企業のブランド訴求と売上やKPIの達成、両輪のバランスはどう考える?

神尾武志氏(以下、神尾):ここからは、みなさんにアンケートで事前にいただいた内容から、いくつかテーマを決めてお話をしたいと思っています。

1つ目。さっきの手段を選ばないという話にちょっと近い話だと思うんですが、企業のブランドや理念などと売上や成果を上げることが一致するのか、必ずしもしないのか。そのへんのバランスについてどう考えていくべきなのか。

先ほど小倉さんが言ってましたけど、「売上が足りない」「件数が足りない」と言ったときに、何かやらないとそこに近づかないんじゃないかという話があった。一方でそれをやりすぎるとどうなんだという話もありました。

そのへんはカード会社さんだと、わかりやすくポイント何倍というようなキャンペーンをやらないと、(売上が)上がらないんじゃないかという話とか。そういう話がよくあがるんじゃないかなと勝手に想像するんですけど、このへんについてどうお考えですか?

小倉敏之氏(以下、小倉):おっしゃるとおりで、クレジットカードって物を買うための手段でしかない。カードを持ちたい、カードを持つことが目的ではないということでは、例えばポイントが5パーセントくらいついたほうが、当然いいわけなんです。事業構造的にそれでは成り立たないというところもあります。おっしゃるとおりです。

ECでモノを何度も売るのとは違う、金融事業のデジタル施策

小倉:ここのテーマで少し我々のお話をさせていただくと、とくにクレジットカード会社の場合はホームページ、Webサイトで繰り返し物を売るのとは違って、一度カードを持っていただいたお客さんと、どちらかと言うとエンゲージメントを高めていくことが従来から主となっていました。ですので、あまり売上や成果とWebサイトが直結していなかったかなと思います。

ただ先ほど申し上げたとおりで、デジタル中心のビジネスに変わっていっているところもあって、少しずつ役割も変わってきました。ブランドや理念を意識しながら。ただあまりにもやりすぎるとちょっと品がないことになるので(笑)。

それではGood Cashlessにはならないなというところです。リワードだけではなくてキャッシュレスをしっかりやることで、お客さんにより生活を便利にしてもらうにはどうしたらいいかを常に見ながらやるようにはしています。

神尾:「Have a good Cashless」というのを。

小倉:ありがとうございます。

神尾:これが今、三井住友カードさんのほうで(放映されているCMですね)。

小倉:今、CMを流させていただいています。

神尾:これの位置づけというか、展開の仕方とかはいかがですか。

小倉:実は今まではあまりブランディングにこだわってきた会社じゃない、と言うと語弊がありますけれども。最近はあまりテレビCMをやらず、かなり認知率も下がってきまして、去年の秋くらいからこのCMをやってます。

この中では、どちらかと言うと三井住友カードというよりは、“キャッシュレスを、持ち歩く”ということで。キャッシュレスを持つことが生活を便利にすると訴えたいがために、こちらはやっているものでございます。

神尾:そのへんの成果というか、これがどこにどう効くんだという話と、日頃の件数の話との結びつきというのは社内でどうですか?

小倉:まさにそのとおりでして。例えば他社さんとか、なんとかカードマンさんなどがテレビCMで連呼されてますけれども(笑)。私のミッションからすると、(自社のCMでも)正直それを連呼してほしいなという気持ちはありますが(笑)。

なかなかこういうブランディング系の広告を流しても、直接カードを申し込もうとはならないのも事実です。今は認知からいかに想起してもらうかというような、Web系の広告で補完することを並行してやり始めているところです。

神尾:なるほど。こういうことがちゃんと伝わっていて、どこかで想起されたり、実際に生活のシーンの中で必要になったときに、イメージとしても合わさって、理念が伝わることが理想的ですね。

商品とブランドの思想を伝える「週刊MUJI」

神尾:スライドに戻りまして。無印良品さんはどちらかと言うと、ブランドのアンチテーゼから始まっています。ただ、MUJIというブランドイメージや理念はみなさんもご存じだと思うんですよね。それと実際の売上で言うと、あまりガツガツ追わないようなイメージも正直あるんですけど。ちょっと事例を交えて角田さんにお話いただけるといいかなと。

角田徹氏(以下、角田):うちの場合、社員たちが無印の理念や思想を植え付けられて育っているものですから、そこを崩してまで売上を取りに行くという行為自体が、あまり会社の中で浸透していない。逆に言うと私のような営業畑でずっときているやつは、とはいえ売上って自分たちがやっている成果だし、お客さまに伝わっているという成果だと思っています。

さっきお話したMUJI passportの1つのコンテンツで、この2月から「週刊MUJI」というのを始めています。ちょうど私が着任したときからスタートさせている企画なんですけれども、お客さまとの週1回のコミュニケーション、商品と思想みたいなものを通してつなげる施策としてやっています。

当然、商品を媒介にしてコミュニケーションを取っていくしかないんですけれども、この中の左のところで言うと、ヘッダーのところにきちんとタイトルが……ここは36ですけど、今は38くらいまで出ているところです。その中で必ず一貫性を持っているのが、きちんと上のところで、その週に伝えるべきコンテンツをきちんと自分たちで作り上げていくということをやってます。

Webカタログは、商品価値を正しく伝えるコミュニケーションペーパー

角田:これは社内のメンバーが全部決めていて、最終的に僕が承認しながら進めています。その中で価格を訴求する商品もあれば、右のように実際に商品を売る前に「ダウンをこうやって作ってきました」というメッセージを入れながら伝えていくことで、お客さまに商品の価値をいかに伝えていくか。ここの中に、さらに商品が安くて使いやすいものであるという思想を、ちゃんと入れこんでいくというのが、みんなが思いながらやっていることなんです。

ときどき「その週にどうにかしないといけないね」と言うと、右側とか真ん中みたいに、なんだか安い商品がいっぱい上にくるときはあるので、僕がうろたえているときが毎週毎週よくわかるのがこの構図だと思います(笑)。ここはちょっとせめぎ合っている週なんですね。「売上にいこうかな、理念を守ろうかな。でも今はがんばろう」というのが、どっちかに転んでいるときなんですけど。

大きくは変な企画はやらないとか、必ず物の意味を伝えることを商品部、販売部、我々のOC部が、きちんとモラルを持って接する。週1回のミーティングで決めています。

神尾:ユニクロさんだと毎週チラシが紙でも届くし、もちろん今デジタルでも届くという感じなんですけど。今まで、そういうかたちで週に一度の情報をまとめてお届けすることはなかったわけですよね。そのための企画?

角田:そうですね。こういうのを世間一般ではWebチラシという言い方をするんですけど、私たちはWebカタログという言い方をしています。コミュニケーションペーパー的なことにしている。ニュースをきちんと伝播していく使い方にしています。安売りを伝えるだけではないというふうにしています。

神尾:そのへんの両立を、ブランド、理念、ライフスタイルみたいな話と、実情までうまくつなげるところに腐心されている感じなんですかね。

角田:そうですね。

ブランドの思想がコンテンツ同士につながりをもたせる

神尾:WOWOWさんはけっこう難しいと思うんですけれど。これは個人的な考えですけれども、「結局、コンテンツが強かったらそれを見に来るじゃん」という議論なども、もちろん社内でもあったりすると思います。

その中で、WOWOWさんというブランドがどういうところにちゃんと伝えたいのか、どういうところに効くべきだと考えられているのかに興味があります。

梅澤朋央氏(以下、梅澤):まさにそういうことをやらないといけないなと思っています。というか、ぜんぜんできていなくて。MUJIさんもいろんなものを売っていらっしゃると思うんですけれども、カレーなどの食べ物があったり、ベッドがあったり、いろんなかたちがある。

WOWOWも同じで、高齢者人気の高いアーティストのコンサートや若者に人気のロックバンドのライブを放送したり、音楽でもすごく幅があるんですね。今はどういう思想があってそれをやっているのかをうまく伝えきれていなくて。

それぞれのアーティストのファンたちにしっかり刺さるように表現しようとしすぎるあまり、それぞれの見え方が解離しちゃっているような状況があります。それを今後、どうやってデジタル接点を中心に見せていくかがものすごく大きな課題ですね。

神尾:コンテンツというモノはあるんだけど、それに寄りすぎるとどこで見ても変わらないじゃないかというかたちになってしまう。それ以外のメッセージもそうかもしれないし、サービスとか、そういうものをちゃんとWOWOWとしてどう伝えるのかが大事ということですかね。

梅澤:そうです。

神尾:最初にお話ししたのは考え方というか、上に位置するような考え方の話だったんですけれども、次は場の話をしたいと思います。今日のタイトルではWebと付けたんですけれども、各社さんはアプリを中心にやっている。

今まではWeb運営部とか、無印さんもWeb事業部とか、三井住友カードさんもWebデザイン部とか、そういうWebという名前が付いていたと思います。ただお客さんの接点の場は、だいぶ変わってきているんじゃないかなという印象を持っているんですよね。

「MUJIpassport」を起点にした、店舗と消費者のコミュニケーション

神尾:その中で、こういうデジタルチャネルをどう考えられているのか。優先順位などをお聞かせいただけたらいいなと思います。では、角田さん。

角田:一番左に見えている「MUJIpassport」を開いていただくと、商品購入導線自体はWebサイトのWebビューになってしまいますが。僕らにとって一番重要なのは、MUJIpassportを起点にどうやって商品が買えるか。ここでも買い物ができるようになっているんですけれど。

まずは取り組みをきちんと伝えていくというSNS的な使い方をメインにしています。from MUJIというのは店舗の登録で、自分が気に入っている店舗をフォローしていただくと、その店があげてくる情報が瞬時にあがってくる機能です。

(スライドを差して)この場合は新商品が出ていますけど、右に「MUJIの家」と書いてあります。ここは今度は個店名に変わっていきます。例えば最近開いたところで言うと、京都の山科というところに野菜も販売している大きな店舗ができあがりました。

この店舗は1日3回、from MUJIに情報を出してきて、朝に「こんな野菜が入りました」「こんなお肉が入りました」、お昼は「このお弁当をやってます」、午後には「こんな商品イチオシです」というメッセージを、フォロワーの方たちに届ける。そういうことを毎日毎日各店がやっています。

投稿で言うと、先月末で1ヶ月で3万件くらいの件数があがるくらい、各店が(情報を)あげてくる状況になっています。今、1500万人のお客さまに向けてMUJIpassportを通して、どんどんコミュニケーションを取っている。

ここの中で言うとWebサイトのサイト情報を見てほしいので、こういう情報をあげていますが、きちんと引き込んでいくためのコミュニケーションのツールを増やしていく。オープンコミュニケーション部という名前になったので、この部署をメインに動いています。

当然、店舗がいろいろと打ってくる。そうすると、どうしても稚拙なものも実はあります。基本的には制限せずにバンバンあげてもらって、あがったものを制限するというようなことで、モグラ叩きをしている。そうやってレベルを上げるという作業をやっています。

実は規模の小さい店舗のほうが、お客さまからのリーチが非常に高くて。100坪しかないような小さなお店でも固定のお客さまがついていて、コミュニケーションが取れているところがポイントです。

今後、相互間で掲示板のようなコミュニケーションが取れるような媒体にしていきたいなと考えているのが、このMUJIpassportアプリです。ここをメインに、すべての見え方から行動を考えるというふうに、今どんどん切り替わっていっています。

神尾:自分がよく行く店をフォローできるという考え方がありまして、よく行くお店の情報はやはり知りたいじゃないですか。そういうのを本社で一斉配信するんじゃなくて、各店舗のスタッフの方とかで、そういうのを配信できるようにしようということを、去年くらいから始められている。今、各店舗が発信するようになっていると。

角田:そうですね。ほぼ全店が自分たちでこのサイトを運営していて、少なくとも1週間に1回くらいはきちんとあげている計算になっていますね。

神尾:MUJIさんで言うと、店舗との距離や接点を近づけたり、そこでコミュニケーションを強化するためのツールという考え方をしているというアプリの使い方。

角田:ここから結局、購入導線もECサイトのほうにもできるようになっているので、相互間のコミュニケーションを取る三角形を作りたいというのが1つの思いですかね。

三井住友カードが仕掛ける、アプリを毎日開きたくなる実用的機能

神尾:続きまして三井住友カードさんのアプリ。

小倉敏之氏(以下、小倉):まずWebサイトのほうは、お客さまとしてはクレジットカードをお持ちのお客さまと、あと加盟店さまもいらっしゃいます。あとは法人カードということで経費精算もしていただいています。どちらかと言うと、Webサイトは総合窓口的に今運営しています。ここもたぶんその役割かなと思います。

一方、こちらのアプリのほうは各社さん、先ほど新生銀行さまもウォレットという名前を使われていましたけれども、私どももこのアプリにいろいろな機能をのせています。

だいたい利用額やポイントがいくら貯まってるのかが中心なのに加えて、最近だとマネーツリーさん経由でいろんな情報を入れたりしています。このアプリからも一応家計簿的なものが使えます。クレジットカードの利用明細が家計簿になるというようなこともやっています。

やはり今後としては、クレジットカードは特別な買い物のときに高額なものを買うというより、コンビニでもQR決済もございますけれども、クレジットカードやタッチ決済のほうも(利用者の方が)いっぱいいらっしゃる。できるだけこのアプリに触れていただくという意味では、もっともっといろんな機能を、できるだけ日々見たくなるようなアプリにしたいと。

今アプリを使っていただいている方は、だいたい月に6、7回くらいアクセスはしていただいている。これをできるだけ「毎日ちょっと開けてみたいな」と思えるようなアプリに仕立てていきたいなと検討しているところです。

神尾:カード会社さんって、昔よく言われていたのは、明細が確認されたり、請求されているときだけ人がバッと集まるみたいな話でした。それと比べて今のアプリは6、7回ということは、だいぶお客さんとの接点の頻度が増えている。

小倉:そうですね。今、ようやく増え始めているというところです。

神尾:MUJIさんとも近いかもしれないですけど、お客さんとの密なコミュニケーション、日常的な接点を図るツールとして考えられている。

テレビ契約をしなくても、アプリで番組を視聴できる世界を目指す

神尾:梅澤さんのほうは1個だけの紹介になっているんですけど、WOWOWさんの場合はいくつかアプリがありますよね。

梅澤:メンバーズオンデマンドという配信アプリがあります。そもそもはテレビの契約があるので、テレビの見逃し視聴用のアプリということで、今はサービスを展開してるわけです。

お客さま視点から言うと、将来的にはこのアプリ自体がサービスそのものになっていくんだろうなと思っています。どうしても放送のデータって、なかなか掴みきれない部分がある。デジタル上でどれだけ試聴していただいているとか、そういったようなデータを取る意味でも、サービスの主体をどんどんデジタル化していく必要があるなと思っています。

去年くらいから放送の再配信、放送しているものをそのままアプリ上でも見れるようになってきています。今はB-CASカードというテレビに入っている赤いカードの番号が、契約時にどうしても必要なんですけど、それがなくてもアプリだけでも契約できるような世界を目指していくべきなんだろうなと思っています。

神尾:MUJIさんとの違いで言うと、サービスそのものがオンデマンドになっていたり、競合のNetflixさんも含めて、デジタルサービスそのもの、事業そのものがデジタル化していく。アプリそのものがお客さんに届ける場になる使い方ということですね。

梅澤:そうですね。

神尾:ありがとうございました。時間がなくなってまいりました。最初は考え方、今は少し場の話をしました。最後に、そうやって新しいことをやらなきゃいけない、チャネルの数が増えたりしているじゃないですか。

監督とキャプテンを誰に据えるか? WOWOW流、適材適所のチーム編成論

神尾:そういう中で、今の課題でもいいですし、体制づくりや人の育て方、また社内でどういうことを課題と感じて何をやる必要があるのか、といった部分をお聞かせいただけるといいかなと思っています。

梅澤:最初に体制図をお見せしたんですけど、WOWOWの場合、この領域を社員2人で見ているんですね。実際の運用チームはジョイントベンチャーみたいなかたちで、3社共同で運用していってもらっている。

僕はサッカーの番組担当をしていたので、サッカーに例えてみます。僕らはどっちかと言うとサッカーチームの監督のような立ち位置で、メンバーズさんみたいな人たちにチームキャプテンをやってもらって、適材適所でチーム編成をしていく。そうやってどんどん進めていかないと、社員300人くらいしかいない会社なので、社員を充当するというのもなかなか難しいです。そして、デジタルのスピード感についていくのも難しい。

どんどんそういうかたちでスキルのある人を、その時々でやりたいことにフィットする人材を提供してもらうかがけっこう重要なのかなと思います。

神尾:聞いていて、思ったのが社員2人でこういうチームをマネージできているというのがけっこうびっくりしました。小倉さん、「うち、社員が多すぎなんじゃないか」みたいな話を率直におっしゃっていましたが。

小倉:そうですね。これを見ていただくと、制作運用グループのところは今6人の社員をアサインしてやっています。

メンバーズさんの常駐メンバーとほぼ同等です。他社さんでこういった業務をやっていた方のキャリア採用などもやっています。まさに梅澤さんのお話をお聞きして、正直どうあるべきかなと考えていました。

我々は内製をけっこうやっている会社で、例えばコールセンターでも自分たちでやっている文化があります。はたしてこれがいい姿なのかなというのはまだ暗中模索かなと思っています。

内製メンバーとアウトソースの役割分担

神尾:今は我々も支援させてもらっていますが、角田さんのところも、もともと内製だったじゃないですか。そのへんの社員とアウトソーシング、どこをするべきなのかとか、社員の役割ってどうお考えですか?

角田:僕が来てメンバーズさんが入ってくる体制になったとき、うちの内製のWebサイトを作っていたメンバーたちは「自分たちの仕事をとられちゃうんじゃないか」とはっきりと言ってきたくらいです。危機感は感じていました。

今、すみ分けしている部分で言うと、売上を取っていくとか、さっきのMUJIpassportみたいな大きいところのコンテンツは成果が整ってくるので、ここはメンバーズのメンバーたちメインで制作をお願いしています。

実は内製のチームは、良品計画としての企業ページやキャンプ事業部、ほかの事業部の営利として売上が上がらないチームのWebサイト支援、そしてpassportの支援をしている。これが、実際の分け方として、僕が決めてやっています。

企業理念に外れてはいけないので、こういったところはメンバーズさんのメンバーよりも、うちの社内の中できちんと育てて、各部署との連動を太くするというすみ分けをする。

先のセッションの中でもあったように、売上成果が出てくるところやKPIをきちんと設けられるところに関しては、メンバーズと決めながら話をしていくというのが非常にわかりやすくできているかなと思ってますが。

さっき申し上げたとおり、「Webはなんでもできる」と思われているので、最近他部署からの要望が勝手に入るというケースが多くてですね。そこに対しては、可能な限り「ノー」を出しながら、他部署から来るのを防ぐという作業をしています。

ミラクルだと思われないように成果を出していく。きちんと制作チームのほうで、成果がどれくらい出ているかを全員で共有させるために、Webチームのネットストアを担当しているチームとうちの内部の制作チーム、あとはメンバーズの合同のチームを4つに分けています。そして、そのメンバーたちが成果を出せるようなプロジェクトに切り替えながらやっています。その成果を私に報告するというようなスキームに仕上げていますかね。

考えるべきは、戦略や戦術を“自分事化”できるチーム作り

神尾:ちょっとまとめに入っちゃうんですけど(笑)。時間がぜんぜん足りなくて。さっき梅澤さんがサッカーのチームのようにとお話したのが、この間もお話を聞いていてすごくそうだなと思っていました。

ベンダー側としてやってきた私の考え方で言うと、内製か外注かという話が大事というよりは、どこかで作業を切り分けるとうまくいかないケースがけっこう多いんですよね。企画を考える側、実行する側、もの作る側にすると、社員であろうがうまくいかないケースがすごく多いんです。

新生銀行の清水(哲朗)さんの講演にもあったと思うんですけど、その目標に到達させるためにチームを作ることにも貢献できることがあるんだから、それを考えようという話です。

サッカーのチームに例えられたように、戦術とか戦略とか、そういうのをいかに自分事化して1つのチームとして動けるのか。それがすごく大事じゃないかなというふうに思ってきていて。

メンバーズ的にはどっちかと言うと外注、受託の立場でやってきたので、そういう考え方でやってあまりうまくいかない時期もありました。

外注なんだけど内製のように、ともすれば社員さんよりも自分事化できるのかということをうまく仕組み化し、人事制度を作ってきた。そういうのが考え方としては大事なんじゃないかなと、今回みなさんのお話を聞いて思った次第です。

ちょっとシーンとしちゃいましたね。すみません(笑)。時間がだいぶ過ぎてしまいまして、40分ではぜんぜん話し足りないよなという感じがありました。

このあとお時間もあるので、ぜひ個別に名刺交換して。そこからいろいろみなさんとお話いただければと思います。

神尾:お話いただいたお三方に改めて拍手いただけると幸いです。

(会場拍手)