CLOSE

最高の家計(全4記事)

お金が勝手に貯まるシステム作りのために 心がけたい「バランスシート」の運用方法

大人の学びに役立つ知識が無料で学べる生放送コミュニティ「Schoo(スクー)」。働き方やテクノロジー、ITスキルといった、最先端のノウハウが身につくオンライン授業を数多く配信しています。そんな「Schoo」で放送されている人気授業の書き起こし企画の第6回は、個人向けファイナンシャルプラニングを行うSmart & Responsible代表の岩崎淳子氏が登場。「お金が勝手に貯まる家計システム」の構築についてレクチャーしました。

バランスシートの記録方法

田原彩香氏(以下、田原):では、家計簿とバランスシートのところから行きましょうか。

岩崎淳子氏(以下、岩崎):バランスシートに行きましょうか。バランスシートを作りますね。バランスシートは、家計簿に比べてとても楽ですね。入るものは、普通預金の残高や定期預金の残高、それから保険、学資保険や生命保険は、「返戻金(へんれいきん)」といって、今解約したらいくら戻ってくるかの数字を入れてください。

それから、例えば確定拠出年金などを払っていらっしゃる方は、現在の残高を入れてください。持ち家や自動車は評価額になりますので、買った値段ではなくて、今売ったらいくらかという値段になりますけれども。これは不動産だったら無料査定サービスなどがありますから、そういうものを利用して現在の価値を調べてください。それが資産ですね。

負債のほうは、住宅ローンとかクレジットカードのローンなどもあれば、ローンの負債の残高をグリーンのところに入れてください。

そして、純資産は計算です。資産を合計したものから、負債を合計したものを引いて純資産が入ります。バランスシートはそんなかたちなので、家計簿よりもずっと楽にできるんではないかと思いますけれども。では、いくつかバランスシートと、それから家計簿の例をちょっとご紹介したいと思いますが。

田原:具体的にいきましょうか。

岩崎:はい、じゃあケース1から行きますかね。

さまざまなケースを確認

田原:ケース1、いきましょう。こちらですね。

岩崎:ケース1。この方の場合は、普通預金が30万円、持ち家は6,000万円ということで、わりと大きなお家に住んでおられますね。自動車も500万円ですから、たぶん外車ですかね。外から見ると、とても裕福に見える生活をしてらっしゃいますね。

でも、右側を見ますよ。負債、住宅ローンと自動車ローンで5,800万と450万もありますから、これを合計するといくらになるのかな? 案外すごい額ですね。それで、これを資産合計から引くと、純資産は730万となりますね。

これがバランスシートで見るとわかることなんですけれども、外から見えるところは家や車じゃないですか。

田原:そうですね。

岩崎:だから、「あぁ、あの方はとてもリッチな方だなぁ」と思うかもしれないけれども、実際に中を開けてみると、ローンが多くて、本当に持っているもの、純資産は730万ですね。例えばこの方の家計簿を……。

田原:見てみましょうか。こちらです。

岩崎:ケース1の家計簿を見てみると、手取り収入60万ということで、案外ありますよね。収入は十分あります。ところが、住居費とか食費とか自動車関連費とか、案外かかっていますね。そして、貯蓄・投資はゼロになっています。

田原:はい。

岩崎:ここらへんのせいで、普通預金の残高は30万しかない、貯金はほとんどなくて、持ち家や自動車は豪華だけれども、純資産は730万円という家計になっているわけですね。じゃあ、ケース2も見てみましょうか。

田原:はい、今度はどうでしょうか。

岩崎:ケース2は普通預金が200万、定期預金は2,000万。この方は、お家や自動車はないわけですね。負債もないわけです、何にもないんです。でも、普通預金と定期預金がしっかりありますので、純資産はそのまま、2,200万円です。

この方は外から見ると、家も賃貸のアパートだし、車もないし、あんまり豪華そうに見えないんだけれども、先ほどの730万しか純資産がない方に比べると、とてもたくさん持っている方です。

田原:そうですね。

バランスシートを見ると投資・貯蓄の記録がわかる

岩崎:じゃあ家計簿を見てみますか。

岩崎:例えばこの方だと、手取り収入25万ですから、先ほどの60万の方に比べると、収入はとても少ないんです。けれども、外食はゼロですし、交際費などもそんなに多くないですし、とても堅実に使ってらっしゃいますね。

そして、貯蓄・投資は月々4万円ずつしていますので、このあたりが定期預金の残高2,000万円というところに表れているわけですね。ですので、この方は着実に投資・貯蓄をしていて、純資産が貯まっている方ですね。

田原:はい、コツコツとしていますね。そして最後、ケース3ですか?

岩崎:はい、最後のケースですね。最後のケースは、普通預金は5万円ですね。持ち家は2,500万円。なんだけれども、グリーンの負債のところが、住宅ローンが2,300万円と、カードローン250万円があります。結局、負債のほうが資産よりも大きいわけです。

負債が合計2,550万円になるところ、資産は2,505万円しかありませんから、負債のほうが超過していて、純資産は赤字です。純資産は赤字で45と入っていますけど、これは45万円赤字ということですね。

だから、この人は持っているものよりも、借りているほうが多いということになります。家計簿を見ていきますか?

田原:家計簿はこんな感じです。

岩崎:はい、家計簿はこんな感じです。収入40万円ですからね、案外多いですよね。先ほどの方よりもずっと多いんですけれども、食費あたりにもお金がかかっていて、教育娯楽費、交際費あたりにもお金がかかっていますね。貯蓄・投資はゼロと。それで、収入の支出の合計が44万円になっていますね。

44万円ということは、手取り収入の40万円よりも多いわけですね。支出のほうが多くて、どうしているかというと、きっとカードローンがありましたから、カードで使ってしまっているということですね。

「貯まる or 溜まる」の話

こんな感じで、この家計簿とバランスシートの2つを合わせると、いろんなことがわかります。また、その人がお金に対してどういうふうに感じているか、どういう関係を持っているかもなんとなく浮かび上がってくるんですね。では、次のシートをお願いします。

岩崎:これで、ここに「貯まる or 溜まる」とありますけれども、よく「複利で貯まる」と言いますよね。ファイナンスの話をするときにね。

田原:雪だるま方式で。

岩崎:そうですね、複利で貯まる。複利で貯まるというのは、利子がまた利子を生んで、どんどん、直線ではなくて、グワンと上向きで増えていく状態なんですけれども、上向きでも貯まります。負債の場合も複利で溜まっていきます。こっちの溜まるは、よくないほうの溜まるですね(笑)。

ですので、家計システムを構築するときに、とにかくこのグリーンのほうの、上向きの複利の貯まるのほうに乗らないと難しい、なかなか立ち行かなくなるわけです。これからそれを勉強していくわけですけれども、そのあたりをちょっと頭に入れておいていただくといいと思います。

田原:貯まる要因ですね。

岩崎:では、飛ばしましたけれども(笑)。

田原:はい、ありがとうございました。さぁ、それではちょっと授業中にも教えていただきましたが、今日の宿題を改めて先生にご紹介いただきたいと思います。今日の宿題はなんでしょうか?

岩崎:今日の宿題は……あっ、ここには「収支表」とありますけれども、ごめんなさい、家計簿でいいです。家計簿と収支表は同じことですね。あなたの家計簿とバランスシートを作ってみてください。

もう家計簿を作ってらっしゃる方はそれでいいです。家計簿がない方は、先ほどの即席家計簿のやり方で大ざっぱに作ってみてください。バランスシートはそれぞれ現在の状態、今日の状態でいいと思いますよ、作ってみてください。

わからないところで止まってしまわないで、とにかく大ざっぱでOKです。それから不正確でOKです。今からだんだん正確にしていきますから、不正確でOK。これは単なるスターティングポイントです。そして、3ヶ月、4ヶ月なりかけてだんだん検証していって、正確なものにしていけばいいので、とりあえず、手がかりとしてその2つを宿題として作ってください。

田原:はい、まずはやってみましょうというところですね。

岩崎:はい、やってみましょう。

結局、お金はツールである

田原:そして、最後に授業のまとめとして、みなさんぜひ今回の授業で学んだこと、新しく知ったことがあれば、学んだボタンを使ってシェアをしてみてください。みなさんのコメントをお待ちしている間に、岩崎先生からも今日のまとめをいただきたいと思います。お願いいたします。1回目でした。

岩崎:はい、ちょっとはしょりましたけど、第1回のポイントを読み上げます。「お金との関係を考える」ということで、お金はツールということですね、単なるツール。悪いものでもいいものでもとくになくて、単なるツール。悪くするかよくするかは、私たちの使い方次第ということですね。

それから、健全な家計システムのための4つの要素を見ていきました。お金を「稼ぐ」「使う」「貯める」「守る」ですけれども、今回のこの5回のコースでは、最後の3つ「使う」「貯める」「守る」を見ていきます。

それから、家計を健康診断してみるということで、今回は家計簿と、それからバランスシートを作るというところを、ちょっとはしょりましたがやってみました。これが宿題ですので、ぜひ次回までにちょっとトライしてみてください。

田原:ぜひやってみてください。「ありがとうございます、少し怖いですが宿題やってみます」とコメントいただきました。

岩崎:お願いします(笑)。

田原:ほかの方のコメントでも、「家計簿だけではなく、バランスシートの活用が大事」。そうでしたね、バランスシートもぜひ活用してみてください。そして、「家計の診断も会社経営の診断も、収支とバランスシートで見るのは同じ」というコメントもありますね。

岩崎:そうですね。ありがとうございました。

田原:ありがとうございます。では、先生からのお知らせをお願いいたします。

岩崎:はい、こちらですけれども、ちょうど1年ぐらい前に出版させていただいた、『お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』という本です。今回のコースの内容とオーバーラップしているところもありますし、ぜんぜん違うところもあるんですが、もしよかったら手に取ってみてください。よろしくお願いします。

田原:ぜひ見てみてください。今日は第1回目ということですが、2回目、3回目とどんどん授業は続いていきますので、また最高の方法、いろいろ考えていきたいと思います。先生にも教えていただきたいと思います。

また、教務課からは先生の本『お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』のURLを流しておりますので、ご興味のある方はぜひ見てみてください。

それでは、今日の授業は以上で終了とさせていただきたいと思います。今回お越しいただきましたのは、Smart & Responsible代表、岩崎淳子先生でした。先生、ありがとうございました。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 40歳以降の「つみたてNISA」と「iDeCo」運用の優先順位 老後のための資産形成のポイント

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!