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クラウド・AI・ロボによる「人事業務劇的効率化事例」のご紹介(全2記事)

2020.01.10

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HR業務改善に、あらゆる人事情報の一元管理を叶える“統合ワークフロー”が必要な理由

提供:ラクラス株式会社

2019年12月9日、東京国際フォーラムで「RPA DIGITAL WORLD TOKYO 2019」が開催されました。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)によって単純作業を自動化することで、人手不足解消が期待される昨今。本イベントでは、RPA導入を検討中、あるいは既に導入済みの企業向けに、ベンダー各社による講演・展示・ハンズオンデモンストレーションが行われました。本講演には、大企業向け人事クラウド・BPOサービスのリーディングカンパニー、ラクラス株式会社 代表取締役社長の北原佳郎氏が登壇。あらゆる企業の人事を煩わせる“反復業務”事例を挙げ、同社が提供する大企業向けHR業務ソリューションサービスについて活用方法を紹介しました。

統合ワークフロー上で会社・従業員の情報をデジタル化し、双方向につなげる

北原佳郎氏:これは統合ワークフローのご紹介でございます。こちら(のスライド)もすべてダウンロードできるように準備はしておきますので、またあとで詳細を見ていただきたいんですけれども。統合ワークフロー、インサイドワークフローを作り上げております。

この部分はタイムカードで、スマホでも打刻できるレスポンシブルな画面を作っております。

それ以外、(従業員が)結婚すると言ったら「あなたの結婚はどういう結婚なんですか?」と。変な言い方ですけど、「結婚式挙げるんですか」とか「氏名は変わるんですか」とか、そういったことを聞いた上で、入力するべき項目だけが表示されるというナビゲーター機能の付いたワークフローを作り上げております。

この目的は、会社と従業員の間を結ぶ、あらゆる情報をデジタル化することであります。

単に勤怠の情報ですとか、身上申請ですとかそういったものだけではなく、評価ですとか、もちろん年末調整ですとか、社用車利用申請とか。会社さんによって、さまざまな申請をこの上に統合しておられます。

従業員にとってみますと、この申請はどこどこのクラウド、この申請は紙で、この申請は中のシステムで……というのは面倒くさくてしようがありません。

あるいは会社から配りたい情報もあります。マネージャーに対して、彼の部下たちの過去の履歴を教えるとか、マネジメントするサービスのための機能とか、そういったものがすべて付いております。

コネクトと書いてありますけれども、両方ですね。会社と従業員の間を結ぶ、ありとあらゆる情報を一元管理するというのが、1つ大事になってくると思います。

ワークフローのソフトは(他社にも)いろいろあると思うんですけれども、「8割だけ使えます」とか「テンプレートがあるのでのっけてください」とか、実際のところなかなか役に立たちません。と、私どもは思っています。

人事制度は会社ごとに、それがどれほどの規模が小さい会社であっても、独自のものを持っております。そういったものを活かせるだけの柔軟性を持たせることが、大事であると思っております。

入社・退職・多種多様な休暇制度も1つのワークフロー上で対応可能な「Tokiwagi」

(スライドを指して)これは勤怠打刻の画面ですね。大きい会社さんになりますと、休暇の種類だけで10種類も20種類もあるというところもあります。休暇の種類ごとに、それが適用される範囲が違ってくるというのもございます。

ですので、そういったルールをすべてこの中に組み込んで、もしも特別休暇を取るのであればその理由を入れるとか、もしも退勤時間と出勤時間の打刻が食い違っていたらそれを指摘するとか。

あるいは、入退門の時刻と比較して、帰ったはずなのに門から出たのは遅い人を選ぶとか。そういったことも、すべてこの先の時間管理のためには必要になってくると考えております。

こういったものも、1つのインターフェース用で実現できるように作っているのが「Tokiwagi」というワークフロー、クラウドシステムでございます。

これはワークフローに関する説明を書いているんですけれども、ご紹介させていただきますと、あらゆる書類を電子化するということですね。これが1個めでございます。休職、休暇の連絡でありますとか、入社の連絡等々があります。

入社ガイダンスというものがあるんですけれども、当社の場合は、これから先に入社してくる方に対してID・パスワードを配って、このシステムにログインしてもらうという方法を取っています。

そうしますと、ご本人に対して書類を送って、書類に対して自分の名前と奥様の名前を何枚もの申請書を書いてもらって、それをさらにハンコを捺してもらって返してもらうといった手間がなくなります。

退職する方に対しても、退職後の情報を集める等々のことを、すべてこのワークフローの上で実現をしております。あらゆる処理を電子化できるというのが1個目の特徴です。

社員が“結婚したこと”を申請すると、必要な「◯◯届」が自動で完成する

2個目は、直感的な操作ということであります。

「なんとか届」を出すのではなくて、「私は結婚しました」とか「私は家族が亡くなりました」とか、そういったイベント単位で申請することによって、必要な申請書が複数枚できあがってくるという仕組みを作っております。

他にも承認経路を自由自在に組めるとか、あるいは同報とか。ある会社さんなんかですと、「従業員の家族の死亡に関しては、役員には絶対メールを送ってほしい」とか、そういった要望なんかもございます。

そういったものに関してもすべて適用しますし、路線検索や住所検索等の外部サービスともしっかりと連携をしております。

これが、紙を集めるというのは、先ほど申し上げた年末調整のチェックをするのと同じく、1枚に3分かかるのであれば、100枚には300分かかるという規模の経済が効かないタイプの仕事でございます。それをまた手で入力すれば、同じだけのことは起こってまいります。

要は、人間が仕事をすると、必ず仕事量とそれに必要な時間は比例してしまいます。それをなくすのがこの電子的なワークフローという仕組みになっています。

なにしろ、人間が何もしないでも夜中じゅうサーバーがカチャカチャカチャカチャと動いて、人事部の人たちはその必要な情報を一括ダウンロードすればいいだけですので。先ほど申し上げた規模の経済が効かないどころか、規模の経済が大きく効く仕組みになってまいります。

ここはちょっと今日の話とは飛ぶんですけれども、そういったものをすべて1ヶ所に集めるというのが当社の考え方です。

今現在、(市場には)いろんな大企業向けの人事システムがあるんですけれども、ほとんどはもともとが給与計算から始まるものです。給与計算の仕組みがあり、その次に就業管理の仕組みがあり、その次にワークフローがあり、その次に何があり……というかたちで、追加追加で機能が実装されてきました。

その結果として、データベースがすべてバラバラになっているという経緯になっております。それは著名な大企業向けソフトであっても、まったく状況は変わりません。当社のシステムにおきましては、そういったものをすべて一括して管理できるといったことを目指しているわけです。

ここに一括でデータが溜まっていれば、そこからe-Govみたいなものとか、他社システムとの連携が自由自在にできてまいります。それができるということで、まだ当社でも100パーセントはできていないんですけれども、給与計算の自動化は可能になります。

AIに任せられるのは反復労働だけ 「仕様の定義」は人間にしかできない

これまでは、人間あるいはRPAがマニュアルを見ながらコンピューターを操作して仕事を進めてきました。ただ、コンピューターを操作しているといっても、コンピューターが働いている時間がとても短くて。

「何らかの指示をして、返事が返ってきて、次は何をやればいいんだろう」ということを、また人間がマニュアルを見て、次の指示をコンピューターに与えるということをやっています。

「作業動線」と呼んでおりますけれども、作業動線そのものを人間がずっと管理しているわけです。その一部分一部分だけをピックアップして、コンピューターの仕事を手伝っているというのが現状になっています。

それに対しまして、私どもの考えとしては、今申し上げたような手順をすべて記憶して、「自動実行する」といったこと。これが、これからの反復労働をなくすための大事なテクノロジーになってくると考えております。実際に、当社の給与計算は、自動化を推し進めているところです。

こういう話をしてまいりますと、「じゃあ、人間いらなくなっちゃうじゃん」というご質問が出てまいります。

そうじゃないんですね。私たちが申し上げたいのは、反復労働に人間を使うということは、これから先なくなってくるであろうということです。なにしろ、人間も減ってきていますからね。

だけど、そもそもこの自動的に計算するということを定義する仕事。これはなくなりません。今年の4月には残業に関する、労働時間に関する法律が変わって「こういうことをしなさい」と言ってきます。

でも、それをシステムでどのように実装するかというのは、今のところはAIではできない。人間にしかできない仕事だというふうに思います。

だけども、それを繰り返すこと。毎月毎月間違えないように繰り返すことは、たぶん人間よりもコンピューターのほうが得意な時代になってくると思います。

今まではコンピューターを設定すると言いましても、設定そのものが大変面倒だったものですから、なかなかそこまではできませんでした。

ただ、当社のシステムの場合は、人事という領域に限りますけれども、その中でできることというものを自動化しているというのが特徴になっております。

プログラミング作業なしで簡単に定義・仕組み化できるシステム

(スライドを)ちょっと見ていただきますと、これはタイムカードを押す画面にどのようなものを表示するかといったものを定義している表でございます。

このへんに数式がございますけれども、基本的にはExcel表にそういった数式を書き込みますと、コンピューターそのものはこの画像の上に、しかるべきものを表示し始めるという仕組みになっております。

この間にプログラミングという作業がないように作り上げております。プログラミングがありますので、どうしてもすべてをコンピューターに実装するのは難しいんですけれども、それをなくしてしまうということで、私どもは自動化といったものを推し進めているわけでございます。

ここは、先ほど申し上げた「ナビゲート」という機能なんですけれども、「家族が変更になりました」とイベントに対して、「結婚ですか」「離婚ですか」「出生ですか」「死亡ですか」それとも「氏名変更ですか」「扶養変更ですか」といったことを聞いています。

その画面を作るためには、こちらのExcelシートさえ定義すれば利用できるようになっております。

ここで与えられた答えによって、もしも例えば「結婚式を挙げます」というような答えが出てきたら「じゃあ、結婚式場はどこですか」という質問が出てくる。聞かれたことに対して必要な項目が表示されるという仕組みを作っております。

これ、すごいですよ。「どのような申請ですか?」「戸籍氏名と違いますか?」「戸籍氏名と違うんだったら銀行口座はどうしますか?」「結婚式を挙げますか?」「会社からの電報を希望しますか?」。

これはある会社さんの例ですけれども、なぜか知りませんけれども「挙式は海外で実施しますか?」みたいな質問も入っております。

次の画面は、「退勤は出勤のあとになるように入力してください」というエラーなんですけれども、ここにエラーの制御文が書いてあります。その上で何を表示するかというのを同じくExcelで書いてあります。

これを書きますと、このようにタイムカードシステムが動き始めるということで、きめ細やかなエラーチェックができるように入力制限等々ができるようになっております。

こういったものは、プログラムで実装するとなると大変なんですけれども、この定義表さえ定義すればあとは「Tokiwagi」のほうが動いてくれるという仕組みを作り上げております。

繰り返しになりますけれども、これを定義するのはまだまだ人間の仕事です。ですけれども、「繰り返すことは人間の仕事ではないんじゃないか」と思うわけです。

2020年4月からの電子申請義務化にも対応 電子政府の総合窓口「e-Gov」自動連携

最後に「e-Gov(イーガヴ)」について、来年4月から始まって電子化が強制になります(注:資本金または出資金額が1億円を超えるなど、特定の法人を対象とする制度)ので、簡単にお話しておきます。当社のe-Govの仕組みはお客様が持っている人事システム、給与計算システムと自動連携します。

それから作業指示書というものも出して、まったくの素人さんでも社会保険手続きができるようになります。QRコードも現物管理とこういったものを実装しております。

当然のことながら、普通の会社さんはいくつも健保組合を持っているというわけではありませんので、その会社ごとの健保組合とか年金基金が決まっておりますから、これほど複雑なことをする必要がないかもしれないんですけれども。

当社の場合は複数の健保組合、複数の年金基金等々とお付き合いしています。その組合ごとに、多少ずつルールが違うんですね。そういったものをマニュアルではなく、このQRコード、こちら現物管理であったり、作業指示書といったもので実現しております。

これもAIとまたちょっと違うんですけれども、お話をしたいと思います。これは、一番最初の画面です。本当に細かいことは抜いて、こういった方々がいると自動的にe-Govの電子データを作成するという機能が付いております。

e-Govのことをご存じない方もいるかもしれないんですけれども、これまではハローワークに、(雇用保険被保険者資格)取得届、(雇用保険被保険者資格)喪失届を紙で出していました。

それをe-Govにしますと、一括して国(の窓口)にアップロードすることができます。どこのハローワークであるとかいうことを気にすることなく、一括してアップロードすることができるようになります。

その仕組みが、新しく入社した人の中から、あるいは退職した人の中から必要なデータを作り出して、最終的なe-GovのXMLファイルを作り出すという仕組みを作っております。

その結果、国のほうから離職票なり、雇用保険の被保険者証なりが出てまいります。今までは紙じゃなきゃダメだったんですけれども、今、もうPDFでもOKでございます。

退職すると離職票が出てくるんですけれども、離職票には今、QRコードが貼ってありまして、紙を持っていく必要がありません。QRコードを見せればハローワークの方で離職票の手続きをしてくれます。

そういったことにもシステムは対応しているということでございます。

書類作業の進捗もQRコードでリアルタイムに管理

これが作業指示書というものです。「一番最初にこういう書類が来たらどんな作業をしなくてはいけないか」ということを決めるのは、AIではなく、相変わらず人間でございます。いろんなパターンがありますのでAIには任せておりません。

ただ、一旦決めれば、あとはどの棚からどの書類を持ってきて、どの部分をどこに手書きするんだといったことまで含めて、指示書が出てまいります。この指示書に従って行えば、社会保険手続きは実現できるということです。

これも先ほどの、“年末調整の専門家”の話と一緒ですけれども、年末調整・社会保険手続きを専門家の仕事じゃなくて、単純労働に置き換えることができるという一例としてご紹介させていただいた次第です。

さらに、うちの場合、社会保険事務所も一緒にやっているところがありまして、件数が多いものですから、物理的な書類の管理ということでQRコードの管理もやっております。

実際に雇用保険の異動や何かを出すときに、このQRコードを印刷して貼り付けてしまいます。これを役所に送って、役所から返ってくるともう1回そのQRコードを読んで「なるほど、返ってきたんだね」ということがわかります。

あるいは、作業の進捗のたびにこのQRコードをピッとリーダーで読み取ることで、進捗が管理されていて、「今現在どこの部分に誰のところで作業が行われているのか」といったところがわかるようになっております。

紙処理というのは、もう1個面倒くさいのが「捜索」という仕事でございまして、一旦会社の中のどこかに回ってしまいますと、その書類がどこに行ったのか探すのがとても大変です。

けれども、このQRコードを利用することで、現物管理を実現しているという実例としてご紹介させていただきました。

人間はもっと「反復労働を定義すること」に集中するべきである

最後になります。こういったかたちでAIとかOCR、あるいはバーコードを利用しながら、一番最初に申し上げた知識労働の生産性向上を図ってまいりました。その中でいくつか学んだことがございますので、それをみなさまとシェアして最後にしたいと思います。

1個目は、先ほど申し上げましたけれども、AIやOCRは100パーセント保証しないということでございます。

人間が二重チェックしているものの片方にOCRを使うということはできると思いますけれども、2種類の違うアルゴリズムのOCRのみを使っていますというのでは、なかなかお客様の理解を得ることは難しいと思います。

人間の目視による確認との組み合わせ、このバランスをどう取っていくかというのが、効率化の1つのコツになると思います。

2番目ですね。これもちょっと申し上げましたけれども、AIはもはや誰もが利用できるコモディティでございます。AIの専門の会社になって技術を突き詰めるのであれば別なんですけれども、誰でも使えるテクノロジーになっていると思います。

けれども、AIは教育しないと動きません。

AIの教育に必要なデータを集めるといったことが、とても大事になってまいります。IBMの方としゃべったことがあるんですけれども、「ワトソン(注:IBMが提供するAI)はいいんだけれど、その前にデータを作ってください」という話が多いそうです。ですので、そのことはちょっと覚えておいていただきたいと思います。

最後にこれも繰り返しですけれども、コンピューターは人間に取って代わって反復業務を代替します。これは、今に始まったことではなくて、昔からずっとそうなんです。

現代の「コンピューター」であり、産業革命の頃の「機械」であり、それは人間の反復労働をずっと奪ってまいりました。

ですけれども、反復労働を定義するのはこれからも人間の役割であり、それに対してもっともっと私どもは集中するべきであろうと考えております。

以上で、ちょうど時間となりましたので、私の話はこれで終わらせていただきます。みなさま、ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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