中高生は「好き」に熱中した瞬間に一番伸びる
水野雄介氏(以下、水野):僕からはさっきの「非認知能力」で2つ話があります。1つは、僕は中学生・高校生を教えていて、会場には中学生・高校生になるお子さんをお持ちの方も多いと思うので、その事例を。もう1個は、ITをどう教育に活用するのか。今やっているプロジェクトの話をしたいと思います。
なんとなくですけど、人の全体の育成の8割くらいは幼児教育がやはり重要だなと思ってます。ごめんなさい。DNAとか先天的に備わっているものにプラスして幼児教育で8割くらい。
しかし、中高時代でも、もしかしたら1〜2割くらい人生を変える可能性がある事例があるんです。中高時代で一番彼らの好きなところ1つにギュッと集中した瞬間に、グッと伸びると僕は思うんですよね。自立しだすときです。だから中高生のときにやっぱり夢や目標を持てなかったら、すごくもったいないと思ってて。
夢や目標を持っているかどうかで、その子の伸び方がグッと変わったりするので、もし持っていない子がいるんだとしたら、持たせてあげたいなってすごく思います。
その中で、僕らはITのキャンプをやっているんですね。去年か一昨年に佐渡島(庸平)さんに講演に来ていただいて、漫画の編集の話をしていただいたことがありました。
先日、たまたま佐渡島さんに会ったら、「あの講演を聞いて漫画家になりたいと、うちの会社を受けに来てくれた子がいる」と聞いて、めちゃめちゃうれしかったんです。テクノロジーのキャンプに来ていながら、編集の話を聞いて、そっちに人生が向いたと。
その夢にどうテクノロジーをかけ合わせるのかはわからないけれども、もしかしたら中高時代に、そんなふうに人生が変わる瞬間が……みなさんもあったかもしれないじゃないですか。
この恩師に出会えたからとか、これをやれていたからとか、部活でこういう体験をしたからといった瞬間を作ってあげることは、すごく大事だなと思ってやっています。
ITの話では、中馬(ちゅうまん)くんという小学校6年生の子が、アレルギーのアプリ(注:食物アレルギー情報アプリ「allergy:アレジー」)を作って、「アプリ甲子園」で優勝したことがあります。
彼は卵アレルギーなんだけど、海外へ行ったときにそのことを言えなかったので、それを解決したくて、自分でアプリを作ったんですよね。それが何万ダウンロードもされて、自己肯定感も生まれてね。
彼はプログラミングを通じて海外に興味を持って、孫財団に受かって、今シンガポールで学んでいるんです。そこでグローバルに多様性の大切さを学んでいる。そういう人生の極点を作るのも1つ大事だなと思っています。