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HRテックのリアル:AIと自動化技 術で人事労務はこう変わる!(全2記事)

2020.03.09

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差別化に最も寄与するのは「人」 企業成長のカギを握る、人事部の働き方改革

提供:ラクラス株式会社

AIによる履歴書のスクリーニングやクラウドによる社保手続きなど、HRテックの応用領域が広がっています。本講演では、ラクラス株式会社 代表取締役社長の北原佳郎氏が登壇し、これまで人間が手作業で処理してきた給与、社会保険、年末調整、住民税といった人事労務業務の本丸を、AI、クラウド、あるいは最新の自動化技術がいかにして効率化するのかを、実例を交えて解説します。本パートでは、労務管理におけるさまざまな自動化の事例を取り上げました。

企業の差別化に最も寄与するのは「人」

北原佳郎氏:名古屋のみなさま、こんにちは。ラクラス株式会社の北原と申します。ちょっとRPAとは離れたところの話題になりますけれども、ご参集いただきまして、大変ありがとうございます。

今、始まる前にせき払いでもすると、それだけでみんなが逃げちゃうなんて言ってたんですけれども(笑)。

私どもはBizRobo!さんとは長いお付き合いでございまして。もちろん社内ではすでにロボットたちが動いてくれております。

ただ、そこではできない自動化や効率化という業務もございますので、人事という側面から、今もうできあがっている技術を紹介させていただきたいと思っております。

HRテックという言葉だけは出てきているんですけれども、まず最初に「人事の情報は2つの領域に分かれるんだ」という話からさせていただきたいと思います。

右と左に分かれておりますけれども、(スライド左側の)「タレントマネジメント」とは、その人物をどう評価するのかとか、最終的にどういうふうにモチベーションを上げていくのか、適材適所を考えるということ。片方にはそのための情報があります。

これはもっぱら企業の差別化にとって重要な情報でございます。なぜかというと、人・物・金という経営資源がありますけれども、結局のところ、差別化を考えてくれるのは人間しかいませんから。その人をどう扱うのかが、とても大事な問題になっております。

人事労務というシステムの特殊性

もう片方で、(スライド右側に)「就業・給与・福利厚生」というエリアがあります。こちらは、法律が決まっているので、きちんとお金を払っていかなければいけない、福利厚生をやらなきゃいけないという分野でございまして。ここには差別化はほとんど関係ありません。

当社の給与計算システムで計算したほうが税金がやや安いとか、そういうことは起こらないわけです。標準的なものをできるかぎり効率的にとどめていくことが、必要になります。

この2つが混ざっているところに、人事労務というシステムの特殊性があると考えております。

ここに書いてありますけれども、人事労務とは、性格が違う2つの領域があり、片方のタレントマネジメントは差別化であり価値を創造する。その中で集める情報は2種類ですね。従業員から集めるものと、会社が入力するものと、2個あるんですけれども。

従業員が提出するものとしては、自己申告とか評価といった情報があります。数字だけではなくてテキストの情報がけっこう入ってまいります。それから、企業のほうが設定する情報としては、採用ですとか、組織、人事、報酬。こういったものがあります。

一方で給与に関しては、法令を遵守するということが大事ですので、それさえ遵守できれば効率性が求められると。身上申請とか、就業の申請とか、そういった情報が集まってきて、それを元に給与計算とか社会保険といった計算を行うと。

本当にまったく違う2つの性格のものが1つのデータベースにあるということになります。こういった仕事を人事部の方々はうまくやっているわけです。

AIの課題は、過去のデータしか扱えないこと

今日は人事部の方っておられます? あんまりいないですね(笑)。「HRテック」という単語がずいぶん流行ってきていまして、これはミック経済研究所というところが出している資料でございますけれども、もっぱら、この赤と黄緑ですね。この領域が増えてきております。

今はこの薄い、濃い緑のところはほとんどないんですけれども。赤のところが、人事・配置クラウド、それから緑のところが採用管理クラウドというかたちになっています。

例えば、履歴書を見て、その方をAIでスクリーニングするとか、顔写真を持って、組織情報を出していくですとかね。そういうかたちでのソフトがクラウドで提供されるようになってきております。

ただ、私は思うんですけれども、履歴書をAIでスクリーニングするのには、2つ問題がございまして。1つは履歴書をスクリーニングしているという会社の判断を、どれだけ応募者の方が受け入れてくれるんだろうという問題があります。

それは気持ちの問題なんですけれども、もう1つの根本的な問題として、AIは過去のデータを元に、それを応用するだけなんですね。ですから、5年前に採用したときのデータを取ってあって、今はその方が大変な活躍をしていて、そのベストプラクティスはなんだろうと言ったところで、しょせんそれは5年前のものにすぎないわけです。

これだけ環境の変化が著しいわけですから、5年後に成長した人と同じパターンを見つけ出すことがどれだけ有効かは……。根本的な問題として、AIは過去のデータしか扱えないというところに問題があるように思っております。人事経験が長い者としては、そういうふうに思っております。

人事部門における、人間がやるべき仕事

一方で、人事の本業の1つは労務管理、さっきの就業・給与・福利厚生というところですけれども、これは今は非常に小さくて、だんだん上がってくるところになっております。

(スライドを指して)これは、今言った成長率等々です。今現在の市場シェアと書いてありますけれども。労務管理クラウドといったものはごくわずかで、今のところ人事・配置クラウド、採用管理クラウドが多くなっております。

ただ、人事部あるいはIT部門の方々が求めるのは、採用管理クラウド。これって、やっぱり人間の技ですよね。説明するもの。きちんとどう説得するのか。ある意味採用というのは、営業活動みたいなもので、会社を売り込んでいくことだと思うんですけれども。これはまさに人間のやるべき仕事です。

一方で労務管理の部分は、これからどんどんAIとか他の領域が使われていくだろうというふうに思っています。今日はその話をさせていただきたいということでございます。

テクノロジーで知識労働者の生産性を向上させる

簡単に当社のことを紹介させていただきます。知識労働の生産性を向上することをミッションにしております。なにしろ人口減少時代を迎えております。こればかりはどの会社もぜんぜん変わらないわけでして。

人口減少の中でも、とくに著しいのが知識労働者。真っ先に頭に思い浮かぶのはエンジニアだと思うんですけれども。有効求人倍率が2.5倍を超えて久しいわけでございます。

その知識労働者の不足というものをなんとかしなきゃいけない。これは有名な経営学者であるドラッカーも、「21世紀における最大のチャレンジは知識労働者の生産性の向上である」というふうに言っております。テクノロジーにより知識労働者の生産性を向上させていきたいと考えております。

(当社が)できたのは2005年で、それ以降、大企業向けの人事サービスを提供するためのさまざまな施策(をご提供しています)。データセンターといったところですとか、セキュリティとか、それをきちんとした報告書にまとめるとか、そういったものを含めて、ずっと活動を続けております。

すべての情報システムがこの4つのモジュールから成り立っております。これはもう、コンピュータからそもそも、入力・記憶・処理・出力・管理という機能しかないんですけれども。

私どもは人事システム、人事の仕事、他の仕事でも同じですけれども、(それらを)考えるうえで、この4つをすべてデジタル化していくことが必要と考えています。

その中で、RPAやAIの活用ができるようになってきているということです。

効率化の第一歩としてやるべきこと

まず1個目、とても大事なのが、入力部分で紙をなくすことです。今や個人のスマホまであるわけですから、入力の段階で、すべての情報をデジタル化してしまうというのが、まず効率化の第一歩になってまいります。

なぜ紙処理が効率化にいけないのかという、そもそもの話なんですけれども。紙の処理というのは、結局1枚の処理に1分かかる。例えばデータを記入するでもいいですし、年末調整の書類をチェックするでもいいんですけれども、1枚に1分かかるんだったら、100枚には絶対に100分かかる。処理すべき量と、それにかかる資源が正比例してしまうのが紙です。

一方のコンピュータというのはそうじゃなくて、1万人の給与計算をやろうが、100人分の給与計算をやろうが、そこにかかる時間は、ほとんど、人間の感知する領域じゃないぐらい。1秒か5秒の違いはあるかもしれませんけれども、それはほとんど問題がないという感じです。

大量に一括処理すべき量よりも、処理にかかる資源が少ないというのが、コンピュータ処理のいいところです。それをやるためには、まずは真っ先にデジタル化しなきゃいけないというのが一番最初の話です。ここですね、紙では本当に大変なことになっています。

その次はデータベースに全部統合するという話です。人事情報は先ほど申し上げましたように、タレントマネジメントの情報もあれば、就業・給与・福利厚生といったさまざまなものがあります。今出ているマーケットで手に入るデータベースは、ほぼそれらが人事情報は人事情報、給与情報は給与情報と、バラバラのデータベースになっています。

それを1個にまとめることが大事になっていきます。これだけしますと、なんと給与計算というのは自動的に処理できます。すべてのデータが1ヶ所に集まってさえいれば、給与計算は自動的にできるということです。

給与計算はほぼ自動処理できるようになってきている

私どもの会社も給与計算を請け負ったりしておりますけれども、月初、タイムカードを締めるところから、月半ばに銀行向けの振り込みデータを作るところまで、十数日間毎日毎日ちょっとずつ処理をしていくわけですけれども、そういったものはすべて自動処理できるようになってきております。

それが、ここまでは全部デジタルでいきますと、最後は自動連携ということで、今は政府が進めております、社会保険の電子化や税金の電子化といったほうに、デジタル情報のまま連携できるようになってまいります。

こういうかたちで、水が上から下に流れるように、一気通貫で済む状態がこれからの情報処理のあり方ではないだろうかと思っております。

これはちょっとあとで見ていただけたらいいんですけれども、今申し上げた機能は、当社のクラウドでは提供しているという話でございます。

クラウドでのワークフローがあって、それからクラウド上にデータベースがあって、給与計算を自動処理して、このデータベースから出たものがさまざまな社会保険であったり、税金であったり、年末調整であったり、また、あるいはお客様の会社のデータベースであったり、そういったものと連携する仕組みを一括して提供するということを主題にしております。

勤怠や経費に加え、社員の評価に関する情報が行き来する

会社の紹介はここまでにします。続きまして、今どんなテクノロジーがあるのか。先ほど申し上げた採用などじゃなくて、人事労務の本丸である、就業・給与・福利厚生という手間がかかるところに対して、どのようなことをやっているのかという話をさせていただきたいと思います。

これは、最初に申し上げたワークフローでございます。ワークフローというのは「先ほどの入力を、入力段階で全部デジタル化しましょう」というものです。

現在、クラウドでの仕組みはいろいろあると思います。タイムカードだけを押せる就業管理だけのものとか、社会保険の手続きだけできるものとか、年末調整だけできるものとかがございます。

そうではなくて、社員と会社の間を流れるすべての情報を1個のインターフェースにまとめようという発想です。

あらゆる情報を、情報の発生源でデジタル化すると、1回紙で受け取ってそれをデータ入力するとかじゃなくて、すべてをデジタル化してしまう。

社員さんにとりましても、どの申請をしようが、どの書類を提出しようが、すべて1つのインターフェースにあるということも大事でございます。あとは、今、なんといっても大事なのがマルチブラウザ、マルチデバイスということで。スマホからでもPCからでも同じように入力できるようにするのが大事だということです。

企業と従業員の間に流れる情報は、本当に多種多様です。ざっくり、まずは就業管理がございます。毎日、毎日、残業するとか休みを取るとか、来週の週末に出勤するとか、そういった勤怠関係があります。

入退出手続きがございますし、それから身上変更ですね。家族が増えた、引っ越しをした、そういったものがあります。それから出張と申請とか、社用車、社有車の利用申請とか、さまざまなものがあります。

タレントマネジメントに関連するものでは、モチベーションのサーベイですとか、自己申告ですとか、多面評価ですとか、そういったさまざまな情報が、社員と企業の間にはあると思います。

これが起こるのは人事領域だけで、他には経費の精算しかありません。全従業員と企業が繋がるのはそれだけなんですけれども、人事業務におきましては、さまざまな情報が行き来しているということでございます。

働き方改革によって、タイムカード機能の重要性が増した

もう1つ行き来する情報として、打刻情報があります。これはけっこう難しいんですけれども、今は働き方改革といった法律の改正も非常に頻繁に起こっております。

単に打刻できるだけではなく、打刻した情報を元にして「あなたはあと今月何時間まで残業できますよ」とか、「年次有給休暇を取らなきゃいけない」とか、そういった情報を会社のほうから従業員に表示してあげることも必要になってきております。

そういう意味で、打刻機能といいますか、タイムカード機能の重要性は昔よりもはるかに増していると思います。このようなタイムカードも、先ほどのデータの入力装置でございまして、これも情報の発生源でしっかりと把握して、そのままデジタル化したものがデータベースに入っているという仕組みが重要になってまいります。

社員がどこでテレワークをしているのかがリアルタイムで見える

次のページにまいります。これはテレワークに関するソリューションの1つでございます。テレワークということで、(制度自体は)いいんですけれども、出て行ったきりどこにいるのかわからないというのでは、会社としてもそこまで自由にはさせたくないと、その部分をしっかり把握しておきたいというニーズがあると思います。

これは、NECさんと共同で作っているんですけれども、「NeoFace Cloud」GPS連携サービスというのがございます。

これを使いますと、ご自分のスマホで作業開始、作業終了といったボタンを押します。そうしますと、そのときのGPS情報も全部一緒にアップロードできます。誰が今、どこで、本当に自宅に勤務しているんですけれども、自宅に勤務しているのか、どこの作業所にいるのかといったことが、すべて把握できるようになります。

いくつかタイムカードを取りますので、給与を労働時間と結びつけて把握すると。非常に正確な顔認証があります。その2つのIDを入れるというのと、顔認証と合わせることで、本人確認や場所確認といったものが間違うことなくできるようになっております。

それの情報を、さらに地図上に配置することもできます。これはウイングアーク1st株式会社の「MotionBoard」という製品とも提携しているんですけれども、「今現在自分の会社の社員がどこでテレワークをしているんだ」ということが、ほぼリアルタイムで見えるようなことになっています。

これは、仕組みとしては簡単で、携帯から上がってきたGPS情報を地図上に配置すると。これは「MapFan」のコンテンツを利用しておりますけれども、その上にこういったかたちで「人が今どこにいるのか」がわかるようになっております。

他にもいろんな機能がありまして、顔写真の認証をするんですけれども、自宅で働いているはずの時間に、自宅から500メートル以内よりも離れたところにいると、それは打刻できませんよとかですね。そのような管理機能をつけることができるように、さまざまなお客様のニーズに対応しております。

人事部門でビジネスインテリジェンスを応用し、退職者分析などに活用

それから、これはBIと言われている機能の1つです。BI、ビジネスインテリジェンス。ビッグデータがあるとして、それを可視化して表示するための仕組みをBI、ビジネスインテリジェンス機能といいますけれども、その機能の1つを使って、この地図上の表示を行っております。

今言った話をもう1つ使いますと、BIを使いますと、さまざまなダッシュボードができるようになってまいります。これは、退職者分析ダッシュボードと書いてありますけれども、事業別の退職者の推移でありますとか、それがどういった理由で、あるいは次にどうするのかとか、どこに行くといったのかということとかですね。

人事部の方々がヒアリングした、そういった情報をすべて、ここにまとめることができるようになっております。

こういった結果とそれまでの評価とか、自己申告。そういったデータと結びつけますと、なんらかの傾向が見えてくる可能性がございます。

これは、この中のどれかを選んでクリックしていただきまして。そこをさらにクリックすると、その人のプロファイルが全部見えるといったような機能にもなっております。それがBIの人事部門への応用ということになっております。

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