2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
提供:北海道大学博士課程教育物質科学リーディングプログラム(ALP)・北海道大学 大学院 理学研究院・博士人材の未来を拓く北海道大学理工系大学院教育改革Ph.Discover
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武吉佑祐氏(以下、武吉):改めましてコンサルタントの武吉です。私とキースは今までの石積、小守と比べると年齢的にみなさんに近いので違う視点からお話しできるかもしれません。会社のコンセプトや戦略という視点からちょっと離れて、ふだんどんな仕事をしているのか、どんな思考をしているのかを中心にお話しできればと思っています。
私はマスター(修士)ですけれども、研究をしております。ですから研究に携わっているみなさんに、なにか新しい価値感を提供したいとずっと考えていました。最近研究に近い仕事をする機会が多いので、その(研究開発に関する)話をします。
大学で話すので釈迦に説法かもしれませんが、材料科学や化学、あとは生物学の分野で活躍されている研究者の方とお話させていただく機会があり、みなさんと同じような課題認識をしていると思っています。
具体的には試行錯誤や多くの実験が必要になったときの対応です。データに関しては、実験データの数が多かったり、専用の機器が出力するデータのフォーマットがバラバラで横串で検索できなかったり、統合が難しいなどさまざまな課題があります。
あとはとくにバイオ系はデータの公開がかなり進んできてますが、整備が不十分で検索性が悪かったりします。このように研究開発の分野でも多様な課題を抱えていると感じております。
最近、インフォマティクスと科学技術研究領域をシナジーさせて、今までできなかったことをできるようにすることを目指して研究されている方が非常に多いと思っています。
この図では材料工学、材料科学の例を書いているんですが、例えば材料科学の世界では、解決すべき課題として「硬くて軽くて、でも安い材料ってどう作ればいいのか?」という、いわゆる逆問題があります。
実際に実験して試してその組成を調べてパフォーマンスを見るのではなくて、こういう組成のもの、こういうパフォーマンスの物質が欲しいときに、それをどう作るかという逆問題をどう解くかが問題になっていると認識しています。
今までは研究者の方の過去の知見などをベースに実験を何年も重ねるという方法がありました。しかし、最近はよりスピードアップして、精度を上げるためにITの力を使っていく流れが主流です。実際、私自身もこういった研究機関の方に対してオラクルのサービスを提供させてもらっております。
社会的には、オラクルはDatabaseやデータの箱を提供しているメーカーやベンダーというイメージがけっこうあると思います。
先ほど石積から話があったとおり、分析の機能をDatabaseの中に持つなど、最近はそういうアナリティクスの界隈でもかなりアピールできるような機能があります。ここに書いてあるMaterials InformaticsやBioinformaticsの中でも、なにかしら価値を提供できるような土台が整ってきていると思っています。
中身を話し出すとぜんぜん止まらなくなるので(笑)、実際に今、私がキースとある国立の研究機関様と一緒にやっているプロジェクトの概要を紹介します。
Databaseをそもそも知らない方もいると思いますが、エクセルのスプレッドシートみたいに行と列のかたちでデータを管理しているのが一般的なDatabaseです。しかしながら、実は弊社のDatabaseはこういうグラフネットワーク、ノードとエッジの関係でデータを保持することができます。
このグラフネットワークのかたちは研究開発において非常に相性がよく、例えば予測モデルを作るときもなんらかの入力があって、それを予測モデルが分析してなんらかの情報を出力します。そして、その出力はまた別の予測モデルの入力になっていく、というサイクルです。
なにかを考えたときはグラフやネットワークのかたちになることが多いので、そういったデータ特性を踏まえてグラフでデータを格納して、それに対して分析をかけて、先ほどちょっと冒頭でお話したような逆問題を解くような鍵が得られないかと、研究機関の方々と試行錯誤しております。
先ほど同じような観点で、一番最初の課題というところでデータの管理が難しいという話をさせてもらいました。例えば、これは実際のデータですが、「クロムモリブデン鋼」という言葉があって、これが何かを検索しようとしたときに、「クロムモリブデン鋼」としっかり書いてあるデータもあれば、「クロモリ鋼」と略語で書いてあったり、「chromium molybdenum」と英語で表記されていたり。
同じことを指し示しているのですが、表記ゆれや略記系といったデータのゆらぎがあると、検索したいときにほしいものが正しくヒットしてこないことがけっこうあります。
そういったところを整備するような機能も実はうちは持っています。今日は時間がないので、もし興味があれば後半の交流会の場で聞いてもらえればうれしいです。
私が言いたかったのは、最近こういうインフォマティクス関連の仕事、データ分析をさせていただいているのですが、新しいことをやってみたいときに、ITのスキルや統計学、グラフ理論、あとは機械学習のアルゴリズムをひたすら学んで試すことをずっと繰り返します。
我々は当然コンサルティングでサービスを提供しないといけないので、サービス化してお客様に提案しました。でも、お客様のリアクションは「なんかすごそうですね」「なんかおもしろそうですね」で終わっちゃうんです。結局サービスが採用されない。
なんで採用されなかったんだろうと思ったときに、私個人のフィードバックとしては、自分の勉強が足りなかったからだと思ってまた勉強するということを半年~1年くらい繰り返しました。つまりぜんぜんお金にならなかったというか、ビジネスとして採用されなかったんです。
社会実装の難しさを身にしみて感じました。我々はボランティアで仕事をしているわけではないので、小守さんに怒られることもありました(笑)。ひたすら技術をやるだけだと、なかなか社会実装ができないんだなと痛感しました。
じゃあこの社会実装の難しさを克服するにはどうすればいいのかをいろいろ考えたんです。データ分析のプロジェクトは、大きく分けて3つのロール(役割)が必要です。
ビジネスという表記にしていますけれども、研究も同じですね。いわゆるドメインの知識がある方。あとは分析で言うと統計理論とか、理論がわかる方。あとはそれを実装できるエンジニアリング、エンジニアです。だいたいこの3つのロールがそろってはじめて、データ分析のプロジェクトが回ります。
我々オラクルのコンサルタントが担っている部分はこの図の白い円で囲んだところで、エンジニアリング寄りではあるけれども、理論もかじりつつ、一番大事なのはビジネスもかじること。これに気づいたことが私の中ではとても大きかったです。
私も理系出身なので、どうしても理論や、エンジニアリングに自分の興味が向かってしまいます。けれども、やっぱりお客様のやりたいことやその背景やビジネスを理解しないとなかなかサービスを採用してもらえないですし、社会実装に至らないことを身にしみて感じました。
どんなに高度な理論やアルゴリズムを知っていたり、作り出すことができても、お客様や社会の要求に応えられないと意味がないということに最近やっと気づけました。今はビジネスの領域もさらに勉強しています。
これ(スライドの右側)はCRISP-DMという機械学習のプロジェクトの一般的な回し方を表しています。IBMさんが提唱されているフレームワークです。このCRISP-DMの中でも一番大事なのは左上の業務の理解、課題の定式化というところだと、多くのデータサイエンティストや統計家のみなさんが説いています。
右のデータの準備や予測モデルを作る部分は重要じゃないとは言いませんけど、できる方ってたくさんいるんですね。でも、左上の「業務を理解して課題を定式化する」、つまり、ちゃんと課題をお客様から聞き出して抽出して、それをお互いの共通認識化するのはすごく難しいんです。
研究をやっていると、どうしても自分のドメインの中でしかものごとを考えられなくなることが多いと思います。でも、社会実装を考えていくと、学生のうちからもっと自分の興味や視野を広げていく活動ができれば、私みたいに気づくのに8年もかかることにならないと思います(笑)。こういった気づきをみなさんに提供できたらなと思って資料をお持ちしました。
最後になりますが、みなさんへのメッセージです。私は社会人になって10年目で、みなさんよりは若干先輩なので、理系や研究の経験のあるみなさんに期待していることとしては、やっぱり自分がやっていることや興味のあることを超えて、その先にそれをどう活かしていきたいか、です。
そういった異なるドメイン間の知識の融合ですね。シナジーのところもどこか頭の片隅において、今後も勉強や研究に励んでもらいたいと期待しています。
あとは前例のないアイデアを作る力ですね。これも研究をされているみなさんのほうが我々よりも秀でていると思います。実績があることではなくて0から1を作るところが本当に大事な世の中になってくると思うので、がんばってください。
そういうことに慣れている方々と私自身は一緒に仕事をしたいなと思いますので、ぜひ日本オラクルだけではなく……弊社を含めたIT業界にも興味を持って就職活動に関心を持ってもらえたらうれしいです。私からは以上です。
キース・レイ・グロッグ氏(以下、キース):自己紹介の資料です。私は機械学習やグラフネットワークなどを仕事としてがっつりやっています。武吉さんと一緒にMaterials Informaticsなどを勉強しながら、論文を見たりしながら仕事をやっています。
(スライドを指して)私は2013年にPurdue大学に入りました。ずっと日本育ちなんです。父の仕事の関係で米軍基地で育っていたのでずっと英語が生活の中心でしたが、日本語は公文で勉強しました。
Purdue大学工学部の機械工学(専攻)で入って、4年間学びました。アメリカの大学は夏休みが3ヶ月間あるので、毎年日本に帰ってきていたんです。そこで日本オラクルがプロトタイプという感じでインターンシップをやっていました。オラクルは、アメリカではバスケットボールやアリーナのスポンサーをやっているので、かなり知名度がありました。
ビッグバンをなんとなくやってみようかなぁと思っていたら、そういうIT業界の世界があって、実際データの扱いという存在は知っていたんですけれど、ここまで細かく見る機会がなかったので、すごく興味を持ちました。
2014年、15年、16年とオラクルに帰ってきてインターンシップをやることになって、そこでセールスコンサルタントやオペレーションなどいろんな仕事を見せてもらって、どういうキャリアを積むか、すごく悩み始めました。
機械工学に入った理由は「機械工学でいいか」くらい。ものづくりも好きだったし、TeslaやSpaceXという会社にすごく憧れて機械工学を勉強しようって最初は思ったんです。
徐々にやっていく中で、本当に私は機械工学でいいのか? 一方で、ビジネスサイドに入ったら機械工学を捨てることになるのかって心配になりました。
でも、オラクルのインターンシップはとても楽しかったし、ITにも興味があったので、卒業したあとにOracle Digital Japanという組織に入って、そこでインサイドセールス、始めは営業職に就きました。ずっと技術をやっていたんですけれど営業職に入って、もう技術的な仕事は終わりなのかなって思っていました。
そんなときコンサルティングサービス部門の話を聞いて、「おもしろいことをやってるな。逆に機械工学で勉強した内容を使えるじゃないか」と思ったんです。まさかIT会社に入って、機械工学で習っていたことを活かせるとはあんまり想像できていなかったんですけど、武吉さんがそういうことをやっていると聞いて興味がわいて、異動することになりました。
先ほどMaterials Informaticsという話がありましたが、そこでも機械工学で材料工学の勉強もしていたんです。オラクルに入ってまさか、また材料工学という言葉を聞くとは思わなかったので、最初はびっくりしました。
でも、ITはマテリアルズサイエンス以外にバイオやERPなど、いろんな分野で広がっていました。今後、データをどう扱うかがあらゆる業界で課題になっていますので、統計学とか数学、大学で習ったことをうまく今の仕事で活用できています。
まとめると、大学時代はエンジニアをしているのは機械工学を学んだ人だけだと思っていました。今振り返ると、それは狭い考え方だったんです。どんな分野でもITという共通点があると考えれば、今の勉強や研究の中でどういうふうに使えるか、どういうふうに活かせるかを探すことができます。すると今後のキャリアパスはどんどん広がると思います。
もしご質問があれば聞いてください。ありがとうございました。
質問者1:ありがとうございました。さっきのマシンラーニングについて聞きたいことがあります。今は誰でも使えるようになっています。自分の研究にも使えます。そこで、オラクルのマシンラーニングのメリットは何でしょうか。貴社のマシンラーニングじゃないとできないことはありますか。
武吉:端的に言うと、オラクルのプロダクトでしか使えないアルゴリズムはありません。ただ、機械学習をするときは、データ量が例えば数万件とか数百万件未満のオーダーであれば、通常のラップトップだとか、いわゆるローカル管理された世界でも分析を回せます。メモリのサイズやCPUのパワーの世界の話です。
でも実際、企業が持っているデータは本当に数千万件とか数億件、数十億件というような、桁違いのオーダーになります。そうなってくると、データを1ヶ所のデータベースの中に全部入れて、そこで機械学習のアルゴリズム自体のプロセスも起動させて、リッチなマシンパワーがあるところで分析を回すことが求められます。それが可能なのは、私が知る限りオラクルしかないと思っています。
データベースの中にアルゴリズムが内包されているというのは、オラクルが非常に強みにしている部分です。
あとは、その1つのデータベースの中にいろんなデータがまとまって入っているので、今はこの軸でしか分析する計画がないけれど、別のニーズが出てきて「あのデータとも組み合わせたい」となったときに、1つの箱の中にデータが収められているので非常に操作しやすいメリットがあります。
質問者1:なるほど、わかりました。ありがとうございます。
(会場挙手)
質問者2:武吉さんのスライドにあった話で、機械学習を活かすために理論とエンジニアリングとビジネスの知識が必要ということだったんですけれど、そこで言っているビジネスの知識はどういうものなのか、もう少し詳しく教えてもらってもいいでしょうか。
武吉:はい。その質問が来るかなと思ってました(笑)。ちょっとざっくりと書いてしまいました。当然そのビジネスはお客様の業界によっても違いますし、お客様が所属している部門によっても違ってきます。例えば人事部とマーケティング部と経理部では、それぞれ持ってる課題も背負ってるKPIも違います。
私がここで言っている「ビジネスを勉強する」というのは、例えば人事部が持っている課題を聞き出せるように、人事部が使っている言葉を勉強することです。あとは人事制度はどういうものなのかを本で勉強したりします。
お客様の課題を引き出すために、若干付け焼き刃ではあるんですけれど(笑)、最低限の勉強はします。お客様の課題をちゃんと引き出して、対等に話せるような関係を構築したあとに、お互いに課題に対する認識を共有して、私からのソリューションを提案する……というレベル感でのビジネスです。
実際、一つの案件を一緒にやらせてもらえれば、私は人事そのものに詳しくなり、お客様も我々のテクノロジーに詳しくなります。そこで学んだ人事のことを、ほかの人事で困ってるお客様に提案することもできるようになります。
お互いに仕事を通してスキルを高め合いながらやっていくというところがおもしろいところでもあり、難しいところでもあるかなと思います。
質問者2:ありがとうございます。もう1点、今はビジネスだけじゃなくて、科学のそれぞれの分野でも、機械学習とかデータ分析をツールとして使うことが多いと思います。それをどう役立てるかというので、サイエンスが「ビジネスに対応する」というのは、「その分野の知識を得る」という理解でいいのでしょうか。
武吉:はい。先ほどご紹介した国立の研究所様とはずっと仕事をしていますが、最初は私も先方が何を言ってるのかまったくわからなかったですね(笑)。お客様はみなさんドクター(博士)ですし、教授をされていたような方ばかりでした。
最初は本当に何を言ってるのかまったくわからなかったんですが、私自身もマテリアルインテグレーションの学会に参加させてもらったりすることで、お客様が持ってる語彙とか、業界全体の課題をある程度吸収できるようになりました。
同じレベルにはなれないですけれども、ちょっと近づいていって、話が聞けるようなレベルまでいければいいと思います。我々はしっかりしたソリューションを提供して、研究者の方にはマテリアルサイエンスの知識を提供してもらうといった、持ちつ持たれつの関係で今は仕事をしています。
質問者2:ありがとうございます。
(会場挙手)
質問者3:僕は今、博士課程に在籍しています。修士までをやってきたときと比べて意識していることは、「課題を見つけよう」という姿勢です。オラクルさんでやられている仕事には、いわゆるデータを持っている企業側の「こういうことをしたい」という要望への対応と、「そもそもこの業界にはこういうデータが眠ってるだろうから、オラクルの技術を使ってそれを利用すると、なにか新しい価値が生まれるんじゃないか?」というようなご提案と、それぞれどの程度あるのでしょうか。
人見尊志氏(以下、人見):お客様が気が付いてない課題を見つけ出す、ということもやっています。ちょっと例を出すと、先ほど石積が使ったスライドの中に「開発者が38,000人」とありました。さらにオラクルの中にはラボもあるんです。研究部隊もあるんですよ。なので、まだこれは技術として成り立つかどうかわからないけれども研究している、というメンバーもいるんです。
でも、彼らも昔はやっぱり研究して論文を書いて、それがちゃんと認められるというところがKPIだったんです。加えて今は、しっかり社会に使えることも実証しなくてはいけなくなってきています。
なので、研究者ではあるものの、直接我々のお客様に提案しに行くんです。先ほど武吉が言っていたグラフの技術は、まさに我々のラボから生まれています。お客様に対して「こんな技術があったらこんなことができますよね」という提案をしているチームもいます。
開発の38,000人は、そういうシーズ(ビジネスの種)をモノとしてつくることもあれば、小守が言ったように、世界で先進的なお客様の「こういう課題があるんだけど、オラクルってこういうことできないの」という要求を集めてモノをつくったりもしています。
でも実は、実際にあるトップ企業、1社だけが抱える課題を、我々が製品化することはないんです。開発メンバーと話すときに言っているのは、「1リージョンで1個課題が出てきた」というのではダメだ、と。「少なくともそのリージョンの7社とか8社が同じような課題を持っているかどうか」で、開発側はその開発プロジェクトを始めるかどうかのプライオリティを決めたりします。
我々の開発メンバーは、同じような課題がほかのリージョンにもあるのかを見ながら、モノづくりをしていたりもします。なので割合で言うと、本当にテクノロジーをベースにゼロから作るというのは、弊社の中でやっぱり数百人です。でも、開発はそういったニーズをもとにして作っていくのです。
私たちや武吉のようないわゆるプリセールスの者が大切にしている感覚は、お客様のビジネスそのものです。例えば通信業界だったら、通信業の裏で使っているシステムとか。流通だったらやっぱりモノを売る、あるいはそれを管理するところで「やれていないことは何?」「こういうことやりたいんだけど」という課題に対してソリューションを提案をしていくことです。
お客様が気づかない課題を指摘することもあります。それは先ほど私がイデアな話をしたように、お客様は自分のドメインにずっと専従しているので、流通業界の方は流通のことには詳しいんです。一方で我々は「同じような仕組みで、通信業ではこういうアーキテクチャでやっている」ということを知り得るんです。
なので小守が言ったように、1つの課題に対して、お客様が課題だと思ってるものを横から見てみたり、上から見てみたりして、本当により良いものは何なんだろう、と考えながら提案していくんです。
それが多いかというと……どれぐらいだろうな。私たちの中で言うと、2割あればいいかなという感じですかね。お客様が気づいている・顕在している課題と、潜在的な課題も合わせてご提案していくのが、我々がやっていることです。答えになっていますか?
ほかに同じような、あるいはぜんぜん違う話でもいいので、ご質問があれば受けたいと思います。
(会場挙手)
質問者4:キースさんにお聞きしたいことがあります。さっき、コンサルティングの部署に移られてから、大学で学んだ機械工学や材料工学の知識を活かせるようになったとおっしゃっていました。大学で学んだ機械工学などを、実際どのように活かせているのかを、もう少し詳しく聞きたいです。
キース:具体的に言いますと、機械工学、Thermal DynamicsとかFluid Dynamicsとか、物理とか数学も全部まとめて入っています。特に、基盤として今活かしてるのは、数学と統計学ですね。マテリアルサイエンスもプラスで入っているんですけれど、モデルを作るときにどういう関数で、どういうふうに結果を出すかが重要になります。
あとはやっぱり統計は基本です。機械学習って、統計をすごく複雑にしたものという感じです。そういう知識を使うと、仕事がやりやすくなってるかなと思いますね。その知識を大学で学んでいなかったら、ちょっと難しいかなと思います。
みなさんもきっと普通に統計などもやってると思うので、マシンラーニングのモデルとかアルゴリズムを読むと、パッとすぐわかると思うんです。だから、そこはすごくメリットだと思います。
質問者4:すごくイメージが湧きました、ありがとうございます。
人見:同じ北大出身者という観点で、太田からちょっとコメントを欲しいなと思って、無茶振りをしてみます(笑)。
太田恭介氏(以下、太田):北大出身者の太田と申します。えっと、大学での経験がどうやって活きてるかってことですかね。そうですね……私の経歴がちょっと変わってはいるんですけど、北大で機械工学を勉強したあと、大阪大学でデザインを勉強しました。そのあとデザイナーになって、オラクルに入社しました。
そういった経歴の中で活きている経験は、いくつかあります。まずは、クラウドの時代になって、お客様のニーズが多様化しています。今までIT部門とお話することが多かったのが、今は業務部門の方、要はITを知らない方とお話しする機会も増えてきています。
そういったときに、当事者のお客様が問題を見えていなかったり、お客様が問題だと思っていることが問題じゃなかったりすることに気づきます。あるいは何をしたいかはわかっているんだけれど、それをどうやって対処したらいいかわからないという曖昧さが増えているような気がします。
個人的に、研究生として工学を勉強したり、研究をしたりする中で経験できてよかったなと思うのは、問題を構造化する力です。修士や博士になると、私の感覚では問題が広くなっていったり、深くなっていくイメージがあります。あるいは、場合によっては自分で問題を提起して、その解決までの道筋をつけなきゃいけなかったりする場面もあると思います。
そういう大学での経験が仕事にもそのまま活きていると思います。問題の解決方法がたくさんあったり、あるいはゴール自体が見えてなかったりするケースにおいて、研究活動を通して経験した自分なりに問題を構造化して道筋をつける習慣は、すごく活きているなと感じます。
ほかにもいくつかあったんですけれど長めにしゃべってしまったので、これぐらいで(笑)。
キース:私は機械工学やっていて、オラクルのインターンシップを受けてどのようにITという世界に入ったかという質問にお答えします。
私は、統計ツール、MATLABとかいろんなものを日常的に勉強して、ITのビッグピクチャーにも使えるようになりました。
やっぱり興味をもって統計ツールを触っていくと、次第と理解できるようになります。ぜひ興味ある人は統計ツールを触ってみてください。そんなに難しいものではないと思います。
石積尚幸氏(以下、石積):みなさん、どうもありがとうございました。お疲れ様でした。最初、私と小守のほうからオラクルの紹介ですとか、技術やITがどういうふうに変わってきたかお話をさせていただきました。
今、日本の現状として、日本の会社は日本だけで商売しても成り立ちません。人口が減っていっていますから。そうするとどうしても世界に打って出なきゃならない。
オラクルはグローバルな会社で、もともと世界中で仕事をしています。グローバルな会社のほうがはるかに早いスピードで動いていますから、そういうところと日本の会社は戦っていかなきゃならない。
さっき小守が話したように、ITもどんどん変わってきている。そういった中で日本のお客様が問題をどういうふうに認識して、それをどのように解決していくかという問題にみんな直面しているわけです。
次に若手2人が話しましたが、ITとは違うバックグラウンドを持ちながらオラクルに入って、それまでの経験をどう活用できたか。そのときに何が必要だったか。統計や数学が必須というのはまずあると思います。
企業に入って、みなさんのようなドクター(Ph.D.)を持たれている方たちがどういう価値を出すことができるかというヒントが、今日は短い時間でしたが共有できたんじゃないかなと思います。
問題は広くなったり深くなったり、そんな中でドメインのエキスパートであるみなさんたちには、ビジネスのナレッジやツールをうまく使いながら仕事を見つけてほしいです。もし企業に入られるのであれば、さらに勉強を通じて、企業の中でのビジネス問題をしっかり解決するリーダーとして力を養っていっていただきたいと思いました。ありがとうございました。
北海道大学博士課程教育物質科学リーディングプログラム(ALP)・北海道大学 大学院 理学研究院・博士人材の未来を拓く北海道大学理工系大学院教育改革Ph.Discover
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