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トークセッション(全6記事)

「昔は無だった」「僕はポンコツ」 伊藤羊一氏と澤円氏が語る、自分を認める一歩の踏み出し方

プレゼン界の両巨頭、伊藤羊一さんと澤円さんによる新著『未来を創るプレゼン』の発刊を記念して、激変する環境の中で、悩みながらも一歩を踏み出そうとする人へのヒントとエールを送るイベントが開催されました。本パートでは、伊藤氏と澤氏が出会ったきっかけと共著出版の経緯を明かします。

自分の未来を創るための一歩を踏み出すイベント

辻貴之氏(以下、辻):あらためまして、みなさんこんばんは。大変お待たせいたしました。こちら伊藤羊一さん、澤円さん共著「未来を創るプレゼン」発売記念、『未来を創るイベント』。今度こそ、今を生きるあなたと共に始めたいと思います。ここからの2時間は、われらが羊一さんと澤さんのプレゼン界二大巨頭による共著、『未来を創るプレゼン』を2時間でご体感いただく、そんなひとときです。

未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」

今日のゴール、今日これを2時間聴き終えた後、羊一さんと澤さんと西館君と僕は共に無事終わったということでハイタッチをすることを目指すわけでございますが、みなさんは「私はこう思う」という未来を決め、それを作るために踏み出すきっかけを得ていただきたいと思っております。

流れは大きく6構成です。まず1つ目、オープニングトーク。そもそもなぜこの二人がこの本を書いたのか。二人の出会いの馴れ初め、本に込めた思いなどを、まずご共有いただきます。そしてこの本を書くまでに至った過去から今までの流れを、羊一さん、そして澤さん、それぞれにお話しいただきます。

そして、そんな過去から今までを振り返ったところで改めて、今、そしてこれからどうするか。まさしく今日のテーマですね。具体的にどんなことを考えた、生き様とか、人としての幸せについて考えを語っていただいた後に、オンラインの一問一答、グランドフィナーレ、そして私はこう思うということを、羊一さん、澤さんからお話しいただいて締めます。そんな2時間です。

改めて著者をご紹介します。みなさんご存知、伊藤羊一さん、澤さんです。詳細はもうみなさん、すでにご存知だと思いますので、羊一さんに関しては、何はともあれ来年4月開校の武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長就任、おめでとうございます。

伊藤羊一氏(以下、伊藤):いや、まだ準備中でございます。

:今日のイベント同様に、来年4月にはハイタッチできて学部が開設できるというふうにみんなで信じて待っています。そして同じく澤さんも、アントレプレナーシップ学部の教授に就任のご予定ということです。まさしく未来を切り拓く若者たちを育てる場を来年4月にお作りになる。今回はそんな教授のお二人のイベントです。

伊藤羊一氏と澤円氏が出会ったきっかけ

:ということで、それでは改めて、お二人ご登壇いただきましょう。伊藤羊一さん、そして澤円さんです。よろしくお願いします。

伊藤:よろしくお願いします。

澤円氏(以下、澤):よろしくお願いします。

:ということでオープニングトーク、「なぜこの二人がコラボを」ということで、オープニングまでのこの5分間、回線が切れることもまったくなく。

伊藤:良かった~(笑)、やり遂げた感がありますね。

:良かった。

:大丈夫ですよ。

伊藤:もう大丈夫ですね。良かった。

:一応このオープニングトークの約20分は、「お二人の出会いの馴れ初め」、「なぜ一緒に本を書くことになったのか」、そして「本で伝えたい今からの世界観」、この3つについてお話しいただければと思います。改めて、そもそも二人出会いのきっかけといえば、どんな感じだったんですかね。

伊藤:2年前なんですよ。明確に覚えているんです。2年前の2018年2月ですね。

:よく覚えていますね。

伊藤:はい。なぜそれを覚えているかというと、私も澤さんもICCサミットというイベントに出ておりまして、僕はそこに澤さんがいらっしゃることを知っていたわけです。

前夜祭で会った時に、「澤さんがいらっしゃったら挨拶しよう」と思っていたら、本当にいたんですね。目立つじゃないですか、澤さん。「澤さん、いるなあー」と思って、挨拶しようと思ったのが初めて。福岡で2018年2月にお声かけして、「伊藤です」ということで、「はじめまして」のご挨拶をした、それが最初です。だからまだ2年間ですね。

:そうですね。2年くらいですね。実を言うと、そのときすごいギャップというか、僕からすると「なんでこの人僕に声かけるんだ?」というのは正直な内面の気持ちなんですね。

伊藤:なんですか、それ。

:だって、圧倒的に実績のある方だとこっちは思っているから。「なんでこの人、僕に興味を持ったんだろう」って、実はあまりよくわかっていなかったです。うれしいんだけれども、どういうところに興味を持ってもらったのかなって、その瞬間はよくわからなかったですね。

当然その後にお互い興味を持ってコミュニケーションし始めたら、完全に同じ方向を向いているということがわかったので。そこから先は早かったですね。

目指す方向性が近すぎて……

伊藤:そうですね。だからそういう意味で言うと、ずっと10年くらい友達のようなそんな感覚でおります。

:濃密ですよね。

:目指す方向性、作りたい世界観が一緒ですよね。

伊藤:そうそう。

:Give Firstとか、自分のあり方を大事にするとか。

伊藤:本当にそうですよ。だから逆に言うと、本を書こうという話になったときに、いやーこれヘタしたらつまんない本になるぞって、最初は心配したんですよ。なんでかと言うと、二人で書く意味があるかなと。(目指す方向性が)同じだから、対談が対談にならないって思ったんですよ。

ただ同じ方向を向いていてもやっぱりアプローチが違うし、今日みたいに話してみると、たぶん違うアプローチで聞いていただけると思うので、楽しんでいただけると思うんですけど、最初に本を書くという話になった時は、正直「これはやばいだろう」と思いましたね。

:澤さんはいかがでした?

:前におっしゃっていたけど、試合にならないんですよ。話していてバチバチにならなくて、ものすごく心地よいラリーになりがちなんですよね。

伊藤:「そうそうそう」「そうそうそう」、みたいな。

:「わかるわ~」みたいな応酬になる。ただ、この後にも話が出てくるんだけど、そこに至るまでのプロセスは二人とも全然違う。だから、逆にそこがものすごく重要であるということも、共通の認識なんですね。

となってくると、これは全員に言える話だよねと。全人類一人ひとりが違うバックグラウンドを持っていることそのものがコンテンツなので、そこにもっと自信を持ってほしい。これも我々の共通の思いであり、それをアウトプットしてつまらなくなるかと言ったらそういうものでもないかなと気づいたので、どうにか本になったという感じですね。

伊藤:そうですね。

ポンコツでも、オンリーワンの自分を好きになったほうがいい

:確かにお二人にいつも共通するキーワードの1つに「ポンコツ」というのがあるじゃないですか。若い時は今とはとても違った世界だったと。でも、いろんな行動を経て気づきがあって今に至った。全人類が違うフォーマットだけど、そこは共通していますよね。

伊藤:だから、まさにG2さんの言った「ポンコツ」。澤さんも「ポンコツだ」と(言っているし)、僕も「昔は無だった」とよく言っているんですけど、そういうものがあるからこそ悩むわけですよ。「こういうのじゃない俺として生きたい」という思いがある中で、いろいろもがいてみるのは、自分で言うと大変僭越なんですけど、やっぱりどうしても深みが出てきますよね。

だから、パッと来た球をパッと打つようなものじゃない。これはなんなんだろうな、と深く考えることはすごくあるので、そこの共通項のようなものを感じますよね。

:まさしく出くわした出来事、その出来事の解釈、そして考え方はお互い違うんだけれども、通底するところはお互い共通していたと。だから僕たちも聞いていて、「ひょっとしたら二人みたいになれるかもしれない」という希望を描けますよ。

伊藤:というか、「なれる」とか「なれない」とかないんですよ。だって僕も澤さんもG2さんもオンリーワンだし、みなさんがオンリーワンで、77億分の1なんですよね。77億分がオンリーワンの存在なので、そういう意味でいうと、みんな(すでに)「なっている」んですよ。みんななっているし、なっていないんですよ。

:確かに。ただ、なっているというその事実に、自分が気づいていない人たちを後押しするのが我々の存在でもあるので。

伊藤:本当にそうですね。

:なっていることに気づけていないとか、なっていることが受け入れられないということですかね。

伊藤:そうそう、受け入れられないというのはすごくあると思いますよ。「オンリーワンというのはわかるんだけど、私はこういうところは受け入れられない」というのはあると思いますよね。でも、やっぱりみんな自分のことを好きになった方がいいですよね。だって、自分しか自分のことを好きでいられないですから。

妻に言われた「自分に対して厳しすぎる人」という言葉

:澤さんもそうですか。

:そういうマインドセットになってきたのって、ようやくですよね。これは後でちょっとお話ししますけど、僕はカミさんに「結婚してから気づいたけど、今までで一番出会った中でも本当にトップレベルで、自分に対して厳しすぎる人」とすごく言われたんですよね。

:なるほど。

:「異常なまでに自分に対して厳しい」と言っていて。僕はこれが当然だとか、それはあるべき姿だと思い込んでいたんだけど、最近は「厳しいのもやっぱり限度がある」とだいぶわかってきたんですね。ましてや厳しい状態でいようと思っている一方で、僕はそもそもポンコツなので、厳しさの方がもう枯渇するぐらいにどうしようもないわけですよ。

むしろ「もういいや」って思っちゃった方がいい、というのはわかっているし。でもまだ僕はこれを改善中なんですよね。改善中であるというOn goingのところは共有できる。これは僕にとっては一つのコンテンツになっているし、自分を突き動かす原動力にもなっている。自分が先にゴールにむけていろんな人たちを引っ張っているという感覚は全然ゼロで、僕は本当に常にみんなと並走していると思えるんですよね。

:例えば、何に対して厳しいんですか? 

:自分に対するちょっとした事も含めて、ありとあらゆるもので。だから、先週の(オンライン配信のトラブル)なんて絶対に許せないですよ。例えば、忘れ物をしたことも許せないわけですね。だけど、その一方で忘れ物は毎日100パーセント(やってしまうこと)なんですよ。今日も持ってこようと思っていたiPadを忘れちゃって、しょうがないから今iPhoneでやっているんですけど、それぐらい忘れ物が多い。

前まではそういったものを口に出せなかったんですよ。あまりにも頭にきすぎちゃって。最近はこれはネタになるとわかってきているので、こういう失敗をしたこともどんどん開示するようにはしているんですけどね。

失敗談をオープンにすることの利点

伊藤:開示するとクリアになることって、けっこう大きいですか?

:そうですね。言語化していけるのと、もう1つは周りが安心するということですよね。「あっ、失敗したんだ」「こいつも失敗するんだ」というふうに。「偉そうにいろいろ言っているけれども、こいつも失敗するんだ」と思ってもらった方が、僕の話は結果的には伝わりやすくなるかなという。

:それはそうですね。どう考えてもそうですよ。

:そもそも出会いの馴れ初めに話を戻すと、この手のことってパーティートークでちょっと話しても気づくものなんですよ。例えば言葉は悪いですけど、場合によっては、羊一さんだったらマウントを取りに来ることだってできるわけですよね。ましてやその後に本を出してバカ売れして、もう僕なんかとは出版部数が違うわけじゃないですか。

それでマウントを取ることもできるけど、絶対しないんですよ。それは意味がないこともわかっているし、あるいはどちらかというとそれは結果であって、プロセスの部分で共感しあえる仲だということもわかっているので。そういったところがすぐに伝わったので、その後も何か誘われた時に基本的に全部乗っかると(いうふうに)、自分で判断しやすかったですね。

伊藤:なるほどなあ。

0秒で動いて0.5秒で決まった、共著出版の経緯

:そんなお二人が本を書くことになったのは、どんなきっかけだったんですか?

伊藤:きっかけはなんでしたっけね。

:最初は僕のところに『あたりまえを疑え。』という本を出した時の編集プロデューサーの人が、話を持ってきてくれたんですね。(その方が)ほぼ同時に羊一さんにもコンタクトをしていて、メッセンジャーなどでつなげてもらって「どうですか」と。

あたりまえを疑え。 自己実現できる働き方のヒント

断る理由がないので、「それはやるよ、それはやるやる」と、トントン拍子で。最初のところは、話が来て「いいよ」と言うまでは0.5秒ぐらいでした。

:ほぼ0秒で動いていますね(注:伊藤羊一氏の著書『0秒で動け』にかけて)。

0秒で動け 「わかってはいるけど動けない」人のための

:そうです。0秒で動いたら、0.5秒で決まったみたいな。

伊藤:本当にそんな感じですよね。

:あっという間に決まって。「おお~、いいですよ」という。そこから先はかなりトントン拍子で話が進んだんですよね。

伊藤:最初に話をしたのはけっこう前ですよね。去年の春くらいじゃないですか。

:それはすったもんだがあって、もともと僕が本を出させてもらったのがセブン&アイ出版という会社でした。セブンイレブン系列なんですけど、セブン&アイ出版の方から話をいただいて。僕はそこの編集の人をものすごく信頼しているので「あー、やります」と言っていたのだけど、会社がなくなると。

ほぼほぼ後は刷るだけというところまでいってたんだけれども、セブン&アイ出版さんが事業をストップして、プレジデント社が社員を受け入れたかたちになって、急遽それを1回止めて。

なぜかというと、セブン&アイ出版の名前で出そうと思えば1月に出せたんですよ。事業譲渡が終わった後に廃盤になっちゃったんですね。なので実質2、3ヶ月しか売れないという話になるから、ちょっとそれはもったいないよねという話になって。

「待てますか?」と僕と羊一さんのところに確認が来て、「それは全然大丈夫です」と言って今まで待たせていただいて、5月の販売が決まったという。その時にはプレジデント社から出版されるという形でした。

生きづらい状況を乗り越えるための指南書

:なるほど。でも、そのおかげもあって……という言い方はなんですけど、この(新型コロナウイルスでたくさんの人が困っている)タイミングで読ませていただける。未来を築くにはどうすればいいかを書いていただいた本が読めるので、読者としては超ハッピーです。

伊藤:そうですね。これはタイトルに「未来を創るプレゼン」と入っていて、プレゼンスキルの話も当然入っているんですけど、生き様みたいなところを存分に語っています。そこは本当に、生きづらい状況のこのタイミングだからこそ読んでいただけるのが、すごくうれしいしいですね。

:この『未来を創るプレゼン』というタイトル。ネタバレにならないようにですけど、どういうことを思って、どういう行動に移って、今に至ったのかというテーマや流れは二人で決めた感じなんですか?

伊藤:しゃべっているうちにそうなっていったんですよね。

:そうですね。しゃべっているうちに、だんだん流れがそうなっていった感じです。これも編集の方々が本当にいいなと思ったのが、恣意的に無理に流れを作ろうしないでくださったんですね。

すごく例えが悪いですけど、よく刑事ドラマにあるような、共犯の二人が別々の取調室で取り調べを受ける感じなんですよ。要するに別々にばーっとしゃべって、口述筆記をするんですね。だから、その時点で本(の内容)が合うかどうかって、ぶっちゃけわからないんですよ。

どの話をしてるのかなって、まったくわからない状態でしゃべるわけですね。下手するとものすごく融合しづらい話をする可能性だって、なくはないわけですよね。そのリスクを承知で全部受けてくださって、あとしゃべっているやつが文章にまとまった後で、対談という形で二人のパートというのもあって、そんな感じになっているんですよね。

:冒頭でおっしゃっていたみたいに、そもそも目指す方向性とか、世界観とか、生き方が近いから、お互い違う場所で話しても結局通じるものは同じという流れになったんですかね。

伊藤:そうです。

:結果そうなりましたね。エピソードが違うだけとか、アプローチが違うという形になる。

不確かな時代を生きる上での考え方

:そんなふうにして作られた本を通じて伝えたいことは、結局「今からの世界をどういうふうに生きますか」と問うていただいていると僕は思うんです。この本を通じてお二人がお伝えになりたい世界観は、仮にまとめていただくとどういう感じになるんですかね。

伊藤:それはまさに、今日この場で話されることがそもそもな感じがしますよね。なので、今この瞬間、この言葉を発している感じが本を読んでいただくと伝わるかなというのと。今この瞬間をどういうふうに生きていくのかもこの本で伝わると思うし。

要はみんな違ってみんないいけど、目指す方向はみんな仲良くだねというか、みんな平和なんだよねという、さっきの話に近いと思いますよ。

:あとは「同じことをしなきゃいけないわけじゃないよ」ということなんですよね。どこかに正しい何かの決まりごとがあって、それに従うというものではない。本の中でもそうだし、たぶんこの後で羊一さんがお話をする内容の一番ベースになる考え方だと思いますね。

世界観と言ってるけど、「世界がこうなるから私たちはこうならなきゃいけない」という考え方って、僕は1回捨てた方がいいと思っているんですね。

ましてや、これだけ世界は不安定なんだと全員が思い知らされているわけで。その世界はオーバーじゃなくて、本当に世界中ですからね。その辺がすごく重要なテーマになってくるかなと。

:だからこそ、羊一さんで言えばLead the Selfだし、澤さんで言えばBeingだし、「自分自身が自分自身を決めて、どう導いていくかを決めて動く時代なんだぜ」、「未来を創る世界は、みんなが仲良くする世界だぜ」ということなんですかね。

:そうですね。他者をリスペクトしない限り、自分の人生を真っ直ぐ進むことは相当に難しくなりますからね。世の中って、自分の都合だけでは動いてくれないので。

:では、そんな18年の2月に福岡で出会い、目指す方向性が同じお二人が、まさしく今これからどう生きるかを伝える本。未来を創るプレゼンを今じゃないと作れないということが見えてきました。

さっそくではありますが、まさしく今に至るまでの羊一さんがどういう過去を過ごし今に至ったかについて、ぜひ聞かせてください。では羊一さん、よろしくお願いします。

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