多様性のある組織のメリットとデメリット

河上純二氏(以下、河上):前にもちょっと話した、どこまで話すかあれでしょう。金融で張ってる人と、起業家で地道に1個1個、組織を積み上げていく人ってぜんぜん違うから。それはすごく大変だっていう話はちょっと聞かせてもらったことあるじゃん。やっぱり、ここまで来る間に何個か乗り越えてきたことで、組織についてはクリアできたの?

綱川明美氏(以下、綱川):イエスでもあり、ノーでもありで。

河上:イエスでもあり、ノーでもあるか。

綱川:うん。永遠の課題だなって思っていて。

河上:もちろん、そうだよね。

綱川:完璧にはならないなと。ただ、方向性は決まったかなと思っていて。

河上:定まった感じね。

綱川:やっぱり、多様性は大事じゃないですか。多様性は大事だから、いろんな国籍の方に対応はしているんですけれども、全体的な性格とか、ものの考え方とかは、近いほうが速く動けるんですよね。

磯村尚美氏(以下、磯村):それはそうですね。

スキル重視ではなく思考が近い人の採用へシフト

綱川:なので、そういう人。今までであればどちらかというとスキル重視で採っていたのが、ここ1年ぐらいで一気に変わって。なるべく思考が近い人や、本当にやりたいこととちゃんとマッチしているか。そういうところを見るようになったのが一番大きなところかなと思っていて。

あと、ありきたりなんですけれども、やっぱり1個下に採る人。私に直接レポーティングするラインの人たちは、やっぱり人間らしい人、人間を相手にするのが得意な人を採るようにしましたね。

磯村:得意な人。どんな感じの人間らしさがあるんですか? 

綱川:例えば、批判・批評をするときもconstructive(建設的)な意見がちゃんと言える。「こういうことに対して、まだ改善の余地があります」と。「こないだやってもらったときはこうだったけれども、私が期待していた結果はこんな感じだった。なので、次からは、2週間以内にこの辺をちゃんとこういうふうに改善してほしい」というお話がちゃんとできる人。

磯村:それはすごいな。

社員数が少なかった頃のゴールの決め方

河上:なるほどね。最近の綱川さん率いるビースポークでの毎週のルーティーンというか、コミュニケーションルーティーンについて、ちょっと聞いてみたいなと思うんだけれども。

日本の会社で今、スタッフたちとの寄り添い方みたいなところが、もうちょっとビジョン経営だったり、理念経営のような話の中で、欧米型のフラットな経営が流行ってきているから、組織ヒエラルキーというような話もけっこう話題になったりするし。

それがどういうタイミングやレイヤーで、今までの日本らしいヒエラルキーから逸脱していくのかという話が、僕の回りだとけっこう旬なのね。

綱川:なるほど。

河上:(ビースポークは)すごく多様性があっていろんな人たちがいるから、「Bebot」の流れの中で、もしかしたら最先端の組織経営が作られているようなイメージを持っていたりするんだけど。

意識していないかもしれないけれど、評価とか、組織の中での半期の動かし方、年期の動かし方。また、経営陣のビジョンや理念の伝え方では、どんなことを意識してやってきたのかなというのは聞いてみたかったんだけどね。

綱川:その辺はかなりファジーな感じでして(笑)。

河上:ファジー! ファジーなの? へー。

綱川:すごくファジーで。具体的には、例えば4期目のゴールって、けっこう私が勝手に決めちゃった感があって。

河上:私が決めましたと。おもしろいな、それ。意外。

綱川:数字つきで、私が「はい、これで行きましょう」っていうふうに。ただ、4期目の最初って、人数がもっと少なかったので、それでもけっこう大丈夫だったんですね。

サービスを作る会社にとって一番大事なもの

磯村:(4期目の最初は)何人だったんですか? 

綱川:15~20人の間ですね。

河上:一気に上げたってこと? さっきの人数を倍にしたってこと? 

磯村:倍以上だ。25人。

綱川:倍。15~20人ぐらいだったので。なので、あのときはもう自分で決めたほうが早いなと、まだ思っていたんですね。なぜなら、今以上にほとんどエンジニアしかいなかったから。

「もう、これでいこう」というので。ゴールもほとんど、営業前のものというよりもプロダクトサイドのゴールだったんですよ。なので、お客さんがどれくらい喜んでくれるか、何パーセントぐらいが「ありがとう」と言ってくれるかとか。チャットの会話で、例えば質問して回答が送られて、これで1カウントしたら、このラウンドが何回続くかとか。ほとんど全部、プロダクトに関するゴールしかなかったんですよ。

河上:すごい。

綱川:精度はこれぐらいとか。それがだんだんプロダクト以外の人も採用が少しずつ増えてきたので、そこを変える必要が出てきたと。なので、次にやったのはプロダクト全体のゴール、方向性として、私たちは営業会社ではないので、サービスを作る会社として経営をしていると。

なので、一番大事なのがプロダクト。さらに、同じぐらい大事なのが、そのプロダクトを提供してくれるパートナー企業さん。ホテルさんや、いろんな自治体さんもあるんですけれども。そこに対してどれくらい貢献できるかも鍵になってくるので。

なので、全体の大きなゴール、例えば満足度何パーセントというのを決めて。一応5期目は、数字目標とかもあるので(笑)。それを作って、今度は1個下のレイヤーの人たちにそれをパスして、最終的なゴールを数字に落としていって、その数字を達成するための具体的なアクションに落としていって、そこからクオーター毎に割っていって、誰が何をやるかを出して、いつ・どういうふうにトラッキングするか……。というのを細かく分解していくと。

社員数が増えるにつれて重要性が増すポジションとは

河上:なるほど。ちょっと珍しく食い込んで聞くんだけど、役員なのかCXOが、今どういう状態でやっているんだっけ? 

綱川:今は、アメリカの責任者がチーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)なので、ビジネス系のトップなんですね。彼がマネタイズの方法ですとか、どのチャネルをどう攻めていくかということを……。

河上:それはジャパンも含めて彼がやるっていうこと? 

綱川:そうですね。彼がやっていて、その並びにCTOがいて、彼女は技術責任者なので、全体的な開発の方向性を決めていくと。リソースのアロケーションもそうですし、どのタイミングで何が出来上がるかを見ていくと。

あとは、その他のカスタマーエクスペリエンスを見るチームが、例えば会話のデザインで、『これ、おすすめです』と言うか、『ここ、行ったらいいかも』と言うのかで、いろんな言い方があるじゃないですか。

何をどう言うかによってぜんぜん反応が違うので、そのユーザーのエクスペリエンス全体を見る人がいるんですね。その下に、そこをサポートする人たちがついているんですけれども、一番大きいのはやっぱり開発回りのところです。

河上:CTOゾーンが大きい。

綱川:一番大きいですね。

河上:40人になってきたから、そろそろコーポレートサイドの、いわゆる管理ゾーンにヘッドを置く時期なのかもしれないけどね。そこは、でも誰もいないっていう感じなんだ。

綱川:いい人がいたら紹介してください(笑)。

河上:(笑)。