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株式会社オンリーストーリー 編集長インタビュー(全1記事)

2020.02.25

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読まれるのにはワケがある 「新R25」から学ぶ、読み手の心を離さない編集の極意

提供:株式会社オンリーストーリー

経営者プラットフォームと社長インタビューサイトを運営する株式会社オンリーストーリー。同社では、編集長の山崎貴大氏が他メディアを分析するブログを発信しており、その内容を元にした社内勉強会も開催しています。この記事で紹介するのは、アイドルから起業家・専門家まで幅広く取材し、読まれるコンテンツを提供し続ける『新R25』を取り扱った回。読み手の心をつかんで離さない編集術の妙を山崎氏が分析します。

顔とキーワードが伝わるアイキャッチ

山崎貴大氏(以下、山崎):記事を読む時に、まず着目するのはアイキャッチ画像です。『新R25』のアイキャッチ画像の特徴として挙げられるのは、「取材対象の顔、表情がはっきり伝わる」「添えてある一文からテーマがわかる」の2点。

人の顔がアイキャッチ画像として有効であるという話はよく耳にしますね。『新R25』さんの記事のアイキャッチには、その顔の横にコピー的な文章が書いてあることが多い。

表面的にみるといろんな視点で書かれているなと感じますが、総じて言えるのは「切り口」を示しているということ。「この記事は、こういう切り口で書いていますよ」ということが、アイキャッチ一枚を見ただけで伝わりますよね。

これは、一番最初にこの記事に触れる一次読者を惹きつける際に有効なだけではなく、シェアされたこの記事を目にする二次読者を惹きつける際にも有効で、シェア率を高める狙いがあるのではないかと思います。

発見性+意外性のあるタイトル

そして次に読者の目に入るのは、タイトルです。

特徴として挙げられるのは、「意外性と発見性がある」ということ。意外性とは、「(いい意味で)思ってたのと違う!」、発見性は「それは、新しい! 知らなかった!」。

まず、こちらのタイトルを見てみましょう。『新R25』の「アパ社長『みんな“自分がほしいとき”に家を買うから、お金が集まってこないんや』。「家は欲しいと思った時に買う。購入を検討する。」という一般論の逆をいく意外性があり、「その行動に根付く考え方や行動パターンにお金が貯まらない理由がある」という新たな発見がありますね。

もう1つ、同じく『新R25』から、別の記事のタイトルも見てみます。「モデル兼介護士・上条百里奈が『介護は若者に希望を与える仕事』だと主張する理由」。こちらも同じく、「介護は若者に希望を与える」というメッセージは、介護という言葉からイメージされる一般論の逆をいく意外性と「介護というものをそのような視点でみたことはなかった……!」という気持ちにさせられる発見性もあります。

加えて、この2つのタイトルに共通していることは「話し手が誰か」について、タイトル内で触れていること。「アパ社長」「モデル兼介護士」と、どちらも目を引く肩書きであり、タイトルに込められたメッセージとも親和性が感じられます。

導入部には、必要なものを必要なだけ

書き手として、タイトルの次に頭を悩ませることが多いとも言われる導入部。あまりに凝ったものを用意したり長ったらしくなってしまったりすると、導入部で離脱されて本文を読んでもらえないなんてこともありますよね。

まず、『新R25』の「まわりが笑ってるのに自分が楽しめないヤツは売れない。品川祐が語る『成長のための3カ条』」導入部分を見てみましょう。 いかがでしょうか。

別の例をもう1つだけ挙げて、少し細かく見てみたいと思います。「アパ社長『みんな“自分がほしいとき”に家を買うから、お金が集まってこないんや』」の導入部のやり取りを見ると、文量や流れに違いはありますが、構造は似ている気がしますね。読者のために必要なことを簡潔に、必要なだけ書いている。

個人的には、「様、さま、氏、ではなく、“さん 付け”で呼んでいる点」も気になりました。おそらく、メディア全体のイメージに関わるところや読者への配慮としての狙いがこうした細かい部分にもあるのでしょう。

気づいたら読み進めている本文

本文では、タイトルやアイキャッチ、導入に布石を置いていた切り口に沿ってメインメッセージに迫っていく形になります。

新R25さんのインタビューコンテンツは非常に読み進めやすい印象がありますが、本文部分にみられる特徴は「読者のリテラシーレベルに合わせている」「質問者による問い立てによって進んでいく」「取材対象者の例え話をうまく引用している」の3つ。

まず、1つ目に「読者のリテラシーレベルに合わせている」点について。先ほどから例に挙げてきた「アパ社長『みんな“自分がほしいとき”に家を買うから、お金が集まってこないんや』」の見出し「お金は臆病。心配性で貯金しがちな人のところには来ない」中のやり取りを見てみます。

どうでしょうか。一見すると、「こんな大物に、そんなレベルの質問していいの?!」って感じるような質問を投げかけていますよね。ただ、これは読者のリテラシーレベルを把握し、そこに合わせた問いを立てているのだと思います。

読み進めていくと、比較的多めに質問者が登場することにも気がつきます。そして、この質問者が問いを立て、次々に質問をしていったりリアクションをしていったりすることで、取材対象者が回答したり突っ込んだりして展開していく。

ただ質問を投げかけていくだけの役割ではなく、登場する質問者は読者の代弁者として重要な役割を果たしているように思います。これが、2つ目の特徴。

3つ目の特徴が、「取材対象者の例え話をうまく引用している」点です。「家を買うとは、地球上に「点」を打つということ。全部が変わるよ!」「お金って臆病だからね、心配している人のところには来てくれないですよ。」

記事内では、取材対象者が話した例え、ことわざが出てくるのですが、それをうまく文中で活用しているなと思います。

こうした言葉はその人ならではの視点や経験が詰まっているため、意外性があったり真理をついていたりすることが多く、書き手には思いつかないような言い回しをよく見かけます。

ものによっては、そのままタイトルに引用できるくらいキャッチーな言葉が取材中に飛び出すこともある。そうしたものを見逃さず、会話調の展開の中でうまく活用されているように感じます。

もっとも大切なのは「切り口の必要性」

こうして普段読み手として触れているコンテンツを作り手視点でみてみると様々な気づきがあり、それらを抽象化することで明日から使える技が透けて見えてきます。

今回触れた中で、個人的にもっとも大きな気づきは「切り口の必要性」。新R25さんをみていると、どのコンテンツにも取材対象者の属性や実績、特徴を際立たせる独自の切り口があり、その切り口から展開するコンテンツが読者の日常にある不安や疑問を解消するものだったり興味、関心を満たすものだったりする。だからこそ、このメディア乱立時代にも読者を掴み続けることができるんですね。

今回は業界の参入障壁が低く、メディアが乱立する中、読者を楽しませ続けている新R25さんを分析してみました。

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