kintoneのバリアフリー化に本気でチャレンジ

浅賀功次氏(以下、浅賀):賑やかなプレゼンのあとなので、超まじめなお話をしたいと思います。みなさん、心を落ち着かせて聞いてください。私からはkintoneのバリアフリー化に本気でチャレンジしたお話をさせていただきます。アールスリーインスティテュートの浅賀と言います。

スマートスピーカーをお使いの方もいると思うんですが、天気やニュースを聞いたり、買い物リストを登録するといったことを、すべて音声だけで操作できるデバイスです。

昨年のこの場で、スマートスピーカーとkintoneを連携するお話をさせていただいたのですが、それがきっかけで、今年取り組みを一緒にすることになったのが株式会社仙拓さんです。

仙拓さんは障害者と女性が中心になっている会社で、名刺を作ったりホームページを作ったり、そういったお仕事をされています。

驚くことに、創業者で社長の佐藤仙務さん自身が重度の障害を持たれています。一番左に写っているのが佐藤さんです。ふだんは寝たきりで、会話はできるのですが、手は左の親指しか動かない。そういった状況です。

障害でキーボードの操作が難しくても、音声でkintoneの勤怠入力が可能

今回ご相談いただいたのが、kintoneで勤怠入力する運用の改善です。今はタイムカードのアプリを使って手で時間を入力しています。 

みなさん、ここでちょっと想像してください。障害者がkintoneを使う場合、キーボードの操作が難しい状況でどうやって入力したらいいのでしょうか? 障害者ということで突然体調を崩す方もいらっしゃるでしょうから、そのような状況でどうやってチームの仕事を円滑に進めたらいいのでしょうか? 

操作に関して佐藤さんの例なんですが、寝たきりなので頭上にディスプレイをつけて、視線入力のキーボードと左手の親指で巧みに文字を入力されています。

今回この問題を、こちらのAmazon Echo Showを使って改善しましたので、デモをさせていただきたいと思います。

(デモ)

今から音声で勤怠を登録したいと思います。(Amazon Echo Showに向かって)アレクサ、タイムカードを開いて。

アレクサ:ただ今の時刻は18時59分です。業務を始めますか?

浅賀:(Amazon Echo Showに向かって)はい。

アレクサ:業務開始時刻を登録しました。体調に関して気になることはありますか?

浅賀:(Amazon Echo Showに向かって)体調は少し熱があります。

アレクサ:今日も1日がんばりましょう。

勤怠と体調の記録を通して、メンバーの状況を把握

浅賀:はい。画面をスライドに戻してください。タイムカードアプリですね。レコードはなかったですが、画面を更新するとレコードができていて、開始時刻が入っています。音声だけで開始時刻・終了時刻が入ります。

私が言葉で発した「少し熱があります」といった内容も、すべてタイムカードに入っています。

今回この仕組みを作ったことで、すべて音声操作で勤怠入力ができるようになりましたので、キーボードの操作が不要になりました。体調に関しても勤怠登録と一緒に言葉で伝えられますので、メンバーがどういう状態かということも把握できるようになります。

これは今後のチャレンジなんですが、今回、画面付きデバイスに対応しましたので、画面に文字を出しています。こうすることで、耳が聞こえない聴覚障害を持たれている方が、このEchoを使って、画面を見ながら勤怠を入れることができるんじゃないかと考えています。

最後に、今回の開発自体はものすごくハイレベルなものをしたわけではないのですが、こういったITの力とちょっとしたアイデアを組み合わせることでkintoneの可能性を無限に広げることができると思っていますので、みなさんもぜひご自分の業務等でチャレンジいただければと思います。ありがとうございました。

司会者:ありがとうございました!

(会場拍手)