両社の強みを活かした「健康経営ライブラリ」構想

司会者:それでは株式会社日本能率協会マネジメントセンター代表取締役社長、張士洛より今回の共同開発の背景などにつきまして、ご説明申し上げます。

張士洛氏(以下、張):ただ今ご紹介に預かりました、日本能率協会マネジメントセンターの張と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは今回の共同開発の背景についてご説明をさせていただきたいと思います。

画面のスライドのとおり、私ども日本能率協会マネジメントセンターと株式会社ルネサンスさまが共同で、健康教育事業を立ち上げました。最近非常に注目を浴びております健康経営、健康リテラシー教育サービスについて、ともにサービスを提供していくということでございます。

まず僭越ながら、弊社の事業の簡単なご紹介です。画面にあるとおり「Enjoy Your Growth」という理念のもと、人の成長に寄り添うことをミッションとしております。

これらを中心に“時”や“学び”のデザインということで、人材育成支援事業ならびに、手帳事業を展開しております。この中でもとくに教育事業を中心として、今後は健康教育事業をルネサンスさまとともに進めてまいる所存です。

それからルネサンスさまの事業ドメインにつきまして、生きがい創造企業としてスポーツクラブの運営のほか、自治体や企業さまでの健康づくり指導の実績を多数持っておられます。

また、健康経営会議を主催し、健康経営に関するノウハウをさまざま持っておられます。健康経営に関して、さまざまなフィットネスクラブの運営はもとより、それらを具体的に実現する現場の指導までおやりになっています。

両者の相乗効果と連携の概要についてです。今ご紹介した事業をベースに、それぞれのノウハウ、強みを活かしながら、健康の教育の力で、これからの人生100年時代の社会課題の解決をともに目指してまいりたいと思っております。

健康教育サービスの第1弾として従業員の健康増進、健康経営の実現の支援を目的として立ち上げるのが、eラーニングの新サービス「健康経営ライブラリ」です。2020年の3月より開始してまいりたいと思っております。

健康経営が社会課題の解決の一助に

:こちらのパートは、共同開発の背景の1つとして、日本が抱える課題への対応を説明します。

(私たちが取り組む)社会課題の解決ということで、少子高齢化による労働人口の減少、それから社会保障費の増加による財政の圧迫は、現在の重要な課題です。政府は労働人口の確保、医療費の適正化等のために、健康寿命の延伸やその他のさまざまな取り組みを推し進めており、その取り組みの中核に健康経営があります。これからの社会課題の重要な解決の糸口であると言っても過言ではありません。

健康経営の広がりはみなさまもご承知と思います。企業が従業員の健康に配慮することで、経営面において大きな成果が期待できます。この健康管理を、経営的視点から考えて戦略的に実践するという概念で、経済産業省を中心に(さまざまな取り組みが)進められております。

健康経営の取り組みは、医療費の節減という守りの健康づくりの推進だけではありません。従業員の健康管理に加え、健康増進を業績の向上ならびに企業価値の向上につなげる攻めの経営に展開しているということです。

企業の維持発展や従業員個々の成長にとって、従業員の健康は欠くことのない要素なのは言うまでもありませんが、従業員が健康で家族も健康であれば、これ以上の働きがいに勝るものはないと思っております。

3万5,000社の中小企業が申請、健康経営の経済的価値とは

:続きまして、経済的な価値です。こちらも私から説明いたします。大企業のみならず、現在は中小企業において健康経営の取り組みが大変進んでおります。

データも示しておりますが、現在大企業では約1,800社の申請、そして実際に法人認定は約800社が受けております。中小企業に至りましては3万5,000社強、そして認定が2,500社ということで、今後拡大の一途を辿ってまいります。

先ほどご紹介したとおり、単に従業員を健康にするだけではなくて、攻めの健康経営に関しても、各大企業から中小企業まで(拡大しており)、すでにルネサンスさまは展開しておりますが、最近では自治体を中心とした健康経営の広がりまで飛躍的に広がっている現状があります。

(資料で渡した)次のペーパーで、いよいよ中核のところの説明をします。今までは社会的な背景をお話しましたが、健康経営の実践を行っていくうえでの課題、従業員とその家族、健康づくりの自主的な取り組みです。

ちょうどこの青色のところの矢印の下をご覧ください。健康経営に継続的に取り組み、成果をあげるためには従業員の健康に対する意識の底上げ、自主的な取り組み、そしてそのための環境づくりが不可欠だと考えております。

そのためには環境の整備(が重要で)、職場や従業員一人ひとりの課題に合わせた施策の実施など(を進める必要があり)、従業員本人の意欲や健康に対する意識の向上、さらには健康行動への習慣化も課題となっております。

この習慣化のためには、日々の教育、日々の現場での指導といったさまざまなソリューションの仕組みの組み合わせが重要であると思っており、今回(ルネサンスさまと)ご一緒させていただいて提供してまいりたいと思っております。

スマホひとつで、いつでもどこでも学習可能

:まず第1弾として提供させていただく、健康経営ライブラリの概要を説明します。まさにこれから詳細のコンテンツは作ってまいりますが、現在検討している概要がこちらです。

健康経営推進における課題解決手段として、健康経営ライブラリを開発提供しますが、サービスの主な目的は、健康経営を実現するために必要な従業員の健康リテラシーの向上です。健康増進への意識醸成のための学習のコンテンツを、eラーニングの形式で提供してまいります。

つまりeラーニングですと、現在はほとんどスマホで学べる環境がありますので、いつでもどこでも学びたいときに学べます。習慣化をしていくうえでは、非常に重要なツールだと認識しております。

役割分担といたしましては、ルネサンスさまの健康経営に関する今までの卓越した知識、ノウハウといったリソースをご提供いただく。そして、弊社が長年培ってきた教育分野でのノウハウによって、コンテンツ、システム開発、サービスの運用を行ってまいります。

販売に関しましては、すでにルネサンス社さまも法人に対してさまざまなアプローチをかけておりますので、両社共同で企業、健康組合(に着手し)、それからいよいよ自治体にも広げてまいる予定でございます。

脳の活性化プログラムを目的とした集合研修も

:なお今後の大きなソリューションの範囲で考える方向性ですが、eラーニングのサービス提供軸には、現場の実践でこちらの学習内容を強化していくためのソリューションとして、ルネサンス社さまが保有しているさまざまなサービスの提供を提案したいと考えております。

例えば企業向けの体力測定、転倒リスク測定や、最近でいうと脳の活性化のプログラムなどを目的とした集合研修(がひとつです)。運動指導を行うエクササイズによるソリューションの提供や、従業員のスポーツクラブの利用支援などまで、幅広くソリューションが提案していけると思っております。

健康経営優良法人の認定取得へ向けたコンサルティングや、企業内の推進担当者育成の教育プログラムなども今後共同で提供してまいりたいと思っております。

私からの説明は一旦以上です。このあとルネサンス社吉田社長さまから、連携の期待をお話いただければと思います。

40年かけて蓄積したノウハウをパッケージング

吉田正昭氏(以下、吉田):ルネサンスの吉田でございます。ただいま張社長からご説明があったように、今回この取り組みに入る前に(連携の背景に触れますが)、健康寿命の延伸という言葉が数年前に出てきてですね。人生100年時代が来ているときに、今のままであれば(社会課題は)おそらく実現できない。こういったことにいかに取り組むかということが非常に大事だということで、当社も課題として認識を持っておりました。

(連携について)最初のお話から途中経過、今回の最終報告を受けるにあたって、健康経営の広がりのスピードは本当に速くてですね。多くの会社が取り組みをされていますが、実態として中身がしっかり詰め込まれたものは、なかなかまだ少ない状態だと思います。手探りでされているのが、今の実態だと思います。

従業員やご家族に対してしっかりノウハウを駆使したものが活用できるという、新しい場面での展開のお話を聞きました。私どもの会社は先日創業40周年を迎えましたけれども、今回のパッケージでは、その40年のノウハウがすべて詰め込まれたようなものができていると認識しております。

40年かけて積み上げてきたもの、最新のトレンドとして当社が開発したもの、すべてが盛り込まれて今回の双方での取り組みに活かすことができました。この取り組みの結果が、先ほどあった(健康経営を推進する)手段がわからない企業の取り組みから、しっかり取り組めるというポジティブなアプローチに必ずつながると思っております。

当然営業もそうなのですが、多くの方が参加できるように、健康づくりの観点を含めまして、今回の取り組みが日本全体にとっても大きな成果につながるように邁進していきたいと思います。これからもご注目いただければと思います。以上でございます。

健康経営ライブラリを構成する3つの柱

司会者:続きましてサービス内容について、株式会社日本能率協会マネジメントセンター パーソナルラーニング事業本部 副本部長岩崎淳よりご説明申し上げます。

岩崎淳氏(以下、岩崎):日本能率協会マネジメントセンターの岩崎でございます。私からは、新サービスの概要をご説明させていただきたいと思います。先ほど弊社の張から説明がありましたが、株式会社ルネサンスさまと弊社JMAMが共同で健康教育サービスを立ち上げます。その第1弾として、Webを活用したeラーニングサービス健康経営ライブラリをスタートさせます。

このサービスですが、大きく3つの柱から構成されています。1つ目は健康に関する知識。ヘルスリテラシーと言いますが、これを高めることを目的としたコンテンツ群。2つ目は主に企業の管理職を対象にしていますが、快適な職場環境を作り、これを支援するコンテンツ群。最後3つ目は、日々の健康づくりを支援する3分程度の動画コンテンツ。この3つのコンテンツ群でサービスは構成されております。

なおサービスの開始時期なんですが、2020年3月、ここに47コンテンツをご用意いたします。その後同年の7月までに10コンテンツを加えて、計57コンテンツのラインアップにする予定です。

定額で学び放題、そして多彩なテーマラインアップを用意

岩崎:続きまして本サービスの特徴について簡単に説明します。ご覧のように4つの特徴があります。まず1番目としましては学習の仕組みです。簡単なセルフチェックを用意させていただいて、受講者はセルフチェックをもとに、その結果から各自が学ぶべきガイダンスを受ける仕組みとなっております。

その後、テーマの知識を習得していただいて、職場内でもいいですし家庭でもいいのですが、隙間時間にちょっとしたエクササイズをやっていただく。こういった流れで従業員個々人の健康への意識向上から行動変容を促す。そんな仕組みを考えております。

2番目の特徴としましては、学習テーマのラインアップです。健康経営優良法人、これらの認定に向けてアドバンテージとなり得るテーマを厳選してご用意し、提供したいと思っています。3番目はeラーニングの強みなんですが、学習管理システムを用意しております。随時従業員の実施率、あるいは履修状況を容易に把握することが可能になります。

このサービスは、サブスクリプション形式を取ります。1年間という利用期間の中で、定額でいつでもどこでも何度でも学び放題という環境を提供する。

この4つの特徴があります。以上簡単ではありますが、サービスの概要についてご説明いたしました。最後に本プログラムの総合監修者についてルネサンスの荒井さまよりご紹介いただきます。

健康経営の第一人者である岡田邦夫氏を監修者として招聘

荒井恵津子氏(以下、荒井):ルネサンスの荒井と申します。最後に総合監修をしていただく岡田邦夫先生についてご紹介申し上げます。

岡田邦夫先生はNPO法人健康経営研究会の理事長をされていらっしゃいます。健康経営という言葉は、実はこのNPO法人の健康経営研究会が商標を持たれています。つまり健康経営の第一人者として長きにわたって推進活動をされてきた先生です。

同時に産業医として、大阪ガスをはじめたくさんの企業の産業活動にも取り組まれていて、企業が利益を出して社会貢献をしていくためには従業員の健康が欠かせないと提唱しています。企業の利益と健康づくり、両面をどう両立させていくのかを長きにわたって推進されてきた先生です。

岡田先生にご監修をいただき、私たちも実際に活かせるようなeラーニングということで、今回は作成しております。このような先生の監修を踏まえてのものなので、安心して、そして使いやすい、おもしろいeラーニングができると思っております。ぜひみなさまにご活用いただければと思います。商品の紹介については以上です。

個人モデルの設計は可能、当面はBtoB向けサービスとして提供

司会者:それでは、これより質疑応答に移らせていただきます。私のほうで順番に指名させていただきます。質問がある方は挙手でお知らせいただけますでしょうか。

(会場挙手)

質問者1:このeラーニングは、法人対象でサブスクリプションの定額というかたちなんですが、料金はどういうかたちで設定されていて、法人対応なのか個人対応なのか、そのあたりの方向性をお知らせいただければありがたいです。

岩崎:実際に使われる従業員の数というか、ID数に応じた価格設定となっております。ID数が大きいほどディスカウントされる仕組みです。

一例を申し上げますと、100名利用で税抜きになりますが、1年間のサービス価格が42万3,000円。1,000名になると、240万円という価格設定を考えております。主にBtoBで企業の健康経営を推進している部署との契約ですね。

質問者1:法人であれば法人が契約して、それで従業員の方々が利用できるということですか?

岩崎:そうです。

質問者1:例えばルネサンスさんの場合はスポーツクラブを経営しています。そうするとルネサンスさんのスポーツクラブで個人が使うとか、そういう個人の登録の方法というのはないんですか? 

吉田:今のところはそこは考えてません。

質問者1:あくまでもBtoB?

吉田:そうですね。

:あくまでもBtoBですが、当然今後の社会情勢とか広がりによっては(ありえます)。技術的には個人に提供できないわけではありませんので、ルネサンスさまと協議をして個人モデルの設計は物理的には可能ですが、まずは法人からと考えています。

自治体の市庁舎を利用し、地域創生の一環にも

質問者1:すると健康経営をやっている大企業として約800社、中小企業で2万5,000社というかたちなんですけど。市場規模の広がりとしては、そのあたりをターゲットにしているという考え方でよろしいんですか?

吉田:そうですね。今言われた中小起業も2万5,000というのは昨年のデータで、おそらく今年で見ると3万5,000くらいに規模は広がっているんですね。ただ、取り組むと意思表示はしたものの、具体的な手段はなかなかないんですよね。それをしっかり仕組みとしてお示しできるので、広がりに対して中身が伴うという狙いが今回のポイントです。

質問者1:企業はわかりやすいんですけど、自治体の場合はどういう登録になるんですか?

吉田:自治体については今いろんな取り組みが始まっています。当然、健康づくりというテーマで自治体が地域の方を募ってやっているものもあります。当社が始めた地域創生というかたちで市庁舎を活用しながら、街(自治体)が自分たちの中(施設)でジムを作ったり、人が集える場を、健康づくりする場を作っていく。

一緒に連携していけば、町民や市民全体に対しての広がりも出てくる話なので、それはこれからしっかり作っていけると、先ほども張さんと話していたところです。

質問者1:ありがとうございました。

司会者:ほかにご質問よろしいでしょうか?

(会場挙手)

認定基準の改変に対応したコンテンツ作り

質問者2:このサービスを利用すると、例えば健康経営優良法人の中身が伴うとおっしゃっていましたけれども。認定されやすいというメリットを予想されているんですか?

岩崎:毎年見直しはされるのですが、やるべき評価項目が公表されます。それに沿って我々もコンテンツを作り、あるいは改変したり、追加していったり。そういう体制を取る。なるべく企業様が認定を受けられるのにアドバンテージになるような作りを考えています。

:若干補足させていただきます。ご承知のとおり認定の本枠があるので、それに準じて作るということもそうなんですが、当然、年とともに認定基準も変わりますし、これからカテゴリーが広がっていったときに、我々がやっているeラーニング/電子媒体の強みとして、認定基準に合わせてコンテンツを書き換えるなど、常に改変できる点があります。 よくある企業の認定や資格制度というのは1回発行すると永久資格なんですが、毎年継続するということがポイントなので。そういう意味で、市場性として毎年同じ量でしかも変わるので常にやり続けなければいけない。

常に認定を受け続けなければいけない。これがビジネスモデル上非常に大きいと思っております。そういった意味でもeラーニングを中心として、その先にルネサンスさまの現場での個別の指導というのも、常にプログラムは改変しながら展開できると考えております。

診断を繰り返すことで、健康になるためのPDCAを回してもらう

質問者2:ルネサンスさんの中での現場の指導が、コンテンツの延長線に存在する?

:そうですね。

質問者2:具体的にどういったかたちで?

:これから作るんですが、あれば、紹介できるところだけ。

岩崎:そうですね。やはりルネサンスさまと一緒に組むというのは、健康経営の知見はルネサンスさまにあり、我々は教育を売り物としてやっているもので、いかに教えるかを一緒にやることでシナジーが生まれる。

例えば女性特有の健康に関するものを、どうやったら受講者に納得してもらえるか。そういう課題(への取り組み)を一緒にやって(プログラムを)作り上げるという。まさに今作り始めています。

質問者2:ありがとうございます。

:もう1個のポイントは診断ですね。今の自分がどの状態でどういうプログラムをやって改善して(いくかを考えてもらう)。当然明日の自分も変わりますし、来年の自分はもっと変わってくる。そうやって常に診断されて実施をするという(仕組みを提案します)。

これは我々の教育の仕組みなのですが。PDCAを回していくのと一緒になりますので、必ずアセスメントがあって(何を学習するかという計画があり)、Doがあって、さらにCheckがある。これをルネサンスさまと一緒にやることで最大のメリットが出せるのではないかと思います。

司会者:ほかの方はよろしいでしょうか? お時間もございますので、こちらのほうで質疑応答を終わらせていただきます。のちほどご質問がある方は個別にご対応させていただきますので、よろしくお願いします。ご質問ありがとうございました。