結果として「慕われるリーダー」になるということ

インターン生(以下、イン生):人の上に立って引っ張っていく立場になったことがなくて、慕われる人間、ついて行きたくなる人間になるためには、どういう行動をすればいいのかが分からないんです。教えていただければと思います。

DMM会長 亀山敬司(以下、亀山):リーダーになりたいってことかな? それなら「慕われたい」って思いを一度捨てたほうがいいね。「俺を慕ってくれ〜。ついて来てくれ〜」って言われても、ウザいだけじゃない。そんな寂しがりのリーダーにはついて行きたくないだろ(笑)。

慕われたいからと、相手に話を合わせようとする人がいるけど、それはただの付き合いがいい人。そんなやつは嫌われないけどリーダーにはなれない。リーダーってのは「場の空気を壊さない」やつじゃなくて、「場を壊さない」やつ。つまり、組織を守れるやつってことよ。

人は強いやつにしかついて行かない。良い悪いに関係なく、仲間を守る強さがないとリーダーにはなれない。極端な話、会社が2つしかなくて、優しくて弱いリーダーが会社を潰しちゃったら、怖くても強いリーダーの会社に転職するしかないだろ。

だから、リーダーは組織を守るために、部下に厳しくしたり、言いたくもないことを言ったりと、嫌われることがいっぱいあるのよ。そして、そんなときでも自分ひとりで立っていられる強さがあるから、部下が安心して寄りかかれるんだよ。

イン生:でも、それってなんだか寂しいですね。

亀山:そう、リーダーなんて孤独なもんよ。(ハッシャダイ代表の)久世なんかも誰にも寄りかかれない。それを引き受けて前に進むやつにだけ、人はついて行くのよ。

そして、そんなリーダーの中で、「自分に一番厳しくて、部下を思いやる気持ちのあるやつ」が、結果として「慕われるリーダー」になるってことなんじゃないかな。

答えになってるかな?

イン生:はい。ありがとうございます。

DMMが新しい分野に進出する原動力

ハッシャダイCOO橋本茂人(以下、司会者):他に質問はありますか?

イン生:DMMはいろんな分野の事業に進出されてきたと思うんですけど、新しいことに対して行動する際の原動力はなんでしょうか? 自分は今、「お金のために頑張ろう」という弱いものでやっているんですけど、亀山さん的には原動力は何なのかなと。

亀山:原動力っていうより単にビビリなんじゃない。経営者っていう生き物は業績が落ちるのが一番怖いんだよ。俺なんかは「今年が業績のピークかも」って、いつもビクビクしながら生きている。

業績が落ちたせいで社員をリストラするのはしんどいだろ。でも、何もしないと多分ジリ貧になってくと思うんだよね。だから、少しでも会社が続くように、早め早めのお手当てってところかな。

DMMが新しい分野ばかりやるのは、昔からある仕事じゃなかなか稼げないから。製造とか建築とかの分野って、今更やっても勝ち目がないだろ。でも、新しい舞台でのスタートなら、ITやソーラー発電や3Dプリンタとかなら、大手と対等の勝負ができる。

イン生:危機感を原動力にして、新しいことで勝負ですか?

亀山:そうだな。なかなか物分かりがいいじゃない(笑)。だから、お前らの戦いもそれと同じよ。小中高と勉強をサボったやつは、学校という舞台の上じゃなかなかその差を埋められない。だけど社会に出たら、今からが「よーいドン!」よ。大卒より4年も早くスタートできる。

今やってる仕事に学校の成績が関係ある? な〜んも関係ないだろ。会社じゃ営業は売ったもん勝ち。プログラマーやクリエイターなら作ったもん勝ちよ。学校と社会とじゃゲームのルールが全く違うからね。だから、大学生が学校で勉強している間に、お前らは実戦で学んで、先行逃げ切りってやつよ。

今は働き方改革とかで働く時間が減ってるけど、空いた時間を楽しむゆとりがあるのは大企業か公務員の話。お前らが差を埋めようと思ったら、今日からでも行動しないとな。少しでも楽しく生きれるように、早め早めのお手当てだな(笑)。

「漠然とした不安」は “ない”も同然

イン生:僕は時々ネガティブな部分が出てきてしまって、自分は何がしたいのかなって、漠然とした不安があるんです。亀山さんはポジティブに見えますが、どういうことを意識しているのでしょうか。

亀山:本当は何がしたいのかなんて、俺もいまだに分からないよ。20歳そこそこのお前らが分からなくても当たり前。

「漠然とした不安」なんて言ってるうちは、「明確な不安」はないんだろ。「明日クビになる」とか「癌になった」とか、そんな具体的な不安があるわけじゃないだろ。だったらそんなのは「ない」と同じことよ。

お前もハッシャダイにそそのかされて東京まで出てきたんだろ。「東京は怖いかも」ってビビりながら、それでも「何かできるかも」って、ここまで来たんだろ。立派なもんよ。ぜんぜんネガティブじゃない(笑)。

「俺って最高、何でもできるぜー!」って、ポジティブにならないと動けないけど、「俺って最低、まだまだダメじゃん」と、ネガティブに反省しないと成長しない。だから、「最高―!」と「最低―!」とを交互に繰り返すくらいが丁度いいのよ。ポジティブだけのやつって、ただのバカじゃん。ポジティブもネガティブも両方あったほうがいいよね。

でもまあ、そんなこと言って慰めらても、なかなか前向きにはなれないんだろ。ネガティブなんだから(笑)。

イン生:はい、そこが一番つらいですね。どうやったら自信をつけられるのか。

亀山: まあ、口で言うほど簡単に自信なんて持てないよな。20年間染み付いたネガティブはなかなか消えない。子供の頃から親にも先生にも褒められたことがないやつは、「俺ってダメなのかな」って、すっかり否定キャラになってる。俺の周りにもそんな呪いをかけられたやつはいっぱいいるよ。

誰かに必要とされることが自信につながる

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