分析したものになります。

彼が2つの感情を操作できるというところがすごく重要だったんです。彼は感動を生み出せて、かつ、笑いが取れると。ここを行ったり来たりできる。

さらに3つ目。それが「ためになる」ということですね。今の時代にはすごく重要です。なぜかと言うと、シェアされやすくなるということですね。

最後に思い浮かべていただきたいのが、その話の全体像に30パーセントの毒を盛り付けるというのがものすごく重要になります。こうすることで、その話自体が記憶のアンカーになると言われていますね。忘れにくくなる。

毒というのは何かと言うと、毒舌ではなくて自分の意志です。自分の意志をつけることによって、しっかり人の記憶にフックがかかるということですね。

2つ目が、感情を動かすためにエモーショナルに伝える。一般的に「感情的に伝えることが重要だ」と言われています。「○○なんですよ!」みたいなことは重要なんですけど、一方でそうではなくて、感情を伝えることが重要です。どう感情が変化したか。

「私はこの事象がすごく重要だと思っています!」だけではなくて、その事象によってすごく泣いた、すごく悲しい気持ちになった。でも、それでもがんばったんだという、2つが相なることで、基本的には人の心を動かしやすくなるというところでございます。

自己開示で失敗しないための3つのポイント

そして、自己開示の注意点がございます。まずはレベル感を合わせましょうというお話があります。具体的に伝えます。初めて会った時の会話を想像していただけますか。初めて会った人との会話。自己開示レベルがズレているときです。

「初めまして。田中と言います。趣味は○○です」。これ、まあOKじゃないですか。これに対して、自己開示レベルが外れているとは、どんなことか。「初めまして。鈴木と言います。俺の浮気で昨日離婚したんですよ」って自己紹介、かなり気持ち悪いじゃないですか。「こいつ気持ち悪いな」ってなるでしょ。自己開示レベルがちゃんと合う必要があるということですね。

さて、もう1つ。自己開示する内容です。例えばポンコツとか、だめな自分をさらけ出すだけが果たしていいのかというと、そうじゃないんですね。「数字がまったく上がらなくて……。僕、上司からいつも詰められて毎日がキツいです。上司が嫌いです」と自己開示されても、信頼獲得には繋がらず、共感は得られない。

何を自己開示するかというとこれですね。「数字が上がらず、上司に毎日詰められて辛い思いをしていました。でも、今では数字を達成できるようになり、あの頃の上司に感謝しています」。

つまり、何が言いたいかと言うと、自分の感情が動いた辛い経験であるということは確か。でも、その経験を必ず乗り越えていないと難しいということですね。

例えば、自虐できつい空気になる方、「すいません。太っててぜんぜんモテないよ」という方でウケないパターンというのは、その事実を受け入れられていない方って、基本的にめちゃくちゃ苦しい空気になっているケースが多いですね。

「めちゃくちゃ悲しい目をしているな、こいつ」みたいな。それはちょっと笑いづらいなという空気になりやすいです。ぜひ、ここを押さえていただけるといいなと思います。

もう1つ、下剋上のフレームワークにする必要がある。つまり、何を言っているかというと、下剋上に共感しやすい。公園で素手でアリを潰している大人を見た時に、かなりヤバい奴だと思うじゃないですか。でも、仮に公園で動物園から逃げてきたライオンを素手で戦いを挑む大人って下剋上になっているじゃないですか。こいつ、ちょっとやり手なんじゃないかと思うと。

あくまでも、だめな自分、謙虚な自分が大きなものに戦いに行くという構図にするべきであるということです。公園でライオンと戦っているやつもだいぶヤバい奴だと思いますけどね。下剋上のフレームにするということです。