人間の「気持ち」は2分類される

西部直樹氏(以下、西部):気持ちの中には2つあるのがおわかりでしょうか? 感情と思考です。質問の中にもありましたが、感情と思考は同じものじゃないですよね。

徳田葵氏(以下、徳田):そうですね。なんとなくわかります。

西部:感情と思考ってどう違うのでしょうか?

徳田:感情は……気持ち?(笑)。

西部:ははは(笑)。例えば、いい例かどうかわからないですけど、私が突然「徳田さんはきれいなので5,000円あげます」って言ったらどう思いますか?

徳田:怪しいですね(笑)。

西部:怪しいなぁと思うのと、どういうことを感じますか?

徳田:どういうことを感じる?

西部:怪しいなぁと思う。それと気持ちは? うれしいとか悲しいとか。

徳田:不安。

西部:そうですね。怪しいなぁというのは、「なんで5,000円くれるんだろう?」と考えてますよね。

徳田:考えますね。

西部:不安は、「え、5,000円もらうとどんなことが起こるんだろう……」とかなんか不安を感じますよね。それが違うんです。

感情と思考の違いとは何か?

西部:どういうことか? 

感情と思考というのは似通ったところもありますが、感じることと判断すること。

徳田:思考は判断することなんですね。

西部:そうです。「私はこう思った」というのはだいたい思考です。「そのとき、こういうことを感じました」というのは感情です。

例えば感じたこと。「5,000円あげます」って言われたら「え! なんでこの人は突然5,000円くれるんだろう?」と判断します。こういうことは思考ですね。でも、そのとき不安も感じます。「なんで5,000円なんだろう?」と思うのも思考ですよね。

徳田:疑問ということですか?

西部:疑問というのは判断しているので思考です。「5,000円って安く見られたな」とか一瞬思って怒りを感じる。「あ、でも5,000円嬉しいな」と思うかもしれない。それは感情。というように分けることができます。ここを分けておかないと実は感情のコントロールがなかなか難しいということになります。

感情に焦点を当てていこうと思うのですが。感情って何種類くらいあると思いますか? 

徳田:感情の種類ですか? 受講生のみなさん考えてみてください。感情は何種類あると思いますでしょうか? 挙げられるだけ挙げて数えていただいてもいいですし。でも言葉にできないものもあったりするんでしょうか? うれしい、楽しい……。

西部:たくさんありますよね。それを種類で分けると何種類くらいある?

徳田:喜怒哀楽。

西部:喜怒哀楽。不安はどこに入る?(笑)。

徳田:そういうことですよね。さあどのくらいだと思いますでしょうか? みなさん。

西部:見てみましょう。例えばこれは感情を表す言葉ですが、幸せなとか、怒りとか、誇らしいとか、怯えるとか、寛ぎとか、緊張するとか。楽しい、悲しい、うれしい、失望する、穏やか、傷ついた、爽快な、欲求不満だ、安心、罪悪感を感じる、和む、不安である。いろいろありますよね。

徳田:ありますね。

ポジティブとネガティブの関係性

西部:さて、これを見て気がつきませんか? 

徳田:これを見て気がつくこと? どういうことですか?

西部:意図的にこういう順番で書いてます。並べてます。

徳田:あ~、左上からポジティブなこと。最後のほうの不安であるでネガティブなものになってますかね?

西部:そうです。そのとおり。左側がポジティブな感情、右側がネガティブな感情なんです。

大きく分けると感情というのはポジティブなものとネガティブなもの、この2つに分けることができます。

徳田:大きく分けて2つということですね。

西部:2つなんです。

徳田:直樹さん、正解ですね。「基本2種類かな」と。千葉さんも「2種類かな?」と来ておりました。ヒライさんも「極論でいいこと、悪いことの2種類かな」というところですね。なるほど。ポジティブ、ネガティブの2種類に感情を分けられる。

西部:ネガティブな感情というのがあるんですが、マイナスな感情ですね。

ネガティブな感情だけで、例えば逃げ出すとか、攻撃をするとか、閉じこもるとか、あるいは自分を否定してしまうとか。そういうような行動は起こるでしょうか? 例えば仕事をやると常に不安は付き纏いますよね。初めての方とお会いすることも……。

徳田:そうですね。緊張とかもありますし。

西部:でも逃げ出さないですよね? 

徳田:そうですね。

西部:逃げたのを見たことはないんですけど(笑)。

徳田:まだないです(笑)。

ネガティブな感情も2分類される

西部:不安で逃げ出すということがあったのに、不安でも逃げ出さないという人もいますよね。あれは何が違うんでしょうね? 

徳田:何が違うんでしょうか?

西部:例えば怒り。いろんなことで怒ることはありますよね。困ったなというのもまあ軽い怒りですよ。それと激怒する。頭から火を吹くんじゃないかというくらい怒るときありますよね。そういうときは人を殴るというかね、手を出すとか攻撃的になることがありますよね。何が違うんでしょうね? 

徳田:自制心が働くか。思考が入るかってことですか?

西部:その感情がどう違うのかを考えてみようと思うんですが。不安でもそんなに悪い方向にいかないのもあれば、不安が極度に強いと悪い方向に走ったりしますよね。

というように不安などで破滅的な行動になる人もいるんですが。となるとネガティブな感情の中にも実は2種類あるんですよ。

言い方がわかりづらいかもしれないんですが、健全でネガティブな感情。健全とネガティブが合わないような気がしますが(笑)。不健全でネガティブな感情。

徳田:これ真っ黒ですね。

西部:真っ黒なんです。この2つに分けることができます。

徳田:この分け方どうでしょうか? ワカヤマさん「自分で割り切れているかどうかかな」とか。

西部:それ思考が入ってますよね。

徳田:フナダさん「捉え方ですか?」ということですね。有香さん「感情が強いか弱いか?」。

西部:おぉ、なかなかいいところいってますね。

徳田:ミヨシさん「不安を受け入れる感情があるかどうか」。

西部:ん~。不安を受け入れる……なるほど。

徳田:ネガティブな感情は健全か不健全かにも分けられるというところですけれども。

健全なネガティブ・不健全なネガティブ

西部:今のをやっていくとこうなっていくんですね。感情にはポジティブな感情とネガティブな感情があって、ネガティブな感情の中には健全でネガティブなものと不健全でネガティブなものがあります。

こういうのを見るとわかるかな? 健全でネガティブな感情というのは懸念、悲しみ、苛立ち、自責、失望、残念。不健全でネガティブな感情というのは不安、鬱、激怒、罪悪感、苦痛、羞恥。これ実は同じような感情なんですが、程度の違いということです。

健全でネガティブな感情というのは、感情にとらわれない。自己啓発的な行動に向かうように動機づける。自分の目標達成に必要な行動を首尾よく遂行するのに勇気づける。どういうことかと言うと、不安だと、初めて会う方と不安を感じたり緊張を感じると準備したりしますよね。

徳田:そうですね。事前に調べたりとか情報を仕入れたりとか。

西部:前向きな行動に不安が後押しをしてくれますよね。というのが健全でネガティブな感情なんです。

でも不健全だとどうなるのか? 過剰な苦痛や不快感。つまり「あ~やりたくないな、やりたくないな」とか思ってるとずっとそのことばかりにとらわれて、考えるだけで嫌になりますよね。過剰な苦痛や不快感。

自滅的な行動に追いやる。「あ~やりたくない。やらなくちゃいけないんだけど、今日はお酒を飲んで寝ちゃおう」とか。逃げ出しちゃう。でもそんなことをしたらやらなければいけないことができなかったら、自分の目標の達成の妨げになってしまいますよね。というようなことを引き起こすのが不健全でネガティブな感情です。

徳田:なるほど。より不安になっちゃいますよね。

西部:そうなんですよ。

徳田:健全なほうが次の行動が何かというのがわかりますよね。

西部:そうですよね。そういうふうになっていくなというのが健全なものです。

不健全をコントロールすると行動も変わる

西部:なので不健全なものをコントロールしていくと行動も変えていくことができます。逃げ出さずに準備をしたりとかね。そういうものになります。

こういうコントロールができないと自滅的な行動になっていきます。というところまではよろしいでしょうかね。

徳田:はい。大丈夫そうです。