投稿者の知り合いでなくても、作品を使用できる

坂井:ありがとうございます。それでは、PicsArtさんお願いします。

木村:はい。ちょっと時間が押しているようなので、早口でしゃべります。次のパートではそんなにしゃべることがないので、ここに全力を注ぎます。 「ミレニアル(世代)のユーザーをどう取ってきたか」みたいなテーマだと思うんですけれども、先ほど「若年層の女性が多いよ」というデモグラのデータを出させていただきました。

実はその中でもインタレスト的に形成されるコミュニティがすごく強いというのが、PicsArtの1つ大きな特徴です。

(スライドを指して)こちらが直近1ヶ月のPicsArt内で利用されたハッシュタグの、日本だけのトップテンです。TWICEだとかBTSだとか、あとは『鬼滅の刃』『すとぷり(すとろべりーぷりんす)』とか。10個中7個がアーティストやアニメ関連というのが1つPicsArtの特徴かなと思っております。

アプリ内にいろんなコミュニティがありまして、利用者は決して若年層だけではないんですけれども、今回はミレニアルがテーマなので若年層の中でのおもしろいPicsArtの使い方を持ってきてみました。

(スライドを指して)これはインスタで「配布」と調べていただくと、実は4万7,000件ぐらいの投稿があるんですけれども、この中のコンテンツを1つ1つ開いていくと、下のような加工した写真が投稿されております。

これ、実は投稿者が自分の好きなアイドルやアーティストの写真を加工してインスタに投稿するだけじゃなくて、それと同時にコンビニのネットプリントに自分でデータを送信するんですね。

コンビニのネットプリントは印刷する時にナンバーを入れないといけないんですけれども、そのナンバーを自分のインスタ上で配布をして、それを見た方が勝手に、投稿者の知り合いであってもなくても印刷できるようになっています。

こういう配布の文化がすごく流行っていて、例えばコメント欄で「今回はTWICEのサナちゃんだったから、次はモモちゃんでやってね!」みたいなやりとりが行われていたりします。

そこの配布の文化で使われている写真たちはだいたいPicsArtで加工されているものが多かったりするので、そういったファンのコミュニティ、ファンアートで使われているのも1つの特徴かなと思っています。

そして、これも私には若干理解しがたいミレニアルの文化だなというところでもあるのですが、最近の若い子たちはプリクラを撮ってもプリクラ機で加工しないんですよ。

私の時はプリクラ機で友達とわいわい加工するのが楽しかったりしたんですけれども、実はプリクラ機で加工してしまうと、(スライドを指して)一番左の友達のお誕生日を祝いたい時とか、真ん中のクリスマスとか、その時のシーズナルでしか使えないんですね。

なので、もともとのデータだけを自分のスマホに送って、それをPicsArtで加工して、友達の誕生日を祝ったりクリスマスをお祝いしたり、というのも1つの特徴です。

こういう若年層のトレンドをつかんで、それをアプリ内で活かすのがPicsArtの勝ちパターンでもあるので、そういったところに常に気を張ってウォッチしているかたちです。

一般とプロの中間「プロシューマー」による、ビジネス利用

木村:もう1つ、これは最近増えているトレンドなんですけれども、一般のコンシューマーの方とIllustratorを使うようなプロの方の、ちょうど中間の方々の利用がすごく増えています。弊社では、こういった方々を「プロシューマー」と呼んでいます。

バナーやサムネイルなどは、今までデザイナーの方に都度お願するケースが多かったと思うんですが、マーケターの方がアプリでちゃちゃっと加工できるようなテンプレートなどをたくさん用意しているので、それを使ってもらったり。

インスタのストーリーも、ただ単に写真をアップしようと思うと(スライドを指して)左のピンク背景にドンと写真が載っているようになってしまうのですが、PicsArtで5分10分加工するだけで、もう少し魅力的なものになります。そういったビジネス利用が、今はすごく増えていますね。

どんな企業さんと一緒にお取り組みをさせていただいているかなんですが、基本的に弊社は広告主と媒体というかたちは取っていなくて。コンテンツホルダーさんとコ・マーケティング(共生マーケティング)というかたちで、いろいろやらせてもらっています。

日本ではオフィスを創設したばかりということもあって、今まさに一緒にできる企業さんをすごく探しています。この後に事例をいくつか紹介させていただくので、ピンときたら、ぜひのちほどお声がけいただければうれしいなと思っております。

例えば去年やったものですと、テイラー・スウィフトさんと一緒にコラボをさせていただきました。テイラー・スウィフトさん側としては新アルバム発売の時に、ただ宣伝するのではなくて「もっとファンとコミュニケーションを取りたいよね」ということで。

PicsArt上に「チャレンジ」という機能があるんですけれども、そこでテイラー・スウィフトさんのアルバムのカバーのコンテンツを載せてもらって、そこでユーザーが好きに加工したり、自分の好きな歌詞を載せてPicsArt上でシェアしたりできるようなものをやらせてもらいました。

あとはリラックマさんに関しても、同じチャレンジをやらせていただきました。リラックマさんのスタンプや壁紙をPicsArt内で有料コンテンツとして配布をしていただいて、よりグローバルにこのリラックマというキャラを広げていきたいということで取り組ませていただきました。

あとは、これはけっこうおもしろい事例だなと個人的には感じているんですけれども『マレフィセント2』さんと一緒に、去年の10月ぐらいにやらせていただきまして。

映画の公開に合わせて、先ほどほかの人の加工法をトレースしていける「リプレイ」という機能を紹介させていただいたのですが、その機能を使って誰でも簡単にマレフィセントになれるというキャンペーンをやらせていただきました。

映画の公開と同時にこちらも公開させていただきまして、1タップで誰でも自分がマレフィセントに変身することができるので、映画の公開時にいろんな方がマレフィセントに変身した写真がTwitterとかInstagram上で投稿されて。

映画の配給会社さんとしては、ただ単に宣伝するだけではなくて、より参加型のコミュニケーションが取れるというのですごく好評をいただきました。

重視するのは、ひたすらプロダクトを磨くこと

坂井:ありがとうございます。それでは残り3分ほど、2テーマになりますので、よろしくお願いします(笑)。まず1つ、グローバルでミレニアル世代に人気の秘密ということで、国内・海外の宣伝法の違いをご説明いただきます。まずはTikTokさん、お願いします。 白地:本当に時間が限られているということで、最後に1個見せたいクライアントの事例もあったんですが……最後にちょっとお見せしたいです。

そうですね、国外と国内でいろいろと戦略は異なっているかなと思うんですけれども、1つ我々が大事にしているところがあります。

インカメラで自撮りをするというのが最初だったんですけど、今は本当に多様化していますというお話がありましたよね。そういった多様化をローカルに合ったかたちでサポートさせていただいているところが、多くのユーザーさんが使ってくれる1つの要因かなと思っておりまして。

今はアウトカメラで、ペットとか日常の風景とか景色とか、ハウツーの動画といった、外のものを撮ることがすごく増えていると感じています。

(スライドを指して)ワンフレーズの英会話のコンテンツだったり、ゲームのコンテンツだったり、とくに今年はTOKYO2020(東京オリンピック)なので、スポーツのことが去年の10倍の量で増えております。

いろんなアカウントもできていまして、World Economic Forumがアカウントを作っていたり、最近だと東京都もアカウントを作ってくださって、小池百合子都知事がコロナウイルスについての注意喚起をされていたり。

(スライドを指して)1番右のところ、TOKYO2020のアカウントがあったりして、「みんなで#2020beatに参加しよう」みたいなところも展開しています。

坂井:ありがとうございます。PicsArtさん、お願いします。

木村:ミレニアル人気の秘訣がテーマだったと思うんですけども、やはりユーザーさんは写真・動画の加工をどれだけうまくできるかに注目してPicsArtを使っていただいます。なので、プロダクトドリブンでひたすらプロダクトを磨くことを一番重視させていただいております。

一方でPicsArtの広がり方としてはいろいろ特徴があるんですけれども、1つは口コミですね。例えばInstagramやTwitterでPicsArtで検索してみると、実は投稿している人が「PicsArtを使ったよ」と投稿しているのではないんですよ。

誰かが投稿している写真に対して「このアプリはなにを使っているんですか?」「どうやって加工しているんですか?」と。その返答として「PicsArtを使っているよ」という言及数が圧倒的に多いんですね。

なので私たちとしては、よりPicsArtで作った写真をソーシャル上にあげていただけるように、ひたすらプロダクトを磨いているというのが1つ。

もう1つ、日本に上陸してきてやはり大事だなと感じているのが、コンテンツのローカライズの部分です。

ユーザーさんがアプリ内で加工する時に、いろいろステッカーやフィルターを載せたりしますよね。私たちのほうでそのコンテンツを出すので、その時に今回の場合は、やはりお正月の年賀状は日本の文化だと思うので、そういったステッカーやテンプレートを用意させてもらって。

そうやってより日本のユーザーさんというか、現地のリージョンのユーザーさんに愛されるようなコンテンツを作っているのが1つ特徴かなと思っています。

「ユーザーが簡単に参加できるキャンペーン」の可能性

坂井:ありがとうございます。(スライドを指して)それでは、最後に「知る人ぞ知る新機能」とありますが、みなさま一言ずつ今後のサービスの展開をおっしゃっていただければと思います。じゃあ、TikTokさんからお願いします。

白地:ちょっと先ほど事例を補強できなかったので、最後にできればなと。いろんなジャンルの広告主さんやユーザーさんが入ってきているのが、今我々にとって一番強調したいメッセージかなと思って。(スライドを指して)これもその一環です。

TikTokで広告するとなると「ダンスチャレンジをしなきゃいけないのか」と考えがちではあるんですけれども、これは踊っていない広告の一連の流れです。

パネル的にもまずはアウェアネスをとって、それからみんなに参加してもらうみたいな。すごくおもしろい事例なので、みなさんに見ていただければいいなと思っております。

(動画が流れる)

白地:ちょっと、いっぱい音が混ざっちゃってすみません。まず最初に、すごく人気のあるTikTokerのミスターヤバタンという人にドミノピザのアルバイト体験をしていただいて、コンテンツとアド(広告)が混じり合ったような感じでおもしろいアウェアネスをとっていただいて。

そのあと、このTikTokerのうじたまいさんという方に、「伸びるー」という歌(注:曲名『うるとらちーず』)を作っていただいて。

実際に1キログラムのチーズって、すごく(たくさん)乗っているじゃないですか。これをみんなでやってみましょうと。うまくいった人は1日店長で日給が100万円ですみたいなキャンペーンをやって、いろんな人が「すごく伸びるのがうまいですよ」という動画を投稿してくれているんですね。

なので、ただ見せるだけではなくて、実際にユーザーが「うわ、本当に伸びる!」というのをやって、それを簡単に投稿できて。まさにユーザーが参加できるキャンペーンが今、ものすごく広がっていて。

これは車やアパレル業界のお客さんでもあります。「え、そんな業種もできるの?」というような、いろんな可能性がまだまだあるかなと思っているので、もしご興味があれば、のちほど個別にご連絡いただければと思います。

坂井:ありがとうございます。PicsArtさん、お願いします。

木村:はい。PicsArtからは2つ、動画の機能とリプレイの機能を紹介させていただきたくて。どちらもユーザーとしてぜひ使っていただければと思います。ぜひこういう機能を使って弊社とコ・マーケティングできそうな会社さんがあればお声がけいただければ嬉しいです。

今までは写真の加工にフォーカスしていたんですが、最近は動画編集機能の開発に力を入れています。実は私も個人的にユーザーとしてこの動画の機能を使っているんですが、すごく性能がよくて。色を変えることもできれば、いろいろフレームをつけてちょっとリッチな動画を作ることもできるので、今年はそういったことの開発により注力していこうと思っています。

先ほど紹介させていただいたリプレイの機能なんですけれども、実は誰でも作れるようになりました。運営だけじゃなくてユーザーでも作れるようになったので、今年はもう少し一般のクリエイターさんとかを巻き込んでリプレイをあげてもらって、その編集をほかの人も体験できるようなコミュニケーションをとっていければいいなと思います。

石井:すみません、Spotifyからも新機能、いいですか?

坂井:はい。もちろん。

石井:最後に役立つ情報ということで、Spotifyには歌詞カード機能というのがあるんですね。

去年の9月ぐらいから、音楽を聴いてる画面の左下にマイクのマークができています。「シンガロング」といって、簡単にいうとカラオケ機能なんです。これでカラオケに行く前に練習ができるという非常に便利なツールですので、使ってみてください。

坂井:はい。ありがとうございます。最後は駆け足になってしまって恐縮です。TikTokさん、Spotifyさん、PicsArtさん、この時間で収めるのはちょっと無理ですね(笑)。アプリが良すぎます。

(一同笑)

ということで、お時間のある方はよろしかったらのちほどお声がけいただければ幸いでございます。それでは本日のディスカッションは以上になります。ご清聴ありがとうございました。 (会場拍手)