2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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木村和貴氏(以下、木村):では会場のみなさんから質問を受けていきたいと思います。登壇者のみなさんに聞きたいことがある方は挙手でお願いします。
(会場挙手)
質問者1:今日は本当におもしろい時間をありがとうございます。質問というか、前提のところをもう一度自分に落とし込みたくてお聞きします。私はすごくアナログで古典的な読書の仕方をしてきて、小学校の図書館で端から全部読んでいくタイプです。
本は読んだら線を引きたいし、自分で読んだだけでは落ち着かないので誰かにしゃべりたいというやり方なんです。私がふだん生きている24時間以外の人生を血肉にしたくて読書をしているんですね。
今日お話を聞いていると、効率的に知識を……現代は忙しいから隙間時間でとか、今まで読書をあまりしてこなかった人でもきっかけづくりに、というような感覚があって、この古典的な人間にも新しい場所がアップデートされるのかなと思ったんです。
今までの市場と今みなさんがやっていらっしゃるサービスをつなぐところというか、アナログで本を物理として大量に持っているような人間でも、「こんなのはいかがですか」というのがあれば、改めてお聞きしたいなと思っています。
大賀康史氏(以下、大賀):私はそのアナログを貫いていってもらいたいなと思います(笑)。本を選ばれているのがすでに素晴らしいじゃないですか。
いろいろなコンテンツが溢れていますと冒頭にありましたけれども、例えば新聞の記事であればだいたい前日に作りますよね。1日で作ったものが翌日に発行される。雑誌だったら長い特集もあるかもしれませんが、だいたい1週間くらいで作られたものが記事になる。情報の残る価値の長さが違うことが多いなと思っていて。
例えば新聞であれば「円が上がりました・下がりました」、「株が上がりました・下がりました」というような情報は、その翌々日くらいにはもう価値がなかったりするわけですよね。その瞬間は重要なのでそれ自体は尊い記事なんですけれども。
でも残る価値の長さはそうじゃないと思っているんです。雑誌も比較的そうです。1週間、1ヶ月のサイクルで価値のある情報だったりしている。
本はそもそも作るのにだいたい半年から1年、長いものだと10年とかかけて作られるじゃないですか。そこに読んだ次の日に価値のなくなるような情報が含まれてるわけがないんです。ずっと残り続けるものなんです。
だから本はやっぱり素晴らしいなと思っていて。それをずっと片っ端から読まれているんだとしたら、頭の中にはものすごい知の集積があると思います。私はそのままでいいんじゃないかなと思います。
木村:追加でなにかあれば。
大西智道氏(以下、大西):私も大賀さんにまったく同感です(笑)。今日の3社で「今までの本の読み方はやめて、新しいのにしましょう」みたいなところはたぶんないのかなと思っていて。個人的なところでブンゴウメールも、あれで今まで読めなかった人が読めるというのはもちろんあるんですけど、私自身が本は紙派なんですよ。
紙の本をずっと読んでいて、仕事が忙しくて読めない時期があったんです。どうしてもストレスが溜まって「読みたいな」となって、読める方法を作ろうと思ってブンゴウメールを作ったんですね。それが実際リハビリになって、そこからちょっとずつまた紙の本が読めるようになって。
1冊の本を読んだことで結果的に興味が広がって、ほかの本を手に取ってというように広がっていくのがすごいですし、お話をお伺いして大賀さんのflierでもたぶんそうだと思います。
既存の読書を置き換えるというよりは、きっかけの入口を低くする手段として提供しているので、それをきっかけにまたそこから自分の興味を広げていってもらうことができるといいのかなと、個人的には思います。
木村:なるほど。
久保田裕也氏(以下、久保田):僕はこの会社をなんでやっているかというと、作り手にたくさんお金を戻したいんですよ。作り手にたくさんお金を戻す仕組みをたくさん作るのが僕のミッションだと思っていて。だから今はオーディオブックをやっていますけど、それ以外のこともいくつか今考えています。
結局はエンターテインメント、ものを作ってからどうやって売るかというのは、今の世の中でけっこうできる人が増えてきているなと思います。いろんなジャンルで、いろんなやり方でできる人が増えてきている。
一方、それを作っている会社さんはこれまで売る仕組みを併せ持っていたから、そこが結局アップデートされていない結果、なんとなく厳しそうに見えているだけだと僕は思っているんです。
結局そこにたくさんの財が回れば、「じゃあもっとこういうふうに工夫しよう」とか思えるじゃないですか。それは作家さんもそうだし、専業作家さんが減らないというか、どんどん増えていく。声優もそうだし、みんなそうなんですよ。
自分はその人たちにたくさんお金を戻す仕組みを作ろうとして今やっています。なので、本を片っ端から消費しているあなたは素晴らしいお客さんです。そういう人たちがたくさん増えるのが一番いいんですよ。
そうしたら結局オーディオブックや電子書籍、要約とか、いろんなかたちで売れればその分出版社さん、ラジオ局、テレビ局とか、あと作家さんにお金が戻るわけじゃないですか。僕はそういう人たちがどんどん増えてたくさんいる状態が理想だと思うんです。
楽しむ方法は別になんでもいいと思うんですよ。僕もこのサービスをやっていて毎月20冊くらい本を買って読んでいるので、別に楽しみ方は人それぞれかなと思っていて。ただ、なんらかの理由で本を読まなくなった人たちのきっかけになるものがたくさん増えたらすごく素晴らしいことだなと思います。
木村:とてもいい話ですね。今の世の中のコンテンツはほとんどが無料で提供されていて、無料で楽しめますよね。ゲームもそうですし、僕らWebメディアの記事も基本的には無料で出している。
逆に言うと、出す側からするとお金をもらって出すコンテンツをどう作れるかと考えるとすごく難しいんですよね。そう思うと実際に購入されている本や作家さんたちというのは本当にすごいクリエイターです。無料じゃなくても、買ってでも読んでくれる人がいるというのは素晴らしい。
ただ一方で先ほどお話にあったとおり、そういった方々にちゃんとお金が回っていかないと作者やクリエイターがどんどん減っていってしまう。そうすると本当は読書を楽しむのが好きなみなさんも結果的にそれを享受できなくなっていくという負の循環が生まれます。適切にお金が動いているというのはすごいことだと思いますね。
音楽業界だと、例えばYouTubeが出て無料で聴けるようになってからCDが一切売れなくなった。それでまたお金を集める仕組みとしてできたのがサブスクリプションのモデルですよね。Spotifyとか。月額課金でやって、再生数に応じてアーティストにお金を還元していく。
なのでやっぱり無料で伝えていくのではなくて、ちゃんと作家やクリエイター側にお金が入る仕組みというのはすごく重要だなと思ったので、けっこう感動しました。
それではほかに質問のある方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
質問者2:今日は本当にためになる話をありがとうございます。時代に合わせた提供、それからマルチの、相手に合わせてその人が読書しやすいようなコンテンツを提供しているのが本当に素晴らしいなと思いました。
大賀さんに質問なんですけれども、「flier book labo」で読書会みたいなことをこれから始められるということでしょうか?
大賀:(2019年の)3月からスタートしています。まだトライアル的ですけど、少人数でやっています。
質問者2:私もちょっと読書会を主催しておりまして、月に1回くらいさせていただいているんです。大賀さんはどういったビジョンを持って読書会をされているか、先ほどのお話の中でされていたら重複になって申し訳ないんですけれども、そういったところに興味があってお聞きしたいなと思いまして。
大賀:ここはものすごく熱が入ってるので、ちょっと長くなったらすみません(笑)。読書は1人でするものと思われている方もけっこう多いんじゃないかなと思うんですけど。でも、本は人をつなぐものでもあると思っているんですよ。
例えば初対面の人でも同じ本を読んでいるだけでけっこう盛り上がれるじゃないですか。「あ、お前もこの本読んでるの!」みたいな感じで。「ここがよかったよね~」と盛り上がれると思うんです。それはけっこうな絆になると思っていて。
flier book laboでやりたいのは、本を題材にして多くのコミュニティ、人と人をつないでいくことを日本中で広めたいと思っているんですよ。これが私の目標です。今は東京で35人くらいで、小規模で始めています。
やっぱりインターネットの力も使いながら、拠点も東京だけじゃなくて日本全国で。頻繁にはできないかもしれないけど、例えば月1とかで読書会の場を設けて、日本全国でみんなが本について語れるようにしたい。
しかも要約から入れるから構えて来なくてもよくて。10分間準備すればその会に参加できてみんなで盛り上がれて仲間も作れて、本の話題が日本中であふれて、結果として本があふれる。こういう世界が作れたらなんて素晴らしいんだろうと思っています。
質問者2:ありがとうございます。
木村:ありがとうございます。確かに漫画とか、人をつないでいるというのはそのとおりですよね。音楽のアーティストとかも、あいみょんや米津玄師もたぶん人伝えにバババッと広がって、「知らないとやばい」みたいな世界まで広がったのかなと思うんです。
みなさんがどんどんつながっていって話題がどんどん生まれると、本の業界も盛り上がっていくのかなと思います。すみません、次が最後の質問でお願いします。
(会場挙手)
質問者3:ありがとうございます。僕も新刊、古本ともにいっぱい買うんですけど、これだけ本がたくさんあると、「ジャケ買いしたけどクソ」みたいなものもあると思うんです。
制度で守られている中、本の適正価格はいくらなんだろうといつも悩むんですよ。本の仕事をやっているみなさんに、本の本当の値付けはどういうふうに軸を置くとおもしろいのかをお聞きしたいなと思います。
木村:それはすごくおもしろいテーマですね。本当はこれだけで2時間くらいいけます。本の適正価格。みなさんも、もし投げ銭スタイルだったらいくら払うかな? みたいなところだと思うんですけど、浮かんだ方からいきましょうか。どうですか?
久保田:箕輪(厚介)さんが価格自由の取り組みをしたじゃないですか。あれが1つのわかりやすいものだと思うんですよ。本で若干難しいのが、消費財なんだけど消費財じゃないというか。なんとなく市場価格ができているところで。
プライシングはやっぱバリューベースとコストベースで、マクロとして2つあるんですけど、たぶんコストベースで考えているんですよね。
木村:そうですよね。
久保田:適正価格というのは人それぞれだと思うんですよ。だから価格自由というのはある種的を得ていて、人によってはこの本が「これで死のうと思っていたけどやめました」「この本を読んで科学者に」とかあると思うんです。
例えば『ロウソクの科学』。ノーベル賞を取った吉野(彰)さんは当時は新書というか、文庫価格だったかもしれないですけど、「じゃあ今だったらいくら出しますか?」と言ったら……いくら出すんでしょうね(笑)。「100万円でも200万円でもいいんじゃないですか」となると思うんですよ。だから適正価格はやっぱり難しいですよね、人それぞれです。
大賀:究極的には絶版になった本に付けられる値段って本によってぜんぜん違うじゃないですか。10万円するものもあれば、1円になっているものもある。ぜんぜん違うと思うんですよね。売れた量によっても変わるのかもしれないですけど、それくらい開きがありますよね。
久保田:うちに問い合わせが来ますもん。「この本は絶版なんですけど、もうどこにも売っていないので音にしてほしい」と。「ちなみに著者の連絡先を知っています」とご連絡いただいて。
(会場笑)
それを言われても必ず対応できるわけではないのが申し訳ないのですが……。でも、そういう人はやっぱり10万円でも20万円でもいくらでも払うと思うんです。最近はそういう問い合わせが増えているんですよ。自分が聴きたいから、この本をオーディオにしてほしいみたいな。
木村:大西さんはいかがですか? プライシングのところについては。
大西:最初のほうに出てきた、全文公開する書籍が今はすごく増えていて。無料で内容を見せちゃって全部読めちゃうんですよね。それでもなお、お金出して本を買う人がけっこういる。『ビジネスモデル2.0図鑑』でもそれがあったわけです。そのときに、その価格はいくらなんだろうと思って。すごく不思議ですよね。
ちょっと関係ないんですけど、例えば文豪の昔の作品も今だと普通に本になっていて、お金出して買うのが当たり前ですけど、当時は新聞の連載小説だったりするんですよね。新聞を取っていると無料で読める小説だったりしたわけです。
すると、ますます「これは何にお金を払っているんだろう」みたいな。適正価格というのは、やっぱり存在するようでしないんじゃないかみたいな話だと思います。
木村:ちょっとまとめると、おそらく見る側のバリューベースと作り手側のコストベースがあるんですよね。そして、バリューベースはもう人それぞれだという話ですね。
コストベースについては一定の定価を持っておかないと、先ほどの話でいうと作者が守られない、流通していかないというのがある。それがたぶん今守られているラインなんです。
ただ、これが本の中に広告がバンバン出てくるようになると、本1冊がものすごく安くなるかもしれないですし。そういうビジネスモデルによって変化するのかなと思います。作者が潤う収入源が増えていくと、逆に安くなる可能性もあるのかなと思いました。
というわけでお時間が来てしまいましたので、本日はこれで終わりたいと思います。改めて登壇者のみなさまに大きな拍手をお願いします。
(会場拍手)
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