モーメントを掴むマーケティング戦略

伊藤孝氏:EVERRISE(エバーライズ)の伊藤と申します、よろしくお願いいたします。本日は、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の可視化の必要性とモーメントの活用方法に関して、話をさせていただければと思います。最初に弊社の紹介と、弊社のツールであるCDP「INTEGRAL-CORE(インテグラルコア)」の紹介をさせていただきます。

本題のLTVの可視化とモーメントの活用方法のご紹介をさせていただきつつ、最後にDX。流行りのキーワードにも触れさせていただければと思っております。

まず、弊社のご紹介なんですけど、弊社のポジション・立ち位置がどういうところにあるのかを把握していただければなと思います。弊社はいわゆるCDPのベンダーだけではなく、企業様のDXをサポートする立場でもあります。

資料の右下に書いてある、システムインテグレーションですね。いわゆるソフトウェア開発でご協力をしております。CDPベンダーという立ち位置と、システムインテグレーターとしての立ち位置。2つのポジションでの話となります。

ですので、実はマーケティングのプロフェッショナルではまったくありません(笑)。ツールとしては、あくまで「このように使われるだろう」という立場で作らせていただいております。

CDPに関して簡単にご紹介をさせていただきますと、「Customer Data Platform」の略でCDPです。もう少しわかりやすくすると「顧客データ基盤」になるかと思いますが、顧客のデータを収集して、それを蓄積・処理して、最終的には公開。いわゆる活用の部分である、企業様と顧客とのコミュニケーションをどのように図っていくかを分析したり、実際に広告やメールに配信をつなげていくところに使われるツールとなっております。これを極力リアルタイムにつなげていくツールです。

LTV可視化の必要性

それでは本題に移らせていただきます。LTVの可視化の必要性からご紹介します。みなさんは当然ご存知のことかと思うんですけど。人口減少や経済の停滞、ちょうど今、コロナもあって非常にダメージも受けている中で、集客コストが非常に上がっております。これは肌感で感じてらっしゃる方も多いかなと思うんですけど。

実際、集客しにくいとなると、1人のお客様からどれだけ売上を上げるか、利益を上げていくか。これを一言で言うと「LTVを向上させる」となるかなと思うんですけど、そのLTVを向上させるためには何を変えればよいのかといった指標を得るために、LTVの可視化が必要ではないかと考えております。

今までの代表的な分析で言うと、例えば「カテゴリー軸」「商品軸」ですかね。あとは商圏/エリアや店舗別に見た、いわゆる「商品勘定」「店舗勘定」と言われる分析をされていたかと思います。

それをもう少し、お客様の「顧客勘定」に変えていきます。そのうちの代表的なもので言うと、購買情報をもとにしたクラスター分析や、RFM分析などがあると思います。こういったものは過去から行なわれていたかと思うんですが、これらの分析だけだと、顧客のLTVを上げていくのが実は難しかったりします。

どういうふうにして改善をすればいいか。一般論になるんですけど、データの可視化について簡単にご紹介します。データを可視化する際は、「推移」と「要素」を見ることが一般的に行なわれます。

推移は結果を見る、予測を立てるところですね。要素に関しては内訳、原因を知るためのものになります。最近、コロナの感染者数や亡くなられた人の数を、グラフで推移を見てたりしますよね。高齢者の方がお亡くなりになっている内訳や、その原因などをいろいろと気にして見られているのかなと思います。

そういったことを自分たちの本業である商売でも活かします。人別にリピート数や平均単価など、何を買われたのかをちゃんと見ながら、そこを改善していきます。スライドのとおり、再販率の向上やアップセル・クロスセルなどを、しっかりと可視化しながら追っていくのが重要になってまいります。

LTV向上のために大切な3つの要素

LTVを可視化すると、いい点がもう1つあります。いわゆるヒト・モノ・カネといったリソースが足りないときにどこに注力すべきか。関係性の向上を図るべき注力顧客が、LTVを可視化すると実はすごく見やすくなります。

実際に詳しい表をお出しすることもできないんですけど、「このお客様を伸ばせば売上伸びるよね」「このお客様で解約防止をしっかりしていきましょう」といったコミュニケーションの方法が決められます。

かつ、どういうお客さんを新規顧客として獲得すればLTVを伸ばしやすいかも見えてまいります。ぜひこのへんはやっていただければと思います。

ただ、業種・業態ごとにLTVの向上施策は本当にさまざまあります。この場ですべてのパターンをご紹介するのは不可能なんですけど、それこそ顧客データがあるけど購買頻度が非常に低いような場合、なかなか改善しづらかったりもします。顧客データすらないメーカーさんは卸さんに卸したあとは、どの商品がどれぐらい売れたかが人別にはわからないケースもたくさんあります。

こういった場合には、実は1つだけ共通して言えることがあります。「1つ」と言っていますけど、3つの要素があります。1つめが「デジタルマーケティングでは、商品本来の魅力は変えられません」。2つめが「ほとんどのお客様には自社の製品のことが知られていない」という事実ですね。最後に、実際お客様がその商品を知っていたとしても「サービスのことに関しては正しく理解していない」。この3つが共通して言えるのかなと思っています。

もう少し具体的に紹介しますと、たぶん、あまりおいしくないラーメンは、デジタルマーケティングとかをいくらやっても、おいしいラーメンに変えることはできないわけですね(笑)。例えば、大多数の顧客へメッセージが届いてないこともあります。Nintendo SwitchやiPhoneみたいな、みなさんが当然知ってらっしゃるような商品ももちろんありますが、そういった商品はごく限られています。

仮に、Nintendo Switchが最近「巣ごもり需要」として売れていたとします。実際はオンラインサービスもあったりするんですけど、それが具体的にどういうサービスで、価格はいくらか。これを詳しく知らない方が大多数だったりするんですね。

「顧客体験の向上」が必要となる

そういったところをちゃんと踏まえて、商材の持っている正しい魅力をちゃんと届けたい人に届け、正しく理解していただければ、LTVは自然と最大化すると考えております。

具体的にどうすればいいのかもご紹介させていただきます。せっかくReproさんと一緒にやらせてもらっていますので、この提案になります。アプリによる顧客接点を、ぜひ作っていただければと考えております。

昨今は「個人=スマートフォン=スマホ内のアプリ」ですね。メジャーなところで言うと、MUJI passportやユニクロのアプリなどを、みなさん入れてらっしゃるかもしれません。企業と顧客をつなぐ接点として、アプリは非常に有効活用されております。

そのアプリを使って、先ほど申しました「商品の魅力を正しく伝えて、正しくお客様に理解いただく」と。実際アプリはアップデートがきくので、データをもとに「これは正しく伝わってないぞ」「このように伝えたほうがいいんじゃないの」といった反応を取る意味でも、アプリの窓口というか、顧客接点が非常に重要になってまいります。

「アプリ作りましょう」「アプリを入れましょう」と言っても、そんなに簡単にアプリは入れられないです。ここでは「顧客体験の向上」がやはり必要になってきます。もう少し簡単に言うと、「便利」「お得」がないと、やはりアプリは入れてもらえないです。

「お得」は非常にシンプルですよね。例えばクーポンや、今だとキャッシュバックなどがあると思います。「便利」で言うと、家電メーカーが、専用のリモコンで操作をするんじゃなくて、アプリ経由でいろいろな家電が操作できるような「便利」を提供することによって、顧客に長く使っていただくことができます。そういう顧客体験を向上させて、継続的に利用してもらうアプリを作ることが重要になってくると思います。

ただ、いいアプリを作るだけでいいのかというと、それはLTVにはつながらないです。LTVにつなげるためには、よりアプリ接客で、Reproさんを使っていただいたり、プラス我々のようなCDPのツールを使っていただく。お客様の理解のためのデータを貯めて、それを理解した結果、またReproさんのようなツールにつないで顧客接客をしていって、LTVを上げていく。こういったかたちがあるのかなと考えております。

モーメント活用のフレームワーク

2番目の「モーメントの活用方法」に関してご紹介させていただきます。モーメントというと非常にわかりにくい言葉かなと思ったので、簡単に私のほうで定義を話させていただきます。顧客のモーメントは、いわゆる「状況」だと思っています。その状況が見える行動も含めて、モーメントかなと思っています。

これは両方とも私のイメージなんですけど、具体的には下の図のように40代男性で、ワイシャツネクタイ購入は即決するんですけど、「娘の誕生日のプレゼントに何の人形を買ってあげようかな」みたいなのは妻と一緒に悩む。同一人物なんですけど、かたちによっては当然悩み方も違いますし、行動も変わってきます。

もう1つ。例えばアクション映画がすごく好きで、アクション映画ばかり見ている人がパートナーの女性の方と一緒に恋愛ドラマを見るときも、状況が変わってきます。間違いなく言えることは、状況が違うのに、いつもと同じ接客ではいけないと思います。ですので、状況を見る、モーメントを捉えるところで、正しい接客を行なっていく必要があります。

もう1つモーメントの話で言いますと、行動心理学はマーケティングの定説的によく使われているものです。マーケティングでよく使われる「希少性訴求」とは、「限定10個!」「今月いっぱいで安く売りますよ!」みたいなことです。

「アンカリング」は「定価が1万円のものが8,000円に値引かれていますよ」みたいなことですね。定性的によく言われている、こういうフレームワークにのっとって、コミュニケーションを取ったりするかと思います。

実際にはどういうお客様が・どういう商材で・どう反応したかが、データとして見えます。それによって改善が効くのが、すごく大きいと思いませんか? ですので我々としては、こういうモーメントを捉えて、お客様の接客の内容をちゃんと把握して、これが狙いどおりに動いたのかを見ながらPDCAを回せるところを重視して考えております。

では、実際モーメントを捉えたあとに、どのように改善していけばいいか、アクションをとればいいか。先ほどとまったく同じスライドになってしまっているんですけど(笑)。

基本的にはアプリがあると非常に修正もしやすいですし、一度入れていただけるとどんどん改善ができます。いいアプリを作っていただいて、アプリ接客・Web接客でReproさんを使っていただきつつ、顧客のモーメントをつかむ部分で弊社のCDPなどを使っていただいて。リアルタイムにフィードバックを返せます。

アプリがビジネスモデルを変革する

最後に、デジタルトランスフォーメーションの部分も簡単にご紹介させていただきますと、先ほどからずっと顧客データの活用に関してご紹介させていただいていたんですが、デジタルトランスフォーメーションという観点で見るとまだ足りないと思っています。それは「ビジネスモデルを変革していく」ことも、合わせてやっていく必要があるだろうと思っています。

あくまで一例ですが、町を走っている石焼き芋屋さんが「石焼き芋~、お芋~」みたいなアナウンスとともに走ってて、それを見つけた町の人が石焼き芋を買う、といったビジネスかと思います。それが実際にアプリとつながっていた場合に、今どこを走っているかを地図上で見られたり、「来てほしい」と言ったらすぐ来てくれる。そういったことが実現できたら、たぶん石焼き芋屋さんのビジネスモデルが変わるはずなんですね。

そういった、顧客とのつながりを持ちつつビジネスを変えていく。アプリ等であればビジネスをどんどんアップデートもできます。こういったことを行なっていくことで、DXの1つのかたちとして実現できるのかなと考えております。

最後に1個だけ宣伝をさせていただきたいんですけど(笑)。4月限定で「CDPスタートアップキャンペーン」で、通常価格20万円を10万円にお値引きしています。希少性とアンカリングを使わせていただいて(笑)。半分ネタとして入れ込んだんですけど、こういったこともやっています。ぜひご興味のある方はお声がけください(注:キャンペーンは終了)。

ご清聴のほどありがとうございました。