音声の感情解析AI技術を提供する株式会社EmpathCEOの下地氏

河上純二氏(以下、河上):最先端をいく人を呼んでいる。(オープニングトークで)埼玉(の話題)から入ったから、埼玉とは逆サイドの人を呼んだ。もう海外でも活躍中。

及川真一朗氏(以下、及川):そうですか。

河上:この間、僕のWebメディアのインタビューに答えてもらったんだけど。いろいろ聞きたいなと思ったので、呼びました。今日は、株式会社EmpathのCEO下地さんに来ていただきました。

(一同拍手)

一同:こんばんは。

下地貴明氏(以下、下地):過分な紹介をありがとうございます。私は埼玉よりまったく劣っていると思っているんですけど……。

河上:そんなことないでしょ。海外を渡り歩いていて。まずは乾杯しましょうかね。この番組で初めてですよ、ストレートというのね。どうも初めまして。よろしくお願いします。ちょうどあれでしょ? さっき聞いたけど、海外帰りなんでしょ? 

下地:昨日までインドネシアのタンゲランという町に行ってましたね。そちらに今開発チームを4人ぐらい、現地の人を雇って。その友達に会社作ってもらって、インドネシア人たちを集めて開発をやっていて、そこのテコ入れじゃないですけど行ってきて。

花粉がなくて油断してたんですけど、今めちゃめちゃ花粉症で、なんというか鼻もずるずるいいながら配信もするという、たいへん申し訳ない感じです。

河上:いいよ。堀江淳のセクシーボイスのようにね。

下地:絶対そうならないですよね(笑)。

河上:ならない? そう?(笑)。 

感情解析AIはコールセンターや営業電話、カーナビの音声版などで活躍

河上:今日せっかく下地さんに来てもらったから、AIとか新しいテクノロジーの話もしっかり聞いていきたいんだけど。まず下地さん、今日観ている人の中でもEmpathのことを知らない人たちもいるから、その辺の会社の話だったりサービスの話を聞いていきたいなと思うんだけれども。

まずEmpathが展開しているサービスの話を教えてもらっていい?

下地:まずは、まぁEmpathと言っても何もわからないと思いますので。

そもそも我々がやっているのが、音声から人の感情を解析するAI技術で「Empath」というのをやっているんです。それを使って基本的にはやはり音声に基準がありますので、例えばコールセンターの中で、お客さんの感情に合わせて怒っている人に対してどういう対応をするべきか(を判断すること)だったり。

逆にアウトバウンドコール、セールスの電話をかける時に、成約率を上げるために「お客さんがこのタイミングでこの感情だと推すといい感じになりますよ」ということを実は今やってまして。そういったものに使っています。

あと最近引き合いがかなり増えてきているのが、車関連の自動運転を見据えて音声アシスタントを入れて、カーナビの音声版でドライバーの感情を理解して、例えば危険運転の防止であったり。MaaSと呼ばれてますけど、モビリティーアズアサービスの中で、いろんなコンテンツに暴露される手前で、ドライバーの内面情報に合わせて、いろんなコンテンツを出していくというところは引き合いが強くなってきています。

河上:なるほどね。今日アプリ体験できるんでしょう?

下地:もちろんです。

会話音声をリアルタイムで解析、4つの感情が色で出力されるアプリ

河上:ちょっとやってみてもらいましょうか? ぜひ、せっかくだからさ。画面見せるよ。どうぞ。

下地:どうしましょうかね......。とりあえず、まず私が動かしてみます。説明がてら動かしてみたいと思います。今私の声をリアルタイムで感情解析をしているんですが、それぞれ4つの感情というのが色で出力されるようになっています。

河上、磯村、及川:へぇー!

下地:黄色が喜びだったり快活な状態を表していて、緑色が落ち着いている状態、赤が怒りであったり強い主張を表していて、青が悲しみやとまどい、というのがこのような形でわかる。今「へぇー」と言って反応していただいているので、喜びが出てる。ありがたいなというのが出てくる。

あと白い実線が出ています。我々、元気度と呼んでいるパラメーターになっていまして、読んで字のごとく実際に発話した声が元気かどうか判定する値になっていて、元気度が高い人ほど、営業マンだとけっこう物を売ってきたりとか、逆に元気度が下がってくると離職をしやすいというか。離職で青が出てしまったね(笑)。そんなツールになっています。もしよろしければ......。

及川:JJさん、JJさん、元気ですか?(笑)。

河上:楽しそうな、愉快なモードがあがっているんじゃない?

下地:黄色が出て。

及川:黄色が出てますね。赤もでてますね。

下地:若干、赤。言いたいことがあるんですね?

(一同笑)

河上:そういうこと? 

及川:日頃言えなかったことが。ちょっと喋ってみて。

河上:『翔んで埼玉』最高でした。おもしろいです。ぜひ観に行ってください。……ほら、やっぱり楽しそうじゃない? 

下地:楽しそう......これ赤ですね。けっこう強い主張なんです。

河上:なるほどね。

下地:だからかなりおもしろかったと言える。

河上:プレゼンが入っている。おすすめ感がね。磯村さんも一言言ってみて。

磯村尚美氏(以下、磯村):さっきこのくそ忙しいのに、子どもから電話があってごちゃごちゃになりました。

下地:若干......でも......。

磯村:愉快になりました(笑)。

河上:ユーモアがね、ちょっとネタ的に言ったからね。

磯村:怒りがぜんぜんない。怒っているはずでした(笑)。

下地:いったん感情を取り入れたんじゃないかと思います。

番組中でリアルタイムに感情変化を映す実験をスタート

磯村:なるほどね。ちょっとギャグに走っちゃった。めっちゃおもしろい。これやっている間ずっとここに出して......。

(一同笑)

河上:感情を映しておく? やだー。

下地:できますよ。

河上:出しておくか。

下地:ワイプで出しておく。

河上:ワイプで出しておく? 

磯村:悲しい気持ちも出るんですよね?

下地:そうですね。

磯村:後半にね悲しい気持ちがいつも出るんで。

下地:それは疲れてくると?

磯村:違うんですよ、主張する時に。悲しい感情がね、Jさん出てるよね。

河上:じゃあ僕のこの辺に(マイクを)着けるようにしましょう。これめちゃめちゃおもしろい。

下地:いい感じです。

河上:ライブ配信が初めて、感情のライブ配信。

下地:最後こんな感じで結果が出ます。

及川:結果が出るんだ、へぇー。

下地:ちょっと楽しみです。

磯村:横にいる人の声も拾うんですか?

下地:かなり集音性が高いのでおそらく大丈夫だと思います。

磯村:JJさんのパーソナルの診断結果が最後に出るんですって。

河上:おもしろいね。

磯村:めっちゃおもしろい。今つついてみよう。

下地:今「ふーん」のとこにしか反応しなかった。

磯村:イライラすること、わざとしてみないといけないですね。

河上:そうだね。テディベアのキャラが暴露されて、裏でめちゃめちゃ怒ってますみたいな。

磯村:何で怒るんだろう? すごい、そんなのわかるんだ。

下地:完全に商売を邪魔してきた、みたいな。

河上:そうしたら呪ってやりますよ。

(一同笑)

河上:一生食べさせてもらいますからね、下地さん。お願いします。

下地:精度にかかってますね。

ヨーロッパ最大級のカンファレンス「ICT spring」のピッチコンテストで優勝

河上:そんなEmpathさんですけど、国内でも事業の展開の幅が広がっていて、海外でもけっこう受け入れられているところがある。ヨーロッパに一番活動拠点を置いている?

下地:そうですね。活動拠点を置いているわけではないんですけど、ヨーロッパの特にフランスの通信公社Orangeというところの、「Orange Fab Asia」に我々が今アクセラレータとして入っている。Orange Fab Asia自体、アジア圏対象にアクセラレータをやっていて。Orange Fab系列で「VIVA Technology」というフランスのテックカンファレンスの一番大きいやつなんですが、あちらに呼んでいただいたりとか。

その関連で「ICT Spring」にも。これもヨーロッパの大規模な(カンファレンスで)、ルクセンブルクってあまり知られてないんですけど、かなりテックが強くて。ヨーロッパの中のシンガポールみたいな位置づけで、国土面積が小さい分、税制がかなり優遇されているので外資系企業がかなり融資されるんです。

そこに呼んでいただいて、ビジネスモデルのピッチコンテストがあるんですが、優勝させていただいてます。 

磯村:へぇーすごい!

下地:去年はそこで優勝して50,000ユーロの賞金を頂戴して、日本円だと700万ぐらいですかね。謎の営業外収益がいきなり、1期目にして達成。

河上:すごいね。

及川:1期目なんですか?

下地:僕ら今、2期目です。

及川:2期目? そうなんですか!

磯村:それまで何をされてたんですか? 

中東では国民の幸福度・愛国心を測るキャンペーンにも採用された

下地:実は親会社からスピンオフさせる形で立ち上げた会社なんですよ。親会社時代からいうと今9年目ぐらい。

そこの中でヨーロッパに行く手前は、中東のドバイやアブダビとかあっちの方で使っていただいていて。中東の連邦内務省、国家組織の中で使っていただいていた。ちょっと変わっているんですけど、「国民の幸福度を測りましょう」という話で。

磯村:どうやって測るの?

下地:我々、音声から感情解析するので、それを使って......。

磯村:マイクはないの?

下地:これを着けるというよりは、彼らが2016年からやっているのはいわゆる「クエスチョンエアー」というか。ボタンを押して、「ハッピーです・普通です・ハッピーじゃないです」(の選択)を仕事をする手前で必ずやらないと、仕事ができなくなっているんです。

磯村、河上:へぇー!

下地:それってあんまり意味ないじゃないですか。基本的にKPIとしては「国を挙げて団体が幸せであるか測る」というので。「ハッピーです」をみんな押せと言われているんです。それはあんまり意味がないので、そういったところで客観的にデータがとれるので、音声だけじゃなくて表情だったりとか。音声は僕らの技術に白羽の矢がたって、今使っていただいています。

ちょっと日本では考えづらいですね。またその手前に、国民の国に対する愛を測るみたいなキャンペーンをやっていて。「Express your love for UAE」みたいなキャンペーンで愛国心を測るアプリを作ってやってたんですけど、日本だとだいぶ怒られてしまう(笑)。リベラルな方に怒られてしまう。

15人中9人が開発を担当、グローバル体制を整備中

河上:Empathのチーム体制って今どんな形でやっているんですか?

下地:現在15人なんですけど、そのうち9人が開発なんです。9人中4人はデータサイエンスというかデータ解析まわりの人間がいて、データ解析の中心になっているのが、昨年の「Tech in Asia」で日本人として初優勝したサラさんというデータサイエンティスト。

彼女はもともとモロッコの生まれで、お母さんが日本人で日本に帰化していて。大学はフランスのグルノーブル工科大学に行っていて、ディープラーニングと感情解析でメジャーをとっているんですけど、そんな彼女を中心に感情解析のエンジンを開発している感じです。

河上:なるほど。メンバーもグローバルでやっているし、拠点も東南アジアにもあったりという形だから東京だけではないということですね。

下地:まだまだ会社全体としてはランゲージバリアがかなりあるんですけど、それを越えるために英語話者を雇い入れたりしながら。

特に開発は、プログラムの話をしていたら共通言語もわかりますので。コミュニケーションがたいへんではないとは言えないんですけど、うまくやっている方かなと思います。やっぱりあっちの方が優秀な人が多いので、と言うと申し訳ない感じがするんですが。

日本はとても恵まれているというか、就職する先がかなり多いです。例えばインドネシアとかだと、まだまだ賃金の格差がかなり大きいので、優秀でやる気のある人たちがまだまだ眠っています。インドネシアのタンゲランという町で、そこで4人ぐらい雇っているんですけど、あと10人ぐらい候補がいるという話をして、「ちょっと待ってね」と話をしながら、人を増やしていこうと。

NTTドコモや富士通など、国内外およそ1,500社へ感情解析のAI技術を提供

河上:なるほどね。日本の活動は一方でどんな感じなの? かなりいろんなところに導入も進んでいるわけでしょう? 

下地:そうですね。例えば大きいところでいうとNTTドコモさんとは、先ほどもお話があった車の関連で。彼らがIoTビジネス部というのを法人の下に立ち上げているんですが、そこで車載環境に向けた感情解析を共同開発して展開していたり。

コミュニケーションロボットが、最近新しい会社ができ上がるというよりは、立ち上がった会社が売っていると思うんですけど。その中でも富士通さんと一緒にやっていて、富士通のロボットAIプラットフォームというプラットフォームの中に、我々の音声の感情解析を入れていただいていて、表情はまた別の会社なんですけど。

そういったところで使っていただいたりとか。感情解析のプラットフォーマーとしては今1,500社くらい、国内外なんですけどそれぐらいは使っていただいています。

河上:そんなに使っているの? すごいじゃん! 

下地:「すごいじゃん!」で平常が出たので、そんなにすごいと思っていませんね。

(一同笑)

河上:やだな、もう。本当? 

磯村:チェックポイント厳しいですよ。

及川:やりづらい(笑)。

下地:やってしまったな、みたいな。

河上:マジですか? 表面だけじゃだめなんだね。

及川:楽しさが反応した。おもしろいな。

磯村:ボス(及川)に付け替える? あ、怒りが後ろから......。

及川:JJさん、喜びすぎですから。

河上:(自分の感情が現れた画面を見て)うれしそう! 超うれしそう! 

磯村:おもしろい、自分のことを「うれしそう」という人......。

河上:おもしろいなぁ。