感情分析によって購買確度を判断し、成約率を上げるAI技術

下地貴明氏(以下、下地):今はコールセンター向けのアプリケーション、ソリューション......あ、ありがとうございます。

河上純二氏(以下、河上):(お酒)がんがんいってね、下地さん。後でゴールデン街の話も聞かなきゃいけないから。

下地:コールセンター向けに僕らが一番力を入れているのが、セールスの電話をかけた時に成約率を上げるということ。これもいろんなセミナーで言っているので、ぜんぜん言っていい情報なんですが。

お客さんが(商品を)買った通話と買わなかった通話を感情解析したんですね。なんとなく喜んでいる人の方が買いそうじゃないですか? でもデータを見ると逆の結果が出たんですよ。

河上:不満そうな感じ? 

下地:いや不満ではないんです。悲しみに近い感情です。しかも、購入する直前に悲しみに近い感情が出やすいとわかって。お客さん自身も、例えば高額な商品を買う時、その当時は定期購入商品だったので「1年間解約できません」と言われた時に、「本当にこれを買っていいんだろうか」と、買う手前に悩むんです。

その不安を払拭するためにいろんな質問を投げかけた時に、悲しみに近い感情が出てる人ほど本気で悩んでいるんですよ。

河上:なるほどね。真剣なのか、そっちの方が。

下地:そうです。そこにオペレーターさんが背中を押してあげると成約しやすい、ということがデータからわかってきて。今まさにコールセンターAIを立ち上げて、作ろうとしています。お客さんが「この人買いそう」とか「この人買わなそうだから諦めたほういいですよ」みたいな時短ができるということで、生産性を上げていくところをまさに今作っている最中です。

企業の人事・採用・離職問題を解決する糸口となる可能性

河上:確かに、いろんな意味でセールスとかマーケティングの側面もある。だけど、今の話を聞いていて、社会インフラの中での事故防止とか、感情による危険回避みたいな意味合いも側面として持っているサービスだから、いろんなところに進出していきそうでおもしろいなと思うんだよね。

特に俺が下地さんをインタビューした時に、一番最初に聞いたのは、最近どの会社も大きい悩みの大半は人の話。人事、採用、評価部分。とにかく離職。

企業のだいたいのいろんな問題がね、7割から8割が人の問題だと最近思っていて。ここの中で相手がどう思っているみたいな話と、アラートの話だったりとか。企業にとても喜ばれる切り口だなと思うんだけど。

(感情分析グラフ画面を見ながら)何? 嘘ついている? やめてよー! 今日俺とっても喋りづらい。

(一同笑)

河上:青ってなんだっけ? 悲しんでるんだっけ? 

下地:緑色なんで、落ち着いて話している(状態)。

磯村尚美氏(以下、磯村):時に赤が出てきて、大きく......。

河上:すごい感情の起伏が激しい人みたいになっているじゃないか。

下地:「喋りづらい」と感じて怒りの赤が出ている。

ミッションは「共感を使ってすべての対話を楽にする」こと

下地:本当に河上さんがおっしゃる通りで、私たちはもともとメンタルヘルスのチェックに使えないかというところからスタートしていて。被災地の支援でドコモさんと一緒に使っていただいたのが一番最初なんです。

我々のサービス名「Empath」って、共感をするという単語のEmpathy(エンパシー)、Empathize(エンパサイズ)という言葉から取っていまして。僕らは、「共感を使ってすべての対話を楽にする」というミッションにしているんです。

だいたい感情的なすれ違いがある時って、対話がうまくいかないじゃないですか? なので喧嘩したりとか。その中でメンタルヘルスのところって、みんな言葉では「大丈夫です」と言うじゃないですか? 意外と大丈夫じゃない人ほど「大丈夫です」と言ってしまっているので、そこをサポートできないかなというので一番最初メンタルヘルスからスタートしたんですね。

我々まだまだ小さい零細のスタートアップなので、なかなかメンタルヘルスど真ん中でやっていても、企業からお金が出ないというところがあって。

今セールスを上げるためのコールセンターで使ってもらっているんですが、実は裏側ではオペレーターさんの状態が把握できるので、離職をしないようにサポートができる体制ももちろん整えてます。そうやって2本ないと、なかなか日本ではヘルスケア1本で戦うのは厳しいというのは(あります)。

実はずっとヘルスケアにこれを使おうとして5年ぐらい戦ったんですけど、大変なことを乗り越えて今こういう形になった。そちらをやりたいですね。

「顧客満足度を上げるための対話方法」ベータ版をリリース

河上:近距離のアクションで何か決まっていること……言えないこともあると思うけど、言える範囲では今後のアクションあるの? 

下地:先ほど言ったコールセンター向けのアプリケーションが、夏ぐらいにベータ版ができて、それをプリセールスで売っていくというのはあります。

先ほど言った成約を上げたりとか、オペレーターとお客さんのカスタマーサティスファクションと言うんですか、「顧客満足度を上げるための対話ってどんな感じにするべきか」というのがわかるようなものを今考えてまして。

ベータ版ではありますけど、それを夏ぐらいにリリースできればなと今考えてます。

河上:なるほどね、おもしろいな。実は出会ったのは、まだ下地さんとは短いよね? 時間軸的にはね。

下地:この間エッジ・オブで会ったのは2月くらいでしたっけ? 

河上:そうだよね。そうなのよ。実はここでも出てもらったエッジ・オブの小田嶋さんが下地さんとの縁を繋いでくれたんだよ。そこからだよね? 

下地:そうですね。エッジ・オブの小田嶋さんとは飲んでるだけなんじゃないかな、という雰囲気もあるんですけど。

河上:そうなんだ!

下地:飲んでいたらスタートアップに入れてくれた、エッジ・オブがサポートします、と言ってくれたという雰囲気が若干あります。

河上:なるほどね。エッジ・オブからそれだけの後押しがあるということはそれだけ優秀なんでしょう? 

下地:そう言っていただけると非常にありがたいですね。まだまだこれからの技術だと僕らも思っているので。よく小田嶋さんともお話しているんですけど、彼がよく言うんですが、大企業の人を待ちにしているのスタートアップ側で、「すぐに試してもらえるものはない?」とよく彼は言っていて。

逆に大企業側に対しては、「そもそもPOCのPを用意しておけ」と話をしてくれているんですが。すぐ試せるものがあるというので、けっこういろんなところを紹介いただいているというのはあります。

我々の技術自体はAPIで公開しているので、一部フリーで使えますし、その先も1トランザクションあたり1円という安い金額でやってますので、けっこう使いやすいので、それで1,500社くらい使っていただいている。

大学を卒業してIT系スタートアップ企業の“なんでも屋”を経験した

河上:それを聞いていると、テクノロジーの会社であるんだけどけっこうビジネス感覚も、わりかしいい感じじゃないの? 

下地:ありがとうございます。けっこうタレントが集まってきたというのがあるかもしれないですね。

河上:メンバーの中に? 

下地:はい。それと、これも9年ぐらい売ってきているので、けっこうあの手この手を試したうえで戦っている部分はあるんじゃないかなと思いますし。

河上:そうかそうか。下地さんってこのEmpath、その流れの最初に社会に出た時って何から始まっているの?

下地:大学の時にアルバイトで働いていたスタートアップにそのまま入りました。そのスタートアップはもうないですけどね(笑)。

河上:それは何系のスタートアップだったの?

下地:Webマーケティングですね。

河上:ぜんぜん違うじゃない?

下地:もともと僕の出自でいうと文系なんです。文系で心理の方をけっこう勉強していて。そこ(スタートアップ)に入ったところIT系で、なんでもやらされていたというか。今より人数少なかったので、ほぼ営業プラスPMの真似事みたいなのをいきなりやらされてたので、そこでサバイバルで技術を覚えて、どちらかというとSEの方を進んでいったという感じです。

親会社のところでまさに医療との出会いがあって、医療とITをくっつけなさいと言われて、「分かりました、どうしたらいいんだ?」ぐらいから大学の先生紹介いただいたりして、ここに辿り着いてきたというそんなイメージですね。

河上:社会人になって最初の会社の流れのままきているということ? 

下地:一応、システムの界隈というイメージではそのままの流れを汲んでいるんですけど、全方位やっていたのとマーケティング寄りのこともやっていたので。営業戦略の細かいところを私が立てていて、海外向けに花火をどーんと上げるようなことをうちのCSOの山崎というのがいるんですが。

賞金稼ぎと今言われてスタートアップ界隈ではちょいちょい有名になってきているんですが、彼の方が海外向けにやってブランディングをどんどん上げていただいているということですね。我々はどちらかというと整えていくことをやっているので、営業部隊は彼入れて5人ぐらいでまわしている感じです。